縁がもたらす壱の結末   作:ベーシックハッピー

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天が人に与えた鬼滅の刃って、日輪刀ではなくて縁壱さんだと思うんですよ。


邂逅

『炭治郎、もっと息を深く吸って長く吐くんだ。また呼吸が乱れてきている』

「分かったよ、縁壱さん」

 

 聞こえる声に返事をして炭治郎と呼ばれた少年はその呼吸を整える。だがその場にいるのは少年だけだ。他には雪と樹木があるだけである。

 しかしその声はたしかに炭治郎へ聞こえている。しかも炭治郎はその声の主が自分にとってどういう存在かを知っていた。

 

 その声の主の事を知ったのは四歳になるかならないかぐらいの幼い頃。一般的に物心がつくと言われる時期だった。

 

『しかし本当によく似ている……。まるで炭吉の生まれ変わりのようだ』

 

 その声を聞いた時、炭治郎は不思議と恐怖を感じなかった。

 

「だれ?」

 

 懐かしむような、だけども優しい声。それは炭治郎が大好きな父親の声にどこか似ていた。だからだろうか、幼い炭治郎は周囲を見回した。

 当然ながらそこには誰の姿もない。外で駆け回っていたためそこには誰もいなかった。気のせいだろうかと思って小首を傾げる炭治郎へ、再び声が聞こえてきたのはそんな時だ。

 

『聞こえて、いるのか? 本当に、声が届いているのか?』

 

 信じられないと言うような声に炭治郎は再び周囲を見回そうとして、はたと気付いて鼻を動かす。

 炭治郎の嗅覚は鋭い。どこまで鋭いかと言えば、その嗅覚で相手の感情などを察する事が出来る程だ。それでこの聞こえる声の出所を探ろうとしたのである。

 結論から言えば匂いはなかった。嗅覚で声の主の居場所を突き止める事は出来なかったのだ。でも炭治郎は気付いた。声はいつもやや上の方から聞こえていると。

 

「ねぇ、だれなの?」

 

 空を見上げての純粋無垢な問いかけ。勿論周囲には誰もいない。返ってくる声はない、はずだった。

 

『私は、継国縁壱と言う』

「つぎくによりいち?」

 

 先程よりもゆっくりと、噛み締めるようなその声に炭治郎は不思議そうに声を出す。まだ家族以外の人間と出会った事があまりないためか、その名が変わったものに聞こえたのだ。

 

『ああ、そうだよ』

 

 その様子に継国縁壱と名乗った存在は微笑んだのだろう。その声が先程よりも柔らかくなった。その温かみのある声に炭治郎も嬉しそうに笑う。優しい父と似たものを感じたからだ。

 

「こら炭治郎、あまり遠くに行かないの」

「あっ、おかあちゃんっ!」

 

 そこへ現れたのは背中に幼子を背負った女性、葵枝。彼女は嬉しそうに自分へ振り向いた炭治郎へ笑みを返す。だがそこで不思議そうな顔をした。

 

(変ねぇ。炭治郎が誰かと話してるみたいだったんだけど……)

 

 独り言にしては声が大きかった。そうは思うも、子供故に虫か綿毛にでも話しかけていたのかもしれないと考え、葵枝は自分へ抱き着いてきた炭治郎の頭をそっと撫でる。

 

「あのねおかあちゃん、よりいちってひと、しってる?」

「よりいち? 聞いた事ないけど……どうしてだい?」

 

 何故息子が知らない人の名前を急に聞いてくるのか。そう思って若干不思議な顔をする葵枝へ炭治郎は先程までのやり取りを話し出す。その内容に葵枝は、炭治郎が気が狂ったともおかしくなったとも思わず、そういう事ならばと夫である炭十郎へ尋ねてみる事にしたのだ。

 

 何せ先祖の名前を知るはずもない炭治郎から、その先祖と思われる炭吉という名前が出てきたからである。

 

「継国縁壱と、そう言ってるんだな?」

「うんっ!」

 

