インフィニット・ストラトス サヨナラノツバサ 作:チャーハン好き
対戦日当日
この日、グランドの端には 1 組の生徒達、1 組の噂を聞いた他クラスの生徒や教師、そして何故か、チアガールの格好をしたコミリアが居た。
その生徒教師達が見つめる先には、一方の端に赤い機体、背中に特徴的なバインダーとロングバレルのピストルを保持し、右手に大型のバズーカを持たせた赤い機体 VF-5『リックディアス』が。
もう片方の端には、白と黒のカラーリングが特徴的な、ゴーグルアイを持つ、スマートな機体、VF-6S『イングラム・メデゥーサ』が立っていた。
『ルールを説明します。今回の対戦時間は 10 分。その間にマドカ先生が敗退、もしくは相打ちとなった場合はカノン君の勝利。カノン君が敗退した場合はマドカ先生の勝利とします。武装はペイント弾とサーベルのみとします』
校舎側の演説台に乗って、学園長がメガホンでルールを説明した。
『それでは両者、構え!』
学園長の合図で、対峙していた僚機が脚部スラスターを吹かしてホバリングを開始する。
「行け―!カノン!」
「マドカ先生!頑張ってください!」
「フレー!フレー!カ・ノ・ン!」
2 機が起動した事でグランドから歓声と声援が上がる。
特に人一倍に応援を上げていたのが、チアガールの格好をしたコミリアだった。
『カウントかい「ちょっと待った」何か、問題でもカノン君?』
「ルールの変更を希望する」
カウントダウン直前にしてカノンの一言で辺りは静かになった。
『……聞きましょう』
「相打ちで俺の勝利だという条件、相打ちだと俺の負けにして欲しい」
『何ですと…?』
「カノン…本当にそれで良いのか?」
「あぁ。俺は別に構わない」
その内容を聞いたマドカは少しの間、黙り込む。やがて、困った笑顔を浮かべながら口を開いた。
「…相変わらず、昔から面白い奴だなお前は。学園長、始めてくれ」
『そうですか…では改めてカウントを開始します。10 秒前…』
再び、カウントダウンが開始された。
2人はそれぞれに、自機のアームレイカーを握りしめる。
『…3…2…1…開始!』
かくして、2 人の勝負が開始された。
最初に攻撃を開始したのはマドカだった。
右手に持たせたバズーカからペイント弾を撃ち込むが、カノンは上昇して回避し、ダミーバルーンを手から放出。
それを目くらましとして利用し、逆にマドカへとペイント弾を放つ。
だが、マドカは更にバズーカを撃ち込む。
次の瞬間、ペイント弾が着弾した事で、ダミーバルーンに内蔵されていた信管が作動し、爆発が発生した。
その爆炎の中を VF-6S がライフルを連射しながら接近する。
「甘いな!」
マドカはそう言うなり鋭いターンで攻撃を回避し、接近した VF-6S の後ろに回り込む。
「は、速い…!」
カノンは咄嗟にバックステップで躱し、逆にマドカへと接近する。
「おっ、腕を上げたな」
「そこぉ!」
カノンは左手にライフルを持たせてマドカを牽制し、右手にビームサーベルの柄を握る。カノンの意図に気づいたマドカがバズーカを撃ち込むが、僅差で逆制動を掛けたカノンに躱され、逆にバズーカを左手で弾かれる。そこへ勢いよくサーベルが振り下ろされ、バズーカを両断した。
瞬時に後退する VF-5、それを追う VF-6S。
再び斬撃を浴びせようとするが、その前にマドカがサーベルを出して受け止めた。
「まだまだ踏み込みが足らんな!」
「チィ!」
不利と見たカノンは、サーベルを振り払って後退する
が、マドカはニヤリと笑い、背中のバインダーを外して VF-6S に投げつける。
「バインダー1つ位…っ!?」
バインダー1つと侮っていたカノンはバインダーを弾いた直
後、回避運動をする事になった。
理由は、バインダーを弾く事を見通していたマドカによって、背中のビームピストルによる高角射撃を受けたためだった。
見事に動きを読まれていたカノンは、咄嗟に下降してライフルを向けようとした途端、今度はライフルにマドカが投げつけたビームサーベルが直撃し、ライフルが爆発した。
「この距離を1撃で…!?」
「よく立ち止まってられるな!」
一瞬の隙を突いて、マドカがサーベルで斬りかかるが、カノンはスラスターで躱す。だが
「2手3手、先を考えろ!ヒヨッコ!」
「ぐっ!?」
躱した直後に、VF-6Sの脇腹に回し蹴りが炸裂し、VF-6S が錐もみしながらグラウンドに落ちていく。
だが、直前に制動を掛けたのか、VF-6S は着地するや直ぐに戦闘態勢を取った。
「着地して直ぐに戦闘態勢を取るとは…手慣れてきたか」
マドカもすぐさまグランドに降り立ち、両者が再び対峙する。
「更に出来る様になったな、カノン…だが、時間もない…」
マドカはそう言いながらビームサーベルを構える。
「…良いぜ、やってやるよ」
マドカの意図に気づいたカノンもサーベルを構える。だが…
「っ!?変圧器の調子が悪い…」
たった 1 機だけの特注機。それ故に、サーベルの変圧器が安定しない事が今になって発覚した。
「行くぞ!」
「っ!」
だが、マドカは待ってくれない。サーベルを下段斬りで斬りかかるが、カノンはハンドシールドで受け止める。
まだ、変圧器は安定しない。
そこで、カノンはVF-5の頭部を掴む。
「甘いな!タカがメインカメラ1つ!」
メインカメラを抑えられてもマドカは余裕だった。
まだ空いていた左手に握り拳を取らせ、VF-6Sのコックピット付近に殴りこむ。
「うぉっ!?」
殴りこまれた VF-6S は呻き声と共に、グラウンドへ仰向けに倒れこむ。
「貰ったぁ!」
絶好のチャンスと見たマドカは大きくジャンプし、VF-6S の頭部に向けてサーベルを構える。
「っ、まだだぁ!」
カノンはまだ安定しない変圧器に機体のエネルギーを無理矢理流し込み、刀身を形成させる。
両者、互いの頭部に向けてサーベルを構えた。そして…
「相打ち、か…」
「あと、少し…だったのに…」
差し出されたサーベルは両者の頭部のみに直撃した。
その直後、両者の頭部が爆発し、グランドに破片が散った。
『両者そこまで!ルールに基づく規定により、両者相打ち!マドカ先生の勝利!』
「「「「「「オおおおお!!!!!」」」」」」
マドカの勝利という結果が公表された途端、グラウンドからは2人の健闘を称える拍手と歓声が広がるのだった。