遊戯王ZEXAL 追放された神が自由に生きる   作:お腹いっぱい

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ところどころ描写やデュエル構成が雑だったりとまだまだ文章力不足が否めません…



決意

 

「先攻は俺だ」

 

 初手は《星因士ウヌク》《激流葬》《強制脱出装置》《神聖なる因子》《リビングデッドの呼び声》か。モンスターは1体しか来ていないものの、伏せは充実している。何もなければ次のターンで一気に畳み掛けることもできそうだ。

 

「《星因士ウヌク》召喚」

 

 サソリを模した鎧を装備した戦士が現れた。

 

「ウヌクの効果で、デッキからデネブを墓地へ送る。カードを4枚伏せてターンエンド」

 

 

ライヴィス

LP4000

手札:0

星因士ウヌク ATK1800

伏せ:4

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は《フォトン・ケルベロス》を召喚。続いて魔法カード《大嵐》を発動、フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

「罠発ど…む!?」

「《フォトン・ケルベロス》が召喚に成功したターン、互いに罠カードを発動することは出来ない」

 

 フィールドの全魔法・罠カードが吹き飛んだ。とは言っても、吹き飛んだのは俺のカードだけだ。こいつはまずい…たった1回の、それも5分に満たないデュエルで俺の戦術を分析したのか。

 

「更に《フォトン・サンクチュアリ》を発動。このカードはこのターン、光属性モンスター以外召喚・反転召喚・特殊召喚できなくなるが、《フォトントークン》2体を特殊召喚する。俺はこの2体のフォトントークンをリリース!闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ。光の化身、ここに降臨!現れろ、《銀河眼の光子竜》!」

 

 赤き十字架を空高く放り投げ、銀河の目を持つドラゴンが姿を現す。どうやら、俺はナンバーズハンターを甘く見すぎていたらしい。流石に魂を狩られるのは勘弁願いたい。

 

「でかい口を叩いた割には大したこと無いな?」

「チッ…」

 

 文字通り次のドローに…いや、次のドローから俺の魂がかかっている。命のやりとりをしたことがないわけじゃないが、運に命を託すのは怖いものがある。

 

「《銀河眼の光子竜》で《星因士ウヌク》を攻撃!破滅のフォトン・ストリーム!!」

「ぐぅううううう!」

 

 ウヌクが吹き飛んだ衝撃が容赦なく襲ってきた。襲ってきたのは普段のARビジョンの衝撃だけじゃないような気がした。あのカードに宿っている何かの力だろうか。

 

「更に《フォトン・ケルベロス》でダイレクトアタックだ!」

「くっ…!」

 

ライヴィス LP4000→1500

 

 強い決闘者は同じミスを繰り返さない。そのことを失念していた。俺を狙ったのは暇人だからなんかじゃない。明確な勝算があって、俺を狙ったのだ。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

カイト

LP4000

手札:1

銀河眼の光子竜 ATK3000

フォトン・ケルベロス ATK1300

伏せ:1

 

 

「俺のターン…」

 

 こんなところで、終わる訳にはいかない。鈴のためにも、俺の目的のためにも。それにあれだけ挑発をした手前、2ターンで敗北すればそれこそ笑い者だ。魂が残ったところで、とても表を歩けるわけがない。

 

「ドロー!」

 

 引いたカードは…増援。

 

「俺は《増援》を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター《星因士アルタイル》を手札に加えてそのまま召喚!その効果で墓地のテラナイト1体…デネブを特殊召喚。デネブの効果により、2枚目のアルタイルをデッキから手札に加える」

「だがこれで、貴様はこのターンテラナイト以外での攻撃はできないはずだ」

「その通りだ、俺はこのターン、テラナイト以外での攻撃を封じられた」

 

 よって、輝光子パラディオスによるダメージは見込めない。しかし、俺のフィールドと手札のカードの合計枚数はエクシーズ召喚すれば2枚、ナンバーズハンターの手札とフィールドのカードの合計枚数は4枚。こういった状況でのみ役に立つエクシーズモンスターが1体存在する。

 

「だが、これはどうだ!?俺はデネブとアルタイルでオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!全てを薙ぎ払え、《励輝士 ヴェルズビュート》!!」

「なんだ、このモンスターは…」

 

 現れたのは蝿のような人型のモンスター。長い尻尾と細剣を持っていて、よく見ればなかなか強烈な見た目のモンスターだ。

 

