響鬼と出会い10年後の2022年
場所は東京都新宿の何処にでもある普通の喫茶店
店の名前は「甘味処たちばな」
子供からお年寄りまで人気の絶えない店だ。
そしてこの店にはもう一つ皆んなから愛されている
物があるそれは・・・
「響鬼みたらし団子3番卓に持って行ってくれ!」
「はいよ!」
店のカウンターから出てきたのは響鬼という名の
青年であった。
「はいお客様みたらし団子お待たせしました!」
「ありがとう響鬼君、あら最近見ない間にまた背
伸びたかしら?」
そう言って婦人は響鬼の頭の上に手を乗っけた。
それを見た旦那は
「こら響鬼の仕事の邪魔しないの」
「えぇだって孫が見ない間に成長したみたいで
嬉しいんだもん!」
今話しているご夫婦からは孫の様に可愛がって
もらっている。
響鬼本人もとても嬉しそうだ。
「響鬼くん次こっちの注文いい?」
「響鬼ちゃんこっちも!」「俺達のも頼む!」
響鬼が店にいる時は皆んな響鬼から注文しようと
店内は響鬼の名前で豪語している。
「おうおう今日も人気だな響鬼ちゃん♪」
「見てないで店長も手伝ってくださいよ。」
「何言ってんだ滅多に店に顔出さないんだから
その分お客さんと話してこい!」
響鬼は別の仕事の都合でたまにしか店の手伝いに
来れないので常連さんは久しぶりに響鬼がいると
テンション上がって何度も注文しようとするのだ。
「まぁ響鬼が店に居るだけで売上良いから
文句無いけどな笑」
「へいへいそりゃあどうも」
「そう言えばお前が響鬼を受け継いで随分経ったが
最近どうだそっちの仕事は?」
そう響鬼は言わば仕事名、本当の名前は・・・
「宇田川 拓海」
拓海は昔家の跡を継ぐ為毎日父親から指導を
受けてきたがある日父親から見放された。
そして家族にも見放された拓海は父親の兄である
響鬼に引き取られた。
響鬼は当時持病を患っており自分の仕事の
跡継ぎを探していた。
そんな時に拓海と出会い引き取った。
最初響鬼は拓海に跡継ぎの件を話そうと考えて
いたが引き取ってから響鬼は気付いた。
「拓海に必要なのは跡継ぎじゃない父親としての
愛情だ!」
拓海には自身の事を全て話したがそこからは
何も言わなかった。
響鬼は自分なりに拓海は父親としての愛情を
注いでいった。
一緒に釣りに行ったり、キャンプしたり
親戚の人や響鬼の友人と共に旅行だって行った。
出会った時は無理に笑顔を作っている事が
多かった拓海だが時間が経つにつれて
自然と響鬼や親戚・響鬼の友人の前で
本当の笑顔を見せる様になった。
そして拓海を引き取ってから半年が経った頃
拓海はいつもの様に学校から帰って来た。
「ただいま〜ってあれ?」
家に入った時拓海は玄関に沢山の靴がある事に
気付いた。
「お客様さんかな?」
そう思いながら拓海はリビングに入ったその時
「パーン!」 「⁉︎」
リビングに入った瞬間大きな音と共に目の前には
響鬼と響鬼の友人達がいた。
大きな音は皆んなでクラッカーを鳴らした様だ。
そして皆んなで合わせて
「拓哉誕生日おめでとう!」
そう拓海は忘れていた今日が自分の誕生日だという
事にそして響鬼はこの日の為に拓海に黙って
誕生日の準備をしていたのだ。
「拓海今日はお前が生まれた特別な日だ!
拓海は忘れていたかもしれないが
俺やここにいる皆んなで絶対祝おうって
決めてたんだ。
だから拓海改めて誕生日おめでとう!」
拓海はここまで大きな誕生日が初めてで上手く
反応が出来なかったが次第に嬉しさが涙となって
滲み出て来た。
「僕ここまで大きな誕生日してもらったの初めてで
どうすれば良い分からないけど・・・
皆んな!お父さん!ありがとう!!!」
その瞬間部屋の空気が変わった・・・
拓海本人はまだ気づいていないが確かに言った
「お父さん」と
響鬼は嬉しさのあまり拓海を力一杯抱きしめた
「拓海ありがとう!俺も今日最高のプレゼントを
貰ったよ!」
響鬼は泣きながら拓海を抱きしめた。
その光景を見ていた友人達も一緒に涙を流した。
拓海はと言うと自身の発言にやっと気づいたのか
急に恥ずかしくなって響鬼の胸に顔を埋めた。
しかし拓海は言えたのだ今まで言いたかった
言葉をそして二人はこの日なったのだ
本当の家族に・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あの時響鬼さんに会えたから今もこうして
幸せに暮らせていると思います。」
「そうかいそりゃあよかったよ。
そういえば響鬼ひとつ聞きたい事があるんだが」
「何ですか?」
「お前あれから妹達に会ってるのか?」
「・・・いえ響鬼さんに引き取られたあの日から
一度も会った事がないです。」
「そうか・・・まぁ無理にとは言わないが一度
会って安心させてやれ」
「はい・・・」
それからはお互い仕事に入った。
閉店後・・・
「店長、奥さんお疲れ様でした!」
「響鬼君久しぶりなのに仕事最後まで手伝わせて
ごめんね♪」
「いえいえこれぐらい自分の仕事に比べたら
楽ですよw」
奥さんと話していると奥から店長が
「響鬼今日は助かったありがとな。」
「はいこれぐらい大丈夫ですよ。」
「そうか、あぁそれとさっき連絡があってな響鬼
富士山近辺で出たそうだ・・・ヤマアラシが」
ヤマアラシと言う言葉を聞いて響鬼の
眼光が鋭くなった。