PhantasyStarOnline2-IF-「A.B.T」 作:あるふぃ@ship10
A.B.Tはついに決勝を迎える。
ナウシズの頂点に立つのはあるふぃか、まリスか。
2人の守護輝士の戦いがいよいよ始まる。
『...さて!!フィールドの準備も整い、観客もほぼ全員が戻ってきたな!!!それでは本日最後の試合!!ナウシズ代表の座を争う2人を紹介していこう!!』
会場が暗くなり、フィールド両端の選手入場口にスポットライトが照らされる。
『まずはこの選手!!死神と恐れられた腕は確かなもの!!これまでの相手に大きな苦戦もなく、圧倒的な先読みと技術によって順調に決勝まで勝ち上がってきた!!第1回に続き、今回もナウシズ代表の座を手に入れるのか!!!ナウシズ守護輝士が1人!!"黒き死神"...あるふぃ!!!!』
『対するは!!準決勝で第1回ウル代表のユウに見事勝利し、決勝へとコマを進めたナウシズのもう1人の守護輝士!!ナウシズ代表の座を手に入れ、まだ見ぬ強者達と相見えることができるのか!!"白き戦姫"まリス!!!!』
司会の紹介と共に、2人がフィールドへ入場し、静かに向かい合う。
『この場に参加した名だたるアークス達を打ち倒し、今ここに向かい合う2人の守護輝士!!ナウシズのアークスならば1度は考えたことがあるだろう!!どちらの守護輝士がより強いのか!!それが今!!この場で決まろうとしている!!!!』
大歓声が会場を包み込む。
決勝戦ということもあって、未だかつてない量の声援が飛び交い、場の雰囲気が盛大に盛り上がる。
「さて...調子はどう?」
「まぁ、悪くはないな。修復作業で休息の時間が増えたのが幸いだった」
「なら良かったわ。クオンとの試合でだいぶ無理をしているように見えたから、少し心配していたのだけれど」
「それを言うならお前もだぞまリス。ユウとの戦いで、相当力を出していたじゃないか」
「予想ではもう少し楽できると思ったのだけどね。終盤になって、ユウから今まで感じた事の無い威圧感を感じたの。あれはきっと、ユウ自身もまだ自覚してないさらに上の力だったわ」
「ほう、それはつまり、まだユウは強くなると...それは楽しみだ。だが今は、お互いに目の前の相手との試合に全力で挑まないとな」
両者とも楽しそうな笑みを見せながら、武器を構える。
あるふぃのカタナの刀身と瞳が深紅に染まり、まリスの背には、白く輝く翼が現れる。
『両者ともに用意はできたようだ!!!それでは本日最後の戦い...A.B.Tナウシズブロック決勝戦!!あるふぃ対まリス!!バトル......スタートォォォォ!!!!』
試合開始の合図とともに、大きな白い極光と一筋の紅い閃光が激しく衝突する。
互いの武器が交わり、その衝撃によってフィールドの各所に亀裂が入る。
激しい衝突の後、あるふぃは瞬間移動を繰り返し、何度もまリスの死角から武器を振るうが、まリスはそれを全て防ぎカウンターを仕掛けていく。
カウンターを仕掛けられたあるふぃは、それすらも把握済みとばかりに、何度も軽やかにそれを避けたのち、素早く距離を取る。
「...反応速度に疲労の色は見えないな。安心したよ」
「決勝を楽しみにしていたのだから当然でしょう。残念な思いはさせないわ」
「それは嬉しい限りだ。なら...次は少し攻め方を変えよう」
そう言うと、あるふぃは武器をカタナからロッドへ切り替え、まリスに向けて様々なテクニックを放つ。
「避けるなり相殺するなり、好きにするといい」
「なら...突っ込ませてもらうわ!!」
力強く踏み込んだまリスは、勢いよくあるふぃへと突撃していく。
炎、氷、雷、風、闇、光...様々なテクニックの降り注ぐ中、必要最低限の回避とソードでの相殺を行いながら、まリスは素早くあるふぃとの距離を詰める。
「そこっ!」
まリスは間合いに入ると、素早くソードを振るうが、あるふぃはそれをロッドの柄で受け止める。
続けてまリスは受け止められたソードに力を込めあるふぃをのけぞらせると、素早く回し蹴りを行う。
「っ...!!」
不意を突かれたあるふぃは後方へ蹴り飛ばされる。
まリスは追撃をかけようと、一直線にあるふぃの目前へと向かっていく。
少し前へ駆けだしてすぐ、何かセンサーに引っかかったようなごくわずかな小さな音をまリスは聞き取った。
「っ!?」
足元に敷かれたいくつもの地雷式ビット。
まリスがそれに気づくと同時に、すぐ近くのビットが起爆する。
周囲にあった別のビットも連鎖するように爆発し、辺り一帯が煙に包まれる。
直後、漂う煙の中から飛び出すまリスの姿が試合を見ている全員の目に映った。
刹那の差で地雷ビットの爆発から逃れ上空へと飛んだまリスの背後に、黒い影が舞う。
あるふぃはまリスに向かって、勢いよく鎌を振り下ろす。
「残念っ!!」
まリスは切り替えたソードで鎌をひっかけるとその場でくるっと回転し、その勢いであるふぃを地面へ叩き落とした。
あるふぃは寸前のところで受け身を取り、すぐに体勢を立て直す。
「...っつぅ...さすがに全て思惑通りとはいかないか」
「あれだけのビットを既に仕掛けられてるなんて思わなかったわ。仕掛け始めたのは...試合が始まってすぐからかしら。蹴られたのもわざとで、地雷原に誘い込む為でしょう?」
「ご明察。空中の追い打ちはただの欲張りだがな。そのせいで結局巻き返されてしまったのが勿体ない」
