PhantasyStarOnline2-IF-「A.B.T」   作:あるふぃ@ship10

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第2回A.B.Tの開催が宣言され、出場選手と各ブロックのトーナメント表が発表された。
選手は各々、来る2日後の試合に向けて準備を進める。



第2話「A.B.T予選」

―A.B.T開催の宣言から2日後

 

『―あれから2日が経ち!とうとうこの日がやってきた!!最強を目指すナウシズのアークスたちよ!富と名声を手にする準備はできたか!?第2回A.B.Tナウシズ予選ブロックの開始だぁぁぁぁ!!!!』

 

司会の開催宣言に対し、観客の大歓声が応える。

 

『良い熱気だ!!!どうやら皆、この日を心待ちにしていたようだ!!この勢いのまま試合を始めていきたいところだが...まずは改めて、ルールの確認といこう!!』

 

司会の言葉が終わると同時に、VR空間のメインモニターにA.B.Tの大会ルールが表示される。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――― A.B.T ルール ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

①出場者は全員、参加登録時に申請したクラスが装備可能なイデアルシリーズが大会中のみそれぞれ貸し出され、原則としてその武器のみの使用となる。

②個々の持つ特殊な能力については使用禁止。

③制限時間以内に、下記のいずれかの勝利条件を先に満たした者の勝利となる。

・対戦相手の武器を場外へ弾き飛ばし無力化する。

・対戦相手を場外へ落とす。

・対戦相手を戦闘不能(HPバー0)にさせる。

※VR空間を利用した特別なフィールドと武器のため、実際に負傷することはない。

 受けた分のダメージはデータとして処理され、モニターに映る選手ステータスのHPバーがその分だけ減っていく。

 なおHPバーが減るほど、その選手に対し身体的負荷(身体が重くなったり本当に傷を負ったかのような感覚)がかかるため、実際にダメージを受けたような感覚になる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『―以上が大会のルールだ!また予選ブロックは各ブロック同時並行で試合が行われている!ロビーやショップエリアにあるモニターでは、ランダムに試合の様子が映し出されるが、個人で気になる試合がある場合はそれぞれの持つ端末で見ることが可能だ!会場に来てくれている者は生で戦いを見ることも出来る!気になる試合を実際に足を運んで見るもよし!生で見ながら別の試合を端末で見るもよし!自由に観戦してくれ!!』

 

司会は一息ついたあと、再び口を開く。

 

『...さて、それでは始めよう!!最終ブロックへと勝ち上がるのははたして誰なのか...第2回アークスバトルトーナメントナウシズ戦予選ブロック...スタートだぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

アークス同士による互いの実力がぶつかり合う戦いが、観客の大歓声と共についに始まった。

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

出場選手には、それぞれ専用の個室が設けられ、皆、次の試合に向けて準備を整えている。

あるふぃもまた、もうすぐ始まる試合に備え精神を研ぎ澄ましていた。

 

「......よし、行くか。」

 

静かに椅子から立ち上がり部屋を出る。

選手専用通路では出番が近いアークスが何人か出入りしている。

通路を抜けた先にある広い選手控え室では、何人かのアークスが集まって会話をしたり、モニターで観戦したりしている。

フィールドへ向かい際にちらりとモニターを見ると、既に準備の出来たブロックから試合が始まっているようだった。

控え室を抜け、各ブロックの選手入場口へと進む。

既に観客の熱気は十分で、入場口を出ずとも、いまかいまかとこの後始まる試合に期待で胸を膨らませているのが伝わってきた。

 

「まだ始まったばかりだというのに...かなりの盛り上がりだな。」

 

『これより、Aブロック第3試合を始めます。出場者のアークスは、入場してください。』

 

機械的なアナウンスが流れる。

 

「さて、予選で1番の強敵だ。少しは気合いを入れないとな。」

 

軽いストレッチをし一呼吸すると、あるふぃはフィールドへと歩みを進める。

フィールドに出るとすぐに、大きな歓声があるふぃと反対側から入場してくる選手を迎えた。

初期配置に着くと、対戦相手の女性があるふぃへ声をかける。

 

