劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order   作:小野屋陽一

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第9話

side三人称

分断されたナイン達だが、ナインは一人になった事を意に介する様子もなく、活真がいるであろう城山の頂上へと進む。

「『テープショット:トライデント』!!」

「『解除』!」

その死角から瀬呂が『テープ』で貼り付けていた岩をナインめがけて振り下ろす。その近くでタイミングを計って麗日が『無重力』にしていた『岩』の重力を戻し勢いよくナインに落ちる。

「………」

しかしそれでナインが止まるわけもなく、『爪弾』で粉砕し、そのまま瀬呂と麗日を『爪弾』で攻撃。二人はナインの攻撃を回避しながらも近づく事無く『岩』で攻撃し続ける。少しでもナインに“個性”を使わせる為に…

「クソ!足止めすらできねぇ!」

それでも、ナインの進行は止まらない。瀬呂が吠える。どんなに岩を放っても『爪弾』であしらわれる。麗日が『無重力』で大量に浮かせていた『岩』の雨を降らせても効果がなかった。それでも二人は諦めず、攻撃し続ける。

「もうすぐ本命だ!」

「う、うん!」

個性を使いすぎて吐き気を起こす麗日だが我慢し、瀬呂が言った本命へと、後方へ動く。

「瀬呂!麗日!準備出来てるぜ!」

そこには頭部に包帯を巻いた峰田が待っていた。峰田の後ろにはずらりと並んだ『大きな木の柵』で堰き止め、『もぎもぎ』で接合されてる大量の『巨大な岩』々だった。

「麗日頼む!」

「うううう…プルスッ、……ウルトラァアアアア!!!!」

麗日は根性ですべての木の柵を『無重力』化し、上空へ投げ、堰き止められた巨大な岩々の雪崩を起こす。ナインは『爪弾』で攻撃するが岩々は止まらず、ナインを飲み込む。そこに間髪入れずに峰田が『もぎもぎ』を大量に投げ込み、岩と岩がくっつき続け一つの岩山にするのだった。

「これが本命だ!!」

「よっしゃー!」

「や、やった…う、おぇぇぇ…」

3人ともギリギリな状態。これで終わり…かに思えた。光の衝撃波と共に岩山が吹き飛び、その威力で3人も吹き飛ばされる。何とか態勢を整えようと青山、八百万も加わるがナインの『空気の壁』の衝撃波で倒れてしまう。

「遊びは終わりだ」

ナインは両手に『雷』を纏い、トドメをさそうと動いた時だ。

「うぉおおおおおお!!!!」

『爆破』で飛んできた爆豪が速攻でナインめがけて『爆破』。しかし『空気の壁』で防がれる。

「生きていたか…」

「寝言は寝て死ね!」

急遽爆豪が参戦。更に、後方から緑谷も『フルカウル』で飛び込み、ナインめがけて蹴りを放つ。

「『セントルイススマッシュ』!!」

それでも『空気の壁』に防がれ衝撃波で吹き飛ばされるが想定済みだったのか上空で爆豪が緑谷を掴む。

「『爆破式カタパルト』ォォ!!」

そのまま『爆破』の高速回転で加速し勢いよく緑谷を再度ナインに向け投げ、緑谷は強力は蹴りを食らわす。ナインは『空気の壁』で防ぐが予想以上に威力が大きく弾く。

「なかなか…」

「ここから先は」

「ブッ殺す!」

ナインは自分に対して身構える緑谷、爆豪を見据え、二人もまたナインをきつく見返した。

 

 

