坂田金時と西行寺幽々子 作:黒い小説家
それは突然のことであった。
「金時、貴方には護衛を頼みたいと思います」
そういったのは平安最強の神秘殺し、源頼光であった。
「また急だな、頼光の大将」
そう口にしたのは金髪碧眼で筋骨隆々とした青年だった。
得物であるマサカリの
また腰には二振りの剣を佩いているのも特徴。
そう、この青年こそが足柄山の怪童であり頼光四天王の一人坂田金時その人物である。
「良いですか金時、これは貴方にしかできないこと。重要な任務なので気を引き締めて取り組むことです」
「わかったよ。この主馬佑、承った。」
「では、宜しく頼みますよ」
そう言って源頼光から地図を貰った。
サラッと地図を見た感じ、どうやらこの近辺の者らしい。
善は急げ、早速行くとしよう。
坂田金時は京の都を駆け回る。
《〜少年疾走中〜》
京の都を走り回って数十分後のこと、金時は目的地である屋敷に到着した。
屋敷は非常に広く、主である源頼光が所持する屋敷と同等かそれ以上の大きさはある。
「ここが依頼主の屋敷か、随分と立派だな」
「何奴?」
そこには巨大な門とその前に立つ1人の男が居た。
輝く白髪。鋭い眼光と抜身の刃のような佇まい。腰には2本の刀を携えている。
「貴様は何者だ?名を名乗れ」
「俺は坂田金時、大将の命によって参上した武士だ。」
「大将?もしや頼光四天王の一人か?」
「あぁ。そうだよ」
いきなり喧嘩腰でこられたからどうなるかと思ったが、どうやら話が通じる老人だったようだ
この京の都でこの俺坂田金時を含めた。渡辺綱、卜部季武、碓井貞光は平安時代最強の神秘殺し頼光四天王と呼ばれている。
「ワシは魂魄妖忌、この屋敷で庭師をしているものじゃ」
「あぁよろしくな、早速で悪いが依頼主のところまで案内して欲しいんだが」
「そうじゃな、案内しよう」
そう言って連れて行かれたのは屋敷の中ではなく、立派な縁側がある方向だった。
歩いて縁側の方に来てみると、そこには一人の少女が庭にある桜を眺めていた。
雪のような白い肌に綺麗な桃色の長髪、そして見惚れてしまいそうな美しい顔立ち。頭には水色の三角巾帽を被っており、服装は水色を基本色として所々に桜の花びらの模様が入っている変わった着物を着ている。
「あら妖忌、その方は?」
二人に気がつくと、少女は立ち上がってこちらに向かって歩いてくる。
坂田金時の身丈は6.27尺《190センチ》、現代ならともかく平安の世ではかなり大柄な体格と言ってもいいだろう。それに対して少女の身丈はおよそ五尺《165センチ》ほど、一尺の差があるのでほとんど大人と子供である。
「立派なお侍さん、名前はなぁに?」
少女にそう問われると、金時は何の惜しみもなく答えた。
「俺は金時、頼光郎等の坂田金時だ。」
「私の名前は西行寺幽々子。よろしくね金時」
「おっ……おう。こちらこそ世話になる」
顔を赤らめる金時、戦闘時に全身が真っ赤に染まることはあるがそれではない。単に幽々子と顔を合わせるのが恥ずかしいだけである。
金時の態度が気にでもしたのか、幽々子は金時の傍に近づけてくる。
「どうしたのかしら、顔を赤くして?」
「なん…おおっとと!顔が近ぇよ……」
「うふふ、面白い人ね」
「ふぅ………ところで、あんたが俺の依頼主なのか?」
「えぇ、そうよ。」
これは驚いた。名のある侍大将の依頼と思えば、こんな幼い少女が依頼主だとは、世の中長生きをしてみるものだな。
「それじゃあ依頼の内容を聞こうか。今日からでも行くからよ」
「あら頼光さんから聞いてない?」
「あっ?」
「貴方の役目は私の護衛と世話係よ」
「なっ、なんだってぇぇぇ!!??」
こうして足柄山の怪童坂田金時と富士見の娘西行寺幽々子の物語が始まったのであった。