PhantasyStarOnline2-IF-「A.B.T」 作:あるふぃ@ship10
予選を勝ち上がり、最終ブロックへとたどり着いた8人の猛者たちの戦いがついに始まる。
『―最終ブロック第1試合!あるふぃvsアリス!バトルスタートォォォォ!!!』
「行くよ!あるちゃん!」
試合開始のブザー音と同時に、まず先に動いたのはアリスだった。
愛刀である"レンゴクトウ・グレン"を構え、一気に間合いを詰める。
『まず動いたのはアリスだ!あるふぃとの接近戦に持ち込むつもりだぁ!』
「来い!アリス!」
向かってくるアリスに対し、あるふぃもカタナを構え応戦する。
ガキンッ!!という刃が激しく交わる音が鳴り響き、続けざまにアリスは素早い連撃で斬り込む。
あるふぃもそれを防ぐように、幾度となくカタナを交える。
「アリスさん、開幕で一気に仕掛けに行きましたね。」
セラフィムとまリスの弟であるいリスは、観客席から試合の様子を見ていた。
「アリスさんはカタナでの戦いがメインだからね。あるふぃさんに遠距離からの攻撃が可能なロッドやライフルを使わせない距離まで詰めて戦うのが1番良いと思うよ。ただ...あるふぃさんの最も得意とする武器がカタナであるという点を除けばだけど......」
「え?あるふぃさんて普段からロッドで戦っているイメージがあるのでそれが一番得意なものとばかり...」
「姉さんから聞いたんだけど、あるふぃさんが言ってたらしいよ。"最も得意とするものは、普段は使わずここぞと言うべきに出すべきだ"って。元々ブレイバーを扱っていたこともあって、カタナにおいては他の武器種よりも数段得意なんだってさ。」
「でも、今回は最初から使っているんですね。」
「そこはきっと間合いの問題だよ。ライフルに関しては明らかだけど、ロッドは近接も出来るけど今のアリスさんのように至近距離に詰められると上手く武器を振り回せない。あるふぃさんの実力ならそもそも近づけさせない戦い方もできると思うけど...観客を意識してるのかな?」
2人が話す間も、あるふぃとアリスは何度も刃を交えていた。
アリスの猛攻をあるふぃは幾度となく受け流し、ところどころに反撃を織り交ぜる。
『アリスが果敢に攻め立てる!!あるふぃも合間を縫って反撃を仕掛けるが、完全に攻めに転じられないでいる!これは僅かながらアリスが優勢か!?』
実況の通り、試合が始まってからしばらく、アリスは途絶えることなく攻撃を続けていた。
僅かな隙を突いてあるふぃも反撃を繰り出すが、その全てをアリスは捌き再び斬り込む。
だがそれを何度か繰り返しているうちに、変化が起きた。
―アリスが押されはじめている。
「...くっ!」
「どうしたさっきまでの勢いは。早くその秘策とやらを見せてくれてもいいんだぞ?」
攻勢一転、あるふぃがアリスへ斬り込む。
アリスはあるふぃの連撃を必死になって受け流す。
『おぉっと先程まで果敢に攻めていたアリス!息切れかぁ!?ここに来てあるふぃが本格的に反撃を開始したぁ!アリスはこの猛攻を凌ぎきれるのかぁ!?』
「どうして急に...」
セラフィムがその状況を見て不思議に思う。
先程まで圧倒して攻めていたアリスがいつの間にか防御に徹しているのだから無理もない。
「多分、あるふぃさんの反撃一つ一つが、アリスさんの攻撃の軸をずらしていたんだと思う。ペースが乱れれば攻めるアリスさんは余計にスタミナを使うし、手数も完全じゃなくなる。必要最低限の攻撃で、先手を打ってくる相手のペースを乱す...これがあるふぃさんの戦い方......」
なおも続くあるふぃの反撃に、アリスは防戦一方となっていた。
「この程度でペースを乱されているようでは、まだまだだな。」
「この...っ!!」
続くあるふぃの連撃を、ただひたすらに防ぐ。
しかし反撃の隙など無く、なんとか息を整えようと距離を取ろうとするとほぼ同じタイミングで距離を詰めてくる。
そんなアリスを見かねたのか、彼女の内に宿る力が声をかける。
(―だから最初から私と替わっておけばよかったのに...随分と無茶をするじゃない。)
(今の自分の力でどこまで渡りあえるかと思ってやってみたのだけれど......やっぱりあるちゃんは強いなぁ.....)
(もう十分腕試しはできたでしょう?久方ぶりの強者との戦いに気持ちが疼いているのよ。早く替わってくれない?)
