遊戯王ZEXAL 追放された神が自由に生きる   作:お腹いっぱい

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今回デュエルというほどのデュエルはないです。


奪還

 

 

 午前7時。目が覚めて、さあ起床しようと思って、薄目を開けた時だった。俺は驚きのあまり目を見開いた。

 

「すぅ…すぅ…」

 

 どういうわけか、俺の目の前で鈴が眠っていた。今日は学校だったはずだし、そろそろ起きないと遅刻…じゃなくて、どうしてこいつは俺の目の前で寝ているんだ。こいつのことだから寝ぼけて部屋を間違えたのか。

 それにしても、今夜の夢は妙だった。夢にしては鮮明で、どこかの町で見覚えのある少女と死別している夢だった。夢とは記憶の再生と聞いたことがある。心当たりといえば、4000年前になるが、一度人間界に降りた時、似たような事があったのを覚えている気がする。だが、今はその少女を思い出そうとしてもぼやけてしまい、はっきりとした顔は思い浮かばない。

 とりあえず、起こすのも気の毒なので、俺はそっと起き上がって、音を立てずにベッドから出て部屋を出るまでの一連の行動を済ませた。

 リビングに行くと、天鳳堂が朝食を作り終えて、テーブルに並べているところだった。

 

「あら、お早う御座いますライヴィスさん」

「ああ、おはよう…」

「どうかしましたか?朝からお疲れのご様子ですが…」

 

 なるべく平常に振る舞おうと思ったが、やっぱり無理があった。

 

「いや、その…さっき起きたら、鈴が俺の借りた部屋のベッドに潜り込んで来ていて滅茶苦茶驚いたんだが…寝ぼけてたんだな…天鳳堂、あいつが起きたら一言言ってやってくれ」

「………」

 

 事実を話した俺を、天鳳堂は怪しい物を見るかのような眼で見つめていた。

 

「…言っておくけどな、やましいことは何もねぇぞ」

「わかっています。とりあえず、冷めないうちにどうぞ?」

 

 そう言って、その眼を普段の優しげな眼つきに戻すと、焼きたての食パンと苺ジャム、それからコーンスープを勧めてきた。俺は席に座って、勧められるままに朝食を平らげた。この後激戦の地に向かうとは思えない、ほのぼのした空間だ。

 

「ごちそうさん」

「お粗末さまでした」

「俺はやることがあるから出掛けるわ。鈴を頼んだぞ」

「わかりました。お気をつけ下さいね」

「ああ」

 

 気をつけるも何も無いんだよな、と内心呟きながら、鈴のマンションを出て、自宅の地下にゲートを開いて移動すると、そこには巨大な魔法陣が描いてある。これは神界への扉を開く大掛かりな魔術だ。完成したのはつい10年前、完成まで70年を要した。ある種のセンサーのような機能があって、俺以外にこの魔法陣から出現する扉を通ることはできない。

 それより、俺の全財産やこういった魔術的な仕掛けがある自宅をもぬけの殻にしたまま外出するのはよくないな…今度、メイドか執事でも雇おうか。

 

「無事に帰ってこられたらな…さあ準備完了だ」

 

 魔法陣の中心に光の玉が出現し、それが縦長の長方形に変わる。豪華な装飾の黄金の扉となり、光が消えた。これが神界への扉。俺は最後に、準備が本当に出来ているのか確認してから、扉を開いた。

 神界と人間界では時間の流れが違う。正確な流れの違いは忘れてしまったが、神界の1日はだいたい人間界での3年になる。この扉の最後の大仕掛は、この扉を通ってきた時、その時間経過の違いの干渉を受けない。例えば、向こうで1日過ごしてこの扉で戻ってくれば、こちらでも1日しか経過していないことになる。こんな機能、創り始めた当時はいらないと思っていたが、まさか役に立つとは。

 扉を通り、白く眩い光を抜けた先、そこには一面の草原が広がっていた。遥か彼方に、見上げても高すぎて最上階が見えないほど巨大な城が建っていた。あれが最高神の居城。誰が呼ぶかによって名前が変わるが、ヴァルハラが最もポピュラーじゃないだろうか。

