PhantasyStarOnline2-IF-「A.B.T」   作:あるふぃ@ship10

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"ナウシズの双星"クオンとリランによる対決は、激闘の末、クオンの勝利に終わった。
続く第3試合。
かつての守護輝士と、守護輝士を育てた者の対決が始まる。


第6話「英雄2人」

『第3試合はこの2人!!ウルの元守護輝士、ユウ!そして対するは守護輝士に並ぶ実力者、蝉時雨!!』

 

歓声がフィールドに現れた2人を迎える。

 

「よろしくお願いしますね、蝉さん。」

 

「えぇ、お互いに全力を尽くしましょう。」

 

(予選の試合を度々見てはいましたが、ユウの実力はあまり測れなかった...まずはどれほどのものか、試してみる必要がありそうですね。)

 

『直前の第2試合はエトワールクラス同士の対決だったが、今回はヒーロークラス同士の対決だぁ!!さてさて、両者とも準備はいいかぁ!?それではさっそく始めよう!最終ブロック第3試合!!ユウ対蝉時雨!!......バトルスタァァトォォォ!!!』

 

まず先に仕掛けたのは蝉時雨だった。

手始めに、ツインマシンガンをユウに向かって放つ。

ユウはそれを素早く避けつつ、同じように蝉時雨に向けてツインマシンガンを放つ。

両者の撃ち合いがしばらく続く中、突如ユウがタリスによるワープで蝉時雨の背後へと回り、ソードを横薙ぎに払う。

蝉時雨はそれをジャンプしながら避け、持っていたツインマシンガンをソードへと切り替え、着地と同時に振り上げる。

一方ユウは、振り払ったソードを既に構え直し、それを力強く振り下ろす。

互いのソードが激しくぶつかり合い、大きな音を立てる。

僅かな鍔迫り合いの後、更にソード同士による打ち合いが続く。

ユウはタリスを巧みに使いこなし、蝉時雨の背後や頭上を取りながらソードを振るっていく。

蝉時雨も負けじと、しっかりとユウの動きに対応する。

 

「すごい...これがハイレベルなヒーロークラス同士の戦い...」

 

セラフィムは驚嘆する。

ヒーロークラスは後継クラスの中でも特に打撃、射撃、法撃をバランス良く使い分ける事が大事なクラスだ。

だがそれらを使い回そうとした時、どうしても武器を切り替える際のタイムラグなどによって隙が生じてしまう。

しかしユウと蝉時雨にはそのような隙が一切存在しなかった。

 

各種武器を巧みに使い回しながらの激しい攻防がしばらく続き、その後お互いに1度距離をとる。

 

「...いい動きですユウ。さすがはウルの守護輝士をやっていただけのことはありますね。」

 

「蝉さんこそ、なぜ守護輝士ではないのか不思議に思う程の強さですよ。」

 

「私はあの2人ほど、実績も基礎的な能力も高くありませんから。それに、戦場に出て戦うのはあまり好きではないんですよ。」

 

「...にしては楽しそうに戦うじゃないですか。」

 

「あなたが相手だからですよユウ。友人との試合は今後の連携にも役立ちますし、同じヒーロークラスである以上、戦い方に関して参考にできる部分が見つかるでしょうから。」

 

蝉時雨はフッと軽い笑いをしながら、頭の中で今後の作戦を練る。

 

(......ここまでは善戦出来ていますが、やはり純粋な戦闘力ではユウの方が上ですか......多少の消耗は覚悟で、いくつか()()必要がありそうですね。)

 

「さて、もう少しあなたの動きを見てみたいところですが、試合の制限時間があまりありません。少し、本気を出させてもらいます。」

 

蝉時雨は1度深呼吸をし、その後再び口を開く。

 

「...拘束制御術式3号(プロテクション・ドライ)解除(リベレイト)!!」

 

蝉時雨の纏うフォトン量が一気に跳ね上がる。

見た目に変化はないが、対立するユウからして見れば、明らかに雰囲気が変わったのを感じ取れた。

 

「蝉さんの拘束制御術式...話には聞いていましたが、実際に目の当たりにするのは初めてですね。」

 

「1段階解除するだけでも身体に多少の負担がかかりますからね。戦闘に滅多に出ないうえに、極力使わないようにしているので、実際に見たことがないのも無理ありません。」

 

蝉時雨はソードを構え直す。

 

「さて、第2ラウンドといきますよ...!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いのソードが何度も激しく交わる。

ツインマシンガンによる撃ち合いやタリスによる裏の取り合い。

お互いにヒーロークラスとしての戦い方をフルに活用し、一進一退の攻防を繰り広げる。

 

『両者共に一切引けを取らないぶつかり合い!!どちらが先に崩れるかぁ!?』

 

(くっ...これでも決定打にはなりませんか...!!)