 元気いっぱいに断言する炭治郎を見て炭十郎は小さく頷く。聞き覚えがあったのだ。それも竈門家に代々伝わる神楽と耳飾りを受け継ぐ時に聞いた名だった。

 

「そうか。その人はな炭治郎。ずっと昔にご先祖様を助けてくれた恩人だ」

「おんじん?」

「ああ。もしかすると、ずっと父さん達の事を見守ってくれているのかもしれない」

『見守ってなどいない。私に出来るのはただ見る事だけだ』

「? えっと、ただみることしかできないっていってるよ」

 

 その申し訳なさを滲ませた声に炭治郎は理解が出来ず首を傾げる。分からないのだ。何故見る事しか出来ないという言葉に縁壱がそこまでの気持ちを込めるのかを。

 

 それが理解出来るようになるには、炭治郎が大事な存在を失う日まで待たねばならなかったのだから。

 

 こうして炭治郎によって縁壱が長きに渡り竈門家を見守っていた事が告げられた。けれどこれまでその声に気付く者はおらず、炭十郎もやはり声は聞こえなかった。

 何故炭治郎だけが。その疑問は炭十郎や葵枝だけでなく縁壱からも無くならなかった。それでも、まだ科学というものが深く人々の暮らしへ入り込む前のこの時代、先祖と縁があった存在の霊を悪いものと捉える事はなく、むしろ有難いと思うのが普通であった。

 

 それから炭治郎は縁壱という守護霊に色々と教えてもらう事となる。文字の読み書きに始まり、言葉遣いや礼儀作法と、炭焼きとなる炭治郎には必要なものから不必要なものまで多岐に及んだ。

 炭十郎のヒノカミ神楽を見た際には、初めて見た時よりもやればやる程に上達していると感心し、炭治郎がそれを伝えて周囲が喜び笑顔となった。

 

 やがて炭治郎も成長し、十歳となった日、縁壱は彼からの頼みである事を教えるようになる。

 それがあの呼吸に関する事だった。父である炭十郎が病を患っているため、彼に代わって長男の自分が炭焼きとして働きたいと願ったためだ。子供であるために疲れ易く働ける量も出来る内容も限られる。それを改善するために炭治郎が思い出したのがヒノカミ神楽を舞う父が言っていた言葉だった。

 

「お願いします縁壱さん。俺、少しでも母さんに楽させたいんだ。だから、どんなに動いても疲れない息の仕方、教えてくださいっ!」

『……分かった。ただ無理はするな。誰もがその呼吸を出来る訳ではない』

「えっと……?」

『炭十郎が出来る事が炭治郎にも出来るようになるとは限らない。故に出来ない時は正直にそう言って欲しい。その時は別の呼吸法を教える』

「うん、分かったよ。ありがとう縁壱さん」

 

 もうこの頃には縁壱は炭治郎にとってもう一人の父だった。あるいは歳の離れた兄だったかもしれない。

 姿は見えないが、常に穏やかで静かな縁壱は父である炭十郎によく似ていたからだ。

 この日から炭治郎はヒノカミ神楽の始祖とも言うべき縁壱から指導を受ける事となった。それはある意味では炭十郎から教わるよりも厳しいものであった。

 

『違う。もっとそこは鋭く動くのだ』

「はぁはぁ……っ……わ、分かったよ」

 

 元々縁壱の動きを基に生み出されたヒノカミ神楽は、まだまだ呼吸法の未熟な炭治郎には易々と出来るものではなかった。

 けれど、その修練は炭治郎には辛いものではなかった。勿論苦しい事ではある。ただそれを上回る程に……

 

『そうだ。その調子で励むといい』

「あ、ありがとう……っ」

 

 上手く出来た時に縁壱がかけてくれる温かい声。それが中々自分の事を傍で見る事の出来ない炭十郎のものにも思え、嬉しくなれたからだ。

 実は縁壱が炭治郎にヒノカミ神楽を教えるようになったのは、何も本人からの頼みだったからだけではなかった。病を患っている炭十郎がしてやりたい事を察し、もっとも体に負担のかかるだろう呼吸法の指導を引き受けたのだ。