「《励輝士 ヴェルズビュート》は、俺の手札とフィールドのカードの合計枚数が相手の手札とフィールドの合計枚数より少ない時、オーバーレイユニットを1つ使うことで、ヴェルズビュート以外のフィールドの全カードを消し去る!ヴェルズ・バニッシュ!」

 

 ヴェルズビュートの剣に光が集まり、その剣を横薙ぎに振ると、フィールドがその光に包まれた。収まった時、ヴェルズビュート以外の全てのカードはフィールドから消えていた。多分、あの伏せカードは攻撃反応系だったのだろう。

 

「ちなみに、ヴェルズビュートの効果を使ったターンは相手が受けるダメージは0になる。ターンエンド」

 

 

ライヴィス

LP1500

手札:1

励輝士 ヴェルズビュート ATK1900 ORU1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

「1つだけ聞いておきたいことがある」

 

 俺がもし負けることになった時、こいつは魂を狩るといった。だから聞いておかねばならない。ナンバーズを奪うのに魂も狩るのはなにか理由あってのことだろう。

 

「なんだ?」

「奪った魂はどうなる?」

「知らん、そんなことを俺の管轄外だ」

 

 つまり戻らない、と。尚更負けられなくなった。どうでもいいが、少年とのデュエルの時はかなりうるさかったあのロボット、随分大人しいな。

 

「俺は2枚目の《フォトン・サンクチュアリ》を発動し、2体の《フォトントークン》を特殊召喚。自分フィールドにフォトンまたはギャラクシーモンスターがいる時、このモンスターはリリース無しで召喚できる。《銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)》を召喚!」

「その効果で召喚したそいつの攻撃力は1000ポイント、エンドフェイズまで下がるはず」

「だが、この召喚に成功した時、墓地から《銀河眼の光子竜》を守備表示で特殊召喚できる!」

「レベル8モンスターが2体…」

 

 このままバトルフェイズに入ってもヴェルズビュートは倒せないし、ビュートの効果は相手のバトルフェイズでも使用できる。このターンでビュートを倒すには、エクシーズ召喚するしかない。それにしてもこいつ、本当に昨日戦った奴と同一人物か?昨日は手札をすべて使い切って銀河眼を召喚したというのに、今日は最小限のコストで済ませている。

 

「俺はレベル8の《銀河騎士》と《銀河眼の光子竜》でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!現われろ、《神竜騎士フェルグラント》!!」

「フェルグラント…」

 

 ランク8の中でも一際強力な効果を持つエクシーズモンスター。フェルグラントドラゴンを模した鎧を装備し、片刃の剣を持ったモンスターだ。個人的な感想だが、とても格好いいモンスターだと思う。それは置いておき、ヴェルズビュートはもうダメだな…次のターンまで残って欲しかったんだが。

 

「《神竜騎士フェルグラント》の効果発動。オーバーレイユニットを1つ使って、ターン終了時までヴェルズビュートの効果を無効にする!そしてフェルグラントでヴェルズビュートを攻撃!」

 

 フェルグラントの巨大な剣が、ヴェルズビュートを真っ二つに叩き切った。ヴェルズビュートの残骸が爆発して、俺は爆風に巻き込まれた。

 

ライヴィス LP1500→600

 

「ターンエンドだ」

 

 

カイト

LP4000

手札:0

神竜騎士フェルグラント ATK2800 ORU1

フォトントークン DEF0

フォトントークン DEF0

 

 

「俺のターン」

 

 あのカードがあればこの状況を簡単に突破することができるが、あのカードは追放されたタイミングの関係で神界に置いてきてしまっている。今度、回収しに行くか。反逆者として排除される可能性が高いが、それでも回収するメリットは大きい。

 まあ、今ない物ねだりしても仕方ないな。幸い相手の手札は0、まだ勝機はある。

 

「ドロー。……、俺は《星因士アルタイル》を召喚して効果を発動。墓地のデネブを特殊召喚する」

「《神竜騎士フェルグラント》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、アルタイルの効果を無効にする」

「そうはいかない、速攻魔法《禁じられた聖杯》!こいつの効果でフェルグラの効果は無効にさせてもらうぜ」

 

 聖杯のカードから水が吹き出し、フェルグラントを直撃した。フェルグラントに赤い光がまとわりつき、活力を増したようではあるが、その能力は封じられた。

 

神竜騎士フェルグラント ATK2800→3200

 

