早乙女涼子の天罰   作:水野大陽

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早乙女涼子の天罰〜中編2/2〜

 徹「ここですか!」

 

 華連は覆面パトカーを、私立の女子中学校の駐車場に停める

 

 華連「うん、日高さんの義弟の会沢英彦さんの勤務先なんだ!」

 

 会沢英彦を尋問するため、華連と徹は勤務先へ出向いたのだ

 

 大知「海津孝介の姉貴の由美の学校だよ!」

 

 徹「そうなんだ…って、大知くん、何してるの?」

 

 大知は華連の覆面パトカーの後部座席に潜んでいたのだ

 

 大知「オレだって、京子の父さんを殺したヤツを、許せねぇんだよ!!だからオレも手伝う!」

 

 大知はやる気満々の様子だった

 

 華連「ちょうど、いいや!!大知くん、車に乗っててくれる?この前、レッカー移動されそうになって、お祖父ちゃんに叱られたばっかりなんだ!」

 

 華連は舌を出す

 

 華連「そういうわけだからさ…誰かに見張っててほしくて…」

 

 大知「おぅ、任しとけ!」

 

 徹と華連は、大知に見張りを任せて、車を降りる

 

 徹「パトカーをレッカー移動されたら、大問題ですよ!」

 

 華連「パトライト着けるの忘れてたから、違法駐車だと思われたみたいなんだ!」

 

 徹と華連は、校門から出てくる生徒たちに聞き込みを始める

 

 女子生徒1「何でそんな事、聞くのさ?」

 

 華連「実は、アタシの妹が、来年、この学校を受験するから、リサーチしてたら、ここの学校の会沢っていう先生が、評判いいらしいんだ!」

 

 すると、女子生徒数人は笑い始める

 

 徹「何がおかしいんですか?」

 

 女子生徒2「だって、会沢のヤツ、海津に怒鳴られて、小さくなってたし…」

 

 女子生徒3「あ、海津っていうのは、ウチのPTA会長なんだ」

 

 女子生徒たちの話を聞き、華連は徹の腕を掴む

 

 華連「ありがとね!」

 

 華連は徹を連れて、その場を去る

 

 華連と徹が駐車場へ戻ると…

 

 大知「やめろよな!」

 

 大知の大声が響く

 

 

 ???「やんのか、このガキ!」

 

 いかにもガラの悪そうな女子生徒3人を、大知は怯まず睨みつけている

 

 子分と思われる女子生徒が、日高の義弟の会沢英彦を壁に押し付け、胸ぐらをつかんでいた

 

 徹「大知くん!」

 

 徹は大知に駆け寄る

 

 女子生徒1「誰だ、テメェ!」

 

 女子生徒2「関係ないヤツは、すっこんでろ!」

 

 徹「関係なくないです…僕はこの子の知り合いです!」

 

 華連「アンタたちこそ、関係ない輩じゃん!」

 

 華連も口をはさむ

 

 大知「兄ちゃん、こいつの弟だよ…この前、京子の父さんの墓に牛乳をぶっかけたの…」

 

 徹「えっ!」

 

 大知がリーダー格の女子生徒を指差す

 

 会沢「それに…こ、こいつら、タバコ吸ってたんだ…だから…」

 

 海津由美「コイツ、教頭にチクリやがったんだよ!」

 

 由美は会沢を壁に押し付ける

 

 華連「とにかく、暴力はダメ!」

 

 華連は強気に叫ぶ

 

 女子生徒1「すっこんでろ!警察呼ぶぞ!コラ!」

 

 華連「アタシに、何か用!」

 

 華連はそっぽを向いて、警察手帳を出す

 

 女子生徒は舌打ちする

 

 海津由美「会沢、今度、変なマネしたら、ぶっ殺すからな!」

 

 由美たちはいなくなる

 

 徹「大丈夫ですか?」

 

 徹は会沢を気遣う

 

