日高家の墓の前で…
濱「京子さん、アタシたちにもお参りさせてくれる!」
京子「すみません!」
大知と瑠理が、揚羽が持たせた饅頭をお供えする
濱親子と瑠理は、手を合わせる
濱「(心の声)日高さん…あなたは警部になったそうです…」
そこへ…
墓石に牛乳がかかる
少年「ハハハハハハハハ」
大知や瑠理と、あまり変わらない年頃の3人の少年が、バカ笑いしている
大知「あ!海津孝介!」
大知が牛乳パックを持って、勝ち誇る少年を指差す
孝介「ミルクタンクん家の墓だからな!どうだ、嬉しいだろ!」
大知「ふざけるな!」
大知が孝介に飛びかかる
子分2人は、そのまま、逃げていった
濱は何もできずにアワアワしていたが…
それから、しばらくして…
誰かが大知を引き離すと、孝介の頭にゲンコツをお見舞いする
金田一フミ「ふざけるなよ!」
フミが怒りに満ちた形相になっており、濱と京子は、恐怖のあまり、固まってしまう
フミ「アンタみたいなヤツに、『こうすけ』を名乗る資格なんかない!」
フミは完全に激怒している
さらに…
森下達美「捕まえたわよ!」
達美が子分2人を両手に下げて、現れる
子分2人はタンコブだらけで、失神している
達美のとなりにいた瑠理は、大知にアイコンタクトする
どさくさに紛れて、瑠理がフミたちを呼びにいっていたのだ
真壁「実は近隣住民から、苦情があってな…そばで待機させてもらってたよ」
真壁と数人の刑事も現れる
真壁「お前たち、不動小学校の3年生だよな…小学生だからって、何でも許されると、思うなよ!家と学校に、しっかり報告させてもらうからな!」
孝介と子分2人は、のびたまま、真壁たちに補導されていった
大知「達姉ぇ、ありがとな!」
その頃、徹は華連が運転する覆面パトカーの助手席に乗っていた
華連「やっぱり、徹くんも、変だと思ってたんだ!」
徹「そうなんです!」
徹は手書きの広告を出していた
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徹の回想にて…
???「お願いします!」
義足の少年が徹に広告を渡す…日高京子の兄の雄一郎だった
車イスの少女「署名、お願いします!」
義足や車イスの少年少女が、不動山市の駅前で、広告配りや署名活動をしていたのだ
徹は広告に目を通す
徹「『早乙女先生は、お巡りさんを殺していません』って…」
徹の目の前の、日高雄一郎の目つきは、真剣になっていた
雄一郎「早乙女先生、厳しい所もあるけど…オレ、自信持って言えます…絶対にそんな事していないって…」
徹には雄一郎がウソをついているようには、見えなかった
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華連「そんな事あったんだ!」
華連は運転しながら答える
徹「それに、ペットボトルの中身の灯油なんて、ドブに捨てれば、確実に証拠隠滅できるのに…わざわざ、エアコンの室外機の後ろに隠すのも、変ですよ!」
そこへ、華連のスマホが鳴る
華恋「徹くん、ゴメン!運転中にスマホ使ったら、怒られちゃうから、代わりに出てくれる!」
徹「分かりました!」
徹は華連のスマホを手に取る
徹「川原さんです!」
徹はスマホの通話ボタンを押す
徹「川原さん、深山徹です!」
川原「徹くんか!華連は一緒なのかな?」
徹「はい、華連さんが運転中なので、僕が代わりに出ました!」
徹は華連の方に視線を向ける
川原「実は、月江茉莉香さんのお母様からの情報提供があってね…大至急、行ってほしい所があるんだ!」
―――――――――――――
徹「ここ…みたいですね!」
徹と華連は、川原に教えられた、一軒のラーメン屋の玄関にいた
ドアには『準備中』の札が出ていた
徹はドアを開ける
徹「すみません…」
中には、白い法被を着た年配の男性店主が、新聞を読んでいた
店主「何かな?」
店主は新聞を畳んで、イスから立ち上がる
華連「白狐村所轄の川原です!」
華連は警察手帳を出す
店主「おぉ、君が『華連』ちゃんか!」
店主は一瞬、驚いた表情になったものの、そのまま、厨房へ入っていく
店主「座って待ってなさい!」
華連と徹は、テーブルに座る
