FAIRY TAIL〜Reverse Of Demon〜 作:暁桃源郷
チートにしてもつまんないしなぁ。
ルーシィ。
そんな彼女は今、彼女自身が契約している時計の精霊『ホロロギウム』の中におり、周りをエロザル、バルカンに回って踊られている。
しばらくしてバルカンが踊り終わるとジー、とルーシィを見つめるこの間およそ一分弱。
遂に時間切れが訪れた。
ホロロギウムが光となって空に消える。
「ちょ・・・・ちょっとォ!!ホロロギウム!!!消えないでよ!!!」
『時間です。ごきげんよう』
「延長よ!!!延長!!!ねぇっ!!!」
空に消えたホロロギウムに向かって叫ぶが既に居ない者を呼んだところで返事が返ってくるわけがない。
力の無いルーシィが当然凶悪モンスターに素手でかなうわけがない。
それを知ってか知らずか更にテンションを上げて鼻息を粗くする。
もう、ダメだ・・・・。
そう思った時ルーシィとバルカンの間で何か黒い影が通り過ぎる。
一体何が?
黒い影の行き先に視線を向ける。
土煙が晴れ現れたのは土煙で蒸せている木刀を携えた少年だった。
「ケホッ!ケホッ!ナツテメェ!何しやがる!?」
「何だよ!良いじゃねぇか別に!減るもんじゃねぇだろ!」
「減るよ!主に人間としての尊厳なんかが!」
「二人とも喧嘩してる場合かしら!?」
ピンチのルーシィを無視して喧嘩を始めるレイとナツ。
そしてそれをツッコむルーシィ。
更に置いてけぼりのバルカン。
「ウホォォォォォォ!!!!オデを無視するなあァァァァァァ!」
ついに我慢できなくなったのはバルカンが胸を叩きレイに向かって走る。
それに気付かずナツと喧嘩を続けるレイ。
「危ない!レイ!」
「だいたいテメェは何時も何時も・・・・・」
ルーシィが気付きレイに向かって叫ぶ。
しかしそれでもレイはナツとの喧嘩に熱中して気付かない。
だと言うのに・・・・。
「ウホ!?」
「うそ・・・・・・」
吸い付くようにレイの拳がバルカンの顔面にめり込んでいく。
ん?と不思議そうな顔をしてルーシィを見ようとすると今度は左手に持った木刀がバルカンの顔に直撃してバルカンはナツが居る方向に飛ばされる。
「どうした?ルーシィ?」
「いや、えっと・・・・」
言葉が出ない。
バルカンの顔面に拳が盛り込んだだけなら偶然だと思えた。
しかしその上木刀のダブルパンチ。
偶然にしては出来すぎている。
「で、ルーシィ。何?」
「だ、だから・・・「火竜の鉄拳!」うわぁ!」
バルカンがナツの方に飛んで行ったわよ!
そう言おうとして今度はナツの方からバルカンがレイとルーシィの間を通り抜けて勢いが落ちずそのまま壁に激突する。
「何すんのよ!」
「あ、悪ィ悪ィ」
「挟まったよ!」
ハッピーの言葉に全員がバルカンの飛んでいった先を見る。
既にバルカンは気絶していて壁に空いた穴にお尻が挟まった状態で逆さまになっている。
「あーあ・・・・。この猿にマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」
「あ!!そうだった」
「この猿マカオの居場所知ってんのか?」
レイが倒れたバルカンの頭を叩く。
何度も何度も叩いていると次第にバルカンの身体にレンガのような模様が浮かんでくる。
その模様から光が漏れでる。
まるでそれは手抜きされたレンガ塀から光が漏れ出ているようだ。
光がバルカンを包みボウウンと消える。
すると中からボロボロの男が現れた。
「サルがマカオになったーっ!」
その男こそナツとルーシィとハッピーが探していたマカオその人だったのだ。
「バルカンに
「
「身体を乗っとる魔法だ。バルカンは人間を
ハッピーの言葉にルーシィが疑問を抱く。
その疑問にレイが答える。
そんなことをしているとずるっとぽっかり空いた穴から落ちる。
急いでナツが穴から飛び降りマカオの足を掴む。
更にナツの足をハッピーが掴みハッピーの尻尾をルーシィが掴む。
しかしか弱い少女が男二人に猫一匹、持ち上げられる訳がない。
それを見ていたレイが溜め息を付きルーシィの腹に腕を巻き持ち上げようとする。
「重っ!」
「ちょっと!失礼ね!私は重くないわよ!下の三人でしょ!?」
「えぇ!?オイラも!?」
とばっちりを食らうハッピーに同情しながらレイは更に力を入れる。
「ダメだ!持ち上がらねぇ!」
「私に任せて!」
ルーシィはハッピーから片手を放す。
更に重くなりレイはコイツ何考えてんの!?アホなの!?死ぬの!?等と考える。
ルーシィが腰のホルダーから金の鍵を取り横に掲げる。
「開け!金牛宮の扉!『タウロス』!!!」