 大知「今度、何かあったら、俺に言え!」

 

――――――――

 

 その日の夜…

 

 日高京子は公園のブランコに座っていた

 

 フミ「やっぱり、ここだったんだ!」

 

 フミはとなりのブランコに座る

 

 京子「お父さん、警察辞めるつもりだったんですか?」

 

 京子は悲しそうな顔をしていたが…

 

 フミ「それは違うよ!」

 

 フミは即答で否定する

 

 フミ「日高さんは、新しい夢を見つけたんだよ!」

 

 京子「えっ!」

 

 京子にはフミの言う意味合いが、理解できていなかった

 

 フミ「確かに、日高さんは警察を退職するつもりだった…でも、それは、月江さんのラーメン屋を、後世に残したかったからなんだよ…月江さん、20年前に娘さんを亡くしてるんだ…日高さんが妹さんと死別してるのと、同じで…」

 

 フミは真剣な眼差しになっている

 

 フミ「だからこそ、日高さんは月江さんに頼んで、ラーメン屋の修行をさせてもらってたんだよ!」

 

 京子「フミさん…」

 

 フミはブランコから降りる

 

 フミ「日高さんの死を無駄にしないためにも…京子ちゃんができる事、考えてほしいんだ!」

 

ーーーーーーーー

 

 翌朝、白金署にて…

 

 刑事「真壁刑事!」

 

 夜勤のため、イスでうたた寝していた真壁は、イスから転びそうになる

 

 真壁「何があった?」

 

 刑事「受付に、血相を変えた男性が1人、来てまして…」

 

 真壁は刑事と共に、受付へ向かう

 

 男性「刑事さん、これを…」

 

 男性は真壁に1枚の紙を渡す

 

 真壁「『今月5件の放火の犯人は、私の娘です…日高巡査部長を刺殺したのも娘です…息子は日高巡査部長の墓石に牛乳をかけました…私たちの死で償います』…だと!」

 

 真壁は目を見開く

 

 男性「妻と子どもたちを、保護して頂けますか?」

 

 真壁「分かった!」

 

ーーーーーーーーー

 

 一方…農村地帯にある敷地では…

 

 軽トラを運転していた初老の男性が、公衆トイレに入るため、軽トラを停車させる

 

 そばには1台のセダン車が停めてあった

 

 男性は特に気にも留めずに、公衆トイレに入る

 

 しばらくして、トイレから出ると…

 

 大きな爆発音と共に、車は炎上する

 

 男性「なっ…」

 

 突然の出来事に、男性は腰を抜かし、呆然としていた

 

ーーーーーーーーー

 

 農村地帯で車が爆発し、炎上した現場に、2台の覆面パトカーが到着する

 

 真壁「池内警部!」

 

 1台目の覆面パトカーから、真壁とはじめが降りてくる

 

 フミ「それで、状況は…」

 

 華連の覆面パトカーからも、華連と共に、徹とフミが降りてくる

 

 池内「遅かったですよ…炎上した車の中から、3名が遺体で発見されました…海津姉弟とその母親と見て、間違いないですね!」

 

 真壁「なんてこった…」

 

 真壁は頭を抱える

 

 池内「第一発見者の証言だと、中から爆発が起こっていたそうです…自殺と考えて、まず、間違いないですね!」

 

 池内は断言するが…

 

 はじめ「本当に自殺なんだろうか?」

 

 フミ「アタシもそう思う」

 

 はじめとフミは、腑に落ちていない様子だった

 

 フミ「だって、アイツ、京子ちゃんをイジメて、楽しんでたんだよ!」

 

 フミは孝介が墓石に牛乳をかけていた一件を思い出していた

 

 徹「それに、姉の由美さんも、とても自殺なんかするとは、思えませんでした!」

 

 徹も反論する

 