 

潜在能力の一部を解放した蝉時雨だが、ユウを押し切るには未だ十分とはいえないものだった。

蝉時雨に僅かに焦りの表情が現れる。

 

(このままでは埒が明きませんね...長引けが長引くほどこちらの消耗が激しくなる一方......なら!!)

 

「...拘束制御術式2号(プロテクション・ツヴァイ)解除(リベレイト)!!」

 

一瞬距離をとり、蝉時雨は更に自身の力を解放する。

 

「っ!!」

 

今度は観客からも見てわかるぐらいに、蝉時雨の身の回りをフォトンが激しく巻き上がる。

 

「すごいフォトン量...あれが蝉さんの本来の力...!!」

 

「あれ程のフォトン量でまだ全力じゃないなんて...さすがスリス姉さん...!!」

 

蝉時雨の秘める力に感心するセラフィムといリス。

相対するユウは覚悟を決め、武器を強く握りしめる。

 

「さすがにこれは...僕も本気を出した方が良さそうですね!!!」

 

張り上げた声とともに、ユウの髪が逆立ち、瞳の色が青からオレンジへと変わる。

 

「なるほど、それがあなた特有の...ヒーロータイムですか...!!」

 

(あるふぃから話は聞いていましたが、実物を前にするとよく分かる...なんていう凄まじい覇気!!)

 

蝉時雨はユウから放たれる覇気を浴び、気持ちが押し潰されるような感覚に陥る。

だが負けじと武器を強く握りしめ、自分に喝を入れるように大きく声を発する。

 

「はっ!!」

 

蝉時雨は勢いよく、ユウに向かって飛び込む。

ユウも迎え撃つように前へと飛び込む。

互いに間合いに入ると、両者同時にソードを振り下ろす。

ソード同士が激しく衝突する。

2人の剣速は先程よりも遥かに増し、およそ大剣とは思えない速度で打ち合い始めた。

 

『これは目で追えなくなるほどの剣速同士のぶつかり合い!!!速い!!速すぎるぅぅ!!!』

 

何十合と打ち合う2人だったが、蝉時雨の剣速がわずかに鈍る。

 

「くっ...!!」

 

(やはりこの程度ではユウのヒーロータイム相手に有利は取れない...なら一か八か、ここで使うしかない!!)

 

蝉時雨はユウを1度引き離し、自身もさらに距離をとる。

 

「...ユウ、時間もありません。この一撃で決めましょう。これを受けてもなお、立っていられたらあなたの勝ちです。」

 

蝉時雨は大きく深呼吸をしながら、自信の持つ武器"光跡剣レリクシオン"を頭上へ掲げる。

 

拘束制御術式1号(プロテクション・アインス)...限定解除(クロノリベレイト)!!」

 

蝉時雨の纏うフォトンが爆発的に跳ね上がる。

 

―束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。

 

「っ!!」

 

徐々に、"レリクシオン"に光の粒子が集まるのを見て、ユウは全てを察する。

 

「...分かりました蝉さん。ならば僕は全力で、それを迎え撃ちます!!」

 

ユウはその手に持つ"コートエッジVer3"を構え、強く握りしめる。

身に纏うフォトンが更に跳ね上がりながら、"コートエッジ"の輝きが増す。

周囲を漂う煌びやかなフォトンが、装甲のように刀身を包み込む。

 

―集いし光は極光となりて、深き闇を打ち祓う。

 

光の粒子は"レリクシオン"を軸にしながら、柱のように延びる。

 

 

 

 

 

 

「...その身に受けよ!!」

「薙ぎ払え!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

揺るぎない(エクス)―」

「ヒロイック―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曙光の煌剣(カリバー)ー!!!「セイバァァーー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

互いの全力を込めた一振が激しくぶつかる。

フィールドには、戦闘によって観客に被害が出ないよう特殊な加工を施された対フォトンバリアが張られているが、2つの凝縮されたフォトンの衝突による余波だけはどうしても防ぎきれなかった。

抑えきれなかった衝撃波によって、会場全体が少し揺れる。

どよめく観客たちの中、2人の立つフィールド内は激しい光に包まれた。

 

