劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
「うわぁ、にぎやかだなぁ。」
「オセオンで一番大きな都市だからな」
「ケッ、待機だかなんだか知らねーが、なんで俺が買い出ししなきゃなんねーんだぁ!?」
スーパーでの買い物…を、終えた自分達。大きな紙袋を抱えながらオセオン国の街並みを見て緑谷君と焦凍君は感嘆の声を上げた。爆豪君はまぁ…分かっていても性に合わない事をして緑谷君に逆ギレしてるけど…
「まぁ、しょうがないでしょ。チームで一番下っ端なのは私らだし…」
「チームに入ったのもインターン中だったからって理由で…オマケだし…」
爆豪君の言い分に姉と自分はそう答えると、爆豪君はキレながらこっちを見てくる。
「っせえ!モブ姉弟共!!つか何でお前らもいんだよ!!」
「「それは…」」
爆豪君の言う通り。自分と姉はイギリスを離れ、隣国のオセオン国にいた。あの作戦後、個性が暴走した事で自分と姉は許容範囲外数の英霊を召喚してしまい、気絶。目が覚めると既にオセオン国の中央病院に搬送されていた。イギリスの病院には、先日のテロによって大勢の人が療養中で、どこも満員だったから近隣であるオセオン国に搬送されたのだった。そこにロマニがやって来て、診察。結果…
―「体には異常は無い。怪我も無し。五体満足で健康その物…なんだけど、個性因子誘発物質…イディオ・トリガーによって、普段以上に流れた魔力により君達の魔術回路が多少損傷している。よって、今現在、二人は“個性”を使えない。いや、使えるけど、普段使用している英霊召喚が出来ない。」―
そうロマニに言われた。一応、個性暴走で召喚された英霊の力は使えるらしい。一度出した者なら影響は無いと言われた。つまる所…
「(あの作戦で召喚した8人しか『投影』が使えないって事なんだよなぁ…)…はぁ…」
自分が召喚したのは、モードレッド、エミヤ、ランサー・オルタ、マルタ、イリヤ、セミラミス、茶々、ジャンヌ。姉は斉藤一、ブリュンヒルデ、エミヤ・オルタ、マリーアントワネット、マーリン、武則天、ペンテシレイア、アストライヤ。既に皆は自分らの体内にいる。
「足引っ張りそう…」
姉も自分みたいに項垂れていた。
「だ、大丈夫だよ!8人も英霊の力が使える時点で十分だと思うよ!」
「ああ。頼りにしている」
緑谷君と焦凍君に励まされる。ロマニの診断が終わった後、ゴールドさんにこれからのインターンでどうするか相談した結果、イギリスはゴールドさん含めたプロヒーロー達が対応する事になり、自分らは安静に…だとインターンで来た意味が無いと考え、何か出来ないかと再度相談し、結局、オセオン国に来ていた、緑谷君達をインターンで請け負ったヒーロー…エンデヴァー事務所にて、共同インターンとなった。そして今は次の行動まで待機となったから、食料仕入れをする為、こうして5人で買い物している途中だった。
「けど…チームに加わったからには、全力でテロから皆を守らないと…」
「そうだね。少しでも人々を危険から守らないと。」
それが一番の目的だと噛みしめる自分と緑谷君。
「思想団体、ヒューマライズ…」
焦凍君が視線を移し、同意するように呟いて…
「クソ妄想にとりつかれたクソ団体…何が『個性終末論』だ…なんの根拠もねぇ、眉唾もんの御託を真に受けやがって…」
「勝手に言ってるのは別にいいけど…それを他人に被害押し付けるなっての。」
爆豪君と姉が辛辣に言う。そんな時だった。数メートル先にある宝石店が突然爆破した。
「宝石強盗だ!捕まえてくれ!!」
『!』
その言葉に自分らは直ぐに対応する。
side三人称
「…おっせーなぁ……」
とある場所の狭い路地裏。そこにはネクタイを締め、所々継ぎ当てのあるシャツの上にジャケットを羽織った少年―ロディが壁を背にして何かを待っていた。彼はとある仕事をしていた。オセオン国の郊外にある飛行機のそばにあるスラム街。その中の小さなトレーラーハウスで、弟のロロ、妹のララと3人で生活していた。今日もロディはそんなかわいい弟妹にいつもの言いつけを言い、かわいい弟妹を養う為にまっとうじゃない仕事を請け負っていた。