「MOー!」
「精霊・・・!?」
現れたのは大きな斧を背負った牛男だった。
牛男は目をハートにしてルーシィの17歳にしては成長した胸をみる。
「ルーシィさん!今日もナイスバディで・・・・MOoooooooooooooooo」
召喚する場所が悪かったとしか言いようがない。
タウロスと呼ばれた牛男はあろうことか空で呼ばれ何も出来ずに落ちていった。
「ダメじゃねぇか!?」
「ごめんタウロス!」
「何でもいいから早くしてくれー!」
「オイラもうダメ・・・・」
「・・・・・・・ルーシィ。ちょいと我慢しろよ」
ルーシィが聞き返すよりも前にルーシィの身体が上へと動く。
それに連鎖するようにハッピーもナツもマカオも上がっていく。
そして時間が流れること5分。
ようやく全員が登り切り休む暇もなくマカオの治療に取りかかる。
しかし
「・・・・・・・・脇腹の傷が深いな。ナツ」
「おう」
レイに呼ばれたナツが手に炎を纏いマカオの脇腹に押さえつける。
ただ現在ナツの手は超高温になっていて当たっただけで酷い火傷になってしまう。
だからマカオはその痛みに耐えられずに叫ぶ。
暴れる。
あまりにいきなりのことにルーシィも目を丸くする。
「今はこれしかやれねぇ!我慢しろよ!マカオ!」
「ルーシィ、マカオを押さえてくれ」
「う、うん!」
苦しみ暴れるマカオに向かって激励を送るナツ。
ナツとは対照的に暴れるマカオを押さえながら至って冷静にルーシィに指示を出すレイ。
二人を見てルーシィは思った。
二人ともやってることは反対だが見ている方向は同じであると。
かたや桃髪の少年はマカオを助けるために感情的になり、かたや黒髪の少年はマカオを助けるために冷静に判断し指示をだしている。
ナツのマカオへの行いもそうだ。
今の持ち物では止血出来ない故の緊急措置。
「死ぬんじゃねぇぞ!『ロメオ』が待ってんだ!」
痛みのせいか意識を取り戻したマカオが何かを呟き出す。
「くそ・・・。な、情けねぇ・・・。ハァ、ハァ・・・。十九匹は・・・倒し、たん、だ」
ルーシィはマカオの言葉に言葉を失う。
一匹だけでも(二人のせいであまりに感じないが)厄介なバルカンを十九匹も倒したと目の前のボロ雑巾みたいな男は宣った。
隣にいるレイ。
前にいるナツ、斜め前にいるハッピーを見るが誰も驚かない。
「うぐぐ・・・。二十匹目に・・・・
「はいはい。分かったから喋んな。ただでさえ応急処置なんだ。喋れば死ぬぞ」
深刻なことをまるでそれが深刻ではないかのように言うレイ。
しかし少年の目はあまりにも深刻な目をしていた。
マグノリアのとある道のイスに座って本を呼んでいる少年がいた。
すでに日は落ち当たりも暗くなっている。
その少年に向かって向かってくる四人と一匹の人影。
少年がその人影を認識すると顔を明るくして立ち上がる。
そして少年が思い浮かべたのは・・・・・
『なーにが
『あんなの酒ばっか飲んでる奴等じゃんか』
『ち・・・・違うわいっ』
『魔導士は腰抜けだーい』
『オレは大きくなったら騎士になろーっと』
『魔導士は酒臭いもんね!』
父をバカにされ・・・・・
『父ちゃん!すっごい仕事行ってきてよ!オレ・・・・このままじゃくやしいよっ!』
危険な仕事に行けと言ったこと。
「父ちゃんゴメン・・・。オレ・・・」
次第に顔は曇り少年の目に涙が浮かぶ。
少年の名はロメオ。
マカオの息子だ。
「心配かけたな。すまねぇ」
「いいんだ・・・。オレは魔導士の息子だから・・・」
「今度クソガキどもにからかわれたら言ってやれ。テメェの親父は怪物十九匹倒せんのか!?ってよ」
マカオの言葉にロメオは涙を流しながら笑う。
そしてすでに去ろうとしている三人と一匹の影を見て手を振る。
「ナツ兄ー!!ハッピーー!!レイ兄ー!!ありがとぉー!」
「おー」
「あい」
「ういー」
ロメオの言葉に三者三様な反応をする。
「それと・・・ルーシィ姉もありがとぉっ!」
ルーシィが振り向きロメオに手を振る。
そこには笑顔の親子の姿があった。
しかし何か忘れてはいまいか?
「・・・・・・あ。溶けない氷忘れてた。どうしよ」
「よかったらこれあげる」
帰り道の途中、仕事を思い出したレイにルーシィが氷柱を渡す。
しかもその氷柱は夏季だといいのに溶けている様子はない。
「溶けない氷じゃねぇか!?なんで!?」
「タウロスが私にって持ってきたんだけど使い道ないし」
「まじでか!牛もルーシィもいい奴だなぁ!」
こうして、マカオを助けることに成功し、レイ本来の仕事もこなして万事解決となったのだった。
四話経って主人公の魔法出ないのうちくらいか?