side立香

「ふっ!」

私は宙に舞い、キメラめがけて矢を複数射続ける。

「さっきから無駄なんだよ!!」

キメラは巨大な手で矢を弾き、折る。

「おおおおお!!」

その隙に飯田君が凍る大地を高速で駆け渾身の蹴りを放つが、キメラはもう片方の手で受け止め、そのまま投げる。

「『烈怒頑斗裂屠』!!」

続けて切島君が『硬化』した腕でキメラの腹部に殴る。

「ぜやぁ!!」

「はっ!!」

切島君の攻撃と同時に飯田君は再び蹴り、私は矢を射る。

「ふん!!かゆいな」

それでも防がれる。片方ずつ腕で飯田君の蹴り、切島君の拳を受け止め。矢は噛んで防ぐ。

「ぐぁ…っ!」

そのまま切島君を掴み投げ岸壁にめり込む。

「ちぃ!!」

「くっ!」

焦凍君に合わせるように再度矢を射る。焦凍君の放つ『炎』と一緒にキメラに放つ

「くどい!!」

でも翼のような手で起こされた風に簡単に吹き飛ばされる。

「おおお!!」

再び飯田君が背後から蹴りを放つが弾かれる。

「凍れ!!」

焦凍君が『氷結』を放ち、飯田君に攻撃しようとしたキメラの動きを阻む。キメラはその氷結を殴り壊す。

「……テメーら…無駄だと言ってるだろ!!」

「どうかな!(そろそろ…堕ちろ!)」

矢をつがえ、射る。まっすぐキメラの胸部を捉えるが、キメラの体毛が厚いのか刺さらず、矢は地面に落ちる。

「ふっ、分かっただろ?その程度の威力の矢が俺の体に刺さるわけ……っ!?」

その時、キメラに異変が起きる。全身に何か痺れが襲ったのか、巨体の動きが悪くなり、キメラは膝を付く。これを見た私らは作戦がうまくいき、笑みを浮かべる。

「単調な攻撃を繰り返したのには意味がある。」

「俺の足、切島君手、そして藤丸くんの矢には蛙吹くんが作った『毒性の粘液』が塗られていた。」

「梅雨ちゃんね。藤丸ちゃんの作戦通り。上手くいったわ」

焦凍君、飯田君が作戦の全貌を説く。近くの岩場に『擬態』していた梅雨ちゃんが姿を現す。腕には透明な液体が滴っていた。

「女…てめぇ…っ!」

キメラは私を睨んできた。それに対し、私は不適な笑みで答える。

「昨日対峙したのを聞いて、貴方はその巨体の防御と攻撃に絶対の自信があった。つまり『単調な攻撃』なら『回避しないで受けて防御する』と考えた。脳筋の貴方の行動は全て分かってたよ。」

こうして説明するのも、梅雨ちゃんの毒をキメラの体に浸透させるためだ。

「観念しろよおっさん」

降伏を促す切島君。念のため、焦凍君がキメラの足元を『氷結』させ、私も矢をつがえる。

「……小賢しいマネしやがって」

そうキメラが呟いたときだった。キメラの体が膨張する。

『!!』

靴が壊れ、猛禽類のような足が現れる。そしてキメラの体全体も変化。獣の胴体、鳥類の手足、爬虫類の尻尾、そして頭部から生えた大きな角。まさに混合種(キメラ)だった。

「巨大化!?」

「天喰先輩かよ!!」

飯田君と切島君がそう吐き捨てるように言ってる間に、キメラは動く。

「グガァアアアア!!!!!!」

『!!』

キメラは咆哮すると、口の奥が光始める。

「皆俺の後ろへ!!」

「(やばい!)『解除』!『降霊:マシュ・キリエライト』!!」

―行きます!!―

焦凍君の『氷壁』を展開し、私は『マシュ・キリエライト(オルテナウス)』に憑依し大盾を装備し構える。と同時にキメラから高出力の炎が吐き出される。その炎は一瞬で氷壁を溶かし、水蒸気爆発が起きる。

「クソ!!」

「っ~~~~~~!!!!!」

高出力の炎は今度は私を捉える。大盾に炎が激突。アンカーボルトを地面に刺し、こらえる。

「っぁあ!!」

それでも数秒しか耐えられず、吹き飛ばされる。

「轟君!」

「藤丸ちゃん!!」

「一旦退くぞ!!」

飯田君が焦凍君を抱え走り、梅雨ちゃんが私を舌で空中キャッチしてもらい、切島君を先頭にしてその場を離れる。キメラの放たれた煉獄の炎が滝を溶かし、森を焼く。

「ありがと…梅雨ちゃん…っ」

「藤丸ちゃん!…ひどい火傷…」

岩場の物陰に隠れる私達。自分の手を見ると、微かに掌が赤くなっていた。

「大丈夫…この程度の火傷なら…それよりも…あの炎厄介すぎる…」

「このまま隠れていても意味がねぇ…っ!」

煉獄の炎で破壊しつくすキメラを見ながら切島君はそう言う。

「(どうすれば…)」

考えた作戦が潰れた。ここからどうすればいい…っ

 

 

side立希

「なにが俺達の世界よ!威勢のいい事言って!」

僅かな光しか差し込まない鍾乳洞での戦いは、若干スライスが有利になっていた。狭い空間で縦横無尽に伸びる『刃の髪』、そして柔軟な体勢から繰り出されるナイフ裁きに自分らは後手になってしまう。

「ぐっ!」

ついに常闇君がスライスの攻撃にバランスを崩し倒れた。

「常闇君!…斬る!!」

「!」

自分は常闇君が倒れると同時に前に出る。憑依で強化された身体能力で素早く動きスライスの背後を取る。

「ぜやぁ!!」

そのままナイフを持ったまま縦回転し、回転鋸状に斬り掛かる

「ぐっ!」

スライスは『刃の髪』を複数展開し防ぐが威力がありバックステップで躱す。自分はそのまま特攻し、両手のナイフで交差するように斬る。

「やるわね!」

指先の仕込みナイフで弾かれるがそのまま追撃。小型ナイフに複数持ち換え、投げ放つ。

「しゃあ!!」

「ふっ!!」

スライスはそれを『針の髪』を放ち弾き落とす。自分とスライス。お互い一定の距離を置き、構える。

「厄介ね…けど貴方さえ倒せば後はなんてこと無いわ。」

「それは…どうかな!!」

自分は大きく跳躍し一回転。その勢いを利用して逆手で持ったナイフで斬り掛かる。

「勝ちを焦り過ぎたわね!!隙だらけよ!!」

スライスは自分を挟みこむように複数の『刃の髪』を伸ばしてくる。確かに自分は空中にいて身動きは出来ない…と思ったら大間違いだ。

「ここだぁ!!」

スキル、『霧夜の殺人』を発動。逆手で持っていたナイフで自分に襲いかかってくる『刃の髪』の軌道をすべて外し、回避する!!

