PhantasyStarOnline2-IF-「A.B.T」 作:あるふぃ@ship10
そして第2試合、あるふぃへのリベンジに燃える2人の戦いが始まる。
『第2試合、選手入場!!!!』
入場を促す司会の声に応じ、フィールドに2人の少女が現れる。
『これも何かの巡り合わせか!ナウシズの双星がここに揃う!!"双星の一"クオン!!そして相対するは、"双星の二"リランだぁぁぁぁ!!!!』
歓声と共に大きな盛り上がりを見せる観客達に対し、フィールドに立つ2人は静かに、お互いを見据えていた。
(この日のために2日間しっかり特訓してきたんだ...大丈夫、今の私ならクオンに勝てる。)
リランはパンパンッと顔を2度両手で叩き気合を入れると、武器である"グランスティル"を構える。
「クオン、この試合であなたが負けたら、双星の肩書きを入れ替えるっていうのはどう?」
「へぇ...随分と強気だねリラン。いいよ。でも今回は、前回以上に負けられないんだよね。」
クオンも自身の武器"桜剣プルクラケウス"を構える。
『両者とも既にやる気満々のようだ!!それではさっそく始めよう!最終ブロック第2試合!クオンvsリラン!バトルスタートォォォォ!!!』
試合開始のブザー音が鳴り響く。
「それはこっちも同じっ!!」
その言葉と同時に、リランが素早く前に出る。
クオンも迎え撃つように同じく前へと出る。
2人は互いに至近距離へ入ると、同時に武器を振るった。
互いの武器が強くぶつかり、その後も激しい打ち合いが幾度となく繰り返される。
『おぉっとこれは第1試合とは違い、開始早々に両者共に攻めの構えだ!!!この試合、どちらが先に優勢となるのかぁ!?』
その後も両者とも決して下がることはなく、互いに回避と防御を交えながら攻撃を加えていく。
手数は少ないが一撃が重いウォンド。
一撃は軽いが手数が多いダブルセイバー。
お互いの欠点を補い、戦場においてナウシズ最強のエトワールコンビと称される2人が、今は互いに相争っている。
リランが手数で攻め、クオンがそれを防御し、合間を縫って強力な一撃を放つ。
リランはそれをダブルセイバーで素早く受け流し、ウォンドの威力に引けを取らない強力なカウンターを繰り出す。
さらにクオンはそれを防ぐ......序盤から戦いは苛烈を極め、観客達は早くも、大きな盛り上がりを見せていた。
「お互いすごい気迫と勢いですね。最初からせめぎ合いで...」
「実力が拮抗している分、少しでも手を緩めて相手のペースにさせてしまったら取り返しがつかない。それをお互いに理解しているからこそ、最初から全力なんだろうね。」
数十回の激しい攻防の末、両者共に一度距離を取り、息を整える。
「やるじゃんリラン。3度は確実に当てたと思ったんだけど、見事に受け流されちゃった。」
「私も、2度は当てたと思ったんだけどね。お互い、2日間の特訓の成果が出てるってことかな。」
「そうかもね。それじゃあ......これも相手にできるか、試してみようかな!!!」
クオンはそう言うと、ほんの少し距離を取り、すぐさまデュアルブレードへと切り替える。
「デュアルブレードか...!!!」
リランは再び武器を構え、クオンが一気にリランへと踏み込む。
再び、互いの武器が激しくぶつかり合う。
「クオンさんのデュアルブレードの扱いって、ウォンド程じゃないですよね。返って不利なのでは...」
「でもここであえて出してきたってことは、何かあるんだと思う。」
クオンの奇妙な作戦に疑問を感じるセラフィムといリス。
そんな2人をよそに、クオンとリランは互いの武器を何度もぶつけ合う。
先程と同じく、一進一退の攻防を繰り広げるクオンとリランだが、しばらく刃を合わせた後に、クオンが仕掛けにいく。
「ウォーミングアップはここまで。ここからが本番だよ!」
クオンはエッジを残しながら後ろに下がりつつ、素早くウォンドへ切り替え、エッジがリランに当たると同時に高密度のフォトン帯"ルミナスフレア"を放つ。
「っ!?」
2方向からの同時攻撃に対し、リランは危なげなく回避を行う。
体勢を立て直そうと1度距離を取ろうとするが、ウォンドから放たれた吸引性のフォトン"ブラックホールラプチャー"によってリランの動きが阻害される。
そこへ再び、デュアルブレードのエッジがリランへと襲いかかる。
「どう?リランもダブルセイバーばかり使ってないで、他の武器種も手を出してみたら?」
クオンはそう言いつつ、ウォンドとデュアルブレードを巧みに使い回し、リランのペースを崩す。
