劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
警備システム奪還の為、自分達は非常階段を使って上へ上る。各フロアが封鎖されてるからこれが唯一の道だ。
「メリッサさん、最上階は?」
「ハッ……ハッ……200階よ」
「マジかよ!?」
「そんなに昇るのかよ!?」
「敵と出くわすよりマシですわ」
休む事なく、自分達は駆け上る。日頃訓練してるから疲労は少ないが…メリッサさんが遅れ始めている。
「メリッサさん、ウチの“個性”使おうか?」
「もしくは担ぐ?」
そんなメリッサさんに麗日さんと姉が声を掛けるが、メリッサは首を横に振る。
「ありがとう…でも大丈夫!」
そう言って駆け上がる。60…70…と順調に上がったけど…80階に差し掛かった時、シャッターが下りていた。
「どうする…壊すか?」
「そんな事したら警備システムが反応して敵に気付かれるわ!」
「ならこっちから行けばいいんじゃねーの?」
峰田君が手を伸ばしたのは今自分達がいるフロアへと続く非常用ドアだった。
「ちょ、ストップ!!」
「ダメ!」
慌てて止めようとしたけど、間に合わない。峰田君がドアを開ける。絶対敵に気付かれた…
「他に上に行く方法は?」
「反対側に同じ構造の非常階段があるわ!」
「急ぐぞ!」
非常ドアを開けたせいで敵に気付かれた可能性が高い。急いで移動していると、通路の隔壁が奥から次々と閉じられていく
「轟君!」
「ああ!」
飯田君の呼びかけに反応し、焦凍君が前方に『氷結』を放ち、閉じる隔壁を止め、その隙間に飯田君が飛び出し、“『エンジン』で加速した回し蹴りで前方に見えた扉を破壊する。
「この中へ!」
「ここは…」
中へ入ると…そこは部屋を埋め尽くす程の様々な植物が生えた高い空間だった。
「『植物プラント』よ。“個性”の影響を受けた植物を研究…!」
「待って!アレ!」
耳郎さんが指さす方向にあったのはエレベーター。けどそのエレベーターは動いていた。階数を示す画面にはどんどん自分達がいる80階へと近づいていた。
「敵が追ってきたんじゃ…」
「隠れてやり過ごそう!」
直ぐに茂みの中に身を隠す。そして数秒後にエレベーターの到着音が響いた。自分達は息を潜める…
「ガキはこの中にいるらしい」
「面倒な所に入りやがって…」
敵は二人。冷静な口調の低身長の男性と、イラついた態度を取るのっぽの男性だった。ゆっくりと自分達が隠れている茂みに近づく。
「(っ…来るな……)」
息を止め、唯々通り過ぎる事を願う。さっきから心臓の鼓動が早い。冷や汗が出てくる…
「見つけたぞクソガキども!!」
「(っ…見つかった…)」
もう戦うしかない…と行動に移ろうとした時―
「ああ?今、何つったテメー!」
「落ち着け爆豪…」
「(爆豪君と鋭児郎君!?)」
そこにいたのは連絡がつかなかった爆豪君と鋭児郎君だった。さっきの言葉は二人を見ての発言だったようだ…だけど爆豪君は敵と知らずにガン飛ばし。それを宥め、心配そうに顔をしかめる鋭児郎君だった。
「お前ら、ここで何をしている」
「そんなの俺が聞きてぇくらい―「まぁまぁ!ここは俺に任せろ!な?」ちっ…」
「あのー俺ら道に迷ってしまって…レセプション会場ってどこに行けば…」
「(道に迷って何で80階まで来るの!?)」
内心ツッコミをするが、鋭児郎君の言い分に敵二人が納得するわけが…
「見え透いた嘘ついてんじゃねぇぞ!!」
次の瞬間、のっぽの男性の右手が巨大化し、“個性”を鋭児郎君に向けて放った!