『これはとてつもないフォトンの衝突だぁぁぁ!!!この戦い、いったいどちらが立っているのかぁ!?』

 

激しい光が徐々に収まり、フィールド内が晴れていく。

観客全員が、2人の立つフィールドを凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そこには、どちらも倒れることなく、お互いを見据えて立っている2人の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

『おぉっとこれは見事に相殺されたか!?あの激しい衝突が起きた後も、両者共に立ったままだぁぁぁ!!!』

 

 

 

蝉時雨が呟く。

 

「......なるほど......これがウルの守護輝士......やはり...強い...ですね...」

 

その言葉を最後に、蝉時雨はその場にバタりと倒れる。

同時に、蝉時雨のHPバーが0になる。

 

『これは......き、決まったぁぁぁぁぁ!!!!蝉時雨戦闘不能につき、第3試合勝者は...ユウだぁぁぁぁ!!!!!』

 

ユウは急ぎ蝉時雨に駆け寄り、肩を貸しながら立ち上がる。

そこに、待機していたメディカルチームが集まり、蝉時雨をタンカーへと横たわらせる。

 

「はぁ...VRだから多少の無理は問題ないと思っていましたが...それでも反動は軽減されないようですね...」

 

横たわる蝉時雨は、どっと疲れた様子で小さく呟く。

 

「...蝉さん、どうして最後のあの時、本当の全力を出さなかったんですか?」

 

傍に立つユウの質問に、蝉時雨は少しの間を空けて答える。

 

「......あれから先は、ここで使っていいような代物ではないからですよ。かつての【深遠なる闇】のように、本当に強大な悪と対峙した時に、最終手段として使うものなんです。」

 

ほんの少し間を空けて、蝉時雨が続けて話す。

 

「...さぁ、あなたは次の試合に向けて少しでも長く休憩しておきなさい。次に勝ち上がる相手がどちらにしろ、今以上の消耗戦になるのは確実ですから。」

 

「分かりました。蝉さんも、ゆっくり休んでください。」

 

拘束を解除した反動によって動けない状態の蝉時雨は、メディカルセンターの係員によってタンカーで運ばれていった。

 

「蝉さん!!いくらVRでも、身体への負担は相応に掛かるんですからね!あんまり無茶しないでください!!」

 

係員の怒る声が蝉時雨の耳に響く。

 

「久しぶりに楽しかったものでつい......すみませんね、ナディア。」

 

「まったくもう...」

 

やれやれといった様子でナディアと呼ばれた係員はため息を吐く。

 

『激戦を繰り広げてくれた両者に、盛大な拍手を!!!』

 

観客の拍手と歓声が会場全体を包み込む。

蝉時雨が運ばれていくのを見届けたユウは、観客の喝采を浴びながら、静かにその場を後にした。

 

「ちょっと僕、スリス姉さんの様子見てくるね!」

 

いリスはセラフィムに断りを入れると、急ぎ席を立ち、観客席を後にした。

 

『さぁそれでは続いて第4試合!!選手...入場!!!』

 

 




【拘束制御術式(プロテクション)】
蝉時雨に施された、自身の出力するフォトン量を制御することができる術式。
普段からフォトンの出力を制限することで、解放時に圧倒的な爆発力を発揮できるようにしている。
4段階の術式が施されており、2段階解放により守護輝士並、全てを解放することで【深遠なる闇】を灰塵にさせるほどのフォトン量と身体能力を発現する。

【ヒーロータイム(Verユウ)】
ユウの使用するヒーロータイムは一般のアークスが使うようなヒーロータイムとは異なる。
まず見た目に大きな変化が起き、髪が逆立つ、瞳が橙色になるという点。
また、範囲、威力共に絶大な技"ヒロイックセイバー"はこの能力のフィニッシュ技である。

【光跡剣レリクシオン】
蝉時雨専用のソード。
所有者である蝉時雨の能力"拘束制御術式"に耐えうるだけの性能が施されている。
蝉時雨から溢れ出る膨大なフォトンを溜め込むことができ、それを一気に放出することができる。

【コートエッジVer3】
ユウ専用のソード。
アークスに広く普及されているのはコートエッジver2までだが、かつてウルの守護輝士を担っていた際に、それをユウ専用に調整し改良されたもの。
あるふぃのグリムリーパーと同じく、刃を包み込むフォトンコートは持ち主の状態によって色が変化する。
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