「これでアルタイルの効果は有効だ。墓地からデネブを守備表示で蘇生し、デネブの効果で最後のアルタイルをデッキから手札に加える。アルタイルとデネブでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!来い、《鳥銃士カステル》!」

 

 紫色の鮮やかな羽根と尾、オレンジ色の髪を持ち、青いマント付きの服を着た鳥人が現れた。ゴーグルをつけて、狙撃銃を持っている。

 

「カステルの効果発動。このカードはオーバーレイユニットを1つ使って、相手モンスター1体を裏側守備表示にする。俺はフェルグラントを裏守備にする!」

 

 狙撃銃で撃たれたフェルグラントが跪き、裏側守備表示になった。

フェルグラントの守備力は1800。カステルの第2の効果を使えば、フェルグラントもフォトントークン1体も排除できるが、フォトントークンは攻撃できないし、オーバーレイユニットを温存したいからカステルのもう1つの効果を使う必要はない。

 

「カステルで裏側表示になったフェルグラントを攻撃!」

 

 カステルは裏側のカードに弾丸を3つ打ち込み、撃破した。

 

「これでターンエンドだ」

 

 フィールドの状況こそ今は均衡し、手札は俺のほうが有利。だが、ライフは圧倒的にあちらの方が多い。油断すれば負ける。油断をしなくても、バーンカードがもしも入っていて、それを引かれたら終わりの状況。困った、自分の魂がかかっていて、負けそうだというのに、少し気分が高揚してきた。たった1人の、ちょっと話をする事があった程度の付き合いだった、俺の旧友が言っていたことがわかる気がする。

 

 

ライヴィス

LP600

手札:1

鳥銃士カステル ATK2000 ORU1

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 俺は相手をどう倒すか、いや、向こうもそれを考えているだろう。俺から話しかけない限り、奴は余計な話をしようともしない。これから魂を奪う相手と話す気はないということだろうか。奴がどういった目的でナンバーズを集めているのかはわからない。だが、ここまで戦ってわかったことがある。奴は決して生半可な覚悟で俺の魂を狙いに来たわけじゃない。例え俺が神だと知っていても、奪いに来ただろう。

 

「俺は…モンスターをセット。ターンエンドだ」

 

 カステルを破壊できるモンスターは引けなかったか。だが、モンスターの数自体は減っていない。まだ決着はつきそうにないな。

 

 

カイト

LP4000

手札:0

伏せモンスター:1

フォトントークン DEF0

フォトントークン DEF0

 

 

「俺のターン。…俺はお前のことを勘違いし、見くびっていたようだ。ここまでのデュエルで、お前がどういう覚悟でここに来たのかよくわかった」

 

 今まで、これほど強い覚悟と決意を秘めた目を持つ人間は見たことがない。本当はなにか無理をしているのも伝わってきた。ならば、あの魂を狩るのに乗り気に見える言動は仮面か…?

 

「……」

「だが!だからこそ、俺も負けるわけにはいかない。まずはカステルの効果で、オーバーレイユニットを使い、《フォトントークン》を裏側表示にする。トークンは裏側表示になれば破壊される。そして、カステルで裏守備モンスターを攻撃」

 

 裏守備モンスターに3発の弾丸を撃ちこみ、撃破した。破壊したモンスターは攻守共に0のフォトン・サテライトだった。

 

「そして、これが今の俺の最高の力!魔法カード《RUM-リベリオン・フォース》発動!」

「ランクアップマジックだと…!?」

「このカードは俺のモンスターエクシーズ1体を2つまでランクアップさせ、新たなモンスターエクシーズをエクシーズ召喚する。俺はランク4のカステルでオーバーレイ!1体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築。リベリオン・エクシーズチェンジ!来い、ランク5《紅貴士(エーデルリッター)-ヴァンパイア・ブラム》!」

 

 騎士甲冑と剣を装備した気高き吸血鬼が、黒い光の中から現れた。

 

「どういう…ことだ…」

「これがエクシーズ召喚の可能性の1つ。オーバーレイユニットを使ってヴェンパイア・ブラムの効果発動。このターン、この効果で特殊召喚したモンスター以外の攻撃が封じられるが、相手の墓地からモンスター1体を俺のフィールドに特殊召喚する。俺は、《銀河眼の光子竜》を俺のフィールドに特殊召喚!」

 