「なっ!?」

これにはスライスは驚いていた。ここで自分を倒すつもりだったのだろう。

「今だ!」

「感謝する!『深淵暗駆・夜宴』!!」

スライスの背後から体勢が整った常闇君が特攻。『黒影』の爪を左右に交差して斬り掛かる。

「っ―「させるっ…かぁ!!」づぅ!!」

スライスが常闇君に反撃しようとするが、自分はナイフを捨て、手でスライスの髪の一部を握り、引っ張る。刃状になってるため、掌部分が少し斬れるが、スライスの行動がワンテンポずらすことが出来た。常闇君の攻撃が直撃し、後ろに飛ぶ。

「三奈!」

「OK!『アシッドショット』!!」

更に追撃。機会を窺っていた三奈がスライスに『酸』を放つ。スライスは酸を受け髪が溶け落ちる。

「一気に決める!」

「了解!」

常闇君は『黒影』を向かわせ、自分はナイフを投げ放つ。

「貴様らぁああ!!!」

『キャウン!』

髪を溶かされ怒り狂うスライス。『針の髪』を飛ばし、『黒影』を怯ませ、ナイフを弾き落とす。

「危ない!」

「っ!」

そのまま自分らに放ってくる。自分は常闇君を押して左右に回避。三奈は『酸』で滑り距離を取りながら回避する…が、スライスの髪を溶かした三奈を、スライスは逃さなかった。

「ああ!!」

三奈の太ももに数本の『針の髪』が突き刺さる。

「三奈ぁ!!」

「芦戸!!」

激痛に三奈が足を滑らせ、落下。薄暗がりでもわかるほど、三奈の太ももと落下してぶつけた場所から血が流れる。

「三奈しっかり!今治すから!!」

自分は三奈の太ももに刺さっている『針の髪』を抜き、『外科手術』のスキルで治療する。

「ぅ…ぅぅ…」

落下した時頭を打ち付けたのか気絶しかけている…敵の戦力は大分削ったから一時体勢を直して…

「あ……ああ……き、貴様あぁぁっっ!!」

「常闇君!?ダメだ!落ち着いて!!」

「こ…これは……」

その時、常闇君が激昂した。傷つけられた三奈の姿に常闇君の心が敵の憎悪に揺さぶられ、制御していた『黒影』が暴走し始める。暴走する『黒影』を見たスライスは動きを止めた。

『許サネェゾォオオオオ!!!!』

『黒影』はスライスにさっきまでとはケタ違いの威力の爪を振り下ろす。

「っ―」

その威力にスライスは回避するしか出来ないようだった。自分も追撃に加わろうとナイフを持った時…

「ナインの……邪魔だけは……させないっ!!」

「!」

スライスは『針の髪』を天井に放ち、崩落させる。暴走した『黒影』を天井の崩落で、自尊覚悟で止めにいった。

「(まずい!)くっ!」

自分は三奈を担ぎ、落ちてくる瓦礫から回避し、瓦礫が落ちてこないところに寝かせる。天井が崩壊と同時、光が差し込まれた。

『アアアアあああぁぁ……』

光が弱点の『黒影』は悲しい悲鳴と共に弱体化し常闇君の中に戻る。

「常闇君っ!」

力を使い果たした常闇君は気絶。自分は落ちてくる瓦礫が降り注がれる前に動き、常闇君を担ぎ、三奈を寝かせたところまで運ぶ。

「(スライスは…)」

瓦礫が落ち終えるのを待ち、静かになった。周囲を見渡すと…落下した瓦礫に当たり、気絶したのか、倒れているスライスの姿が見えた。髪は“個性”で使えないほど短くなっていた…

「(何とか…勝てた…けど被害が大きい…)待ってて、今治癒系の英霊と憑依して治すから―「うぅん……大…丈夫…だから…」!」

二人を治療しようとした時、三奈に腕を掴まれ止められる。少し意識が回復したのか、自分を見て言ってきた。

「まだ……終わってない……から……敵が……まだいる……その力は……それに使っ…て…」

「でも…」

「さっきので…回復した…から…大丈夫っ!えへ…へ…-」

最後にそう微笑んで、三奈は寝息を立て始める。自分は二人を比較的安全なところに運び、スライスが空けた場所から地上に出る。

「『投影:ワルキューレ・スルーズ』…絶対勝つ!」

自分は飛び立ち、次に戦う敵に向けて再度、覚悟を決める。

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