 

 ──余命幾ばくもないとしても、せめて少しでも愛する家族と過ごせるように。

 

 その甲斐もあってか、炭十郎の死期が本来よりも遠のく。本当ならば炭十郎が相手取るはずの人食い熊も、縁壱によって指導を受け続けた炭治郎が若干苦戦しつつも退治したためだ。

 

 そんな事があってからしばらくしたある日の事だ。炭を売りに町へ出ていた炭治郎へ声をかける者がいた。

 

「お前が(人食い熊を倒した)炭治郎か?」

 

 家へ帰ろうとしていた炭治郎は小さく鼻を動かすと、やや微妙な顔でそうやって声をかけてきた相手へ振り向いた。

 

(軽くがっかりしたような匂いがする。きっとこの人も話を聞いて俺の事を見に来たんだろうなぁ)

 

 というのもこれが初めてではなかったのだ。

 

 事の始まりは今から十日以上前の夜の事。その夜、急に炭十郎が炭治郎へついておいでと言って外へ出た。何故かその手に手斧を持って、だ。

 

 そして炭治郎は見たのだ。軽く成人男性二人分の高さを超える大きさの熊を。

 けれど恐怖は抱かなかったのだ。それは父である炭十郎が落ち着きを見せていた事もあるが……

 

 ──炭治郎、斧を手に取れ。鍛練の成果を見せる時が来た。炭十郎のためにもお前がやるのだ。案ずるな。今のお前ならば出来る。

 

 縁壱がその心を支えてくれたのが大きい。父の体を労わり、例え近く死ぬ事になっても安心させるためにもと、そう決意して炭治郎は手斧を炭十郎から渡してもらい、ヒノカミ神楽の呼吸で熊を圧倒、最後には縁壱からの助言で何とかその頸を落としてみせたのだ。

 

 人食い熊だった事もあり、安心させる意味も込めて炭のついでに熊の毛皮なども売った時にその話を振ったところ、一緒に連れてきていた花子や茂が炭治郎がやったのだと教えてしまい武勇伝となってしまったのである。

 

 ちなみに炭治郎は、何かの足音に気付いて外へ出た自分が熊と出くわし、逃げたところを追い駆けてきた熊が誤って崖から落ちたと誤魔化そうと考えていた。ただそれが信じてもらえたかは微妙なところだろう。

 

 とにかくそのために一気に話が広まり、主に柔道や空手などの武術道場の者が炭治郎の事を見極めようとやってくる事が少ないながらあったのだ。結果として炭治郎を見るなり、こんな子供が熊を倒せるはずがないと言って勝手に失望して帰っていったのだが。

 

(本当に勝手だよなぁ。俺が入門させて欲しいとか言った訳でもないのに……)

 

 あの日から今までで経験した事を思い出してやや複雑な気持ちになっていた炭治郎だが、そんな彼を見て男性は内心驚いていた。

 

(この少年、全集中の呼吸をしているだと……。子供が人食い熊を倒したと聞いて興味本位で足を運んでみたが、まさかの収穫だ)

 

 特殊な訓練をこなして身に着けるはずの呼吸法。それを目の前の少年がやっている事実が持つ意味に気付き、男性はここへ来て収穫があったと思って小さく喜ぶ。

 

(あれ? 何だか嬉しそうな匂いがする……)

 

 当然その心境は炭治郎の嗅覚へ伝わる。だがそれがどうしてかまでは分からず炭治郎は疑問を浮かべるしかない。それでも一応男性へ問いかける事にした。何せ振り向いてから一切会話がなかったのだ。

 

「あの、それで俺に何か用ですか?」

「ああ、(本来ならば無かったが事情が変わった。詳しい話を聞きたいが立ち話もなんだ。宿を探してそこで話す方がいいだろうな)だから移動するぞ」

「移動? あのっ、それって宿へ行くって事ですか?」

「そうだ。(何か問題があるのか? 駄目なら駄目と言ってくれて構わんが、出来れば俺と共に)ついてこい」

 

