劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order   作:小野屋陽一

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第13話

side三人称

「か、かっちゃん」

「……デク……」

緑谷はボロボロで傷だらけの左腕を爆豪に伸ばし、爆豪もまた、傷だらけ右腕を伸ばす。ナインが活真達に近づく中、この状況を打破する方法を緑谷は見つける。緑谷は己の“個性”『ワン・フォー・オール』を爆豪に『譲渡』した。守って、勝つ。その唯一の方法だと信じ、二人は強く握り合う。刹那、力が沸き上がる。

「!?」

活真達の元へ向かうナインが強い光と爆発音に気付く。二人に喰らい付いていた『使い魔』は苦しそうな奇声とともに砂のように崩れ散る。

「なんだ……」

靄の中、緑谷と爆豪は着地し、ナインは突如起きた異変に警戒する。

「…こんな事して…テメーは使えんのかよ?」

「…分からない…でも、オールマイトは、『譲渡』した後も残り火で僕らを守ってくれた…」

爆豪の問に、緑谷は自分の中の残り火を確かめるように拳を握りながら答える。

「二つの…『ワン・フォー・オール』!」

全身に行き渡ったエネルギーで、二人の髪が逆立つ。

「なにをしたぁ!!」

苛立つナインの怒号が響き渡る。ナインは二人に大量の『爪弾』を放った。緑谷と爆豪は迫りくる『爪弾』に身構えた時だった。

「「!」」

二人の背後から現れた二つの影が、全ての『爪弾』を掻き消した。

「『投影:アルトリア・ペンドラゴン』」

「『降霊:アルトリア・ペンドラゴン・オルタ』」

その人物2人は立希と立香だった。

「藤丸君に藤丸さん……っ!?」

「んだその姿……!?」

普段の姿とは全く違うことに二人は驚く。

「こっちのセリフなんだけど…」

立香は金髪金眼となり、黒く禍々しい甲冑を身に纏い、漆黒の聖剣『エクスカリバー』を装備し、

「自分達は…まぁいつも以上に頑張った結果の姿かな…?」

立希は金髪翠眼となり、青いドレスに類似した、白銀の甲冑を纏い、聖剣『エクスカリバー』を装備する。結果的に言えば、二人は『投影』と『降霊』の『憑依率100%姿』だった。

「でも…これでまだ戦えるよ」

「二人だけだと不安だし…ね」

立希と立香は剣を構える。

「…うん。ありがとう。二人とも!」

「けっ…勝手に言ってろ!」

緑谷と爆豪も拳を構える。

「この…死にぞこないがぁああああ!!!」

4人のむき出しの闘志にナインは咆哮する。怒りのまま再び『竜巻』を発生させる。あっいうまに巨大化し、周囲に嵐をまき散らし、暴風雨が吹き荒れ、木や崩れた岩山を吹き飛ばす。

「活真君!真幌ちゃん!コレをしっかり持ってて!君たちを守ってくれる!」

「う、うん!」

「はいっ!」

立希は腰についていた『エクスカリバーの鞘』を活真達に投げ与える。活真と真幌が鞘を持ち支えると、二人の体が淡く輝く。光の粒子が纏い始め、二人の周囲が『簡易結界』で守られる。

「あれで…竜巻から二人を守れる…」

立香はそう言いながら今もなお巨大化し続ける竜巻を見上げる。既に落雷から火災が起こり続き、何本も火柱が踊り狂う。既に竜巻は那歩島本島まで及ぶほど巨大化する。瓦礫を巻き上げながら半壊の街並みを更に破壊しつく。海は荒れ狂い、渦巻く超巨大な雷雲は災いそのものだ。その混沌が吹き荒れ狂う中、4人は静かだった。

