劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立香
「この突き当りを右だよ!」
「よし!」
「わかった!」
本拠地に入った私達は、襲い掛かってくる団員達を蹴散らしながら、頭の中の地図を頼りに建物内を進んでいく。
「止まれぇ!!!」
団員達はあとからあとから湧いて、マシンガンを撃ち込んでくる。
「邪魔!」
一刻も惜しい。私はガラスの馬で突撃し、団員達を吹き飛ばし、壁に叩きつける。更に奥へ行こうとした時、前方の壁の一部がわずかに浮き上がった。
「「「!!」」」
刹那、そこからレーザーが発車される。
「ぐっ!」
「ちぃ!!」
「緑谷君!焦凍君!!このっ!」
咄嗟に私は馬を跳躍させ、回避するが、『氷結』が粉砕され、移動していた緑谷君と焦凍君が落下する。再度レーザーが撃たれる前に、私は掌に魔力を溜め、弾を放ち、レーザー機器を破壊する。他にもレーザー機器があったが、それは落下して直ぐに起き上がった焦凍君が指先から『炎』を放ち、灼熱のレーザーで焼き切る。
「先に行け!時間がねぇ!」
「轟君!?「解除キー持ってんの緑谷君なんだから!!行って!」藤丸さん…!ありがとう!!」
時間がもうない。3人立て直すより、解除キーを持っている緑谷君を先に行かせ、私達で足止めするほうが最善策。既に緑谷君は『フルカウル』で駆けだしている。
「一気に決める!」
「うん!」
現れた大勢の団員達に私達は向き合う。私は魔力弾を展開し、団員達に撃ち放つ。直撃もあるし、地面に着弾させ、団員達の動きを止める。その隙に隣で構えていた焦凍君が周囲を瞬く間に『氷結』する。
「『膨冷熱波』!」
そして圧縮した『炎』を撃ち放つ。急激な温度変化で膨張した空気がとてつもない爆発を巻き起こす。
『うあああああああ!!!!』
多くの団員達が吹き飛ばされる。壁にあるレーザー機器もその爆発で破壊される。
「やったね。」
「ふぅー…ああ。先を急ぐ―「GRUUUAA!」!!」
突然、舞う煙の中から常軌を逸した敵が現れる。ねじれた水流のような角と指先を持った巨体な姿だった。咆哮を上げながら私達に向かってくる
「『降霊:アストライヤ』!!」
「っ!!」
私は『アストライヤ』に憑依を変え『宝石魔術』を、焦凍君は『炎』を敵に向かって放つ。
「AAAAAAAA!!!!」
「何!?」
「嘘…!」
しかし、その敵は私達の攻撃など目に入ってないかのように正面から飛び込み、襲い掛かって来た。
「効いてない…!?「下がれ!立香!」焦凍君!」
焦凍君の声で私達は後退。その時焦凍君が『氷壁』を展開し、ガードする。
「GAAAAAAA!!!!」
しかし、それは敵の角が触手のように動き暴れ、直ぐに破壊されてしまう
「自我が無いみたい……まるで…っ」
「トリガーをキメてんのか…!」
トリガー・ボムを使って自身を狂暴化していた。もう人の言葉も発せてない敵に、私達は顔を歪める。
side立希
「-はぁ!!」
「うぜぇんだよ!!」
本拠地の入り口。そこで自分と爆豪君で双子の敵と対峙する。何とか自分は旗を振るいまくり剣を防ぎ、隙をつけては、爆豪君が圧縮した『爆破』を撃ち放つ。
「「キャハハハハ!!」」
しかしそれを双子の敵は乱舞する剣で切り裂く。
「(爆発そのもの切り裂くとかどれだけ鋭いんだ!!)っ!!」
「チぃ!!」
鞭のようにしなる剣が絶え間なく襲い掛かってくる。何度も旗で防ぎ、致命傷を避けているが、少しずつ肌や服に掠り、切り傷が増えてくる。爆豪君も同様だった。このままだと防戦一方になってしまう…!