 妙だと思った。神々の力を感じない。特に最高神の力は、今の俺よりは遥かに強い。城からこれほど離れていても感じられるはずだ。

 

「人の気配がしない…?」

 

 空城の計というやつか?だとしても、今は好都合だ。先に俺の家のカードとその他諸々を回収しよう。

 城とは逆の方向に足を進めること15分。俺の家は100年前の姿のまま残っていた。鍵を開けて家の中に入ると、100年以上放ったらかしにされていたのか埃かぶっていた。元々家具が少なく、簡素なベットと棚、倉庫があるだけ。この家を作った当初から万が一のために仕掛けておいた緊急避難用の魔法陣を起動して、転移先を人間界の俺の家にセットし、家の中の全てのものを転送した。残ったのは床と壁と天井だけだ。…ところで、よく手伝いに来てもらっていた女神は元気にしているだろうか。家が埃かぶっているということは、少なくとも10年は手入れされていない。

 

「もう戻ることはあるまい」

 

 永きにわたって暮らした家に、惜しいながらも別れを告げて、家を出た。外には相変わらず誰の気配もない。

 俺は最高神の城方面に向けて歩き始めた。聖域は、城から遥か北の地にある。飛行や高速移動など、魔力を行使すれば俺の位置は途端に捕捉されてしまう。敵地である以上、気配がなくとも油断ならない。かつての同胞が敵とは皮肉なものだ。

 数時間歩いただろうか。ようやく聖域の建物の前に到着した。聖域は白いドーム状の建物の中にあり、扉には堅牢な鍵がかけられている。その鍵は城の宝物庫に安置されている。取りに行くのはあまりにも無謀なので、俺は物理的に鍵を破壊することにした。南京錠に似たそれを掴んで思い切り引っ張ると、鍵はバキン、という音を立てて壊れた。

 

「ダイヤより固い金属もこの程度…本当にダイヤより固いのか?」

 

 もしも扉の内側に誰かいた時のことを考えて、蹴り飛ばして開けると、中には誰もおらず、ドームの中心にある巨大魔法陣の中央に5枚のカードが浮いていた。両端の2枚こそ、俺のカードであり、俺の力の7割。魔力を封じる魔法陣に足を踏み入れ、2枚のカードを手にとった。その時。

 

「やはりここに来ましたか、ライヴィス」

 

 振り向くと、そこには仮面を被り、白いローブを纏った女神が、屈強な戦神10名を連れて立っていた。

 

「なんだ、やっぱり罠だったのか。お前はさしずめ最高神代行ってところだな。ジジイは元気か?」

「ええ、元気です。追放された身でありながら神界に足を運び、挙句聖域を冒した罪、その生命で償ってもらう…とのことです」

「そりゃあ元気そうで何よりだ。だが笑わせる、ジジイが俺はなにもしないってのに俺を恐れて勝手に追放したんじゃねえか。戦神10人と代行を寄越して、本人が来ないのがいい証拠だ」

 

 とは言ったものの、こいつらはいずれも第一級の力を持った戦神。この狭い空間では俺のほうが有利に動けるが、骨が折れる。

 

「かかれっ!」

 

 不意に、代行が声を上げると、戦神の1人が鉄槌で俺を殴りつけた。俺は重すぎる一撃に吹き飛ばされて、壁に激突した。

 

「ぐう…っ」

 

 入り口とは反対方向の壁にたたきつけられて落ちた。痛覚を遮断したから痛みはない。ただ、唯一人間界の産物である黒コートがボロボロになってしまった。

 

「やりやがったな…このコート気に入ってたんだけどな!」

 

 剣を持ち、ボロボロになった黒コートを脱ぎ捨て、魔法の紋章が刻まれた黒い鎧を創造して、頭部以外の全身に装備した。カードを取り戻し、この空間が神にとって最高の地であることから、俺はフルパワーを発揮できる。地を蹴り、さっき俺を殴り飛ばした戦神を剣の刀背で叩き伏せ、頭を踏みつけて周りの連中が近づけないように人質にする。狭い空間にこの人数だ、こうすれば俺に負けはない。