『おぉっとここで遂に長く続いた均衡が崩れたかぁ!?クオンのウォンドとデュアルブレードの2種の武器による巧みな立ち回りがリランを苦しめる!!!』
「っ!!...このっ!!」
完全にクオンのペースに飲まれ、攻撃の機会を失ってしまったリラン。
なんとか形勢を戻すため、リランは自身の持つダブルセイバーに力を込めた。
「..."グランスティル"......拘束解除!!!」
リランの声に応じるように、彼女の持つダブルセイバーが形を変えていく。
一目見るとソードと見てもおかしくはないであろうリランの武器は、まさに両剣と呼ぶに相応しい、ダブルセイバーの本来あるべき形となった。
武器の拘束を解除したリランは、クオンの猛攻を素早く掻い潜り、懐へと近づいていく。
『ここでリラン反撃に出る!!クオンの攻撃を素早く避けながら、間合いへと踏み込んでいくぅ!!!』
「やるじゃん...もし私がデュアルブレードじゃなくダブルセイバーを使っていたら、負けていたかもね!」
クオンは手をとめず、間合いを詰めようとしてくるリランに対しなおも攻撃を続ける。
デュアルブレードのギアを飛ばしながら、"ブラックホールラプチャー"を展開し動きを阻害する。
だがリランはそれらを難なく躱し、ついにクオンとの距離はリランの間合いにまで近づいた。
「もうそんな小賢しい手は通用しない!!」
リランはクオンに対し、解放した"グランスティル"による連撃を叩き込む。
クオンはウォンドによるフォトンのバリアでそれを防ぐ。
だがリランはそれに構うことなく、バリアに対しただひたすらに攻撃を続ける。
『クオンはひたすらに守り、リランはひたすらに攻める!!この競り合い、どちらが先に息を切らすのかぁ!?』
「くっ...!!」
少しして、クオンの顔色が怪しくなる。
リランの攻撃を耐え続けていたバリアに、ヒビが入り始めたのだ。
リランはなおも、攻撃を続ける。
「バリアが壊れるまで殴り続けるなんて...無茶苦茶過ぎるって!!」
「これが私の全力だぁぁぁぁ!!」
リランの力を込めた強烈な一振によって、ついにクオンのバリアが割れる。
「っ!!」
「はぁぁぁぁ!!!!」
リランは"グランスティル"から巨大な剣を生成し、それを力強く蹴り放つ。
「ぐぅぅぅ...!!!」
クオンはギリギリの所でバリアを再展開するが、放たれた巨大剣をまともに受け、徐々に後方へ押し出されていく。
『リランの"セレスティアルコライド"を正面からまともに受けたクオン!!このまま場外へと押し出されてしまうのかぁ!?』
「......やっぱり、リラン相手に...温存はできないね...!!」
このまま場外へと落ちてしまうかと思われた瞬間、クオンはバリアを解きながら体を回転させることで巨大剣をなんとか受け流す。
「っ...だめか...ならもう1度...!!」
「......"もう1度"だなんてそんな甘い考えは通させない!"双星の一"の力、見せてあげる!!」
リランが再びクオンへと近づこうとする中、クオンは1度大きく深呼吸し、武器である"桜剣プルクラケウス"を掲げる。
「真名解放...起きて!!"アルトリウス"!!!」
クオンが声を上げると、"プルクラケウス"に付けられたリボンがスルスルと解かれる。
完全にリボンが解かれると、武器全体を白く輝くフォトンが包み込む。
『これは...ついにクオンも本気モードだ!!!双星同士の本気のぶつかり合いだぁぁぁ!!!』
「"真櫻剣アルトリウス"...クオンさんも本気ですね。」
「...勝負あったね。」
「え?」
セラフィムはいリスの言葉に首を傾げる。
「ここからもう一悶着あると思ったんですが...いリスから見たらもう勝敗は決まってるんですか?」
「うん。たぶん、答えはすぐ分かるよ。」
クオンとリランが再び激しくぶつかり合う。
最初の数回は互いに一進一退の攻防を繰り広げていたが、その均衡はすぐに崩れ去った。
「うぐっ...!」
リランが僅かに押し込まれていた。
『おぉっとリラン早くも押し負けている!これはさすがに先ほどの無理な攻めもあって息切れかぁ!?』
クオンのバリアに対する強引な攻め、長時間の拘束解除により、"グランスティル"は既に消耗しきってしまっていた。
「リラン、残念だけど、もう詰みだよ。それでもまだ試合を続ける?」
"アルトリウス"による殴打やフォトンのビームがリランを襲う。
リランは必死になってクオンの攻撃を防ぐが、ビームの衝撃により後方に大きく飛ばされる。
(くそっ...!!あそこで押し出しきれなかったせいだ...!もっとギリギリまで解放を温存して、セレスティアルコライドの威力に更にブーストをかけられたら...!!)