 伝えるべき事を伝えず、男性は短く言葉を返す。けれど炭治郎は何となくではあるが男性が悪い人間ではないと察していた。

 

(匂いがどこか優しい。俺を騙そうとかしてる訳じゃないみたいだ。でも……)

 

 出来れば早く帰りたい。何せ今日も本当ならば町へ下りてくる必要はなかったのだ。けれど正月を間近に控え、家族に美味しい物を食べさせてやりたいと思って炭治郎は炭を売りに来ていた。その甲斐あってか炭は全て売れ、後は帰るだけと思っていたところで声をかけられたのだ。

 

「あの、出来れば家へついて来てくれませんか。実は出来るだけ早く帰ると家族へ約束してるんです」

「そうなのか」

「はい。その、用事って宿じゃないと駄目な事でしょうか?」

「そんな事はない」

「そうですか。えっと、もう宿を押さえてます?」

「いや、(これから探そうと思っていたので)押さえてはいない」

「そうですか。じゃあ家に来てください。大したもてなしは出来ませんが、食事と寝る場所ぐらいは用意します」

「分かった。(しかし世話になる以上多少は金を出さねばな。だから)これをもらってくれ」

「いえいえお代なんて結構ですよ。本当に大した事出来ませんし」

「ならば(仕方ないか。後で他の家族へ渡す事にするので)もういい」

 

 手に出した通貨をしまい、男性は炭治郎を見つめた。どこか自分を見極めるようなその眼差しに炭治郎は疑問符を浮かべるように首を傾げる。

 

「すまん、(あまりじろじろと見るべきではないな)許せ」

「別に謝る必要はないですよ。そちらのご厚意は嬉しかったですし。それと、俺、竈門炭治郎と言います」

「冨岡義勇だ」

 

 噛み合っているような合っていないような会話をしつつ、こうして炭治郎は冨岡義勇と名乗った男性をつれて帰宅の途に就く事となる。が、そこでこんな声を聞くのだ。

 

『この男、鬼狩りか……』

(鬼狩り? 鬼狩りって、たしか縁壱さんが昔やってたっていう仕事だよな……)

 

 縁壱へ確かめたいがそうすると義勇に怪しまれる。そう思い炭治郎は後で聞こうと心に決めて足を進めた。

 呼吸法の鍛錬を積んだ事で従来よりも早く山を登る事が出来るようになった炭治郎だったが、だからこそそんな自分へついてこれる義勇に驚いてもいた。

 

(凄いなぁ。俺だって縁壱さんから教えてもらった呼吸法で何とかなのに……)

(やはりこの少年は見込みがある。人食い熊を倒したというのも納得だ)

 

 何とか日が沈み切る前に帰宅した炭治郎は義勇を家族へ紹介し、炭の売り上げで買ってきた土産を家族へと手渡していく。それを受け取って喜ぶ姿を眺め、炭十郎や葵枝が微笑む。そんな家族団欒を見つめ義勇の表情が微かに動いたのだが、それは炭治郎達に気付かれる事なく終わる。

 

(哀しげに笑った……か。どうやらあの剣士も家族というものに思うところがあるようだ)

 

 ただ一人、縁壱だけがそれに気付いていた。義勇のあまり変化しない表情を読み取れる数少ない存在の誕生である。

 

 元々大人数で賑やかな竈門家の食卓だが、義勇という客人が来た事でその賑やかさは一層のものとなる。その賑やかで温かな時間は家族というものを失って久しい義勇の心を温め、癒し、苦しめた。

 しかも元々口下手な義勇はその無表情さも手伝って会話が中々出来なかったのだ。けれど、そんな義勇に対しても竈門家の者達はそこまで気にするでもなく振る舞った。

 

「ねぇねぇ、とみおかさんってどこから来たの?」

「あの刀って本物?」

「変わった羽織り着てるね」

「もう、そんなにいっぺんに話しかけられたら冨岡さんが答えられないから」

「すみません冨岡さん。お客様が珍しいもので」

「いや、(俺もこのぐらいの歳の頃はこういう風だった。なのでまったく)気にしていない」

 