 奴の墓地からカードが1枚飛び出し、俺はそれを人差し指と中指で挟み取って、デュエルディスクに攻撃表示でセットした。俺の近くに赤き十字架が現れた。俺も奴と同じようにそれを空高く放り投げると、銀河の瞳を持つ竜が現れた。

そして、指に挟んだ時と、デュエルディスクに置いた時に得体のしれない力が伝わってきた。このカードは普通のカードじゃない。心臓の鼓動のようなものを感じ、俺の脳裏に何かのビジョンを映し出した。それは、1つの黄金の光から3つの力が放出されるビジョンだった。更に、一瞬で時が駆け巡り、1人の科学者が、このフォトン・ドラゴンをカードとして完成させた光景。

 

「貴様…!」

「悪いが、今だけこのドラゴンを借りる。バトルが終了した今、ヴァンパイア・ブラムのデメリット効果は関係なくなる」

 

 エースモンスターを奪われた時の憎さは、今現在エースモンスターを失っている俺にはよくわかる。それが特別な思い入れのあるモンスターなら尚更だ。

 

「《星因士アルタイル》を召喚。その効果で墓地からデネブを特殊召喚し、デネブの効果でデッキの《星因士ベガ》を手札に加える。アルタイルとデネブでオーバーレイ!エクシーズ召喚、《ダイガスタ・エメラル》。エメラルの効果発動。オーバーレイユニットを1つ使い、墓地から今オーバーレイユニットとして墓地へ送ったアルタイルと、残り2体のアルタイルをデッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドロー。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

ライヴィス

LP600

手札:1

銀河眼の光子竜 ATK3000

紅貴士-ヴァンパイア・ブラム DEF0 ORU0

ダイガスタ・エメラル DEF800 ORU1

伏せ:1

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は速攻魔法《銀河再生(リ・ギャラクシー)》を発動!このカードは自分の墓地にあるギャラクシーモンスターの攻撃力を半分にして特殊召喚し、このカードを装備する。蘇れ、《銀河騎士》!」

「攻撃力が1400でもブラムとエメラルのどちらかを倒すことはできるか」

「《銀河再生》の更なる効果発動。このカードは装備したモンスターと同じレベルのエクシーズ素材とすることができる!」

「なんだと!?」

「俺はレベル8の《銀河騎士》と《銀河再生》でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現われろ、《聖刻神龍-エネアード》!」

 

 全身が赤き光を放っている、巨大なドラゴンが現れた。ところどころ、主に翼を金色の金属に見をまとっている。

 

「この局面で攻撃力3000のエネアードだと…」

 

 エネアードはその攻撃力だけが取り柄ではない。オーバーレイユニットを使い、手札とフィールドの任意のモンスターをリリースし、その数だけフィールドのカードを破壊する効果を持つ。奴の手札は0だから、エネアードをリリースすることはしないだろう。だが、フォトントークンがまだ1体残っている。

 

「《聖刻神龍-エネアード》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、自分の手札とフィールドの任意のモンスターをリリースし、その数だけフィールドのカードを破壊する。俺は《フォトントークン》をリリースして…《銀河眼の光子竜》を破壊する!」

「……!」

 

 一瞬だが、奴は銀河眼を破壊することを躊躇った。それほど銀河眼に思い入れがある…いや、銀河眼との絆なのか。

 

「そしてエネアードで《ダイガスタ・エメラル》を攻撃!」

「…やるな」

 

 ヴァンパイア・ブラムではなくエメラルを破壊したのはいい判断だ。ブラムは破壊されても次のターンのスタンバイフェイズに守備表示で特殊召喚される。エメラルを破壊した理由は単にオーバーレイユニットが残っていたからかもしれないが、結果は結果。奴が選んだのは最善の道だ。

 

「フン…ターンエンド」

 

 

カイト

LP4000

手札:0

聖刻神龍-エネアード ATK3000 ORU1

 

 

「俺のターン。ここからが本当の勝負!」

「何!?」

「《精神操作》を発動。《聖刻神龍-エネアード》はもらうぞ!」

「またしても俺のモンスターを…!」

「エネアードの効果発動。オーバーレイユニットを1つ使い、ヴァンパイア・ブラムをリリースし、エネアードを破壊する!モンスターを伏せてターンエンドだ」

 

 伏せたモンスターは当然、さっきデネブで持ってきたベガだ。次のターンが勝負となる。自分でもつくづくしぶといと思う。最初の返しのターンで大打撃を受けてここまで生き残っている、俺自身、意外だと思っている。

 

 

