マッチョトレーナーがこの先生きのこるには《完結》   作:とらんらん

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チャンミキャラ育成中。いいキャラが出来ん……。やっぱり試行回数しかないか。


77話 情報の切り抜きはアカンって

 

「オラ、行くぞぉおおおっ!」

「来るぞ!」

 

 今日も今日とてR-18禁ゲーム世界で探索中。ただいまシナリオが進んで次の街に入ろうって所で兵士っぽい敵とイベント戦の真っ最中だ。

 見張りっぽい奴に「街に入りたいなら実力を見せろ」なんてそれっぽい事言われて試合する事になったんだが、そしたら1対3で戦うとかいうハンデ戦だった。明らかに数的有利なのに恥ずかしげもなく仕掛けてくるところなんかは、如何にもゲームって感じだな。

 

「そーれっ!」

「ごはっ!?」

 

 で、そんなハンデ戦なんだから、俺がわざわざ加減してやる必要なんてない。先制の飛び膝蹴りで先頭の兵士その1をぶっ飛ばして早速1人撃破! 

 

「なっ――貴様!」

「フンっ!」

「ブホっ――」

 

 仲間がやられて兵士その2が剣で斬りかかってきたが、それをサクッと躱してカウンター気味に正拳突きを叩き込んで2人目も沈黙させる! ぶっ飛ばされた相手が地面でヤバい感じに痙攣してて、ついでに鎧も思いっきり凹んでるのは気にすんな。

 

「炎よ――!」

「流石にバーベキューの具になるのは勘弁な」

「クソっ!」

 

 最後の一人が魔法を発動させる寸前に高速バックステップで距離をとり、火炎放射の効果範囲から離脱。そして魔法の効果が終わった所で、

 

「ラストぉおおおお!」

「ごっ――」

 

 兵士その3の顔面に全力ドロップキックを叩き込んでフィニッシュ! 

 

「そ、それまで!」

「はっ、3人で挑んでおいて一方的に負けるとか、クソみたいにザコだなぁ!」

 

 審判役の兵士の号令で試合終了! そいつの顔がちょっと引きつってたんで、中指おっ立てて煽ったら、更に頬が歪んだ。面白いな!

 

「終わったぞー」

「……流石に速いな」

 

 それはともかく遊び終わったんで、脇で試合を観戦していた三女神に合流。バイアリーがどこか詰まった感じを含みつつも感嘆の声を上げた。

 

「流石にそろそろ慣れてきたからな。道中で慣らし運転しといてよかった」

「……そうか」

「……お疲れ様、武藤トレーナー。怪我はなかったかい?」

「おいおいダーレー、明らかに完全試合だったって見りゃ分かるだろうに」

「……ええ、そうね。だからね、武藤トレーナー――」

 

 ゴドルフィンが頬を引きつらせながら、手に持っていた物を俺に突き出した。

 

 

 

「早く服を着てちょうだい?」

「あ、はい」

 

 

 ただいまの俺の格好は、全裸で股間のハロン棒をお札で隠すという、まごう事なき変態スタイルなんで素直に服を受け取って着替える。

 前のボス戦で拾ったお札だけど捨てるには勿体ない性能をしてたんで、結局俺が戦闘の時に使う事にしたんだ。このお札だけど効果は絶大で、パワーがウマ娘以上まで上昇した上に、スピードと防御力もパワー程じゃないにしてもそれなりにアップ。ついでに麻痺と睡眠耐性まで付いた。お陰様でまたパーティーの戦力として返り咲く事が出来たぞ!(なお魔法防御はつかなかったから、滅茶苦茶痛い)

……え? 三女神は使わないのかって? こんな露骨なエロアイテムを使わせる訳ねぇだろ殺すぞ(マッチョは紳士)。

 

「……貴様らの実力はよくわかった」

 

 股間のお札を剥がし(こうしないと服を着れない)渡された服を着こんだ所で、さっき審判役をやっていた兵士が声を掛けてきた。

 

