いや〜……何書きたいか分かんなくなっちゃった。
正直熱出せただけで満足してた。
てなわけで箸休め的な回ですはい。
黒鷹は嘆いていた。自らの不甲斐なさを。
黒鷹はうんざりしていた。人の金で高級料理店の一品料理を頼み続け、何時間も食べ続ける姐に。ここが前払い制で良かったと心の底から思う。
第五区に来て二日目の午後四時十五分。たった二日の間に黒鷹の財産は当初の五分の一になっていた。
既に財布は空だ。こうなってはもはや第四に帰ったら、などと言ってはいられない。なんと言ってもこのまま姐の家に滞在しなければいけない可能性が非常に高いのだ。こちらで認可を更新し、仕事をある程度こなさなければならない。それも細かい物ではなく、そこそこの報酬の物をだ。
「な、なあ姐。食ってるとこ悪いんだけどさ、しばらく泊めてもらうことになりそうなんだが………」
「ンゥ……いいよ…?大体予想してたし……。仕事探しは……まぁ手伝ってあげるよ…。」
「ありがたいな……。それだったら更新も手伝っt「やだ…。」
「………いやって…。なんにせよ道案内とかこっちでの手順とかあるから…。」
「ンゥ………そこか…。ならしょうがない…。」
舎弟が少しソワソワしながら顔を覗かせる
「あ、あの〜〜俺に頼むって選択肢は…無いんすかね…?」
「「だってお前店番じゃん。」」
店から出ても独特の香辛料の匂いがする。屋台や出店もあるために第五区にいる以上この匂いからは逃れられない。
「はぁ…俺この香辛料の匂い苦手なんだよな……」
「ン……諦めて…。それより…今日行っちゃうでしょ…?発行局……。ここからならそんなに距離無いし……。」
「ん?ああ、そうだな。ついでだし全部更新しとくか。こっちだとすぐ終わるんだろ?羨ましいねぇ…。」
認可の発行や更新にかかる時間は各区によってばらつきがある。第四区では最低でも三時間かかるが、第五区ではかかっても一時間だ。このばらつきの原因は全くの不明であり、ここを重視して第五区に住むものもいる。
「ンゥ…………全部だと…三分くらいかな…?」
「早いな……。」
「…であの〜〜俺はどうすればいいっすかね…?」
「「店番」」
「……ハイっす…。」
舎弟は店へ、黒鷹と姐は発行局へと向かう。
「こっからどんくらい歩くんだ?あんまり遠いのも嫌なんだが。」
「ンァ………?文句言わないでよ……。それにそこまで歩かないし…。ほら…あそこの……。」
黒い看板に硬いフォントで「発行局」と白く書かれた建物がある。かなりの人数が並んではいるが、列が溜まっていることはなく常に動いている。
「あんな並んでてあそこまでスムーズに進むんだな…。」
「ン…整理券もあるし……すぐからね…。勿論…新規認可は少し時間かかるけど……。」
黒いスーツを来た女性が更新内容を聞き、整理券を渡してくる。
「54番か……結構先だな?」
「ン……?そうでもないよ…。後5分位で回って来ると思う………。」
「あ、そう。じゃー煙草でも吸って待ちますかね…。」
年季の入ったオイルライターを取り出し、安煙草に火を点けた。ひどく大雑把なメンソール感が口から鼻に上ってくる。
「あー…クソ、もっといい煙草買えるようになりてぇ……。」
「ンゥ…オイルライター使う位ならガスに替えれば安くつくのに……。それにもう少し良いのは買えるでしょ……。その煙草……好きだから吸ってるんじゃないの……?」
「誰が好んでこんなやつを……。他に好きなやつはあるがな…………第四じゃ生産中止だ。こっちに来たから買おうかと思った矢先にあの出費…。買える訳ないだろ…。」
「ンゥ………じゃあ取り寄せとくよ…。実際あそこまで行くとは僕も思わなかった……。」
それでいいのか商売人。と、そんな話をしていると自分達の番号が呼ばれ、カウンターまで誘導される。
ただカウンターとは言ってもパーテーションで区切られ、奥には受付がいるとかそういう物ではなく、黒い壁にただ長方形の穴が空いているだけのものだ。
「認可証 ヲ オダシクダサイ」
「はいはいっ…と。ここに差し込むのね〜…?にしてもこの音声は共通なんだな。」
「ン………第一は……少し違うらしいよ…。少し声に…抑揚があるって…。」
「へぇ?上流階級様には特別待遇、ですか。ある意味らしいっちゃらしいな。変に人間らしさを出そうとしてるのが。いかにも中枢だ。」
「更新完了 マデ 3分 デス。」
機械音声は姐の予想とぴったりの数字を告げた。
「本当に早いな…なんで第四はあんなに遅いんだ?」
「ンァ……多分それも……人間らしさを出そうとしてるから……。」
「個体差による手際ねぇ……。わからないな。やっぱ。」
更新も終わり、帰路に着く。
「さて……こっからだな。仕事探しどうするか……。」
「ン………任せて……。舎弟にうちの店の一室を事務所に改装させた…。とはいっても……ある程度の道具があるだけだけど………。依頼は……やっぱ自分で探して……。少しは手伝っても良いけど……。ご飯奢ってよ…?」
「はぁ……はいはい。慣れてるしな。まあ困った事がありゃ言うわ。」
夕暮れが通りを照らす。今度こそは大丈夫。
そして今は、何より仕事だ。黒鷹はそう意気込んだが、次の日。あまりにも第五区の空気感に慣れずに結局姐に飯を奢るのだった。
今回も読んでくれてありがとうございます。
次回からはお仕事編だと……思う。うん。でも勢いが微妙に下がってきたもんだからどうかなー……。
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