劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order   作:小野屋陽一

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第15話

side立希

爆豪君の爆破を利用し、一気に建物内を駆け抜ける。そして視界先の奥の部屋に首謀者、そして床に伏している緑谷君が見えると同時、自分は『モードレッド』に憑依し、クラレントを投げ放った…そして斬撃も浴びせたけどまるで効果が無く、むしろ反撃された…早く制御システムに行くためには敵を倒すしか無い…!

「藤丸君…フレクトは…攻撃を跳ね返す…」

「了解っ!!」

床に伏している緑谷君に敵、フレクト・ターンの個性を教えてもらう。

「(と言っても、もう魔力が無い…この一撃で決めるしかない…!)」

「貴様も、そこの少年の様に無様に倒れてもらおう。」

フレクトがそう言うと同時、部屋の周囲にある柱からレーザーが射出された。

「っ!邪魔だぁ!!」

自分は持っていたクラレントから広範囲に赤雷を撃ち放ち防御。回避してる暇は無い!

「ほぅ…」

「(敵は自分らが満身創痍だと思って油断している…そこを突く!!)くたばり…やがれぇ!!」

踏み込み、加速。そして肩から腕にかけて魔力集中。モードレッドの鎧を部位装備。クラレントに赤雷を纏わせフレクトにめがけて薙ぎ払う。

「愚かな―」

身構えもしないフレクトに直撃。確実に捕らえる!

「まだ…まだぁあああああああああ!!!!!」

ここで終われない!更に自分は『幻想強化』を発動!クラレントの威力を底上げ。この一撃に…全てを!!!

「……!」

今まで微動だにしなかったフレクト。けどここで僅かに押す。一歩、後退りをした。これにはフレクト自身も目を見開いていた。

「いっけぇえええええ!!!!!」

もうひと踏ん張り。更に自分はクラレントに力を込めた瞬間―

「っ!?」

視界が一瞬、ブレた

 

 

side三人称

「藤丸君!!!」

轟音。そして衝撃。さっきまでフレクトと立希は拮抗状態だったが、遂に限界が来る。もう少しでフレクトに一撃を入れられる所だったが、立希の魔力が底ついてしまう。踏ん張る力が一気に掻き消され、フレクトの個性『反射』により、立希は吹き飛ばされ、壁に途轍もない威力で激突する。

「カ…ハッ…」

「……少し、驚いたが、所詮は無駄だったようだな」

「っ!」

フレクトの言葉に緑谷は歯痒く感じる。

「(考えろ…あいつに…勝つ、方法を……!)」

緑谷は必死にボロボロの体に鞭うつように言い聞かせ、立ち上がる。トリガー・ボムが起動するまで五分を切った。部屋に展開されたモニターには世界各地で戦っているヒーロー達そして自分達のクラスメイト。全員が団員達と抗戦している様子が映されている。

「(皆…必死に戦ってる……!)」

その姿を見た緑谷は心の中で己を奮い立たせる…そして、それは緑谷だけでは無かった。

「まだ……だ……!」

「!」

立希もまた、満身創痍の体で立ち上がっていた。既に魔力が無いに等しい。それでも剣を顕現する。全身に魔術回路を露わにし、頭部や体から大量出血していた。

「藤丸君…その体で戦うのは…」

「ゲホッ…何言ってんの…それは…緑谷君だって…そうでしょ…それに……今ここで倒れちゃ…人類を…皆を救けられないでしょ……!」

「!…そう…だけど……!(考えろ……考えろ…!)」

二人はもはや気力だけで動いていた。想像以上にフレクトの『反射』による攻撃が効いていた。気を抜けば今にも倒れてしまいそうな体で、二人は必至に頭を回転させる。

「(どんな攻撃も…反撃に変わってしまう…!)」

「(攻撃すればするほど…自滅していく事になってしまう……!)」

迫る時間の中、解決策が見つからない。

「「(考えろ…何か…方法があるはず何だ!!)」」

あきらめず一歩一歩フレクトに近づく二人だが、足がもつれ、転びかける

「「-」」

限界を超えた緑谷と立希が意識を失いかけた時だった。その二人を支える誰かが来た。その人物は…

「もう大丈夫だ。デク、マギ」

「ロ、ロディ…!?」

「どう…して…!?」

ロディだった。思わぬ登場に二人は意識を取り戻す。しかしロディはどこか悟ったような、少し寂しそうな顔で笑っていたのだった…

 

 

side立希

なんでここにロディが!?

