インフィニット・ストラトス サヨナラノツバサ 作:チャーハン好き
「…メインカメラ…正常…グリップ変圧器…」
数日後、カノンは修理を終えた VF-6Sの起動運転と慣らしを、総合グラウンドの端っこでやっていた。
「…正常…パワーフローに異常なし」
右手に持たせたビームサーベルを 1 振り、2 振り、振ってみて変圧器が正常に働いている事が確認できた。
これも、何時もハイテンションでやたらと作業が速いタカトクのお蔭だ。
タカトクが VF-6Sのデータ収集の為、学園に残ってくれたお陰で、本来なら純正パーツ等で1週間近く掛かる頭部
の修理を、教師専用イングラムのパーツを流用、サーベルの変圧器に至っては、自前で造り上げるという阿修羅の如き手腕を発揮して、僅か 5 日間で終わらせたのだ。
その能力の高さは、カノンですら問題なしと言わせる程のモノだ。
「お〜いカノン!来たよ〜」
「お、来たか」
そこへ飛んできたのは、
「相変わらず、派手な赤だなぁ」
「これでもこの学園一の最新鋭機だよ〜」
赤い派手な塗装を施された、背部のバインダー兼ハードポイントが目立つ、スタイリッシュな体系の機体『VF-7S・フルバーニアン』。
第4世代型バルキリーであり、月面FF基地所属の黒兎隊のみに配備されている百式のセカンドステージシリーズの 1 番機だ。
これ自体は高価なのだが、束とタカトクがメルトランディの血を引くコミリアに譲渡したのだ。
しかも、コミリア用に所々改造を施されており、その中身は4.5世代機と言っても過言ではない。
「お前、よく動かせるよなぁ。そのピーキーすぎる機体なんか」
「だったら、カノンも早く乗り換えなよ」
「俺はこのメデゥーサが気に入っているんだ」
カノンのVF-6S/イングラム・メデゥーサは機動性と格闘戦が売りの機体、コミリアの VF-7S は多武装と 1 対多の戦闘スタイルが売りの機体なのだ。
「まだ時間もあるし、模擬戦でもしよ?」
「おう良いぜ。じゃあ「私も混ぜて貰おうか」え?」
「うひゃはあ!?」
模擬戦のルール決めをしようとしたカノンの無線通信の中に、よく知っている声が乱入した。それと同時ににコミリアの機体がペイントまみれになって着地した。
それをやった犯人というのが…
「さあ、この学園一古い機体を使う私が相手になってやろう」
「マ、マド姉!?」
なんとマドカだった。
しかもカノン同様、修理を終えたVF-5でペイント弾仕様のバズーカをVF-6Sに向けていた。
「機体性能が戦力の決定的差では無い事を教えてやろう」
VF-6Sのコックピットウインドに笑顔でサムズアップするマドカが映し出された。
「む、無理ゲーだろ…」
「行くぞ!」
こうして、マドカによる一方的な蹂躙劇が始まった。
それは、格納庫を占める時間ギリギリまで続いた。
4 月 27 日
この日、F 学園では学年別トーナメントが行われようとしていた。
その事もあり、アリーナが幾つもあるエリアでは生徒達で賑わっていた。
『さぁ!トーナメントも大分盛り上がってきました!お次の選手は…オオッと!皆さんお待ちかね!専用機持ち同士の対決です!』
アナウンサーと共に歓声が弾け、その海上に面した舞台に VF-6S、VF-7S、カノンとコミリアが対峙した。
「ねぇカノン、勝ったら一番高いパフェ、奢ってよね?」
「いいぜ。俺が勝ったら極上黒毛和牛のサーロインステーキ、奢ってもらうぜ?」
「なら、私が勝つ!」
「それは俺のセリフだ!」
『両者、構え!』
審判の指示で両者、互いにライフルを構えて突撃体勢に入る。
『…3…2…1…開始!』
ブザーと共に歓声が沸き上がった。