(まったくもう、せっかちだなぁ......分かったよ。あとは存分に戦っておいで―)
なんとか攻撃を防いでいたアリスの手がピタッと止まり、あるふぃの一振りがアリスに届きかける。
だがその刃が届く間際、アリスの周囲に炎が巻き上がり刃を押し返した。
あるふぃはそれを見て咄嗟に後ろへ下がり、様子を伺う。
『おぉーっとなんだぁあれは!?突如アリスの身の回りを激しい炎が取り囲んだぁ!!!』
「.....なるほど、それが秘策というわけか。」
炎の中から感じる覇気から、何かを察するあるふぃ。
アリスの周囲に巻き上がっていた炎が四散する。
服装に変化はなかったが、髪の毛先は燃えるようになびき、瞳からは常に炎がごうごうと燃え盛っていた。
「初めましてと言った方がいいかしら。ナウシズの守護輝士。」
「実際にこうして話すのは初めてだな。スクナから存在自体は聞いたことがある。会えて嬉しいよ―」
「
***************
フィールドを、炎を纏った無数の武具が飛び交う。
使用者の周囲から放たれるそれは、一直線に対象へと向かう。
「くそっ...やりづらいな...!!」
向かってくる武具を躱し、
立て直そうと後ろに下がると再び炎纏の武具があるふぃへと降り注ぐ。
なんとか全てを防いではいるが、なかなか攻め手に欠けていた。
「この程度でペースを乱されているようではまだまだね、ナウシズの守護輝士さん。」
さきほどアリスに対し放った言葉をそっくりそのまま返され、あるふぃは思わず苦笑いをする。
『まるでさっきまでとは別人のような圧倒的な攻めを見せるアリス!!これがアリスの能力か!?再び守りに転じたあるふぃだが、この猛攻を再度返すことはできるのかぁ!?』
「...まったく、仕方がないな......」
小さく呟くと、あるふぃは飛び交う武具を防ぐ合間に持っていたカタナを素早く納め、ロッドへ切り替える。
「今度はテクニックでなんとかするつもり?いいわよ、やってみなさい。」
【薪炎の魔眼】は腕を振り上げ頭上に無数の武具を顕現させ炎を纏わせる。
上げた腕を振り下ろすと同時に武具はあるふぃへと向かっていく。
そして―
あるふぃはその手にもつ武器、"グリムリーパー"を一振する。
その一振によって、あるふぃへと放たれた武具が全て消し飛んだ。
「っ!?」
先程までとはまるで違う圧倒的な威圧感に僅かに足がすくむ。
(まさかこれは...恐れ?この私が......?)
「最終ブロックは始まったばかりだからあまり使わないでいたかったが、相手が相手だ。」
そう言い放つあるふぃの瞳と愛用の武器である"グリムリーパー"のフォトンで形成された刃は、血のような深紅に染まっていた。
「悪いが、これからの対戦相手のことを考えるとあまり長くは使っていたくないんだ。一撃で決めさせてもらうぞ。」
「...へぇ、この私を一撃で落とせると......まぁいいわ、私もこの状態でいられる時間には限りがあるからね。一撃で灰塵にしてあげるわ。」
お互いに武器を構える。
僅かな時間、無音に近い静けさが会場を包み、観客達も思わず息を飲む。
刹那、あるふぃが一気に突っ込む。
(っ!?速い!!)
今までとは桁違いの速さに
無数の武具を飛ばし、遅れを取り戻そうとするが、あるふぃはそれらを"グリムリーパー"で弾きながらも、減速することなく突っ込んでいく。
一瞬で距離を詰め、懐に入ったあるふぃは、フッと【薪炎の魔眼】の前から姿を消す。
(この殺気...後ろっ!!)
「ふんっ!!気配がだだ漏れよ!!」
背後に視えたあるふぃに対し、構えていた"レンゴクトウ・ヒガン"を力強く振るう。
だが―
「っ!?」
背後に現れたあるふぃに確実に当てたはずの刃は物体を斬るような感触はなく、ただ空を切る。
それと同時に、真っ二つとなったあるふぃの姿は、霧のようにふわっと消えた。
「これは...幻影っ!?」
「ファントムらしい技だろう?もっともそれは、対人でしか通用しないがなっ!!」
あるふぃは消える前と同じ
力を溜めた渾身の蹴りが、隙を見せた
「ぐうぅっ...!!」
十分な防御ができず、もろに蹴りを受けた
なんとか地面に着地し、反撃を行おうと顔を上げヒガンを構え直した次の瞬間―
『決まったぁぁぁぁぁ!!!!さすがは守護輝士あるふぃ!満を持して準決勝へと進出だぁぁぁぁぁ!!!!』
「ちょっと待ちなさい!私はまだ戦え―」
(私たちの負けだよ
観客の大歓声によって
「......っ!!」
そこはまぎれもなく、フィールドの場外だった。
あの蹴り1発で、あっという間に数十メートルも飛ばされていたのだ。
状況を理解した
「......はぁ...まったく、これだからルールのある試合は苦手なのよ。」
(まぁまぁ、私達だってまだ完全に"繋"に慣れていない状態だったし、どちらにせよ時間の問題だったでしょ?)