「てめぇの夢も、これで終わりだな」

「いいんだ。これしかない。それにオールマイトなら、君なら大丈夫だって言ってくれる。秘密を共有している君なら…同じ人に憧れ続けた君なら…」

爆豪と緑谷。

「…第6特異点のロンゴミニアドみたい」

「だったら、今度も突破出来るよ。あの時以上に、自分達は成長して、強くなってるんだから。」

立香と立希。幸運か、偶然か、この4人の会話は互いに聞こえる事は無かった。

「オオオオオオオオオァアアアアアアア!!!!!!!!」

遂に、『超巨大竜巻』は4人に迫る。

「-これは、人理を…いやっ!皆を護る戦いであるっ!!この灯りは星の希望。地を照らす命の証。決着をつけるぞ!!」

立希は『宝具』を発動。宣言と同時に聖剣『エクスカリバー』を解放し、自身の魔力を光に変換。集束・加速させる。エクスカリバーを正面に高く掲げ、刃を光輝かせる。

「-鳴け。地に堕ちる時…全てが終わる時だっ!!屍の山に沈め。崩落せよ!!」

立香も『宝具』を発動。宣言と同時に漆黒『エクスカリバー』を解放し、自身の魔力を光に変換。集束・加速させる。エクスカリバーを下段に低く構え、刃を闇より妖しく輝かせる。

「「っ!」」

緑谷と爆豪は拳に力を溜める。相反する二人を繋ぐのは、幼い頃から憧れたヒーローただ一人。果てしない強さに惹かれ、どこまでも深く明るい優しさに惹かれ、互いはその人を目指した。

―「どんだけピンチでも、最後は絶対」―

「勝つんだよおぉぉ!!」

―「どんなに困ってる人でも、笑顔で」-

「救けるんだぁぁぁぁっっ!!」

4人の力が1つとなる時、その波動で地面が舞い上がる。

「笑わせるなぁあああ!!」

ナインが感情のまま天に手を翳すと、膨れ上がった竜巻が山の頂上を覆うように降下してくる。4人は吹き荒れる暴風の中、踏ん張り、同時に全力で解き放つ

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』ァァァァ!!!」

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)ッッッ!!!』」

「「デトロイトォォォォスマァァァッシュ!!!!」」

凄まじい衝撃波が周囲の地面だけでなく、炎や雨を巻き込みながら上昇し、竜巻を波及する。一瞬で下部を消し差し、勢い衰えぬまま空を覆う雷雲へ、乱れまくる気流は天高く上る光と闇のエネルギーが螺旋を描き、押し返し、そして雷雲の中で暴れるように爆発四散。暗い空に大きな穴を開け、残ったのは螺旋を描く光と闇の輝く柱。

「「-」」

数秒で光の柱が消え、隠れていた光が差し込み、4人を照らす。これを見た活真と真幌は甦る希望に息をのむ。

「な…なんだ………なんだその力は―…!?」

ナインも同様だったが、見いだしたのは希望ではなく怒りと混乱だった。体に走る傷が憤怒と共に広がっていく。

「「っ…」」

緑谷と爆豪はスマッシュを放った腕に激痛を走るが、耐え、身構える。

「この…程度で…っ!」

「う……ぐっっ!」

立希と立香も同様、『宝具』を放った反動で全身に激痛が走り、魔力枯渇により少し魔術回路が浮き出るが堪え、再び剣を構えなおす。

「かっちゃん、藤丸君、藤丸さん、行こう!」

「ああ!?俺に命令すんじゃねぇ!」

「了……解っ!」

「ガラじゃないんだけど……ねっ!」

4人は一気にナインの元に駆ける。

「俺の道を…阻むな……!!…阻むなぁぁ!!」

ナインは忌々しそうに叫び、無数の小さな『使い魔』を放つ。

「っ!」

爆豪は『爆破』で細かく軌道を変えて避けながら『爆破』で『使い魔』を焼き払い

「風王鉄槌(ストライク・エア)っ!!」

立希は風を纏う『エクスカリバー』で突きを放ち『使い魔』を斬り飛ばす。大量の『使い魔』が二人に襲いかかり、二人は爆破、斬り続けるが、体が悲鳴を上げる。

「ぐっ!」

「っ~!」

「かっちゃん!」

「無理すんな!」

緑谷と立香が爆豪と立希に襲い掛かろうとする『使い魔』を、緑谷は蹴りで、立香は『エクスカリバー』で粉砕、斬り刻む。

「ふっ!」

「ヴォーティガーン……っ!」

そのまま二人はナインの元へ走り、手前で跳躍。蹴りと斬撃を放つ。

「うるぁああ!!」

ナインは瞬時に避け、二人の死角からより強力な『爪弾』を連射。緑谷と立香は咄嗟に空中で身を捻り、避けながら着地。蹴りと斬撃で『爪弾』を断つ。

「がっ!!」

「コフッ…!」

ナインからの絶え間ない『爪弾』に追い込まれてしまい、緑谷と立香も体が悲鳴を上げ始める。

「死ぃねやぁあ!!」

「斬るっ!!」

その時、ナインの背後に回り込んだ爆豪と立希が『大爆破』と『輝く斬撃』を放った。

「ぐうううぅおお!!」

ナインは咄嗟に『空気の壁』を張るが、爆破と斬撃の勢いに片腕が焼け爛れ、深めの一閃が刻まれる。爆豪と立希は『空気の壁』の反動で飛ばされ、城跡の上部クレーターの中へ滑り落ちてしまう。

