マッチョトレーナーがこの先生きのこるには《完結》   作:とらんらん

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今回のチャンミはスタミナをモリモリにした上で回復も載せないといけないので、結構大変ですね……。


44話 なんとしてでも解決しないといけない案件があると割と焦る

 ウマむすめとヒトがサカってるところにおいしいキリがいっぱいあるみたい。おかげでキリをみつけるのがかんたんになった。

 それにキリをたべたらつよくなれた。

 

 もっとたべたい。

 

 むちゅうでおいしいキリをたべてたら、ウマむすめとぶつかった。ウマむすめはすりぬけたけど、なんかサカりはじめてはしっていった。

 

もしかしてキリとおなじチカラをもてた? 

 

 ためしにキリのちかくにいたウマむすめにさわってみたら、ウマむすめがヒトのおとこをかついではしっていった。

 

すっごくおもしろかった。

 

 キリをたべながら、みつけたウマむすめやヒトにさわってあそんでた。でもとちゅうでみつけたおおきなヒトはさわったらじぶんでたおれた。なんだったんだろう? 

 こんどはちいさいウマむすめにさわった。でもなにもおきなかった。なんで? 

 

 ……もしかして。さわったらチカラがきえちゃう? 

 

 ……つまらない。あ、つよいなにかがきた。かくれないと……。

 

 

 

「………あー、クッソ」

 

 目が覚めて真っ先に見えたのが、見慣れた自室の天井。スタンガンで腹切りモドキをやった後に、マヤノがここまで運び込んでくれたんだろう。

 

「トレーナーちゃん、目が覚めたの!?」

 

 ぼんやりとしていると、ベッドの側にいたマヤノが悲鳴のような声を上げて縋りついてきた。しかも若干泣き顔だ。ヤバい、流石に腹切りモドキのライブはショックが大きすぎた。

 

「あー、すまんかったな」

「あっ、ダメだよ、まだ寝てなきゃ!」

「ちょっとした怪我程度だ、大丈夫大丈夫」

 

 マヤノを制しつつ、若干違和感がある身体をベッドから起こす。するとタイミングを計ったかのように寝室の部屋が開かれた。

 

「ああ、もう起きましたか。まさか30分で起きるとは本当に頑丈なんですね」

「……おはようございます、武藤トレーナー」

「よう」

 

 ゾロゾロと入ってくる寺田とカフェに軽く手を挙げる。

 

「トレーナーちゃんが倒れて直ぐにカフェさんが来てくれたから、手伝ってもらえたの」

「……お友だちが教えてくれましたので」

「そりゃ助かった。ありがとう」

「いやー、カフェに呼ばれるまでご飯を食べに行ってたから、こんなことになってるなんて知りませんでしたよ」

「お前は気付いとけよ……」

 

 最近はカフェと霊障対策で動いてる、とか言ってたくせにいい加減だな。

 

「……詳しい事はマヤノさんから聴きました。まさか……霊障を自分で気絶させて防ぐなんて思いませんでした……」

「大分苦し紛れだったがな。てかあの靄ってやっぱ霊障なんか」

「はい……。そして……武藤トレーナーのお陰で私たちが調べていたよくないものが湧き出てくる原因も分かりました……」

「マジか」

 

 つーことは、俺らが遭遇した霊障ってカフェと寺田が調査してた案件って事なのか。まさか思いっきり巻き込まれるとは思わんかった。

 

「原因って何ですか?」

「……発生原因は最近学内で流行っている『おまじない』です」

「え? 流行ってるおまじないって、あのおまじない?」

 

 虚を突かれるマヤノ。そういやおまじないの発信源は、遠藤のカミさんからおまじないを教わったマヤノだったっけか。

 

「あのおまじないですけど、僕が調べてみましたが、つたない上に色々と粗がありますけど、諸々の事情が噛み合って一応呪術として成立しているおまじないでした」

「あれマジで効果あるんか」

「……正確には自分の願いを叶えるために、少しだけ後押しするように精神に働きかける術ですが」

「健全だな。ああいうのって、自分に自信を持たせるための一面もあるっていうし」

「まあ、微弱ではありますが相手側にも術者の願いを叶えるように働きかける効果もありますけどね」

「そこら辺は呪術的なのな……」

 健全なようでトレーナーにとって微妙に嫌な術だな。だがそうなると疑問が大量に生えてくる。

 