ライヴィス

LP600

手札:0

伏せモンスター:1

伏せ:1

 

 

「俺のターン…俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 どうやら、ついにモンスターカードを引けなかったらしい。俺は、この時を待っていた。奴の手札が切れ、モンスターがいなくなるこの状況を。

 

 

カイト

LP4000

手札:0

伏せ:1

 

 

「俺のターン。おそらく、このターンで決着がつくだろう」

「なんだと…!」

「俺の運命は俺に戦うことを強要した」

 

 デュエルとは、神界は別として、人間界で一般的には娯楽の世界の産物だ。だが、時に命をかけてデュエルで戦う者達をこの100年間、多数の世界で数こそ少ないが見てきた。何か重要な目的があってそうする者、快楽のためにそうする者、様々な人間たちがいた。だが、俺自身が人間界で巻き込まれたのは初めてだ。いや、これは所詮ほんの序の口、ただのきっかけなのかもしれない。

 もし、単純な武力で神と人間が戦えば、当然神が勝つ。しかし、デュエルとは決闘者にとっての剣。そこには神も人間も関係ない。世界により存在するカードに差はあっても、ある程度、デュエルというルールによる平等な勝負が約束されている。

 勝ち残るものが正義。誰かがそう言った。その言葉は聞いた時、間違っていると思ったが、このデュエルというルールの中では正しいのかもしれない。

 

「ゆくぞ!俺は《星因士ベガ》を反転召喚!ベガの効果で、手札のアルタイルを特殊召喚し、このターンテラナイト以外の攻撃を封じる代わりに墓地からデネブを特殊召喚。デネブの効果で、俺は《星因士シャム》を手札に加えてそのまま通常召喚。シャムの効果により、1000ポイントのダメージを与える。ホーリーシュート!」

「くっ…!」

 

カイト LP4000→3000

 

「そして!シャム、ベガ、デネブ、アルタイルの4体でオーバーレイ!」

「4体のモンスターをエクシーズ素材にするだと!?」

「4体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。現われろNo.86!全てを破壊し、制圧せよ!H-C ロンゴミアント!!」

 

 全身を白き重鎧に包み、その身長と同等の大槍を右手に持ち、左足の太ももに当たる部分に86と数字が刻み込まれている、凄まじいプレッシャーを放つ戦士が現れた。

 このカードは神族が生み出したものではない、未知の産物。だが、今はこの力を存分に使わせてもらう。

 

「現れたな、ナンバーズ…だがこのターンの攻撃は封じられている!」

「それはどうかな…」

「何…!?」

「ロンゴミアントは持っているオーバーレイユニットの数によって効果を得る。1つ以上の時、戦闘では破壊されない。2つ以上の時、攻撃力・守備力を1500アップする。3つ以上の時、ロンゴミアントはロンゴミアント以外のカードの効果を受けない。そして4つ以上ある時、相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない」

 

No.86 H-C ロンゴミアント ATK1500→3000

 

「バカな…!」

「その伏せカード…恐らく、ミラーフォースなど攻撃反応系だろう」

 

 たとえ素材が月の書や強制脱出装置で1体減ったとしても、俺の勝利は揺るぎなかった。召喚そのものを無効化する神の宣告や神の警告などだったら、まだわからなかったが。

 

「貴様は強かった。《No.86 H-C ロンゴミアント》でダイレクトアタック。ジェノサイド・スピア!」

 

 ロンゴミアントの投げた大槍が彼を直撃した。

 

「ぐわぁああああああああああっ!!」

 

カイト LP3000→0

ライヴィス WIN

 

 俺はデュエルディスクを消して、彼が吹き飛んだ方向を見る。服は黒い色に戻り、左目の青いフェイスペイントのようなものも消えている。

 彼は気絶してしまったのか、慌てて近くにいたロボットが、彼のカイトという名前を叫んで彼を担いだ。そして、俺に暴言を吐いてくる…とにかく腹立たしいが主人思いなんだろう。

 

「…ここで叩き切って再起不能にしてやろうかと思ったが、お前の主人に免じて見逃してやる。…その代わり伝言を頼まれてもらう。主人が起きたらこう伝えろ、『時が来れば俺の持っているナンバーズはやる、だからその時までは俺に構わないでくれ』と」

「クッ…覚えておけであります!」

 

 ロボットは、彼を担いだまま退散していった。

 

「…確かに強敵だったが、残りライフ600まで追い込まれるとは」

 

