劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order   作:小野屋陽一

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第17話

side三人称

世界中に配置されたトリガー・ボム。遂に爆破時間の二時間を経過。しかし…

「…タイムリミットを過ぎたのに……」

「爆発しない……」

エジプト、フランス、アメリカ、シンガポール、日本、イギリス、オセオン…26個のトリガーボムは静寂を保ったままだった。この事にヒーロー達はその沈黙の意味を理解する。

「機能が停止している…!」

「解除したのか!!」

ヒーロー達は笑みを浮かべる。遂に、世界がテロの恐怖から解放された。その事実を噛みしめ、司令部にいた職員たちが歓喜の雄叫びをあげる。

「(よくやってくれた…皆…)」

オールマイトは各地のヒーロー達の喜ぶ様子を笑顔で誇らしそうに眺めた。そして、オセオンにいる緑谷達に想いを馳せる。

 

 

side立希

制御システムに辿り着いた自分と緑谷君。そこで見たものは…

「ピノ……」

ピノが、解除キーを突き刺していた。

「やった……解除……出来たんだ…!!」

「あ……あぁ……」

ようやく、全てが終わった。安堵と共に一気に体が脱力する。隣にいた緑谷君も安堵でやわらかく崩れる。

「(残り…1秒切ってるって……本当にギリギリだった……)」

「Pi……」

カウントダウンの数字の前でキーにぐったりともたれていたピノが自分達に気付くと何とか体を起こし、震える羽でグッドサインを送って来た。そして―

「よぉ……ヒーロー……」

「「ありがとう、ロディ…」」

ロディもだ。緑谷君は震えるロディの指を優しく握り、そっと抱き起す。

「少し我慢して、すぐ病院に…「デク、マギ…」……?」

「お、俺は…オヤジみたいに、家族を守れたんだよな……?」

震える声でそう訊いてきたロディ。自分と緑谷君は一瞬、目が合う。そしてロディに向けて笑顔で頷く。

「「うん。」」

「爆弾、止められたよな…?」

「「うん。」」

「デクとマギみてーに、全部取れたとな…?」

その言葉に自分達は大きく頷く。どんな思いでロディが必死で動いてくれたのかがじんわりと染み込むように伝わって、胸がいっぱいになる。

「うん。取れた…すごいよロディ……!」

「すごいどころじゃないよ……ロディは家族も…世界も救ったんだよ…!」

「……へへへ、俺、カッケー……」

体中が痛んで立ち上がれないのに、胸の奥が熱くなる。やっと解けた緊張が涙腺を緩ませる。

「Pi~!」

そんな自分らの前でピノが胸を張って来た。

「…プッ…ククク…」

「フ…フフフ…」

「ハハハ…ハハ…アハハハハ!」

「「「アハハハハ!」」」

ピノの仕草に安打した自分と緑谷君が笑うと、ロディも釣られるように笑いだす。

 

 

sideロディ

「「「アハハハハ!」」」

笑いたくて、笑った。泣きながら、笑った。父親を恨んだことも、亡くした悲しみも。犯罪に加担した後悔も、自分の夢から目をそらしたことも。

「(ああ…やっとだ…やっと…)」

全部、やっと今、受け入れられた気がした。

 

 

side立香

それから、思想団体ヒューマライズ指導者のフレクトにより企てられた無差別テロは、私達ヒーローチームの活躍により未然に防ぐことに成功したと全世界にいっせいに報道された。フレクトはじめ、団員は勿論、密かに私達を追っていた団員だったオセオン警察の長官含め警察官たちも逮捕。そして重傷を負ったロディ、緑谷君、爆豪君、焦凍君、立希、そして私は一命を取りとめ、病院に運ばれ入院。わざわざオセオンまで来てくれたリカバリーガールに“個性”で治癒してもらい、無事完治する。

「はぁー…これにて、大団円…かな」

 

数日後、私達は帰国する為、荷物を持って空港へと向かう。

 

 

side立希

空港。搭乗口へ向かおうとした時だ。

「Pi~!」

「え、何でピノがここに!?…って事は…!」

「よっ!」

「ロディ!?退院は明後日じゃあ?」

聞き慣れた鳴き声がした方を見れば、自分の顔めがけて飛んできたピノと、松葉杖をついて笑いながらロディがやって来た。これには自分と緑谷君は驚く。

「もう大丈夫だってよ」

「よかった…」

「五体満足で本当に良かったよ…」

なんとか歩けるようになった友達の姿に自分達はホッとする。ふと姉達の方を見れば、自分達を気遣ってくれたのか、搭乗口へと向かっていた。

「あのままクタバってたら伝説になれたかもしれねーのにな」

「いやいや、なっちゃダメでしょ!?」

「縁起でもないこと言わないで」

からかうように言うロディに自分と緑谷君は苦笑する。ロディはイタズラが見つかった子供のようにニヤリと笑う。そして一息つき、緑谷君は真剣な顔でロディを見る

「これからどうするの?」

「いつもの生活に戻るだけさ」

「それって…」

「勿論、どっちかじゃなく、どっちも手に入れてやる」

「Pi!」

一瞬、不安がよぎった自分だった。けどそれは杞憂だった。たぶん、簡単な事じゃない。でもそれはロディ自身が一番わかっている。でも軽い口調のなかにしっかりとした覚悟があった。だから…

「……うん」

「…ロディらしいね」

緑谷君と自分はロディを尊重する。その時、空港内にアナウンスが響く。

「そろそろ行かなきゃ…」

「そうだね…短いようで、長い、オセオンでのヒーロー活動だった…」

「もう二度とオセオンに来んなよ。デクとマギといるとロクなことがねぇ」

ロディが肩をすくめ皮肉る。

「Pi………」

けど…ロディの肩にいるピノは必死に涙を我慢していた。

「日本で勝手にヒーローしてろ」

「「………ロディ!」」

そんなロディに自分達は肩を組む。3人で輪を作るように

「また、会いに来るから…」

「日本に来たら、色々観光しようね」

「……二度と来るな…」

そう言いながら、ロディは緑谷君と自分に強く抱きしめて来る。さよならの代わりに、自分を変えてくれたヒーローに変わらない友情を込めて。

 

飛行機内。荷物置いて、席に座る。

「さよならは言えた?」

隣に座っている姉に訊かれる

「ううん。また会おうって言った。楽しみだね。次は夢を叶った友達の姿を見たいね」

「気が早過ぎでしょ」

「そうかな?」

姉とそんな会話している間に、離陸する。段々とオセオン国が遠くなり、そして見えなくなる

「ふぅー…さてさて、また実家(カルデア)が騒がしくなる…帰ったらメディカルチェックかねぇ…」

「かもね…一応、オセオンの病院でロマニが軽く診察して、もうトリガーの効果が無くなって“個性”が戻ったけど…精密検査は逃れられないかも…後は英霊達(家族)との話し合い?」

「…今は寝て、休もう…うん…」

 

 

side三人称

飛行機が飛んでいく。友と別れたロディはいつものバーへと向かう。

「おっちゃん。仕事無い?できれば、まっとうなヤツで」

「……店員が一人辞めやがった。手伝え」

グラスを拭いている店主はロディをチラリとみて、そう言う。

「う~ん…どうすっかなぁ~…」

ロディは大げさに困ったように顔をしかめる。しかし…

「Pi~!」

髪から飛び出したピノは満面の笑顔だった。弟と妹のためだけでなく、自分を大切に想ってくれている人達の為に、自分の人生を生きていく。ロディが見え上げた空、昨日より近い。

 

いつか飛べるその空は、世界中、つながっている。




また劇場版やんねぇかな~?
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