「そうなると何であんな靄っぽいモンが生えてくるんだ? 後、靄に憑かれた時だが、理性が削られた上に性欲が滅茶苦茶湧いてきたんだが……」

「もしかしてあの靄って、マヤがおまじないをしたから出てきたの? でもお願いは『ずっと一緒にいたい』だったから、違うのかな?」

 

 マヤノがやったおまじないは大分健全なお願いだな。学園のうまぴょい(パワー)狙いの奴に爪の垢を飲ませてやりたい。

 それはともかく、カフェ&寺田の心霊組もそれは心得ているのか、小さく頷いた。

 

「……あのおまじないの効果は術者たちだけでなく、周囲の空間にも拡散しているんです……」

「拡散?」

「言ってしまえば穴だらけのホースで水を撒いているようなものです。一応ホースから水は出ますけど、周辺も水だらけになりますよね? それと同じことがあのおまじないでも起きています。もっともその漏れ出た水は濡らす力は弱いですから、普通ならすぐに無力化されるのですが……、今回は事情が違います」

「んー、それじゃあ学園中に水漏れしているホースが何本もあるって事?」

「……その通りです。漏れ出たモノが集まっていき実体化する程に強くなったのが……武藤トレーナーとマヤノさんの前に現れた靄の正体です。……お二人が視認できる程にまで具現化されていますから、効力も強力になっていたのでしょう」

「憑かれた時に理性が削られたのは、精神に働きかける作用が滅茶苦茶に強化されてたからって事か」

「その通りです。因みに靄がお二人を追ってきたのは、お二人が術者とその対象だったため、引き寄せられたと考えられます」

 

 俺に憑りついた靄の中にゃ、うまぴょい(空)したいって願いが大量に混じってたって事か。って、待てよ? という事は……。

 

「職員棟でそこら中でうまぴょい(海)が起きてたんだが、もしかしなくても例のおまじないが原因か?」

「……恐らくそうかと。おまじないをやったからなのか……靄に捕まったせいかまでは分かりませんが」

「あー、そっかー……」

 

 遠藤が昔の同時多発ぴょいの時に喰われたとか言ってたが、それ多分カミさんがやってたおまじないのせいだわ。ドンマイ遠藤。

 それがなければ、何とかなったか……いや、遠藤の当時の状況を推測すると喰われんのは時間の問題だったか。おまじない関係なく結果は変わらんだろう。

 

「……今日は武藤トレーナーを含めて何人かに憑く事で、溜まっていたよくないものは減りました。しばらくは今日のような事は起こらないと思います……。しかし……このまま放置すれば再発してしまいます」

「だろうな。それで解決方法はあるのか?」

「ええ、武藤さんのお陰で原因は分かりましたから」

「んじゃ、サクッとやってくれないか? またトレーナーが喰われる前に」

「それなんですが……、実は今すぐというのは難しいんです」

「え、何で?」

「……まずは学園中にあるおまじないに使用されたコップを無効化させなければ、根本的な解決が出来ませんから……」

「蛇口の水を締めろって事か」

「……はい。ただ……それをするには、私たちだけでは人手が足りません」

「んじゃ、ウチのメンバーに頼んでみるか。時間も遅いし明日になるが」

「それは大丈夫。トレーナーちゃんをここまで運んだ時にチームメンバーにメッセージを送ったから、もうそろそろみんな来ると思うよ? ――あっ!」

 

 そんな折、噂をすれば影とはよく言うが、タイミングよく玄関のチャイムが鳴った。

 

「丁度よかった! 迎えに行ってくるね!」

「……私も行きます」

 

 ウマ娘二人が寝室から出て、奇しくも野郎二人が残る形になった。……丁度いい、あの二人がいたせいで訊けなかった事を遠慮なく切り出せる。

 