「フル…カウル…ッ」

「『魔力放出』…っ」

その間に、緑谷は体中に力を行き渡らせ、立香はスキルを発動させ、一度地面に『エクスカリバー』の先を突き、力を迸らせる。

「デク!」

クレーターの底で爆豪が側面に手を押し付けながら叫ぶ。悲鳴を上げる体さえ忘れるほどのすさまじい熱い力で、強大なエネルギー波を放つ。城跡を溶かし、破壊し、そのまナインの元へ飛び出す。

「ぐぅう!「正面から…受けて立つ…っ!この道に…勝利を…っ!」!!」

ナインが爆豪に向けて最大の『空気の壁』を張った時、爆豪の後ろで『エクスカリバー』を構えた立希の姿があった。スキル『カリスマ』、『竜の炉心』を発動させ、爆豪と自身を強化。

「くたばれぇっ!!」

「まだまだぁ!!!」

立希が『エクスカリバー』で斬り上げ、地を抉り、削る『輝く斬撃』と同時に、爆豪は強化された『大爆破』を放つ。二つの威力が合わさり、衝撃で地面が割れ、砕かれる。

「っがぁ……!」

そして爆風に飛ばされる爆豪と入れ替わるように、緑谷と立香が現れる。緑谷は抉られた地面をとてつもない速さで滑走しながら、立香は強化した俊足で地面を蹴る度に加速し、二人は空中へ飛び出す。

「らぁっ!」

「そこ…だっ!」

その勢いのまま緑谷は高速回転し、威力を高めた蹴りを、立香は『エクスカリバー』を黒く輝かせ、エネルギーを纏ったまま威力を底上げした斬撃を放つ。

「っ―!!」

ナインは急いで『空気の壁』を何層にも張るが、二人の強大な力により一気に壊され、衝突する桁違いの威力にすさまじい光が発生した直後、大爆発が起こった。

「ぐぅああ!!」

爆炎膨大なプラズマの中、耐えきれずにナインは上空へと飛ばされる。

『!』

即座に、4人は落下する瓦礫の中を追う。

「ぁああああ!!!」

4人に気付いたナインが力を振り絞るようにプラズマを体に纏い、対峙する。

「「オオオオオ!!!!」」

爆豪は体中に行き渡る力のすべてを拳に溜め、緑谷は力を振り絞るようにボロボロの右手を握り、片足を上げる。

「「ハァアアア!!!!」」

立香と立希は自身の持つ『エクスカリバー』に最後に残った魔力全てを注ぎ、再び輝かせる。

「(これが、俺の……最後の…)」

「(これが、僕の……最後の…)」

「(これが、私の……最後の…)」

「(これが、自分の…最後の…)」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

ナインがプラズマを放つ―

「スマァァッシュ!!!!」

「「力だぁアアアア!!!!」」

「終わりだぁああ!!!!」

―前に、緑谷の渾身の蹴りがナインの首筋、立香と立希の最後の振り絞った斬撃は交差するように胸部に打ち、斬り込み、続けざまに爆豪の『超爆破』が放たれる。一瞬で海まで届いた炎と光と闇とともにナインが吹き飛ばされていく。

「-」

爆豪はすでに力尽き…

「(さようなら…ワン・フォー・オール…ありがとう―)」

緑谷は遠のく意識の中で、小さくなって消えていく炎を感じ…

「ここ…まで…か…」

「まだ…まだ…未…熟…」

立香と立希も力を使い果たし、憑依が剥がれ、意識を手放す…

 

力尽きた4人が瓦礫とともに落下していく。戦いの終わりを告げるように、晴れていく雲の切れ間から祝福のような光が島へと差し込んだ。

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