なんとか踏みとどまったリランは、そんな事を考えながらクオンを見据える。
「...あそこで決めきれなかったから、もう少し武器の解放を遅らせておけば...そう思ってる?」
「っ!?」
クオンの核心を突いた言葉にリランはドキッとする。
クオンは驚くリランに対し、静かに語りかける。
「PvPにおいて1番大事なのは、相手の行動に対して自分がどう動くかじゃなく、自分が動きやすいよう相手にどう立ち回らせるかだよ。例えば、遠距離攻撃を多用して近づかせないようにすることで、相手は無理矢理近づこうとして自身にブーストをかける、とかね。」
「まさか...っ!」
「もう分かったみたいだね。」
リランは理解した。
これまでの戦いの経緯全てが、クオンの計算通りであったことに。
「くっ......うあぁぁぁぁ!!!」
リランはこれまでの操られていた試合の流れに、悔しさのあまり雄叫びを上げながらクオンへと迫る。
それに対しクオンは、周囲に多数の方陣を展開する。
「これで終わりだよ..."ルミナスフレア・イクシード"...フォイア!!」
方陣とクオンの持つ"アルトリウス"から凝縮されたフォトンのビームがリランへ放たれる。
「ぐっ.....!!」
数発受け流すことはできたが、今のリランにそれ以上を防ぐ力は残っていなかった。
残りのビームがリランに被弾する。
「ぐっ...うぁぁぁぁっ!!」
リランが吹き飛ばされると同時に、モニターのHPバーが0になる。
『き...決まったぁぁぁぁぁ!!!!クオンとリランのエトワール対決!!リランの戦闘不能により、クオンの勝利!!!!"双星の一"の威厳を示したぁぁぁぁ!!!!』
試合終了のブザー音と共に、観客の歓声が飛び交う。
クオンはリランの元へ近づくと、リランへと手を差し伸べる。
リランはその手を掴み、クオンに助けられながら起き上がる。
「っ...はぁ...やっぱり強いなぁクオンは...」
「特訓してるのはリランだけじゃないからね。」
「この2日間、あるふぃの対策ばかりしていると踏んで油断していると思ったのだけど...」
「ん?私はリランとの対戦もちゃんと考えて特訓してたよ?」
「嘘...だって2日間しか無かったのに2人分の対策を練るなんて...」
「相当きついだろうね。ましてやそのうちの1人はあるちゃんなわけだし。だから―」
「2日間VRルームを貸し切ってそこで生活した!!!」
「!?」
クオンの衝撃的な言葉と圧倒的な練習量の差に、リランは目を大きく見開き口をあんぐりと開け、しばらく返す言葉を失ってしまった。
「.........はは...そりゃ勝てないや...」
『開幕から最後の最後まで、手に汗握る激戦を見せてくれた彼女らに盛大な拍手を!!!』
観客の拍手に見送られながら、クオンとリランは退場していった。
「......それではこの興奮を維持したままさっそく第3試合へと行こう!!...最終ブロック第3試合!両選手入場!!!!」
【桜剣プルクラケウス】
クオンの持つオリジナルのウォンド。
桜色の剣の形をしたもので、ウォンドとしての機能も有する。
刀でいう鍔の部分にリボンの装飾が施されているが...
【グランスティル】
リランの持つオリジナルのダブルセイバー。
スティルシリーズをモチーフとしており、普段はジェンスティルのような形状をしている。
本来の力を解放することでプレザスティルと似た形になるが、武器そのもののフォトン出力はそれらを圧倒的に凌駕している。
だが、出力が激しいため、長期の解放を行うと武器が破損する恐れがある。
【真櫻剣アルトリウス】
クオンの持つ"桜剣プルクラケウス"の真の姿。
クオンがその名を呼ぶことでリボンの装飾が解け、刀身が白く輝く。
この状態では一般のエトワールを越える殲滅力と範囲を持ったフォトンアーツを放つことでき、クオンはそれらを放つ際、「イクシード」と付け加えて呼んでいる。