「あ、あぶない…ここから離れて…」

「緑谷君の言う通りだよ…ここは危険…「ああ、コイツをヤツに渡したらな」…!」

自分と緑谷君を床に横たえさせるロディ。そしてその手には緑谷君が持っていたはずのトリガー・ボムの解除キーを持っていた。

「ロディ…!?」

「…言われたんだよ…こうすりゃ、オセオンの爆弾だけは止めてくれるってさ…」

ロディの行動に呆然とする自分ら。ロディはそのままフレクトの方に向かう。

「ロディ……ダメだ…僕たちが、絶対に、止めてみせるから……う、うう…!」

「そうだよ…自分達が何とかする…だから……づぅ……!」

何とか制しようと立ち上がろうとしたが、体に激痛が走る。横を見れば緑谷君も自分と同じように激痛を堪えていた

「そんな体で、どうやって止めるんだよ。もう時間もねぇ。爆弾は爆発…ゲームオーバーだ…だから、弟と妹だけは、俺が守る。」

「「ロディ……」」

ロディの覚悟を決めた表情。

「デク、マギ、俺はしがないチンピラだ…全部守る、全部背負うなんてことはできねぇ…世界と家族…どっちか取るしかねぇんだよ……俺の父親も、そうだったんだろ?」

ロディはフレクトに訊く。すると今まで黙って見ていたフレクトが満足げに微笑んでいた。

「そう、君の父親であるエディ・ソウルは、人類救済爆弾の開発に協力してくれた」

―『『エディ・ソウル』が命にかえて作ってくれた爆弾の解除キーで…どうか世界を救ってほしい…』―

「っ!やっぱり…アレは…!」

自分は理解する。ここに来る前に聞いた音声。それを聞いた時のロディの表情…父親の真実を!

「なにが…何が協力だ…!ロディを…ロディの家族を人質にして言う事を聞かせただけじゃないか…!!」

自分は怒り、吠え、フレクトを睨む。ロディも自分と同じ様に睨んでいた。

「おかげで彼は正しい選択ができた。そして、君も父親と同じだ。愛するものを守るために正しい選択をした。私も同じ。私は人類を愛したからこそ、この計画を選択した」

フレクトは淡々と話す。己がした事に全くの罪悪感が無かった。自分は益々怒りが込み上がってくる。今すぐにでも立ち上がりたかった。けど…もう体に力が…魔力が…!

「ロディ……ダメだ…ロディ……!ロディ……!」

「ダメだ…!それを…渡すのは…!」

諦めるわけにはいかない。自分と緑谷君で必死にロディを呼ぶ。けど…ロディは首を横に振る。

「諦めどきだぜ、ヒーロー…人は、こうやって裏切られていくんだ…俺もそうだ。いつものことさ。嘆くことねーだろ…」

遂に、フレクトの目の前に、ロディは辿り着いてしまった…

 

 