徹「あれ!」
徹は新聞を手に取る
記事の見出しには、【容疑者!5件の放火を自供!】と出ていた
徹は記事を読み進め…
徹「こんなの、完全に拷問ですよ!」
徹は華連に新聞を渡す
『早乙女涼子を、46時間もの間、一睡もさせないで尋問し、放火を自供させた』事が、こと細かに記載されていた
華連も表情がゆがむ
徹「下の方も読んでもらえますか?」
記事の下の方には…『早乙女容疑者は、高校生時代、理科室から硫酸を盗み出し、傷害致死事件を起こした前科もあった』と記載されている
そこへ…
店主「お代は要らないから、食べていきなさい!」
店主は分厚いチャーシューが5枚入ったラーメンを、徹と華連に出す
徹「いいんですか…こんな…」
徹は驚いていたが…
華連「どうしたの?食べなよ、徹くん!」
華連は既に食べ始めていた
徹「い…いただきます!」
徹もラーメンに箸を付ける
店主もイスに座り、新聞を手に取る
店主「まさか、茉莉香と同じような事していたとはな…」
その一言に、徹が反応する
徹「月江茉莉香さんの事、ご存知なんですか?」
徹は驚いていたが…
華連「何言ってるの、徹くん!!茉莉香ちゃんのお父さんなんだから、当たり前じゃん!」
徹「えっ!!」
徹自身は初耳だったが、このラーメン屋の店主こそ、茉莉香の実父だったのだ
茉莉香の父「茉莉香の死に目にも合えなかった、こんな老いぼれ…父親失格だよ!」
徹「そそそそ…そんな事ありませんよ…このラーメンすごく美味しいです…生前の茉莉香さんが、料理上手だったのは、父親似だったんですよ!」
徹はあわててフォローしようとするが…
茉莉香の父「茉莉香のワガママで独善的な性格を、矯正してやる事も、できなかったからな!」
天井を向いてつぶやく茉莉香の父に対して、徹はアワアワする
茉莉香の父「じゃが…女房が霧谷健三さんと再婚した事を、ワシは決して、反対しておらんのだよ!」
徹「えっ?」
茉莉香の父「『白狐村に引っ越した事で、妹ができた』と、茉莉香は張り切っていたんだよ!」
天井を見上げていた茉莉香の父は、徹の方を向く
徹「妹さんって…霧谷凛さんの事ですよね!」
徹は自信たっぷりで答えるが…
茉莉香の父「いや!お前さんの目の前におるぞ!」
徹「えっ…」
ラーメンを完食した華連が、両手でピースしている
茉莉香の父「茉莉香たちの犠牲があったからこそ、華連ちゃんはハーバード大学を卒業し、刑事になったわけだから、『茉莉香たちは、決して、無駄死にではなかった』…少なくとも、ワシはそう思っておるよ!」
茉莉香の父の話が終わるのと、ほぼ同時に、徹はラーメンを食べ終わり、スープを飲み干した
徹「ところで…僕たち、華連さんのお祖父さんからの話が気になって、来たんです」
徹は本題に入ろうとするが…
茉莉香の父「その前に、1つだけ、質問に答えてほしいんだが…今、食べたチャーシューの味は、どうだったかな?」
徹「どうって…絶品だったと思いますけど…」
華連「うん、味が染みてた!」
茉莉香の父「そうか…『日高さんの腕が、それだけ、上達していた』という事だな!」
―――――――――――――
はじめ「何だって!」
スマホで通話中のはじめは、驚きの表情になっている
徹「亡くなった日高さん…月江茉莉香さんのお父さんのラーメン屋で、修行してた事が分かったんです」
徹がはじめに電話している
徹「今までの4件の放火事件の時、早乙女涼子さんは、日高さんの修行の手伝いに行っていたんです!」
徹は雄一郎の言葉の意味合いに、改めて納得できた様子だった
茉莉香の父「徹くん、電話、代わってくれるかな?」
徹は茉莉香の父に、自分の折りたたみスマホを渡す
茉莉香の父「金田一くんか!君の話は霧谷健三さんから聞いていたから、君とこうして話せて、光栄だよ!」
はじめ「は、はぁ…」
電話を通してではあるものの、茉莉香の父の熱意に、はじめは緊張している
茉莉香の父「ワシが口止めしていたせいで、早乙女涼子さんが懲戒解雇になってしまった…こうなってしまった以上、何としても早乙女さんの冤罪を晴らしてほしいんだ…」
はじめ「分かってますよ!真犯人は、必ず暴いてみせます!『名探偵』と言われた、ジッちゃんの名にかけて!!」