「鋭児郎君!!」
自分はたまらず茂みから身を出す…と同時に自分の横から『氷壁』が出現した
『!?』
「この“個性”は…」
「轟!?と立希!?何でここに…」
鋭児郎君の前に『氷壁』が現れ、敵の“個性”を防ぐ。けど氷壁は振動に揺れ始める。敵の攻撃はまだ終わって無かった。
「ちっ…俺達で時間を稼ぐ!上に行く道を探せ!!」
そう自分達に言いながら、焦凍君は屈み、自分達が立っている所から『氷柱』を生み出し、上へと持ち上げる。
「轟君!」
「君は!?」
「いいから行け!」
緑谷君と飯田君は焦凍君の思惑に勘付き、声を掛けるが、焦凍君は叫ぶ
「焦凍君!」
「ここを片付けたらすぐに行く!」
「っ…」
上にある通路まで『氷柱』が伸び、自分達は飛び移る。自分達は下にいる焦凍君、爆豪君、鋭児郎君を見る。既に敵二人との戦闘態勢へと入っている。氷壁には拳大の穴が次々と現れ、そこから敵の姿が現れる。低身長の敵が雄叫びを上げると体が大きくなり、獣のように荒々しい姿へと変わる。焦凍君の『氷結』に物ともせず、爆豪君の『爆破』を受けても平気だった。そして―
「鋭児郎君!!」
獣の姿となった敵の拳から爆豪を庇う様に鋭児郎君が受けた。けどその剛腕に吹き飛んで壁に突き当たったのが見えた
「っ「藤丸君待って!!危ない!!」でも…」
直ぐに飛び降りて加勢しようとしたけど緑谷君に止められる。その時―
「立希!アンタは先に行け!」
「姉!?」
「藤丸さん!?」
「立香ちゃん!?」
自分の代わりに姉が飛び降りて行った…
side立香
このままだと危ない。切島君が壁に吹き飛ばされたと同時にそう感じた私は考えるよりも先に体が動いた。
「立希!アンタは先に行け!」
「姉!?」
そう言って私は飛び降りる。今ここで動かないで何がヒーローだ!
「来て!『アサシン』」
「―あいよぉ!…っておお!?いきなり空中かいマスター?」
“個性”『英霊召喚』で私は燕青を呼ぶ。
「いいから!着地任せた!!」
「よしきたぁ」
燕青に指示を送る。私を横抱きにし、空中で体を回転しながら着地。衝撃を緩和し、無事に降りた。
「燕青は切島君の救出に行って!」
「ん。いいよぉマスター。だがお前さんは大丈夫なのかい?」
「これでも自衛出来る術はあるから!」
そう言って私は爆豪君と焦凍君の所に向かう。
「何だ!?このアマぁ!」
「っ!?立香!!何でここに…」
「私も加勢しに来たの!!」
「邪魔だ!!」
敵ののっぽが私に“個性”を放ってきた。さっきのガラスのような波動が来る!!