 俺は全員がたじろいだその隙を突き、踏みつけている神を聖域の外に向けて蹴り飛ばし、剣を地面に突き刺して周囲に衝撃波を放ち、それに乗じて魔法陣の中央に戻った。

 

「こいつは…俺がこの世界に決別をする証としてもらっていく」

「それに触れてはなりません!死んでしまいますよ!?」

「…テメェ、最高神の命で俺を殺しに来たんじゃねえのか」

 

 だったらどっちにしろ同じことじゃねえかバカが、と付け加えて3枚のカードをかっさらうように手中に収めた。途端、どんな言葉でも形容できないほど京大で純粋な力が流れ込んできた。なんという数奇か、あるいは幸運か。3枚の原初のカードは、その力の行使を俺に委ねた。きっと、過酷で非情な運命は俺に戦えと告げたのだ。

 

「そんなことが…『始まり』と『終わり』を従えた…!?」

 

 戦神全員が一斉に俺に飛びかかってきたが、近づくことすらかなわず、吹き飛ばされた。

 

「まだこの力に慣れてないしな…ちょっとお前でウォーミングアップするか」

 

 まあ、俺の力も原初の力も今の俺では人間界じゃ使えないからウォーミングアップしてもあまり意味は無い。でも、一応どういう力なのか実感しておく必要はある。

 左腕にいつものデュエルディスクを装備し、エクストラデッキのカードを1枚入れ替えた。原初のカードも試したかったが、今は白紙で覚醒していないみたいだから諦めた。残った最後の1枚はメインデッキに突っ込んだ。

 

「やむを得ません、いいでしょう」

 

 最高神代行が左手に持つ杖をかざすと、彼女の目の前に5枚のカードが浮いた。彼女はデュエルディスクを使わないようだ。

 

「「デュエル」」

 

「先攻は私です」

 

 彼女は最初に永続魔法《六武の門》と《六武衆の結束》2枚を発動し、《真六武衆-カゲキ》を召喚した。その後は繰り返される武士道カウンターと特殊召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚のコンボと最終的な六武衆の結束の効果によるドローで、先攻1ターン目だというのに《真六武衆-シエン》《六武衆の影-紫炎》《真六武衆-キザン》2体と《六武衆の師範》に加え、魔法・罠ゾーンには《六武の門》と伏せカード4枚という凄絶なフィールドを作り上げた。

 

「ターンエンドです。この状況を覆すのはいくらあなたでも不可能でしょう、諦めなさい」

 

 あの口ぶり、伏せカードは恐らく妨害系や防御系などバランスがいいのだろう。例えば神の宣告とかミラーフォースとか。仮にそうだとすれば、確かに俺は絶望的な状況に立たされていることになる。サレンダーしたほうがいいだろう。しかし。

 

「俺のターン」

 

 このターンで決めなければ俺の負けだが、逆に言えばこのターンで勝てばいい。互いに与えられたチャンスは1ターンということだ。ドローカードを見る。どうやら、そのチャンスは俺のところに転がり込んできたようだ。

 

「《RUM-破壊神の聖剣(ゴッドリベリオン・ブレード)》発動。言っておくが、こいつはあらゆるカードによって発動と効果を妨害できないぞ」

「新しいランクアップマジックカード…!」

「いや、この聖域に俺が安置しておいたやつだ。発動時、コストとしてエクストラデッキか墓地からエクシーズモンスターを特殊召喚する」

「コストとして…?」

「そうだ。俺は《星輝士デルタテロス》を特殊召喚。そして、このデルタテロスでオーバーレイ!1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築。ゴッドリベリオン・エクシーズチェンジ!!」

 

 神々の世界をも揺るがす巨大な力が、黒い穴の向こう側から到来するのを感じる。とても懐かしい感覚だ。その力の主たる巨大龍が姿を現すと同時に、主を失った聖域が決壊し、魔法陣がドームの建物もろとも粉々に吹き飛んだ。

 

「顕現!ランク13、《G(ゴッド)・リベリオン・エンブレム-エタニティ・ドラゴン》!!」

 