「まさか、1戦目からあなたと戦うなんてね。」

 

「私も、初戦の相手がお前になるとは思わなかったよ。今回は、あまり悠長にしてはいられないな。」

 

「そうよ、油断してるとあっという間に終わっちゃうわよ?」

 

『Aブロック第3試合、モミジ選手vsあるふぃ選手。スタート。』

 

機械音声と共に、ビーッ!!という大きなブザー音が鳴り響く。

 

「さぁ行くわよ!!」

 

試合開始の音とほぼ同時に、モミジはあるふぃの頭上にタリスを素早く投げる。

直後、投げた先へワープをし、武器をソードへ切り替えてあるふぃの頭上から振り下ろす。

それに対しあるふぃは身動きひとつしなかった。

 

「っ!!」

 

モミジは背後にいつの間にか配置されていたビットに気づく。

見ると開始時にロッドを構えていたはずのあるふぃが、いつの間にかライフルに切り替えていた。

ビットから撃ち出された弾に対し、振り下ろす動きから無理矢理身体をひねり、何とかソードで防ぐ。

直後、あらかじめ試合開始時の位置に置いていたタリスへとワープした。

 

「まぁ、さすがにそう簡単にはいかないわよね。」

 

「当たり前だ。長い付き合いだからな。何をしてくるか大方の予想は付く。」

 

「はぁ...これだからお互いに手の内を理解している相手はやりにくいのよ...ね!!」

 

モミジは武器をツインマシンガンに切り替え、地面を乱れ撃ち、フォトンによる煙幕を発生させる。

煙幕があるふぃと共に、フィールドのほとんどを包み込む。

タリスで再び上空へとワープしたモミジは、氷と光属性のテクニックを織り交ぜた氷光の槍を大量に生成する。

それは雹のように降り注ぎ、地面へと刺さった光の槍は、氷纏によってしばらく形が残った。

さらにモミジは、炎属性のテクニックをまばらに放つ。

至る所で炎テクニックによる小さな爆発が起きると同時に、熱によって溶けた氷光の槍が、さらに濃い煙幕を作り出した。

続けざまにモミジは雷属性のテクニックを放つ。

小爆発によって散った火の粉が、雷属性のテクニックによって激しい爆発を起こす。

度重なる爆発が収まり、煙幕も徐々に晴れたのを確認したモミジは、地上へと戻る。

 

「これならどうかしら?」

 

一息付きながら、あるふぃのいた場所を確認する。

だがそこには、カタナを持ち、さきほどと変わらずその場に立ち続けるあるふぃの姿があった。

 

「ふぅ...並のアークスなら、今ので決まっていたぞ。」

 

「これでも無傷って...規格外にもほどがあるわよほんと。」

 

「無傷というわけでもないさ。」

 

あるふぃはモニターに映る自分のHPバーを指す。

あるふぃのHPバーは確かに、僅かに減っていた。

 

「あれでこれしか減ってないのは実質無傷みたいなもんでしょ!」

 

「ははっ、まぁそれもそうだな。さてと...」

 

あるふぃは軽く笑いながらも、武器をライフルへと切り替える。

 

「負けず嫌いなお前の事だ、まだ続けるんだろう?」

 

「...当たり前よ。あなたの言う通り、私は諦めが悪いからね...!!」

 