「なあ、確認したいことがあるんだがいいか?」

「どうしました?」

「さっき起きてからなんだが……チ――あー、股間のハロン棒が勃ったまま収まる気配がない上に、気のせいか玉まで前よりデカくなってる気がするんだが、これってやっぱ霊障が原因だったりするんか?」

「……」

 

 何とも言えない顔で沈黙する寺田。うん、気持ちは分かるが、その可哀そうな物を見る目を辞めろ。俺だってこんなん訊きたくねぇんだよ。

 

「……えー、結論だけ言えば、その通りです。カフェも武藤さんの中に霊障が残ってるって言ってましたし」

「……やっぱそうか」

「因みに残ってる箇所ですけど、異変が起こっている箇所とだけ」

「よりにもよってそこかよ……」

「武藤さんが気絶中の話ですけど、カフェも気になってたのか、武藤さんのある一点にチラチラと視線が行ってました。……ナチュラルにカフェにセクハラするのはやめて下さい」

「好きでんな事やってねーよ……」

 

 なんか理不尽に怒られた。こんなんどうしろってんだよ……。

 

「これだけど、祓えば治るのか?」

「それなんですが……」

「いや待って? ここで言い淀むのとか止めてくんね?」

「今僕が祓っても直ぐに元通りになります」

「知ってた」

 

 クソが。てか元通りになるってなんだよ。

 

「武藤さんの場合、マヤノさんからのおまじないの対象になっている状態で、靄の効果を自滅する事で無理矢理抑え込んだじゃないですか」

「マヤノを襲う訳にはいかなかったからな」

「それがどうもマズかったらしくて、武藤さんの中にあるマヤノさんが掛けたおまじないが変質してしまったんです。具体的にはおまじない由来の霊障を引き寄せて取り込んでしまいます」

「何がどうなって、そうなったんだよ……」

「こればかりは何とも……。こういう霊障って些細な事が切っ掛けで変質する事もありますし」

 

 てかおまじない由来の霊障を引き寄せる上に取り込むとか、結構ヤバいだろ。

 

「最悪、また腹切りモドキしなきゃならないのかよ……。流石にあれを何度もやるのはしんどいぞ」

「……対ウマ娘用スタンガンを自分に押し当てるなんて、最悪死にかねない行為なんですよ? いえそれよりも、この症状を放置しておくと本当に大変な事が起こりますけど」

「マジか。具体的には?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「武藤さんのハロン棒と玉が流れ込む霊障の量に耐え切れずに破裂します」

「何それ怖い」

 

『………えっ!?』

 

 とんでもない事ほざきやがったぞコイツ!? てか部屋の外からなんか聞き慣れた声が複数聞こえたんだが!? 

 

「トレーナー!」

 

 寝室の扉が勢いよく開かれた! そこにいるのは案の定、チーム・デネボラの面々だ! 全員が全員滅茶苦茶焦ってやがる!

 

「ゴメンね、トレーナーちゃん……! こんな事になっちゃうなんて……!」

「こればかりはマヤノのせいではない。気を病むな。そして安心しろトレーナー! 私がそんなことをさせん! 場合によっては生徒会の権限を使ってでも人員を集めて……!」

「落ち着けエアグルーヴ。今は作戦会議だ。一刻も早くあのふざけたオカルトを叩き出すぞ!」

「同感です。しかし学園中が霊障の現場になっていますし、私たちだけで人手が足りるでしょうか?」

「確かに。状況次第じゃ寮の子たちにも手伝ってもらおうかな?」

 

 勝手にワチャワチャと議論を始める担当たち。なんか俺以上にやる気に満ち溢れてて口を挟む隙間がないんだが。

 

「……皆さん、協力的で助かります。説明の手間が省けました……」

「武藤さん、本当に担当に愛されてますね」

「こう……もう、何も言えねぇ……」

 

 こうしてカフェ、寺田&チーム・デネボラによる、学園に蔓延る霊障との戦いが始まった……!

 




作中カフェ&寺田が語っている事はあくまでも現時点での両者の推論です。それが事実とは限りません。事実の方は皆さんも何となく察しているかもしれませんが。
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