―「おっちゃん、仕事あるかい?」―
―「チッ…イースト三番通りの裏路地で受け取り、届け先はサウスグローブのチャイナレストランだ」―
ロディはいつもの酒場に行き、そこの店主から依頼内容を聞く
―「ギャラはいくらくらい…」―
―「ケッ!おめぇが交渉できる立場かよ。黙って良い値でやってりゃいいんだよ」―
「Pi!Pi!Pi!」
「…うおっと…まぁ、落ち着けよ…」
先の出来事を思い出していた時、不意に顔の目の前まで現れたピンク色の小さな鳥―ピノが抗議するように鳴く。そんなピノをロディは宥める。
「わあってるよ…けど、これは大事な事なんだ。ロロとララ…あの二人は俺にとってかけがえのない。守るって決めた…家族なんだから。家族の為なら。俺はなんだってやる…」
「Pi……」
ロディは空を見る。そこには既に通り過ぎた飛行機雲。そんな雲をしらけた目で眺める。
「…にしてもおっせーなぁ…ガセ情報だったらタダじゃ…」
そんな時、ロディの耳に突然、驚いたような悲鳴が飛び込んできた。
side立香
突如爆破した宝石店。その煙の中からケースを抱えた二人組が駆け出してくる。
「追うぞ!」
「命令すんじゃねぇ!!」
「二人は警察に通報して!!」
緑谷君達が買物袋を手放し、宝石強盗に向かって駆け出す。
「了解!」
「後から追うから!」
私と立希は咄嗟に手放された買物袋を受け取り、行動に移る。私は宝石店の店主に駆け寄り、容態を調べ、立希は警察に連絡する。
「後数分で警察が来るよ!そっちは?」
「店主に怪我は無いよ!さっきの爆風で周囲の人たちにも怪我無し!追うよ!!」
私と立希は3人を追い始める。
「『投影:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』!」
「『降霊:ブリュンヒルデ』!」
私は大槍を携え飛翔。立希はルビーを手に持ち、背中に紫の羽を生やして飛翔する。
「いた!」
上空から3人。そして敵2人を見つけ、滑空する。
「いつものところで!」
「おう!」
敵二人が左右に別れた。
「テメーらは右行けっ!」
左に行った敵を爆豪君が追い始める。
「どけどけっ!どけっつってんだろ!!」
右に行った敵は風を身に纏う“個性”を使って逃走。風で近くにいた人々を吹き飛ばす。
「やばっ!緑谷君!!」
「藤丸君!うん!!『黒鞭』!!」
立希の合図で、緑谷君は最近新たに発現した“個性”『黒鞭』で吹き飛ばされた人々をキャッチし、立希もまた飛ばされた子供達を受け止めていた。
「轟君は犯人を!」
「姉も行って!」
二人にそう言われ、私と焦凍君は頷き、敵を追いかける。
「焦凍君!一般人に被害がでない場所に誘導して!」
「まかせろ!」
人混みを避けるように、焦凍君に横の建物の壁を『氷結』で流れるように放ち、敵のルートを絞ってもらう。
「ちっ…」
案の定、敵は路地裏に行く。それを確認した私は低空飛行を止め上空へと行く。
「待ちやがれっ!!」
下を見れば、焦凍君が『氷』で滑りながら追いかけ、『炎』を強盗犯に放つ。が、敵を纏う風が炎から身を防ぐ。
「へ!他愛無いぜ―「何が他愛無いって?」へぶっ!?」
よそ見した瞬間を見逃さず、私は敵が進むルート先に大槍を投擲。地面に深く刺さった槍に思いっきりぶつかった敵はそのまま気絶する。
「立香。助かった…わりぃ、手間取っちまった…」
「ううん大丈夫。それより、盗まれた宝石を回収……」
着地して、気絶した強盗犯を見た時、気付いた。ケースが無かった。焦凍君もそれに気付いて、私達は辺りを見渡すが、何も無かった。
「轟君!藤丸さん!」
「やったね。捕まえたんだ!」
そこにやって来た緑谷君と立希。
「緑谷!立希!ケースがねぇ!」
「そっちで見なかった!?」
「投げ捨てた!?「緑谷君!」!」
私達は二人にそう言い、探すようにした時、何かを見つけ、走り出した。
「仲間がいる!」
「追いかける!」
その言葉に、私と焦凍君は二人の後を追う。