宿主に正論を言われ、
そこに、フィールド内からあるふぃが
「久しぶりに良い相手と巡り会えた。ところで、まだその戦い方には慣れていないんだろう?完全にものにした時にまた、勝負をしようじゃないか。」
あるふぃの挑発的な言葉に
「ふんっ......傲慢甚だしいわね......いいわ、覚えておきなさい。次戦う時ははルール無用の真剣勝負よ。せいぜい私を失望させないよう、腕を鈍らせない事ね。」
その言葉を最後に、アリスの身体がふらっと揺れる。
「っとと...急に戻らないでよもう...」
ふらつきながら小言を言う姿を見て察したのか、あるふぃの雰囲気が少し優しくなった。
「ふむ...悪くない太刀筋だったぞアリス。だがその秘策、ルールがそのままなら使えなかったぞ?」
「大丈夫よ。だってルール変更の提案をしたのは、他でもないヒメ様だもの。」
「......なるほどな。通りで2人とも、ルール変更の時に僅かににやついていたわけだ。」
あるふぃはやれやれといった様子で両手を軽く上げる。
「どうしてアリスさんは、最後に正面にいるあるふぃさんではなく背後に攻撃を振ったんですかね?」
「...姉さんから聞いたことがあるんだけど、あるふぃさんは殺気だけで、相手に幻影を見せることができるって言ってたよ。さっきの様子だと、《背後から襲う》という殺気をアリスさんにぶつけることで、アリスさんはその殺気から背後にあるふぃさんの幻を視てしまって、そこに向けて武器を振るったんだと思う。」
いリスの言葉にセラフィムは唖然とする。
このような恐ろしい技を扱えるあるふぃが第1回A.B.Tの本戦1回戦で敗れたというのだ。
ナウシズ以外の守護輝士も、このように異次元の強さを持っているのだろうか...
なおも止まぬ大歓声の中、あるふぃとアリスの退場を確認した司会は大きく声をあげる。
『さて!!!まだまだ最終ブロックは始まったばかりだ!!!!ボルテージの配分を間違えて終盤でへばるなよぉ!?それでは続いて第2試合、選手入場!!!!』
【薪炎の魔眼】
星の意志によって創造された、ハルコタンの巫女に代々引き継がれてきた炎の加護。
現黒の巫女であるアリスの内に宿り力を貸している。
以前から人格はあったが、表に出ることはできなかった。
今回のA.B.Tにおける対守護輝士の秘策である"繋"を会得したアリスによって、一時的だが表に出ることが可能になった。
【いリス】
まリスの弟。
第2回A.B.Tに出場したが、予選で蝉時雨を相手に敗退。
セラフィムと共に観客席から最終ブロックの戦いを見届ける。
【クレハ】
モミジの弟。
今回は不参加だったが、第1回A.B.Tではリランを相手に接戦を繰り広げた程の実力者。
モミジの趣味のせいか、女装していることがたまにある。
【みにふぃ】
あるふぃの妹。
実力は一般のアークスと比較するとそれ以上だが、身体が弱く体力が少ないため、あるふぃのサポートを主にしている。
しっかり者で家事ができるため、あるふぃにとって自慢の妹。
【紅蓮の瞳】
あるふぃが自身に宿る力を発揮する際に、瞳の色が紅く染まることから付けられた呼び名。
フォトン量、身体能力等をただ純粋に向上させるという単純なものだが、それ故に長時間の維持を可能とする。
ただし、これはあるふぃの持つ全てを増幅させる能力の為、ダーカー因子でさえも増幅させてしまい、扱うタイミングを間違えればダーカー化の恐れもある諸刃の剣。
【フォトン式格闘術】
あるふぃがファレグから学んだ徒手空拳による格闘術に、自身のフォトンを纏わせることでさらに威力を増大させたもの。
【薪炎の魔眼】を場外へと蹴り飛ばした際に使われた。
武器にフォトンを流し込み、力を増幅させて放つのが基本的なアークスの戦い方故に、この戦い方はファレグから直接技術を叩き込まれたあるふぃのみが会得している。
【繋(つなぎ)】
ハルコタンに伝わる秘術。
宿主と加護のフォトンリンクを深めることで、一時的に宿主の身体を借りて表に顕現することができる。
この技を完全にものにすることができれば、宿主自身の意志で加護の力を最大限に発揮することができるようになるという。
アークスではリサとハリエットが、これに似た技術をもっていた。
【グリムリーパー】
あるふぃの専用武器。
ファントムクラスに普及されているグリムアサシンをあるふぃ用に調整したもの。
フォトンで構成されている刃は、持ち主であるあるふぃの状態によって色が変化する。
【レンゴクトウ・グレン】
アリスの愛用する深紅のカタナ。
このカタナから飛ぶ斬撃は炎を帯びる。
【レンゴクトウ・ヒガン】
【薪炎の魔眼】の力を顕現させた、柄から剣先まで全てが炎で構成されたカタナ。
宿主が最も得意とするカタナを意識して形を成しているが、所有者の意志によっては様々な武器種へと変化することが可能。