side三人称

「「…ロディ…」」

もう、ダメなのか…ロディの行動に言葉を失う緑谷と立希…その時だった。二人はふと気付く

「(Pi)」

フレクトに解除キーを渡そうとしているロディのパーカーのフードの中に、ピノがいた。ピノは二人に向かって首を横に振っていた。

「「………」」

その仕草に、二人は思い出す。それは、国境に向かう途中の、夜の出来事…

―「…ねぇ、ロディ。君の“個性”はどんな“個性”なの?」―

―「…笑わねーなら…」―

―「笑わない。」―

―「絶対笑わない。」―

―「俺の“個性”は―…」―

「(Pi…)」

ピノがまるで合図を送るようなポーズを取る。それを見た緑谷と立希は床についていた手足に力を込める

「では、渡してもらおうか…」

「ああ……」

そして、ロディがフレクトの差し出した手に、解除キーを置こうとした直前だった

「……受け取りな!」

「!」

ロディは解除キーを指で弾き、空中に跳ね上げた。思わずフレクトは見上げた瞬間

「Pi!!!」

「「っ!!!」」

ピノの合図に、緑谷は『フルカウル』で蹴り、立希は『投影:モードレッド』で剣をフレクトに繰り出した。

 

 

sideロディ

俺が諦めるわけねーだろ!!

「ピノ!」

「Pi~~~!!!」

俺が指で弾いた解除キーを空中でピノがキャッチ。そのまま俺の方に戻ってくる。

「よっしゃ!狙い通り!!」

初めからデクとマギを裏切る事なんて考えてねぇ!!アイツらに捕まったのを逆手にとって虎視眈々とこの時を狙ったんだ!!俺の“個性”でこの事はデクとマギに伝わってるはずだ!!

「後はこれを奥の部屋に…!」

奥の部屋に行こうとした時だ、後ろから衝撃音。振り返ると、壁に激突するデクとマギの姿だった。

「「ガッ!」」

「デク!マギ!「愚か者め!」っ!!」

敵が怒りの表情で俺に攻撃してきた!

「ぐっ!!」

俺は持ち前の運動神経で何とか避ける。何としても奥にある扉に行く!!

「「させない!!」」

「!」

デクとマギが動いてくれた。俺を狙ってくるレーザー装置をデクは空気の弾、マギは赤い雷を放って破壊してくれる。流石ヒーロー…感謝するぜ!!

「(けど…これは…ヤバ…)っづぅ!!」

けど…レーザーの数が多かった。駆け上っていた階段が破壊され、それでバランスを崩された。次の瞬間、体の一部に激痛が走った。

「「ロディイイイ!!!」」

「づぅ……」

どうやら…レーザーが俺を撃ったらしい…イテェ…こんなのアイツらは喰らってたのかよ…!

「小賢しい!!」

「「っ!」」

声が聞こえる方を見れば、敵がデクとマギに向けて両手を振り上げ、掴み、床にたたきつけていた。そのまま敵は床が割れる程の力で二人の頭を掴み押しつぶし始める。絶体絶命。ピンチだ…!俺ができる事…それは…!!

「デク!マギ!!そのクソ野郎をブッ倒せ!爆弾は俺が止める!いけ!!」

「「!」」

二人が敵と対峙してる間にも、俺は体に走る激痛を堪え、何とか奥の部屋に通じる扉にたどり着いていた。俺ができる事はただ一つ…!爆弾を止める事だ!!そして世界を…家族を守る!!

「いくんだヒーロー!!いけぇえええ!!!」

俺は解除キーを二人に見せ、そして大声を出して奥に行く…

 

 

side立希

ロディの“個性”で意図が分かった自分と緑谷君はフレクトを阻止する。けどレーザーで傷を負ったロディを見たことで隙を生んでしまい、フレクトの攻撃でまた倒れそうになった…でも…

「いくんだヒーロー!!いけぇえええ!!!」

「!」

ロディの声に、再び自分、そして緑谷君に力が湧かせる。叫びながら奥へ行くロディを見た自分達は直ぐに立ち上がり、ロディを追いかけようとしたフレクトに立ち向かう。

「!」

「おお…!」

「らぁ…!!」

緑谷君は拳、自分はクラレントで渾身の力を叩き込む。直ぐに敵の『反射』で吹っ飛ばされるけど、直ぐに着地し、立ち塞がる。

「「行かせない!ここから先は…絶対に!!」」

「邪魔だ!」

再び自分達とフレクトは激突する。

 