 白き龍から、天地を揺るがす咆哮が轟いた。通常、晴天から天気が変わることのない神界の天候が変わり、暗雲が立ち込め、雷が鳴り響く。

 

「…ですが!罠カード、《奈落の落とし穴》!」

「残念だが、ゴッドリベリオンブレードでエクシーズ召喚したモンスターがそのモンスター自身の効果以外のカード効果を受けることはねぇ」

 

 奈落の落とし穴は破壊され、難攻不落、鉄壁の砦だったフィールドはたった1枚の魔法カードで崩れ去った。

 

「エタニティ・ドラゴン第3の効果発動。エクシーズ素材を1つ取り除き、相手に4000のダメージを与える。受けてみろ、アブソリュート・ダウン!」

「あぁああああ!!」

 

 エタニティ・ドラゴンが白き翼を羽撃かせた。その衝撃が代行を襲い、一撃でノックダウンさせた。

 彼女が倒れ、被っていた仮面がひび割れて、素顔が明らかになった。俺はそれを見て驚愕することとなる。

 

「…セリス、お前だったのか」

 

 かつて、俺の家の手伝いをしてもらっていた女神、その人だった。俺の顔を見た彼女の緑色の瞳が揺れた。

 

「最高神は…いつかライヴィス様がここに乗り込むことを想定し、私を代行に仕立ててこの場の守護を命じました。私ならライヴィス様と言えど手を出せぬと」

「ならば、どうして仮面を?」

 

 そんなものさえ被らなければ、俺は最高神の目論見通り手を出せなかっただろうに。俺を斃し、永久の名誉と高い地位を得られただろうに。

 

「ライヴィス様に仕えて300年。私にライヴィス様を阻むなど、とても…もし私が勝った時は、ライヴィス様を引きずってでも人間界へ亡命するつもりでした」

「最初からそうすればよかったじゃねえか…」

「最高神の命といえど、主を裏切ったのは事実。そのような資格は無いと、今のデュエルが証明しました…がはっ…」

「もうよい、喋るな。安静にすればまだ助かる」

 

 何故だ。俺を追放しただけでは飽きたらず、セリスをけしかけるとは。こんな残酷なことをする必要はあるまい。これが今のお前の意志なのか。万物の頂点に立つ存在の思し召しだとでも言うのか。

 此方に向かってくる気配を感じる。100年前より遥かに力を増した、最高神の気配が。原初の力無しの俺の力では到底及ばないほど強大だ。今すぐにでもこの怒りをぶつけてやりたい。だが、悔しいが今は駄目だ。今は勝てない。

 

「ライヴィス様、最高神が向かっています…私のことは構わず、逃げてください」

「いいや、お前も連れて行く。こうしたのは俺の責」

 

 セリスを左脇に抱えて、全速力で飛ぶ。

 

「最高神の今の力はエタニティ・ドラゴンをも遥かに超えています。たとえデュエルでも勝ち目はありません。私を置いて、原初の力を味方につければ必ず逃げられます。ですから…」

「いいから少し黙ってろ」

 

 この状況で最高神と対面する訳にはいかないから、最高神城を左側から大きく迂回して、帰りの扉へ向かう。セリスが言うにはたった100年でデュエルですら勝ち目がなくなるほど強くなった。一体、どんな手品を使ったのか。100年前は俺よりも遥かに劣っていたはず。反逆実行はしばらく先延ばしにして、何があったのか調べたほうが良さそうだ。

 

 

 後1分遅かったら間に合わなかっただろう。俺達は扉に滑りこむ形で飛び込み、何とか人間界に帰還を果たした。使い捨ての扉はすぐに消え去った。もしも再セットするなら少なくとも30年かかる。扉が消えると同時に、俺は一気に自分の力が失われるのを感じた。やはり人間界では満足に動けない。

