兄妹の共鳴   作:タッツー氏

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これは少年が鬼なる前の話



プロローグ

 

 今から10年前の2012年・・・

 

 その少年の家系は代々祭りや舞に用いる太鼓専門

 の家系であった。

 そして少年には年下の妹が二人いた。

 父からの厳しい稽古を一緒に乗り越えてきた。

 ある日いつものように妹達と稽古に励んでいた

 時だった突然父に顔を殴られた。

 近くにいた妹達は突然の事に唖然としていた。

 

「父さんいきなりなんだよ!」

 突然の事に理解できずその少年は父にそう叫んだ。

 そして父からの返答が・・・

 

「お前が幼い頃からずっと稽古を見てきたがもう

 我慢できん!お前には全く太鼓の才能がない!

 いつ聴いてもお前の太鼓はゴミ以下だ!

 そんな奴にこれ以上太鼓を打たせる

 訳にはいかない!」

 

 少年は父の言葉に驚愕した。

 今まで父の厳しい稽古に耐え自分はてっきり

 少しずつ

 父に近づいて来ているとそう思っていたのに

 本人から「お前の太鼓はゴミ以下だ!」と

 言われ足から崩れそうになった。

 そして父は更に少年に言う。

 

「もうお前は太鼓を打つなこれからは妹達にこの家を

 継いでもらうお前よりも妹の方が天才だ!

 そして俺は一生お前の事を息子だとは思わん!

 この名家の恥晒しが!」

 そう言って父は妹達を連れて稽古場から出て行った。

 

 それ以降少年は家族から見放されていた。

 母に挨拶しても返事は来ずただ母の目はまるで

 汚い物を見ているようなそんな目を少年に

 向けていた。

 父も母と同じだ。何話しても返事は来ない・・・

だが妹達だけは少年に優しく接してくれた。

 

「お兄ちゃんがゴミじゃない!

 お兄ちゃんはずっとわたし達の事を見守ってくれた

 どんなに苦しくても太鼓を教えてくれた。」

 妹達からの言葉に少年はただ涙を流しながら

 抱きしめていた。

 

 あれから3ヶ月が経とうとしたある日

 父の兄が家に来た。

 父と話をしているようだが何か兄と怒鳴りあって 

 いるようだった。

 

「お前はいつもそうだ名家の為だからと言って自分が

 要らないと思った物はすぐ処分しようとする!

 あの子の気持ちを考えたことがあるのか!」

 おじさんが父にそう言った。

 父の方はというと・・・

 

「兄さんこそ何を言っているんだ。

 俺は大正の頃から代々受け継がれて来た太鼓を

 今まさに子供達に引き継いでもらおうと

 日々努力して来たんじゃないか。

 その中であいつは全く才能の無いゴミだ!

 跡取りにならないゴミは家には必要ない!」

 

 父の言葉で少年は理解した。

 (自分はもうこの家に必要とされていない・・・)

 

 父の真意を聞いた兄が顔を下に向き一呼吸した。

 そして父に対して

 

「分かったお前がたかが名家の為なら息子なんて

 居なかろうが死のうがどうでもいい

 そういう気持ちなら・・・」

 

「いやっ俺はそこまでは・・・」

 父が何か言いたそうだったが

 

「お前こそまだ分かってないんだな!

 さっきお前が言ってた事はそう言う事なんだよ!

 何がゴミだよ!お前の息子の名前はゴミって

 言うのか?

 今までの話でお前息子の事をゴミしか言ってない

 じゃないか!

 もし妹達が才能無いと分かったら今度は妹達を

 ゴミって呼ぶんだろ!」

 

 兄の叫びに父はただ呆然としていた。

 そして兄はゆっくりと立ち上がったり父に言った。

 

「お前がさっき言っていた息子を引き取る事

 あれ受け入れるよ。」

 兄の言葉に父は顔を上げた。

 

「ただし! これだけは言っておく

 いいか俺は息子を引き取るが俺もそして

 他の親戚の人達もお前とその家族と縁を切る!」

 兄の「縁を切る」と言う言葉に父は立ち上がった。

 

「なっなんでそうなるんだよ!

 なんで他の人達も俺と縁を切るなんてことっ」

 突然の事で父は焦っていた。

 

「お前が自身の息子を太鼓の才能が無いからと顔を

 殴った事そして家族絡みで見放した事

 全部親戚中に広まってるぞ。」

 

「えっ?」 

 理由を聞いた途端父顔は青ざめていた。

 続けて兄は言う。

 

「先代の爺ちゃんも言ってたぞ。

 たかが名家だのくだらん事に子供達を巻き込んで

 おいて息子を殴るとは同じ血を引く者として

 これほど恥ずかしいと思った事は無い・・・」

 

「俺は・・・ただ昔から続く太鼓を守ろうと」

 父はブツブツと何か言っていた。

 

「スマンが俺はこれで失礼するぞ。

 あの子にもちゃんと説明してから連れて行く。」

 そして兄は部屋から出て行った。

 しばらくして兄が少年の所に訪れ先程父と話した

 事を説明し改めて父の家から離れる事になった。

 

 兄の車に乗って新しい住まいに向かう道中

 

「どうした俺の腰なんか見て?」

 兄が少年の視線に気づき聞いて来た。

 

「いや!その・・・腰に付けている物が

 気になっちゃいまして///」

 そう兄の腰に今まで見た事ない物が付いていた。

 一つは模様がある銀色のCD見たいのが3枚

 そしてもう一つは鬼の顔が刻印されており

 鬼の角らしき部分は中間で折りたためられている

 棒だった・・・

 

「あぁこれか!

 これは俺の仕事道具みたいなもんさw

家に着いたらこれの事教えてあげるね♪」

 

「うん!おじ・・・さん?」

 少年は何と呼べばいいのか悩んでいた。

 

「まぁいきなり父さんて呼ぶのは抵抗あるよなw

じゃあ俺が仕事の際に使っている名前でいいよ。」

 

「どんな名前なの?」

 

「あぁ俺の名前は・・・響鬼だ!」

 

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