「おう、んじゃ街に入らせてもらうぞ」

「だがこの街の余所者に対する特別な法がある。それに照らし合わせると、今の貴様らは入場を許可できん」

「……ほー。んで? その内容は?」

「ウマ娘三名を隷属の首輪で従わせた者でなければ通りを歩く事は禁止されている」

「うーん、露骨」

「知ってたよ」

「だろうな」

「予想通りね」

 

 封印プログラムを作った奴が狙い撃ちで改変しやがったなコレ。もっともこんな事言われたが、ターゲティングされてるお三方の方は欠片も動揺しちゃいないが。

 

「まあ、あそこのアンちゃんがヒントっぽい事言ってしなぁ」

 

 チラッと俺たちから街道に目をやる。そこには如何にも何か知ってますって感じで樹にもたれかかってるイケメン冒険者が、俺たちを観察していやがる。

 ……多分、プログラムの設計者は、あのイケメンに協力を仰いで街に入るように誘導しようとしてるんだろうな。

 

「彼の事は無視しよう。絶対に碌な事にならない」

「せやな」

 

 まあ見えてる地雷に突っ込むほど俺たちも暇じゃないし。とはいえ、このままじゃ次に進めないのも事実。

 

「しっかしウマ娘三人ねぇ……。適当な盗賊にウマ耳と尻尾をブッ刺してウマ娘ですってやってみるか?」

「真っ先におぞましい提案をするのは止めましょう?」

「ゆーて、このゲーム世界にゃウマ娘NPCどころか女NPCもいないんだぞ?」

「それは分かっているさ。でももっと簡単な方法があるんだ。と言う訳で、武藤トレーナーには俺たちにこれをお願いするよ」

「うん?」

 

 そう言ってダーレーがポンっと渡してきたのは――、なんかチェーンが通されている銀の指輪×3。

 

「え、なにこれ」

「それはね

 

 

隷属の首輪(最高級)さ」

「これ首輪!?」

 

 こういうのは首輪って言わないだろ!? 

 

「首輪として売っていたのだから、この指輪のネックレスは首輪扱いよ?」

「恐らく人生を決められるという意味で首輪扱いにしたのだろう」

「これまでは物理的な意味だったのに、なんで最高級だけ趣旨が変わるんだよ……。そしてお前らもちったあ躊躇え。軽い感じでこんなもん俺に渡すな」

「でも一番確実に先に進める手段さ。それにこの首輪(仮)はどうやら対象者の力を上げる効果もあるようだ。先に進められる上に、戦力アップも出来るなんて一石二鳥さ」

「確かに戦力アップはするかもしれないけど、リスクありまくりだろ。お前ら俺が好き勝手やらかす可能性は考えてないのか? あと色んな意味で重いわ」

「自分からそんなことを言うようなヒトは、わたしたちを欲望のままに手を出さないわ」

「随分と信頼されてんねぇ……」

「信頼しているからこそ武藤トレーナーに私たちを託すことにした。そもそもの話だが、この世界のNPCを頼る事が出来ない以上、こうする以外に選択肢はない」

 

 反論を尽く潰される。てか、こうまで信頼されちまったら、俺としても三人のお願いを無下には出来ん。

 

「そういう訳だ。よろしく頼むぞ主」

「よろしくね旦那様?」

「期待しているよご主人様」

「三人ともノリノリだね……」

 

 ……これ担当たちに見られてたら色々とアウトだな。チームメンバーがいなくて良かった……。

 

 

 

 

 

「いたぞー! いたぞぉおおおおおおお!」

「イヤッハー!」

 

 トレーナーさんが意識不明になった翌日の早朝。今日が日曜日という事もあって、トレーナーさんを見守るべくサトノグループのビルでそのまま一泊していた私たちを叩き起こしたのは、開発五課のヒトたちの雄叫びだった。

 

「いたって……、もしかしてトレーナーさんが見つかったんですか!?」

 

 近くにいたサトノの技術者さんを捕まえて尋ねる。すると彼女は興奮した様に頷いた。

 