「っ!!」
私は跳び、身をねじらせ、波動を躱す。少しドレスの裾が破れたけど問題無く、二人の所に辿り着いた。
「藤丸…てめぇ…」
「足手まといになるつもりは無いよ…!」
「てめぇら…」
「「「!」」」
私、爆豪君、焦凍君は背中を合わせる。前方には敵がいる。
「お前ら、ただのガキじゃねーな?」
「何者だ!?」
「答えるか、このクソ敵が!」
「名乗るほどの者じゃねぇ」
「貴方達に名乗る価値なんて無いよ!」
敵二人の問いに私達は身構える。
side立希
姉の言葉に従って、自分達は先へと進む。峰田君のファインプレーによって、上へと行ける非常はしごを使って120階へと進む事が出来た。
「なんかラッキーじゃね?100階超えてからシャッターが開きっぱなしなんて」
「ウチらの事見失ったとか?」
「多分違うよ……誘い込まれてる…」
「藤丸君の言う通りかもしれない。」
「ええ…そうですわ」
「ああ…」
険しい顔で頷いてくる緑谷君達。しかし他に道はないから行くしかない。そして130階。最上階への通り道のフロアには大量の警備マシンがウヨウヨいた。
「なんて数なん……」
「やはり相手は閉じ込めるのではなく、捕らえる事に方針を変えたか」
「きっと僕達が雄英生である事を知ったんだと思う。」
「ああ、なら予定通りプランAで行こう!上鳴君!」
「うっし!俺もやってやるぜ!」
作戦開始。八百万さんが『創造』で『絶縁シート』を作り、自分達を覆うと同時に飯田君がフロアのドアを蹴破り、『エンジン』をふかしながら電気君掴んで警備マシンがある場所へと放り投げ、絶縁シートの中へ避難する
「くらえ!!『無差別放電130万ボルト』ォオオオ!!!」
電気君の『放電』が警備マシンを襲う。しかし警備マシンは体を小さくし、その場で一時停止した
「防御された!?」
「だったら……『200万ボルト』ォオオオ!!」
電気君は出力を上げた。雷のように眩い光が放たれる。
「馬鹿!そんな事したら……「ウェ~イ」アホになっちゃうだろ……」
電気君は“個性”を使い過ぎるとショートしてしまい、思考が低下してしまうのだった…でもこれで警備マシンは行動不能に…
【ピピピ!!】
「ウェ!?」
『!?』
警備マシンが再起動した。そして電気君の近くにいた数体の警備マシンがワイヤーで拘束する。
「頑丈すぎんだろ!?」
「仕方が無い!皆!プランBだ!」
「はい!」
直ぐに次の行動へと移す。また八百万さんが『創造』する。『発煙筒型通信妨害機』。それらを皆で警備マシン達に投げる。
「これで通信を妨害できますわ!」
煙が舞い、警備マシンの動作が鈍くなる。
「峰田君!」
「上鳴を返せ!!ハーレムが待ってんだ!!」
峰田君は『もぎもぎ』を投げ、混乱している警備マシンがそれにくっつき動きを止め、警備マシンを柵のようにし、次々と警備マシン達を堰き止める。
「どーだ!……!?」
止めた…と思ったら他の警備マシンが跳躍し、乗り越えて来た。
「しつけぇ~~!」
「なら…八百万さん!長い棒を創造して欲しい!」
「分かりましたわ!」
八百万さんに『長さ2mの棒』を『創造』してもらい、自分は構える。
「クーフーリン直伝の槍術!!はっ!!」
接近して来た警備マシンに向けて突きを放ち、通路から落とす。跳躍してくる警備マシンも―
「せいやっ!!」
フルスイングで打ち飛ばす!
「いいぞ!藤丸君!!行くぞ!緑谷君!」
「うん!」
緑谷君、飯田君が前へ走り出る。緑谷君はジャケットを脱ぎ捨て、右袖をまくった。すると手首に付いていたサポートアイテムを軌道させる
「『SMASH』!!」
「うわ!?すご…っ」
緑谷君の拳の威力により、警備マシンが次々に軽々と吹き飛んだ。普段の『身体強化』以上の威力だ。あのサポートアイテムの効果?でもおかげで電気君を拘束していた警備マシンも吹き飛び、飯田君が救出する事が出来た。
「耳郎さん!警備マシンは?」
「左から!」
「よし!なら右だ!」
飯田君は電気君を背負い、自分達は警備マシンが少ない道へ走りだす。
「デク君何その腕!すごいやん!」
「うん!メリッサさん、ばっちりです!」
「持ってきたのね!」
どうやらメリッサさんがデク君に渡してたアイテムのようだ。
「(よし…この調子なら行ける!) ……姉、大丈夫かな…」
姉の事で少し不安になったけど、今自分が出来る事をするのが最善の手だ……