劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side三人称
ナインの咆哮と共に“個性”が発動。両肩のボトルが光り、一気に噴射。直後、緑谷達の目の前で炎の中に雷が走ると内側から爆発のような衝撃波が生まれる。
『っ…』
4人は爆風に必死に耐えてる中、ナインは上空へと浮上し、回転。『竜巻』を発生させる。炎を飲み込み巻き上がり、巨大な『炎の竜巻』となる。
「竜巻!?」
「チッ!やっぱ『気象変動』か……!」
さきの雷撃、今度の竜巻を見て個性の正体を知る緑谷と爆豪。すさまじい熱風の中、4人はナインの操る悪魔の炎を前に焦りながらも思考を続ける。
「この島もろとも、ブッ壊す気か……!」
爆豪は改めて身構える。島中、至る所に雷が落ち、そこから火災が発生し、火柱が放たれる。
「(絶対に…止めるんだ!!)藤丸君たちは活真君達を頼む!」
「緑谷君何する気!?」
緑谷は藤丸姉弟に指示を飛ばし、竜巻の前に行く。
「この竜巻を止める!後ろには…避難してる人達もいるんだ!ここで…止めるんだ!!」
「止めるって「いいから黙って守ってろ!モブ共!!」爆豪君!?」
緑谷と同様に、爆豪もまた前に出る。
「っ…活真君!真幌ちゃん!下がるよ!!ここは十分危ない!」
立希は顔を顰めるが、活真と真幌ちゃんを避難させる。
「デク兄ちゃん!」
「バクゴー!」
「二人は大丈夫…だから…っ!」
立香も二人を落ち着かせながら後方へと移動。緑谷と爆豪が竜巻を止めることを信じて…
「ワン・フォー・オール100%っ!『デトロイトスマッシュ』ッッ!!!オオオオ!!!!」
「最大火力でフッ飛ばす!!『榴弾砲着弾』ォオオオオ!!」
緑谷は最大威力の拳を、爆豪は最大火力を、竜巻に撃ち放つ。激しくぶつかるエネルギーが気流を乱す。しかし、ナインの操る竜巻はより激しさ増した。
「ぐうぅぅ……くっ……」
「っ……ぐっ!…」
緑谷と爆豪の威力が搔き消されていく…そしてついに…
「緑谷君!」
「デク兄ちゃん!!」
「爆豪君!」
「バクゴー!!」
緑谷と爆豪は炎の竜巻へと巻き込まれてしまった…
side立香
「きゃあああ!!」
「「っ!」」
竜巻に破壊された岩々が気流から外れ、私達へと落ちてくる。活真君と真幌ちゃんに当たらないように、立希が巨大な鍵爪の手で覆い、私は脚の剣で切り刻み、落下してくる岩々から防ぐ。
「姉…緑谷君と爆豪君が……」
「っ」
竜巻が弱まり、見えた光景は…満身創痍で倒れている緑谷君と爆豪君の姿。そんな二人の前に敵が降りる。
「姉!」
「分かってる!行くしか…ないっ!!」
私は立希の手の上に乗る。そして
「発射ァ!!」
再びカタパルトの様に、敵向かって真っすぐ飛ぶ。
「tren-「無駄だ」っあ!?」
蹴りが敵に届く前に、『爪弾』に襲われ、地面に不時着してしまう。脚から血が滲み出ていた。
「潰っ…れろっ!!」
敵の頭上から立希が現れる。巨大な両手で敵を挟み込むように振るった…が『空気の壁』に阻まれる。
「無駄だと…言っている!」
「ガァ!?」
「立希!!」
『空気の壁』の衝撃波で立希は吹き飛ばされ、私がいるところまで不時着し、転がってきた
「ぁ…ぐぅ…ゲホッ!…」
「っ…」
絶対絶命。もう私達以外に、活真君達を守る存在、ヒーローはいない…緑谷君と爆豪君は虫の息。立希は…気絶している…私は脚に力が上手く入らない…
「ひゃ…100%でも…通じない…」
「く…クソが…自分曲げてデクと一緒に戦ってんのに……!!」
まだ二人は倒れてない…けどもう戦う力が無い。
「その程度の力では生きられない…私の作る新世界では…」
「新世界…「力を持つ者」っ」
「がっ」
二人に『爪弾』が襲う。
「強き者が弱き者を支配するユートピアだ」
そう言い、敵は『使い魔』を放ち、二人を襲う。
「敵もヒーローも関係無い。力の前では全てが平等。真の超人社会のあるべき形だ。」
「…ふざ…けるな…」
「立希!?目が覚めて…」
いつの間にか、隣で気絶していた立希が目を覚まし、ふらつきながらも立ち上がって、敵にそういった。敵はこっちを向く。
「そんな世界…平等なんかじゃない…ただの…弱肉強食の世界だ…っ!」
「…そうだね…その通りだ…力でねじ伏せる。何が平等なんだか…」
私も立ち上がる。悪口吐きながら、立希に支えてもらいながら言う。こんな奴に、この世界は渡せない。私達が救った、この世界を、絶対に渡さない!!
「ほう…新世界を拒むか」
「「誰がそんな世界受け入れるか!!!」」
私達は吠え、最後の力を振り絞って構えた
「ならば消えろ」
「「っ―」」
視界が暗転する。
side三人称
「(考えろ…!考えろ…!)」
「(負けたくねぇ…!)」
ナインの『使い魔』にくわえられ、噛みちぎられそうになる緑谷と爆豪。激痛が体中に走るが思考は手放さず、諦めなかった。
「「(考えろ!!)」」
皆が命懸けで戦い、守るために、救うために、ヒーローとして諦める選択肢など端からない。しかし既にナインに対抗できる力は無い。救援もいつ来るかわからない。それでも活真の“個性”を渡す事はダメだ。
どこまでも黒く広がる空の下、蹂躙された島は若きヒーローたちの力の限界を示しているようだった…その時
「デク兄ちゃん!」
「バクゴー!!」
「「負けないで!!」」
活真と真幌の、勇気を振り絞る応援が、緑谷と爆豪は聞こえた。
side立希
「………」
ぼやける視界。
「………」
焦土の匂い。
「………っ」
土の感触。ここで、ようやく意識がはっきりする。敵に吠えた後、『空気の壁』で姉と一緒に吹き飛ばされた。
「姉…」
「…………ぅん」
視界を横に移動すれば、自分と同じように地に付している、傷だらけの姉。若干意識が戻りかけている。
「………」
自分は目を閉じ、自問する。ここで倒れたままでいいのか、ここで気絶したままでいいのか、ここで諦めるのか…
「「-否。」」
自分…と姉が同時に起き上がる。どうやら姉も自分と同じ事をしていたっぽいようだ。お互いボロボロな姿をみて、少し笑った。
「人理救出する時も、こんな感じだったけ?」
「ソロモン王と会った時もね…あー…体が痛い…」
「これからもっと痛くするけど?」
「確かに」
遠くを見れば、淡く光り輝く二つの人影と、怪しく光る蠢く敵の姿。よかった。まだ、終わっていない。
「最後の勝負だよ!姉!」
「分かってる!これが最後の力!」
自分達は目の前に手をかざし、令呪を輝かす。
「『投影:-」
「『降霊:-」
最大の憑依。