インフィニット・ストラトス サヨナラノツバサ   作:チャーハン好き

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03 賭け試合

「さて、今日はクラス代表を決めるぞ」

 

翌日、授業が始まるやマドカが切り出した。

 

「自推、他薦は構わん。出ないなら抽選で決めるぞ?」

 

マドカが言い終ると、クラスがシーンとなった。その束の間

 

「はい!フォッカー君が良いと思います!」

 

「あの『撃墜王イチカ・フォッカー』の息子ですよね?だったら俺もフォッカーを推薦します!」

 

カノンを推す声と共に、クラス中からカノンへの推薦の声が上がった。

 

「カノンに推薦多数…どうする?」

「…俺はやりませんよ」

 

マドカが訊くが、カノンは拒否した。

 

「そもそも、何処から聞いたのかは知らないが、俺と親父のイチカ・フォッカーはそもそも関係ない。名声だけの推薦は止めてくれ」

「…お前の意見は尤もだ。だが、クラスの意見も大事だ」

「俺はやりませんからね」

 

これには、マドカも黙り込む。少しの間、クラスが静かになったが、やがてマドカの方から口を開いた。

 

「よし、カノン。1つ賭けをしよう」

「賭け、ですか?」

「そうだ」

 

それを聞き、クラス中が聞き耳を立てる。

 

「お前と私は、この学園内では数少ない専用機持ちだ。そこで、来週に私と対戦してもらう」

「マドカ先生、とですか?」

「マドカ先生と対戦するって言うの?」

「お、面白そう」

 

マドカからの提案にクラス中が聞き入った。その中をカノンだけが冷静に対応する。

 

「いいでしょう。受けて立ちますよ」

「「「「「おぉ!!!!」」」」」

 

クラスはカノンの受諾宣言に沸き上がった。

 

「でも、マドカ様は専用機の VF-5 共々赤い彗星の異名を持っているのよ?」

「でも、カノンも専用機持ちだっていてるぜ!」

「その通りだ。私はともかく、カノンはあの VF-6S の持ち主だ」

「「「「「えぇぇぇぇ!?!?」」」」」

 

マドカのカミングアウトにクラスは驚きに包まれた。

 

「V、VF-6S って、あの…?」

「たった 1 機しか生産されなかったあの幻の特注機を…?」

「マドカ先生、収拾は任せますよ」

「お前も準備はしておけ。よし!ヒヨッコ共、授業を開始する!」

 

こうして、学園生活 2 日目が始まった。

 

 

 

「これまた、面白そうな事を始めましたね」

「まぁ、貴方の暇つぶしにはピッタリだと思いますよ」

「暇つぶしの域を越えてるわよ」

 

昼、カノン達が食堂でワイワイ騒ぎ合っている頃、マドカは鈴と共に学園長室に訪れていた。

学園長室内にて、昼食を採っていた人物が先代 IS 学園長を務めていた轡木重蔵、その人である。

 

「まぁ要件は分かってますよ。グランドの方は使ってくれても構いません。ただし、安全の範囲内でお願いしますよ」

「分かってますよ。それでは…」

 

そう言いながら部屋を後にするマドカ。1 人残された鈴に学園長が口を開いた。

 

「それにしても、4 月が来ると毎年思い出しますよ。貴女の旦那さんが入学して来た事と、決闘を持ち掛けてきたオルコットさんを半殺しにして勝利した事が、つい昨日の様に思えましてね」

「イチカが…ですか?」

「えぇ。あの頃はまだ、世間が結構荒れていた時期でしたから、当初はイチカ君も暗い顔をしてましたよ」

「そう…でしたか…」

イチカの話題になった途端、鈴は暗い表情になった。だが、鈴はその表情を見せまいと窓の外の景色を眺めるのだった。

 

 

 

「今日は2年生の実技授業の見学だ」

 

そう言いつつマドカ達1組はグランドに来ていた。そこでは 2年生のクラスが学園の練習機で、昨年度の復習を兼ねた準備運動をしていた。その内容は、腕立て伏せ、腹筋、組体操等々。

 

「すげぇ…」

 

男子達が口を揃えて呟く。

2 年生達が使っているのは VF-6M『イングラム・エコノミー』。

通常型のイングラムを訓練用に改修した機体だ。だが、緊急時には通常型のイングラムの武装を使う事が出来る。

これがイングラムシリーズの、どんな機体の武装でも扱う事が出来るという最大の売りだ。

 

「いいか、ヒヨッコ共。今年中までにはあのように組体操まで出来る様に指導する。しっかり、付いて来い!」

 

 

 

そして日にちは流れ、対戦前日 午後 9 時

 

「オラ〜イ!オラ〜イ!」

「ゆっくり降ろせ!ギアのアタッチメントだって安くないぞ!」

 

この日、カノンの専用機が到着した。

 

「カノン君!持ってきたぞ!」

「相変わらずですね、タカトクさん」

 

機体が着地するや否や、カノンはタカトク持前のハイテンションに振り回され始めた。

「まさか、親子2代の機体の整備に携わるなんて思ってもみなかったぞ!」

「そりゃ、どうも…」

 

タカトクが言うのも尤もだ。

もしこの場にイチカが居たら、カノンと同じくため息を吐いているだろう。

 

「君がこんなピーキーな機体を扱っていると聞いたら親父さんも喜ぶぞ!」

「親父は関係ないですよ…それよりもとっとと始めちゃいますよ」

「イチカ君以上に釣れないなぁ、君は…」

 

そう言いながらも、タカトクはカノンと共にコックピット周りの改修を始めるのだった。

 

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