 茂、花子、竹雄へ禰豆子が注意する中葵枝が申し訳なさそうに義勇へ声をかけるも、当の本人は表情を変える事無くあっさりと言葉を返す。

 その様子を眺めて炭治郎は義勇から楽しい匂いがしている事に気付いて笑みを浮かべた。自分の都合で半ば強引に自宅へ招いた事を気にしていたためだ。

 

(良かった。冨岡さんは竹雄達をうるさいと思ってないみたいだ。むしろああやって話しかけられるのを喜んでるなんて)

 

 普段あまり人と接しない義勇。その相手が子供となれば尚の事だ。どうしても無愛想で口下手な彼は大人子供問わず好かれない。だから人懐っこく話しかけてくる竈門家の子供達はとても好ましく思えたのだ。

 

「それで冨岡さん、俺への用って何でしょう?」

「その呼吸法をどこで習った?」

 

 単刀直入と、そう表現するのが相応しい程の返しだった。しかも普通であれば一般人が戸惑うものだ。だがそれに対する返事は義勇が想像もしないものだった。

 

「えっと、全集中の呼吸の事、ですか? それなら継国縁壱さんという人からです。俺のご先祖様の恩人なんですけど」

「……何?」

 

 もしここに義勇を知る者がいれば驚いた事だろう。あの無愛想で知られ、無表情でほとんどを通している彼が一瞬とは言え呆気にとられたのだから。

 だが現実は時として残酷である。炭治郎の発言を問いただす前に、反射的に声を出した義勇へ更なる困惑の種が与えられたのだ。

 

「なになに? とみおかさんも知ってるの?」

「まだ俺や茂は兄ちゃんみたいに出来ないけど、仕事の手伝いとかする時は使ってるよ」

「は?」

「嘘じゃないって。なっ、兄ちゃん」

「うん、縁壱さんが竹雄や茂も筋が良いって褒めてるぞ」

 

 まさかの展開に義勇は面食らっていた。全集中の呼吸自体が出来る事は彼の所属する組織であれば珍しい事ではない。ただし、育手と呼ばれる存在や鬼殺隊関係者がいない場所で幼い子供がそれを習得しているのは異常としか言えなかった。更に禰豆子や花子まで習得してると聞けば義勇でなくても耳を疑うというものだ。

 

 しかし、竈門家の子供達としては少しでも両親を助けたいと思うのは当然であり、そのために身体能力を向上させる呼吸法を意識するのは自然の流れ。しかも炭治郎がそれを身に着けて、子供ながらに大人顔負けの仕事量をこなしていたのを見ていたのもあってか、かつての炭治郎よろしく竹雄達が自分もと言い出すのは不思議ではなかったのだ。

 

 そもそも縁壱は呼吸法を広めた人物。それ故に竈門家の子供達へ全集中の呼吸を教えるのも容易だった。それもあって、まだ乳飲み子の六太以外はその幼さで既に全集中の呼吸を身に着けていたのだ。

 

 そう、縁壱という存在はまさしくこの時竈門家を見守る守護霊となっていた。呼吸法で炭治郎だけでなくその妹や弟までも鍛え、炭十郎に至っては炭治郎経由でヒノカミ神楽と名付けられた呼吸への助言をし更に極めさせる事でその病魔の進行を抑えさせていたのだから。

 

 この後、義勇の頼みで竹雄達が全集中の呼吸をやってみせる。それが本当である事を確認した義勇は頭を抱える事となり、こうして夜は更けていく。

 

 囲炉裏の火も消え、竈門家から明るさが消えていき、やがて静かになった。その静寂へゆっくりと迫る災厄の足音。その目が遠く離れた竈門家を見つけて細くなる。

 

 ──ふむ、人がいる、か……。少しは役に立つのがいればいいが……。




原作では長男不在の竈門家ですが、今作では……。
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