FAIRY TAIL〜Reverse Of Demon〜   作:暁桃源郷

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毎回まえがき書けるようなボキャブラリーが自分にあると思うなよ!


家族以上恋人未満

ズドッと巨大な物を軽々と置くエルザを見てやはりエルザはある意味バケモノだと思うギルドの面々にたいしエルザは表情を崩さずに淡々とギルドの皆の顔を一瞥する。

 

「今戻った。マスターはおられるか?」

「おかえり!マスターは定例会よ」

「そうか・・・・」

 

ギルドの皆が声をあげない中、ミラジェーンだけが何時ものように返事をする。

今は引退して衰えたとは言えやはり彼女も元はエルザと肩を並べるほどの魔導士なのだ。

今までルーシィに迫っていた少年を見てほしい。

先ほどまでとは違いすでに新人のルーシィの背中にエルザから見えないように隠れている。

 

「え、エルザさん・・・・。そ、そのバカでかいのなんですかい?」

「ん?これか?討伐した魔物の角に地元の者が飾りを施してくれてな・・・。迷惑か?」

「い、いえ!滅相もない!」

 

ようやく声を上げるものが現れ周りの者は「よくやった!」や、「勇者だお前!」と心の中で口々に語るがエルザの返事にばうばうと後ずさる様子を見て「勇者は死んだ・・・」、「今までありがとう」など声を上げたものとの別れ(実際にはそんなことないが)を惜しむ者や「討伐した魔物の角・・・・か」、「すげ・・・」などとエルザの並外れた強さに感嘆する者と多種多様な反応を見せ始める。

 

「それよりお前たち。また問題ばかり起こしているようだな。マスターが許しても私が許さんぞ」

「な、何この人・・・・」

「エルザ!とっても強いんだ!」

 

入っていきなりの言いように混乱するルーシィと何時ものことだと言う風にあまり気にせず説明するハッピー。

更に一人と一匹の間でプルプル震えるレイ。

何故先ほどから何をしているのか、とルーシィが聞こうとするが話を聞く気が無いようでずっと「I am air」と連呼している。

そんなことが起こっていると知らないエルザはギルドの面々の行動を注意している。

女性とは思えないはしたない格好で飲んでいるカナに、ギルドの中で踊っていたビジターに、タバコの吸い殻を落としたとも気付いていない『ワカバ』に、相変わらず依頼板(リクエストボード)の前をウロウロしてばかりのナブに、そして・・・・・。

 

「レイ」

「!」

 

ぐいっとルーシィの後ろに隠れているレイを見る。

レイが肩を一瞬震わせると先ほどまでの肩の震えは止まりサッと立ち上がるとエルザを見る。

その目にはすでに恐怖など微塵もない。

 

「お帰りエルザ。土産は?」

「この角だが?」

「うちにそんなバカでかいもん置くスペースはねぇ!」

「・・・・・・迷惑か?」

「あぁ迷惑だ」

 

周りから「おい、バカ!」「殺されるぞ!」などの声が聞こえてくるがレイはその一切を無視して角に手をかける。

何をするんだろうかと全員の視線を集めた瞬間レイがその角を持ち上げる。

 

「コイツは俺が処分する。いいな?」

「・・・・・・・・あぁ」

 

そのままレイはギルドの外に出ていってしまう。

一連の動作を見ていたルーシィは何も言えなかった。

自分より少し小さな少年が巨大な角を持ち上げたからでもエルザと呼ばれた少女に冷たく接しているからでもない。

ルーシィが言葉を失ったのは冷たく接去れているはずの緋色髪の少女が笑っていたからだ。

 

「・・・・・・ところでナツ、グレイ」

 

しばらく間を置き次はエルザはナツとグレイに向き直る。

安心しきっていた二人からは嫌な汗が流れだし始め、お互いに肩を組む。

余談ではあるのだが、二人がエルザを恐れるのには理由がある。

ナツは昔エルザに喧嘩を挑んでボコボコにされ、グレイは裸で歩いているところを見つかりボコボコにされたのだ。

 

「二人とも仲が良さそうでよかった。実は二人に頼みたいことがある。仕事先で少々厄介な話を耳にしてしまった。本来ならマスターの判断をあおぐトコなんだが早期解決がのぞましいと私が判断した。二人の力を貸してほしい。着いてきてくれるな」

 

エルザな言葉に周りがまたいっそう騒々しくなる。

そもそもエルザは人を誘うことなど滅多にない。

あったとしてたまにレイを連れていくくらいなものだ。

もっともレイが断ろうが問答無用で引きずり連れて行ってしまうのだが・・・・・。

 

「ただいま~・・・・・って、何?この空気?」

「レイか。ちょうどいい。お前も力を貸せ。異論は認めん」

 

角を処分してきたのか角は持っておらず代わりに何処かで買ったであろうジュースを飲んでいる。

エルザはレイに近付き肩を掴む。

レイは肩を掴むエルザの手を見ながらエルザの手を放そうとする。

しかしいっこうに放れない。

 

「え?何を?どうして?」

「とりあえず打ち合わせをするぞ。久しぶりに私が昼飯を作ってやろう」

「え?いや、別に俺行くって・・・・・。なんでもありません。好きなだけお供するので睨まないで下さい。後なんか肩ギシギシなってるんで放して下さい。ちゃんと着いていくんで」

 

先程までのブーブー言っていたレイにエルザが一睨みで蛇に睨まれたカエルの様に縮こまる。

そのままエルザとレイはギルドを出ていく。

それを見ていたルーシィがしばらく二人が出ていった扉を見てハッとして追いかける。

二人のいった先にあったのは先程の角が引っ付いた奇天烈な建物があった。

 




やっと電車に乗れる。

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