「「キャハハハハハハハハ!!」」
「何とかしないと…「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ!!」!!」
自分達の歪む顔をみておかしそうに笑った双子の敵に、プライドの高い爆豪君の顔が怒りにそまる。激高し、一気に上昇。自分はそれを見て、直ぐに爆豪君のフォローに入る。
「「!」」
双子の一人が爆豪君を追い、剣をしならせ上昇。もう一人は自分に向けて剣をしならせ攻撃してくる。
「死ねぇえええ!!!」
空中で縦横無尽な爆破と剣の乱打戦。対して自分は斬撃の嵐を掻い潜るよう、駆け巡る
「っ…ここっだぁあ!!!」
「!」
敵の剣が止まると同時、しなる部分を踏み、跳び箱のジャンプ台の様に跳躍。そのまま一気に爆豪君の元へ行き、旗を振るう。
「っ!」
自分が旗を振るった所―そこは爆豪君の死角から襲い掛かって来ていた敵の剣があった。地上で自分と対峙していた方の剣だ。敵の狙いが爆豪君だった事に自分はいち早く気付き、何とか防ぐ。
「なろっ!!」
「切り替え(スイッチ)!!」
自分は爆豪君から『ある物』を貰い、そのまま本拠地を支えている柱の方に『爆破式カタパルト』で投げられる。旗の槍先を柱に突き刺し、自分は壁の上に立つ。
「チョコマカウゼーんだよ!!」
爆豪君が双子の敵に『爆速ターボ』で一気に下降しながら『徹甲弾』を放つ。爆豪君がひきつけているその間に自分は準備する。
「よし!これで―「ぐあああああ!!!」爆豪君!!」
準備が完了した時、爆豪君の悲痛な声が聞こえた。そこでは双子の敵が爆豪君の背後を剣で斬り刻んでいた。
「「キャハハハハハハハハ!!」」
致命傷を与えたと笑う双子の敵。そして今度は自分を標的に変え、一気に上昇してきた。
「っ…来い!!」
「「キャハハ!!」」
自分は柱に突き刺していた旗を抜き、下へと一気に柱の上を駆ける。そして上昇してきた双子の敵と対峙する。自分を挟み、剣をしならせ攻撃してくる。さっきより激しい攻撃が襲いかかってくる―
「-主よ、力をお貸しください…!」
「っ!?」
―瞬間、自分はジャンヌのスキルを発動させる。双子のうち、片方の敵の動きを止める。そして止まって伸びた腕の部分を掴み、勢いよくもう一人の敵にぶつける。
「「ギィッ!?」」
完全に予期せぬ事だったのか、そのまま双子の敵は勢いよく柱にぶつかる。自分はまだ動けない敵の腕を掴んでおり、そのまま柱に雁字搦めに括り付ける。
「今だぁ!!」
自分は名いっぱい声を出し、後方に跳躍。雨が降る外で、この声に反応する人物は…一人いる。
「オセーんだよ!!」
爆豪君だ。致命傷を受けたがまだ戦闘不能じゃない。そのまま爆豪君はニトロのような汗を溜めこんだ籠手で柱に向けて撃ち放つ。
「「!!」」
最大火力の爆破が柱へ。上部の爆発でヒビが走り、次々と爆発が連鎖していく。柱には空中で爆豪君に渡され、自分が埋め込めた『手榴弾』が次々と爆発が連鎖していく。そのまま瓦礫となった柱が双子の敵に降り注ぎ、あっという間に瓦礫の山に埋められていった。
「ザコにはわかんねぇよなぁ…戦いながら手榴弾仕込んでたなんてよぉ…」
「激高した時はどうなるかと思ったけど…上手くいってよかった…」
爆豪君が激高し、上昇する際、自分に『サイン』を送っていた。自身の腰についていた『手榴弾』に触れ、『柱』を見ていた。
「…で、治療するから!致命傷なんでしょ!?」
「たく…いちいちうるせぇんだよ…この程度の傷で俺が倒れるとでも思って―」
戦闘が終わったと思い、自分は爆豪君を治療しようとした時だ。突如、瓦礫の一部から土煙が上がった。
「「!」」
見れば、そこには瓦礫の山から飛び出したうねる剣。そして…双子の敵が現れる。
「どうやってこの瓦礫から抜け出して…もうそんな力は残ってるわけが…」
「「カカカカカカ!!!」」