モミジはそう言うと同時に足を強く踏み込み、あるふぃへと向かっていく。

それを迎え撃つようにあるふぃは無数のビットを展開させモミジを攻撃していく。

ビットから放たれる弾幕を躱し、受け流し、前へと進む。

なんとか進み続け、至近距離へと近づいたモミジは持っていたソードを力強く振り上げる。

あるふぃはカタナへと切り替え、素早く振り下ろす。

両者の刃が激しくぶつかり、ガキンッ!!という激しい音が鳴り響く。

しばらく鍔迫り合う2人だったが、頭上に出現した複数のビットを確認したモミジはその場から素早く離れ、ビットから放たれた弾をツインマシンガンで相殺する。

直後、モミジの背後にあるふぃが現れ、カタナを横薙ぎに払う。

モミジはなんとかソードで防ぐが、不意の攻撃に受ける準備が万全ではなく、少し弾き飛ばされると同時に体勢が崩れる。

その隙を見逃さず、あるふぃは瞬く間に距離を詰め、カタナで連撃を叩き込む。

怒涛の連撃をモミジは必死に受け流し続けるが、反撃の隙が全くない。

あるふぃからなんとか距離を取ろうとモミジは連撃の合間を狙って離れた場所にタリスを投げる。

急ぎワープを行い距離を取る事に成功するが、あるふぃは追撃をせず、ただ一言だけ言った。

 

「その辺り、足元に気をつけた方がいいぞ。」

 

「っ!?」

 

いつの間にかモミジの周囲には、いくつもの地雷式ビットが散らばっていた。

直後、それらを防ぐ態勢を整える暇もなく、周囲のビットが次々と爆発を起こす。

爆発によって辺りが煙に包まれる。

 

「くっ...」

 

―まともにくらった。

 

その様子を目の当たりにしていた観客も、モミジ自身もそう確信していた。

だがモミジは、自身の身体がまだ問題なく動くことに気付いた。

 

「これって...!!」

 

「そう、ただのダミーだよ。」

 

あるふぃは、構えていたライフルから銃弾を1発撃つ。

それはモミジの持つ武器へと当たり、予想外の出来事に油断し手を緩ませてしまっていた為、武器を容易く弾き飛ばされてしまった。

弾かれたそれは宙を舞い、フィールド外へと落下する。

 

直後、試合開始時にも聞いたブザー音が鳴り響く。

 

『ビーッ!!モミジ選手の無力化を確認。勝者、あるふぃ選手となります。』

 

観客の歓声がフィールドを包み込む。

結果はあるふぃの圧勝ではあったが、そのあるふぃに果敢に挑んだモミジにも、観客から盛大な拍手が送られた。

 

「はぁ...最初から最後までダメだったわね。完全に手玉に取られてたわ。」

 

「ルール上、個々の能力の使用ができないからな。お前の能力は強力すぎた分、それに頼りっきりな戦闘スタイルだったのが敗因だろう。」

 

「ぐうの音も出ないわ...今度ファレグさんにでも修行させてもらおうかしら...」

 

「いや...ファレグだけはやめておけ。」

 

「あら、どうして?」

 

即答するあるふぃに対し、モミジは疑問を抱く。

 

「........とにかくやめておけ......」

 

過去に何かあったのか、あるふぃは軽いトラウマでも思い出したかのように頭を抑えていた。

 

「...ふーん.....なんとなく察したわ。それはそれとして、今後の予選ブロックの相手はあなたなら問題ないだろうから心配することもないだろうし、帰ってゆっくり休ませてもらうわ。明日の最終ブロック、観客席から見てるわよ〜。」

 

モミジはあるふぃに背を向け、入退場口のテレパイプへと向かいながら手を振る。

 

「あ、そういえば―」

 

転送する直前で、モミジは思い出したかのように振り返る。

 

「もし負けたら、私の"あるふぃに着せたい服リスト"の中から1着来てもらうから♪」

 

「っ!!おい待て!!」

 

あるふぃの静止の声が届くよりも先に、モミジはテレパイプを通じて帰ってしまった。

 

「はぁ...戦い以外となるといつもこれだ...」

 

試合には勝ったというのに、なんだかやるせない気持ちになったあるふぃは、ガクッと肩を落としながら退場していった...

 

 

 

 

********

 

 

その後も、各試合は順当に進んでいった。

予選にも関わらずどこの試合会場も席を埋め尽くすほどの勢いで、明日に待つ最終ブロックにもかなりの期待が寄せられていた。

 

そして全ての予選ブロックが滞りなく行われ、早くも戦いは明日の最終ブロックへと続く...




【モミジ】
あるふぃと付き合いの長いアークス。
過去にあるふぃがアークスになる前に過ごしていた研究所と同じ施設に居たことがある。
相手を惑わせる能力に長けている。
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