『わずかに押されていたあるふぃだったがビットの大量爆発により形勢逆転!!しかし直後の追い打ちをまリスに見切られてしまい、再び体力勝負はまリス側が有利ぁ!!』
「で...いつになったら本気を出してくれるの?そのままの状態で戦って勝てるほどあたしとあんたの差は開いていないっていうのは、よく分かっているでしょう?」
「......そうだな。もう少し渋っておきたかったが、やむをえまい」
あるふぃは、左目を覆う眼帯を外す。
閉じていたあるふぃの左目が開き、フォトナー特有の瞳が現れる。
その瞳は小さな稲妻を走らせながら、しっかりとまリスを見据える。
「さて、本番といこうか」
「ふふっ...この威圧感...やっぱり全力のあんたとは戦い甲斐があるわ」
まリスはソードを構え直すと共に、背に生えるフォトン状の翼の光を更に強く輝かせる。
周りを漂うフォトンが、それに感応するかのように眩い光の粒子となり辺りを舞う。
「「................っ!!」」
一時の間を置き、両者同時に前へ飛び出す。
互いに間合いまで近づいた瞬間、まリスがソードを素早く横に振り切るが、それはいとも容易く空を切る。
目の前から消えたあるふぃはまリスの頭上へ現れ、カタナを振り下ろす。
まリスは振り切った勢いを殺さず、そのまま回転をしながら剣先の角度を上へ変える。
互いの武器が激しくぶつかりフィールドを囲む防壁に衝撃が伝わる。
同時に上からの衝撃によって、攻撃を防いだまリスの足元を中心に、フィールドに大きな亀裂が入る。
まリスは片手にツインマシンガンの一丁を出現させるとあるふぃへ向けてすぐさま撃ち込む。
あるふぃは瞬時に姿を消し射撃を回避すると、次はまリスの懐へと現れ再びカタナを振るう。
だがまリスは既に右手に持っていたソードをタリスへと切り替え、その場から姿を消し、あるふぃのカタナが空を切る。
先ほどとは逆の立ち位置になり、あるふぃの頭上へとワープしたまリスは、再びソードへ戻し、あるふぃに向けて思いっきり振り下ろす。
あるふぃはカタナで攻撃の軌道をずらし、まリスのソードは地面に激しく打ち降ろされる。
その隙を突き、あるふぃは力強くまリスに蹴りを放つ。
「くっ...!!」
なんとか防御をしたものの、フォトンを込めたあるふぃの蹴りの威力は完全に抑えきれず、激しく遠くへ吹き飛ばされる。
一般的なアークスの純粋な体術とは違い、あるふぃは自身のフォトンをその身に纏わせて体術のダメージを底上げすることができる。
武器を介さずフォトンによる攻撃を行うことができるのは現存するアークスの中でもあるふぃただ一人。
たとえまリスだとしても、生身でまともに受ければそれで決着がついていただろう。
「ほう、よく守ったな。」
まリスはなんとか受け身を取り、急ぎ顔をあげると、既にあるふぃの頭上には複数の属性から構成されたテクニックによる無数の槍がまリスへ向けられていた。
(あれはクオンとの戦いの時に見せた...!!)
あるふぃが掲げたロッドを振り下ろすと同時に、無数の槍がまリスに向かって飛んでいく。
まリスはすぐに体勢を整え、急ぎ回避行動を起こす。
向かってくる槍を避けながら、僅かな隙を狙って、まリスはあるふぃの周囲にタリスを複数投げ飛ばす。
「っ!!」
「さっきの蹴りは効いたわ。お返しにこれでも喰らいなさい!!」
あるふぃを包囲するように設置されたいくつものタリスを巧みに使い、まリスは様々な角度からツインマシンガンによる射撃を行う。
「逃げ場はないか...いいだろう...!!」
あるふぃは持っていたロッドを素早くカタナへ切り替え、飛んでくる弾丸を全て弾き落とす。
『なんと!!まリスの放つ無数の弾丸を全て弾く!弾く!弾き落とす!!!これはまさに神業だぁぁぁ!!!』
しばらくまリスによる弾丸の雨が続き、それを弾くあるふぃによって、辺りには煙が立ちこみ始める。
煙によって完全にあるふぃの姿が見えなくなると、まリスは射撃を止め、ソードに持ち替えてあるふぃの反撃に備える。
(まだ煙の中にいるわね...動く気配が未だに無い...どういうこと?)
不穏に思うまリスに対し、突如煙の中から1本のカタナがまリスに向かって飛んでくる。
「なっ!?」
予想外の攻撃に手が緩み、持っていたソードが弾き飛ばされてしまう。
ソードは宙を舞いながらまリスの後方へ飛び、地面に突き刺さる。
「ちっ!!」
「この大会のルールにおいて武器を手放すことは大きなリスクを伴う。だからそれに準ずる行動をするはずがない。そう思うのも無理はないだろうな。」
あるふぃの声が、弾き飛ばされたソードの方面から聞こえた。
振り向いたまリスの視線の先には、地面に刺さるソードの前に立つあるふぃの姿があった。
「あとはこれを場外に放り投げればまぁ終わるわけだが...」
「くっ...」
悔しがるまリスに対し、あるふぃはにやりと笑いながらカタナを納める。
「まだ終わらせるわけないだろう?」
あるふぃは肉弾戦の構えをとると、まリスに対し、クイクイと手招きをして挑発する。
「取り戻してみなってことね...上等っ!!」
まリスは力強く踏み込み、あるふぃに向かって突っ込んでいく。
『武器を駆使した射撃やテクニックの激しい攻防の次は、徒手空拳による肉弾戦の始まりだぁ!!!!』