 池内「あなたたちは、何も知らないみたいですが…あの姉弟の父親の姉は20年ほど前に殺人事件を起こしているんですよ…あろうことか、女医としての立場を利用しての毒殺事件でした…医師どころか人間としても、失格ですよ!」

 

 池内は自慢げに説明する

 

 池内「血筋は争えないものです…まぁ、新たな犠牲者が出る前に、母親が決着をつけた…といったトコでしょう」

 

 池内ははじめたちに語った直後、ふと、炎上した車の方に目をやる

 

 いつの間にか、華連が車内を覗き込んでいた

 

 池内「勝手な事しないでいただけますか!」

 

 池内は華連を車から離れさせる

 

 池内「我々の管轄です!キャリア組の警視さんでも、あまりにも度を超えた事されたら、本庁上層部に報告させて頂いてもいいんですよ!」

 

 徹とフミが華連に駆け寄る

 

 徹「どうも、失礼致しました」

 

 フミが華連を連れていく

 

 鑑識係「警部、今回は灯油ではなく、ガソリンが使われていますね!」

 

 池内「なるほど!」

 

 車を調べていた鑑識係が、池内に報告する

 

ーーーーーーーー

 

 徹たちは場所を移し、インターネットカフェのトリプルルームに来ていた

 

 華連「実は車の中に、こんなモノがあったんだ」

 

 華連は炎上した車内から、吸盤が付いた『交通安全の御守り』を、こっそりと回収していた

 

 徹「あ、これ、確か…」

 

 フミ「徹、何か知ってるの?」

 

 徹「森下達美さんが、毎年、三ヶ日にアルバイトしている神社で売ってる『御守り』ですよ…吸盤でフロントガラスにくっ着くようになってるんです!」

 

 華連「それと、こんなのもあったよ!」

 

 熱で形が変形した洗濯バサミだった

 

 フミ「華連ちゃん、やるじゃん!」

 

 フミに褒められ、華連はニヤニヤする

 

 徹「でも、手がかりになるんでしょうか?」

 

 徹は弱気になる

 

ーーーーーーーー

 

 数日後…

 

 大知「兄ちゃん!」

 

 自宅の食卓に座っていた徹に、虫メガネを持った大知が声をかける

 

 徹「大知くん、何やってるの?」

 

 大知「昨日、学校でおもしろい事やったんだ!」

 

 大知は徹の手を掴み、庭へと連れていく

 

 大知はマジックで黒く塗った画用紙を、地面に置く

 

 大知「よく見ててくれよ!」

 

 大知は虫メガネで画用紙に光を当てる

 

 画用紙から煙が出始める

 

 大知「な、おもしろいだろ!」

 

 大知はさらに紙を焦がす

 

 徹「ん!」

 

 徹は無言で観察していた

 

 徹「そうか、この方法があった!」

 

 徹は何かに気づいた表情をしている

 

 その直後…

 

 画用紙から炎が出た

 

 大知「おい、どうなってるんだよ…アチッ…」

 

 そこへ、誰かが水をかける

 

 画用紙の火が消える

 

 森下達美「何やってんのよ!」

 

 ペットボトルを持った達美だった

 

 徹「すみません…僕がついていながら…」

 

 徹はアワアワしている

 

 揚羽「まぁまぁ、達美さん!大知くんも悪気があったわけじゃ、ないですから!」

 

 一緒だった揚羽が、達美をなだめている

 

 達美「全く!火事になったら、どうする気よ!」

 

 達美が大知を叱りつける

 

 揚羽「ところで、徹!華連さんが、すぐにでも徹に会いたいみたいなの!」

 

 徹「そうなんですか?」

 

 揚羽「達美さん!話の続きは、私が聞きますので…」

 

 達美「仕方ないわね…」

 

 達美は頭をかく

 

―――――――――――――

 

 その2日後…

 

 真壁「会沢美沙子さんに、話をうかがいたいので、我々と共に、署まで来て頂けますか?」

 