「正確には武藤さんが閉じ込められているであろうプログラムを見つけたんです! でも反応はそこから出ているようですから、確実にそこにいます!」

「……やった! 皆を起こしてきます!」

「はい、どうぞ! ……それにしても、現実世界の武藤さんの変化もあったとはいえ、こんな短期間で武藤さんを見つけるなんて、開発五課ってただの変なヒトたちじゃなかったんですね……」

「あはは……」

 

 技術者さんの言いたいことは分かるから思わず苦笑いしてしまう。

 あのヒトたちの事はトレーナーさんとシリウスから聞いていたけど、本当に色々な意味でエキセントリックなヒトたちだから、そう思うのは当然だよね。

 でも技術力は相当あるらしくて、トレーナーさんの服がフィードバック機能のせいで弾け飛んだのを見るや否や、トレーナーさんへのフィードバックの信号を逆探知するプログラムを即席で作るんだから、本当に凄いヒトたちだよ。

 

「おっと、それより皆を「フジ先輩! トレーナーちゃんが見つかったって本当!?」「無事なんですか!?」「どうなんだ!?」「お前ら落ち着け」あらら、皆起きたみたいだね」

 

 でも手間が省けたよ。早速未だにハイテンションになってる五課のヒトに声を掛ける。

 

「それで、どうなんですか?」

「ああ、フジキセキさん。いやー、やっと観測出来ました。画像もありますけど見ますか?」

「お願いします」

「はい、これですね。皆さん怪我もなく無事のようですよ」

 

 そういってパソコンの画面に映し出されたのは空からの映像だ。平原があったりお城があったりとファンタジー世界のような映像の一角をドンドンとズームしていく。するとお城近くの平原で三女神様とトレーナーさんが皆で話し合ってる静止画を映し出した。

 四人ともけがもないようだし、それに画面から見ても分かる程に元気そうだ。よかった……。

 

「確かに無事なようだ……。だがこの世界はなんだ?」

「それについてはまだ解析中です。少なくともファンタジー系のゲームの世界であることは確実ですが」

「おい、トレーナーか三女神に通信は出来ないのか?」

「その件なのですが、私たちも通話を試みているのですが、どういう訳か上手く行かないんです。こう、同期ずれに近いんですよね。」

「え、何で?」

「現在調査中です。ただ観測していてわかったのですが、あの世界に閉じ込められている4人ですが、通常ではありえないレベルの速度で移動しているんです。もしかしたらそれが関係しているのかもしれません」

「救助は出来ませんか?」

「今はまだ。救助をするにしても4人が閉じ込められているプログラムをある程度解析しないといけません。もう少々お待ちください」

「そうですか……」

 

 すぐに助けだせないのは残念だけど、トレーナーさんと三女神様の無事が確認できたのは大きな前進だ。これまでずっと不安しかなかったけど、元気そうな姿を見たお陰で肩の荷が下りたよ。

 

「しかし……、封印プログラムがファンタジー世界なのは一体どういう事だ?」

「私が知る訳……、いやもしかしたら何かしらの意味があるかもしれねぇな。おい、この画像で4人が何を話しているか解析できないか?」

「ええ、元々は動画ですから出来ますよ」

「なら、やってくれ。あの4人の会話の何にヒントになるかもしれねぇ」

「分かりました、やってみます。相手が滅茶苦茶速いから、ガッツリスロー再生して、読唇プログラムを起動してっと……」

 

 シリウスの提案に五課のヒトが手早くノートパソコンを操作して、皆に見えるように画面に出してくれた。そこに映し出されていた字幕には――

 

 

 

バイアリーターク「そういう訳だ。よろしく頼むぞ主」

ゴドルフィンバルブ「よろしくね旦那様?」

ダーレーアラビアン「期待しているよご主人様」

 

 

『はっ?』

 

 この時、この場にいる全員の気持ちが一つになったよ。……トレーナーさん、帰ってきたらお話しよう?

 

 

 




最悪のタイミングを切り抜かれたせいで、チーム全員のハイライトが消えました。
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