 命をかけたデュエルでは初めてだった。今まで常に、命がけの戦いは圧勝してきた。だから、今は力不足だということを改めて実感する。

 

「やはり、あのカードがないと…」

 

 神界には最高神ですら足を踏み入れることを禁じられた聖域がある。そこには、森羅万象の創造の起源を含めた5枚のカードが安置されている。その内2枚は、創造起源には全く関係ない、元々俺のものだ。人間界には持ち込むまいとして安置したのだが、その直後、人間界に旅に出た時に追放されてしまったので、それ以来そのままだ。俺の力の7割もそのカードに封印を施すために使ったので一緒に封じられている。もっと言えば、神界にも当然俺の家はある。誰も侵入できないようにしてあるが、家の中には俺の今持っているデッキ以外の全てのカードが置いてある。それも回収しよう。そうすれば俺のデッキも鈴のデッキも改良できる。

 俺は踵を返し、鈴のマンションに再度入った。鈴の部屋のインターホンを鳴らすと、鈴の、はーい!どなたですかー、という返事が聞こえた。

 

「俺だ、開けてくれ」

「え、ライヴィス!?」

 

 鈴は鍵を開けて、俺を上がらせた。

 

「どったの?戻ってくるなんて」

「気が変わった。少し話すこともあるし、今日は泊まっていこうと思う」

「ほんとに?」

「本当だ」

 

 何やら笑みを浮かべるのを我慢しているのか妙な表情になっている鈴に連れられてリビングに入った。天鳳堂は幸い、今風呂にでも入っているのか、リビングにはいなかった。

 

「…まず、大事な話がある。聞いてくれ」

 

 鈴音はこの時、告白されるのではないかと思い、内心嬉しかったり返事の準備ができていなかったりで、色々大変な精神状態だった。だが、ライヴィスが口にした話題は、むしろその逆、聞きたくない話題だった。

 

「俺はもしかしたら明日から数日間、家を空けるかもしれない。いや…もしかしたら帰らないかもしれねぇ」

「えっ!?…またまた、ライヴィスは冗談が下手だなあ」

「…今回ばかりは冗談じゃない。ちょっと野暮用ができてな。もしかしたら、出かけた先で殺される可能性があるんだ」

 

 鈴はキョトンとしていた。当たり前だ、こんな突拍子もない話を聞かされて、普通に対応されたらそれはそれで怖い。

 

「どうしてさ!?ちゃんと説明してよ…」

「俺は故郷にあと2枚、大事なカードを置いてきた。俺は故郷を追放された身だ。俺は故郷にカードを回収しに行く、その先で殺されるかもしれない。そういうこった」

「そ…そんな危険を冒してまで大会に拘らなくていい!だからいかないでよ…」

 

 今にも泣きそうな鈴には残酷な話だが、今度ばかりは引けない。

 

「…これは、大会のために回収するんじゃない。俺が今後生きるために回収するんだ。だから約束しよう」

「約束…?」

「そうだ。必ず戻ってくるって約束をしよう」

 

 鈴は、どうしても俺のことを行かせたくない様子ではあったが、最後にはわかった、と渋々納得してくれた。

 

「戻ってきたら何か1つだけ願いを聞いてやるよ。俺は神だからな」

 

 今だけは神というのが冗談と受け取られていてよかったと思える。これ以上鈴の顔を見ていたら、俺が行きたくなくなりそうだったので、早々に退室して空き部屋のドアを開けて、そこの部屋の隅に置かれていたベッドに横たわる。

 

「寝るの、50年ぶりだな」

 

 呟いた言葉は誰が聞いているわけでもなく、空気となって消える。いつしか、知らぬ間に俺は意識を落としていた。

 

 

 




一応ライヴィスは、これでカイトのことを強敵だと認めました。

前回のアレ

《悠久の愛情》
速攻魔法
自分のライフが1000未満の時、フィールドのモンスター1体を選択して発動する。①選択したモンスターは表側表示で存在する限り、このカードとそのモンスター以外のカードの効果を受けず、攻撃力・守備力が2000アップする。②選択したモンスターのコントローラーは、自分のライフの数値分ライフを回復する。③このカードを発動したターン終了時に自分のライフを0にする。④このカードの発動と効果は無効化されない。

こんなカード使う時が来るんでしょうかね…もし使うとしたら、使うキャラは1人しかいませんが。

追記:カステルに破壊無効効果なんて無かったため修正しました
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