 真壁ははじめと共に、会沢夫妻の自宅を訪れていた

 

 はじめ「もちろん、逮捕じゃない!あくまでも、話を聞きたいだけなんだ!」

 

 はじめも真剣な眼差しになっている

 

 美沙子「分かりました!準備しますので、少々、お待ち頂けますか?」

 

 しばらくして…

 

 真壁は美沙子を連れて、覆面パトカーを出発させる

 

 家の外には、華連の覆面パトカーと池内のパトカーも停まっていた

 

ーーーーーーーー

 

 華連と池内は会沢英彦を連れて、海津親子の車が炎上した現場へと向かった

 

 池内「それで、私たちに見せたいものとは、何なんですか?」

 

 英彦「そ…そうだ…事件は解決したって、この刑事さんから聞いたんだぞ…」

 

 英彦はオロオロしつつも、反論する

 

 華連「まぁまぁ、あちらをご覧になって頂けますか?」

 

 徹とフミが、シートにマネキンを座らせたセダン車で、何やら準備をしていた

 

 華連「徹くん、準備は終わりそう?」

 

 徹「ええ、もうすぐです!」

 

 フミ「あとは、車内にガソリンを撒けば、完了だよ!」

 

 ガソリンを入れた缶を持ったフミは、車内にガソリンをたっぷりと撒き、ドアを閉める

 

 華連「海津さんたちは自殺ではなくて、他殺だったんですよ!」

 

 池内「バカな事言わないで下さい!車が爆発した時、誰1人、車に近づいてすらいないんですよ」

 

 腕組みした池内は、余裕の表情で反論する

 

 華連「あの日も今日みたいに快晴だったでしょ…そこがポイントだったんだよ!」

 

 英彦「ど、どういう意味だよ…」

 

 フミ「コイツを使ったんだよ!」

 

 フミは吸盤のついた『交通安全の御守り』を出す

 

 徹「車の中はこんな感じです」

 

 徹はフミのタブレット端末で、写真を出す

 

 フロントガラスには、『交通安全の御守り』に加えて、洗濯バサミで黒い画用紙を吸盤でぶら下げていた

 

 徹「助手席のダッシュボードの上には、ライターが置いてあります!」

 

 徹は画面を指差す

 

 華連「実はこのトリックは、少し時間かかるんで、気長に待ちましょう!」

 

 フミは空を見上げる

 

 フミ「徹、今のうちに、菓子パンか何か、買ってきてくれる…すぐそこに、スーパーあったでしょ!」

 

 フミは徹に5千円札を渡す

 

 徹「分かりました!」

 

 徹は走ってスーパーマーケットへと向かう

 

 しばらくして、徹は両手にレジ袋を持って戻ってくる

 

 フミ「ありがとね!」

 

 フミはレジ袋を受け取る

 

 徹「よろしかったら、食べますか?」

 

 徹はたい焼きが入った箱を開けて、池内に差し出す

 

 池内「君は気がききますね!あの、金田一とかいうサラリーマンとは、大違いですよ!」

 

―――――――――――――

 

 それから、しばらくして…

 

 車内で突如、ライターが破裂して、木っ端微塵に砕ける

 

 池内「これは!」

 

 モニター画面をチェックしていた池内は、驚きの表情になる

 

 フミ「炎天下の車内は、50℃を超える事もザラだからね…暑さで中のガスが膨張したんだよ!」

 

 池内「なるほど…ですが、火は点いていませんよ!!火はいつ点けるんですか?」

 

 華連「あわてない、あわてない!」

 

 華連は余裕の表情をしている

 

 一方…

 

 徹は電話をしている

 

 徹「フミさん、はじめさんが代わってほしいそうです!」

 

 徹はフミに自分の折りたたみスマホを渡す

 

 フミ「おぅ、はじめ、どうした…そうか、トリックを美沙子さんが白状したか…」

 

 フミはニンマリとし、英彦の方を向く

 

 

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