自分が疑問を持った時、双子の敵の体が不自然に波打った。刹那、体からまるで噴き上がるようにそれぞれ6本の剣が生えだす。声も顔もさっきとは不気味に変化していた。
「本物のイカレになりやがったか……!」
「まさか……!」
その異様な変化に、自分と爆豪君は気付く。トリガー・ボムを使ったのだと…
「「っ…」」
自分らは心底軽蔑するように双子の敵を睨みつける。
side立香
「GAAAAAAA!!!」
化け物染みた敵が指先を触手のように伸ばし、そしてドリルのように回転しながら私達に迫った。
「「!」」
私達はその触手を必死で避け続け、『宝石魔術』で爆破し防ぐ。が、攻撃が止まない。
「がっ―」
「焦凍君!!」
その時、焦凍君が宙に舞う。いつの間にか移動していた敵が死角から焦凍君に殴りこんでいた。そのまま鷲掴み、通路に叩きつけた。その衝撃で床が放射状に崩れて穴が空く。
「GUGAAAA!!「その手を放せ!!」GA!!」
その穴に焦凍君と共に敵が落下する直前。私は敵に迫り、敵の顔面を渾身の力で殴り、焦凍君を掴んでいた手を緩ませ、そのまま敵は落下する。
「っ!」
「立香!!」
落ちる寸前、私は焦凍君の手を握り、もう片方の手で崩れかけた床にしがみつく。下を見れば、大量の水-地下水脈が流れていた。
「立香、無茶し過ぎだ…!」
「こんなの、どうってことないよ…!」
敵は地下水脈の激しい水流で流されただろう…それよりも早く緑谷君を追いかけないと…焦凍君を掴んでいたほうの腕を持ち上げ、焦凍君を崩れかけた床に掴ませようとした時だった。
「「なっ…!」」
はるか下の川から、不自然な波が動き上がって来た。水流が生き物のように動き、瞬く間に私達を飲み込んできた。
「(息が…っ)」
川の水は激しくうねる。気付けば掴んでいた焦凍君の腕を放していた。泳ぐにも水流が激しく、身動きが取れない…っ
「GAAAAAAA!!!!」
「!」
水の中、どうにか目を開くと、そこにはさっき落下した敵がいた。よく見れば指先と角が水流とつながり、回転させ、自在に動かしていた。
「(まさか…あれが…敵の“個性”……っ)」
水流とつながった触手は、私…そして焦凍君の体に巻き付き、拘束する。何とか逃れようと動きたい…けど予想以上に敵の“個性”が私達の体を蝕んでいく…っ
「(このままじゃ……ヤバい…っ)」
水中で、私達は顔を歪める中…敵は迫って来る……
side三人称
「ここが…一番奥の部屋…!」
緑谷は一人洞窟の中を進み、奥の部屋へと入る。そこはまるで神殿だった。見渡すと、奥に通じる扉を見つける。あの先にトリガー・ボムの制御システムがあると思考し、駆け出そうとした瞬間、柱からレーザー機器がせり出し、緑谷の行く手を阻む。
「失せよ…お前のような重病者が立ち入っていい場所ではない。」
「(団体指導者…フレクト・ターン!)」
そして、神殿の檀上にフレクトが現れる。緑谷は身構える。
「ここは人類を救済する神聖なる場所だ。」
フレクトは蔑みの視線を緑谷に送りながら言う。緑谷はフレクトを睨み、叫ぶ
「何が人類の救済だ!『個性終末論』は科学的に実証されていない!ただの俗説じゃないか!そんなあやふやな主張を鵜呑みにして、なぜこんな恐ろしいことをする!?」
「純粋なる人々は“個性”という病魔、その脅威にさらされている。それは時と共に混ざり、深化し、コントロールを失って人類を滅亡させる。」
「そんなことはない!!“個性”も“無個性”も病気でもなんでもない!皆生きてる。同じ人間だ!!」
檀上から降りてくるフレクトの身勝手な反論に、緑谷は否定する。フレクトは哀れみ、あきれたように顔が歪む。
「…重病者は度し難い…やはり私がやらねばならぬ」
「絶対にトリガー・ボムは止める!!」
緑谷は心からの叫びをぶつけ、身構えもしないフレクトに向かい、拳を放った。