 連れてきたセリスの手当を済ませて、鈴に帰還の報告を済ませると、早速呼び出された。危険を承知で取りに行ったほどのカードを見せてほしいという。現在時刻は午後3時半、確かに学校も終わった頃だろう。俺は断る理由もないから快諾した。ちなみに、どうして今朝俺の隣で寝ていたのか問いただすと、媛っちに自分の部屋を貸していたから、と返ってきた。それこそ天鳳堂の部屋で一緒に寝ればよかったと思う。やっぱり、こいつはわかってやっているんじゃないだろうか。どうもそんな気がしてならない。

 

「…ところで、勢いで連れてきたけどセリスをどうしたもんか。…ああ、ちょうどいい。また雇うか」

 

 今朝誰か雇うか考えていたことだしな。

詳しいことは帰ってきてから決めることにして、俺は仕度を済ませるといつもの喫茶店に出掛けた。珍しく、天鳳堂と一緒に鈴のほうが先に待っていたので、よう、と声をかけて向かい側に座る。鈴はアイスコーヒーのカップの蓋を開けて、氷を食べていた。人間にとっては暑い気温だろうからやりたくなるのもわかる。が、食い過ぎるとあとで腹を壊す。

 

「お、待ってたよー!あれ、いつものコート着てないじゃん、どうしたの?」

「コートはボロボロになっちまったから捨てた。帰りに新しいのを買って帰るさ。それはそうと天鳳堂も一緒か」

「はい、急に呼び出してしまってごめんなさいね」

「いや、特にやること無いからいいよ。で、これが見たかったんだったな」

 

 持ってきた破壊神の聖剣とエタニティ・ドラゴンのカードをテーブルに置き、それを鈴が手にとった。

 

「いやいやいやいや、いくら何でも強すぎるっしょ。何なのさこのずるいカード」

「神属性のカードなんて実在しましたのね…」

「これは普通にデュエルするぶんには使わないから、まあお守り代わりだ」

 

 使わないのではなく使えない理由を言っても、多分信じないだろうから言うのはやめておく。下手なことは言わないのが吉だ。

 

「じゃあ行った意味無いじゃん」

「いいや、他にもカードは金庫まるごと持ってきた…ん、金庫…」

「どったの?」

「なんでもない」

 

 金庫にはカードだけでなく、俺が集めてきた歴史の記録がある。昨日の夢、4000年前の記憶だとしたら、一体どこで何をしたものなのか、あとで確かめることができる。

 

「ところで鈴音、ライヴィスさんに話すことがあったのではなくて?」

「あっ、そうだった!」

「話すこと?」

「せっかく3人でチーム組んだのにさー、なんでも主催者がいろいろと都合悪くなって大会中止らしいんだよねー」

「いろいろと都合が悪い?随分曖昧だな」

「詳しいことはなんにも」

「私も存じません」

 

 何か、ある。気がする。まあ、それなら俺も目立たなくて済む。

 俺はカードを返してもらうと席を立ち上がった。今からコートを買いに行って、家に帰ったころにはいい時間だろう。

 

「もう帰んの?」

「ああ。やることができた」

「ちぇ、残念」

「何がだ?」

「え?あ、え、えっとなんでもない!こっちの話!」

「そうか?じゃあまたな」

 

 後で天鳳堂から聞いたが、この後半時間、天鳳堂と鈴の言い合いが続いたらしい。どうしてなのか聞くと、大体の理由は話してくれたものの肝心なところははぐらかされてしまった。俺に知られるとまずいのだろうか。

 何はともあれ、こうして忙しすぎた俺の1日は終わりを告げた。もう当分の間はこんなに忙しい日は遠慮したい。自分からやっておいて言うのも何だが、何事も特別な力を持ったカードが関わるとろくでもないな。

 これから更なる面倒事に巻き込まれる予感がする。どうにかして人間界でもあのカードを使えるようにしないと、いつか壁が立ちはだかった時に超えられないかもしれない。その方法を調べておく必要があるな。

 

 その夜、俺は4000年前の夢がどういったものだったのか調べるために、金庫の記録を読み込んで、結局眠ること無く一夜を明かした。

 

 




今回使用したオリカは当分再登場しないので、効果は公開しません

そろそろ恋愛要素っぽいシチュを書こうかと思ってます…
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