森の中、金髪の少女に引っ張られながら連れてかれてから5分くらいだろうか……………すぐにも迷いそうになる道を歩いた獣道の先には人が舗装したであろう道が見えてきた。大体軽自動車が1.5台走れるような道だ
そしてあたり一面まだ青い稲がある田んぼ…………少し離れた所に集落らしきものが少し見えるがそれ以外は姿一つもない
「こっちなのだー」
よそ者が入っても大丈夫なのかと思いながら村に入るとなんというか…………ここは現代日本なのかと疑ってしまった。人々は当たり前のように着物を身に纏っており江戸時代にタイムスリップしたかと疑う程だ
そう考えていると少女から話しかけられた
「おにーさんって外来人でしょ?」
「外来人……?」
「やっぱりかー、なら博麗神社に行くしかないなー」
そのまま引き続き少女に連れて行かれた。その間にもこの村の住民にジロジロ見られる
こちら側からしたら着物は物珍しいのだが向こうからしたら俺が珍しい服を着ているのだろうか?
…………というより閉鎖的な村によそ者が来たから珍しがっているのか
だが村人たちの目を見ると興味本位でみているような感じではなく…………何か憐れまれているような気がしなくもない。一体何なのだろうか?
とはいえ流石に黒地にパスタがプリントされたフーディーは目立つのか、と考えながら歩いているといつの間にか村から少し離れた場所まで来ていた
「………もしかしてこれを登るの?」
「そうなのだー」
目の前には山頂まで行きそうな長い階段があった。雨が降ったらツルッと滑りそうな石でできたものだ
「先で待ってるのだー」
少女はそう言い残しふわふわと宙に浮きそのまま上へ行ってしまった……
「マジであの子は何者なんだ………少女の皮を被ったバケモノだって今なら信じれる気がするな」
このまま立ち尽くしてもしょうがないので登ることにした。これでも体力ならそこそこある方だ
大学時代パチプロをしていたときは朝早くから抽選のために並んで閉店までずっとパチ屋に籠もっていたのだからこれくらい精神的にはそこまで屁ではない
まあ体力についてはもう最盛期を超えてるのでお察しだが
「とはいえまさか登山するとは思わなかったよ………なんで俺パチ屋の帰りにこんなことやってるんだろ」
少し悪態をつきながらも10分くらい登り続けてようやく長い階段が終わった。その先には神社の鳥居があり、その下にさっき俺を置いていった少女が待っていた
「あ、霊夢ーきたのだー」
金髪の少女の隣に霊夢と呼ばれた赤保留のような色の巫女の服を着た少女がいた
(赤か……………そこそこな期待値かな)
「アンタ変なことを考えていないでしょうねぇ?」
神社の巫女が来たようなのでどんな感じなのかと思っていたが思春期の少女みたいな子だった
「いえいえ、別にやましい事なんて考えてないですよ。そこそこ期待値高いなと思っただけです」
「中々失礼なことを言うわね………」
霊夢ははため息をつく
「まあいいわ。とりあえずうちに来なさい」
俺はそのまま巫女に連れて行かれて神社内の一部屋に入った。そこはいわゆる神社の事務所みたいなところなのだろうか………もう春が終わる頃なのにまだこたつが出ているのが気になるところだが
「そこに座りなさい」
巫女に指すこたつの隣りにある座布団に座る。そして彼女もその反対側に座って話し始めた
「早速本題に入るのだけど、ここは外の世界から隔離されている場所よ。どうやってここにやってきたのかしら?」
巫女が言ってきたのは理解し難いことだった
「は? 外の世界?? 本州にそんな独立国家なんてあったのか?」
「そこからなのね………ここは幻想郷、外の世界で忘れ去られた者がたどり着く場所よ」
先ほどとはまったく違う真剣な目でこちらを見てくる
「あんたは単にたまたま迷いついた人っぽいから一応また外の世界に帰ることができる選択肢があるわ。その年齢ならもう妻子もいるんじゃないの?」
俺はそれを聞いて暫く考え込む。正直どっちでもいいような気がし始めてきたが、まだ外に未練はある。パチ屋が無くなったとはいえ最悪闇スロの選択肢もある
(いや待てよ…………? 忘れ去られたのがたどり着くのならパチンコ台もここにあるんじゃ…………)
「なあ巫女さんよ、ここは忘れ去られたのがたどり着くところのようだが、物も辿り着くことってあるのか?」
「え、ええ。たまに見かけるわよ。どんなものかはわからないけどね」
それを聞いた後の行動は速かった。直ぐに巫女の隣に回り込み土下座する
「頼みます巫女さん! 3日だけ選択の猶予を下さい!!」
俺はここなら合法的にパチンコができるかもしれないという起死回生をかけることにした
パチンコも好きだけど10年後くらいにできるカジノも行ってみたい………