 

side三人称

「「「!!」」」

緑谷の拳、立希の剣が再びフレクトの拳と真っ向からぶつかる。

「「っ」」

直ぐにフレクトの『反射』が二人を襲う。激痛にのけぞりそうになりながらも、それでも二人は必至で立ち向かい続ける。

「っ~~~おおっ!!」

立希は剣から『赤雷』を放つ。しかしそれはフレクトに向けてではなく、フレクトの周囲に放ち、大量の煙を巻き上げ、自身と緑谷の姿を隠す。

「無駄な事を…」

フレクトは煙を手で払い、周囲を見る。そして、フレクトの目の前に勢いよくクラレントが投げられる。

「!」

直ぐに『反射』で剣は弾かれ、地面に突き刺さる。が、肝心の二人の姿が見えなかった。まさか奥の部屋に行ったのかと、フレクトはロディが走っていった方を向いた時

「『スマッシュ』!!」

「オラァ!!」

フレクトの死角から緑谷と立希の二人の拳が放たれる。

「ぬぅ…小癪なっ!!」

「「ぐっ!!」」

それでも、フレクトに攻撃が届かない。『反射』で吹き飛ばされる。二人は空中で体勢を整え着地。と、同時に緑谷は再び『フルカウル』で速攻し、立希もまた、剣を回収してから突撃する。

「「絶対に…倒す!!」」

血反吐を出しながら、フレクトと対峙する緑谷と立希。それは同じ空の下で戦っている仲間の為に、そして、嘘の付けない友達の為に。

 

「っ……っ…」

壁にもたれながら、ロディは体を引きずるように階段をゆっくり下りていく。背中の痛みに気を失いそうになりながら、国境を目指していた夜の事を思い出していた。

―「…こいつが、俺の“個性”だ…こいつの、『ピノ』の行動は…『俺の本心』を示す」―

―「へぇ~!」―

―「おぉ~!」―

ロディの“個性”に興味を持つ緑谷と立希。ロディの頭に乗っていたピノは恥ずかしそうにモジモジしていた。

―「いくら俺が嘘ついても、ピノを見られると…本音がバレちまう…。本当、大したことない“個性”だろ…」―

すごい“個性”と比べてしまえば、なんの役にも立たない“個性”だと思うロディ。しかし、そんな彼に緑谷と立希は否定する。

―「そんな事ないよ、ロディ…嘘を付けないなんて…とっても素敵な“個性”じゃないか…」―

目を輝かして言う緑谷

―「そうだね。人ってやっぱ嘘付く生き物だし、いつも正直な事はとても大事。誇れる“個性”だよ。」―

「(…だから…言いたくなかったんだよ……この…お人好しヒーロー共…っ)」

ロディは掌の上で動けなくなっているピノを撫で、力を振り絞り、ゆっくりと世界の命運を握る地下へと降りていく。

「…この“個性”も…捨てたもんじゃねぇな…」

 

 

sideロディ

デクとマギが必死に敵を止めている間に、なんとか地下の制御システム室へとたどり着く。

「っ……ぐっ……」

体に来る痛みと出血は止まらねぇ…意識が朦朧としてくる…っ…それでも前に進もうと足に力を込めた時、自分の血で滑り、倒れてしまう。その拍子でピノと首にかけていたペンダントが転がる。

「う……」

落ちたペンダント。笑っている弟と妹の写真。ここで諦めてしまえば、二人を失う…!俺は最後の力を振り絞る。

「お、俺も…オヤジ…みてぇに……!」

捨てられたと思った。けど違った。守ってくれていた。だから…俺も、守りたい。弟と妹が、いつまでも笑っていられるように、その全部を……

「…デクや…マギ…みてぇに……!」

こんな俺を、ここまで変えるなんてな…俺は解除キーを持って、目の前のシステムに手を伸ばす…

「っ………」

けど、届かねぇ…!どうしても……後…少しだってのに…っ!!

「……クソ……」

限界まで伸ばしていた震える手が、落ちる。その直ぐ傍で、ピノがゆっくり消え始めていた…

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