本物を目指して   作:転音

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トレーニング

 さすがに方針を決めてすぐ最適なメニューを組むなんてことは無理らしく、それから数日はトレーナー付き添いの元、これまで通り軽めのメニューにとどめていた。とはいえ、トレーナーがついたことで設備が使えるようになったり、より効果的な正しいトレーニング方法を教えてもらったりと、かなり充実した日々を過ごすことができた。

 これまで本当に大丈夫が疑い掛けていた分、トレーナーってのは本当に優秀なんだな、と上から目線で感心したものだ。

 

 そして今日、私はトレーナー室でトレーナーからこれまでのデータと、それに基づいて今後どのようなトレーニングを組むのかの説明を受けていた。

 ホワイトボードには私が走ったコースの図が描かれていて、それぞれの地点のタイムや順位なども書き込まれている。

 

 初戦の芝1600のタイムは1分48秒。上がり3ハロン49秒・・・遅い

 

 次の芝1800のタイムは2分2秒。上がり3ハロン54秒・・・これも遅い

 

「わかってましたが・・・ひどいタイムですね。自分だけ200m短くてもいい勝負できるくらいじゃないですか?」

「注目すべきはタイムだけじゃない。レース中の順位の変動やラップタイムの推移をみるに序盤前に出すぎて、後半で一杯になってしまってる。とはいえ、脚質うんぬんより純粋な能力不足、経験不足なところが大きいな」

「へー」

「レース経験がないんだろ?なら仕方ない。というかジュニア級はみんなそんなもんだ」

「デビューするの、クラシック級ですよね?」

「それまでに模擬レースでも何でもやればなんとかなる。だからそっちは置いておいて・・・」

 

 ここでトレーナーはホワイトボードをひっくり返し、出てきた文字をピシッと棒で指した。

 

「スタミナトレーニング」

「そう。土台作りだ。中長距離を走るなら、そもそも十分なトレーニングをこなすのにも、スタミナは必要だ」

「それはそうでしょうけど、どうやるんです?」

「普通ならとにかく走れだとか、坂路や階段走らせたりするんだが・・・お前の場合、ちょっと不安だ」

「ですよね・・・」

「と、いうわけで理事長から許可もらってきた」

「は?・・・えーと、なんのですか?」

「プール」

 

「プール?え!トレセンってプールまであるんですか!?」

「割と最近できたんだ。お前にはぴったりだろうと思ってな?全然使われてないんだが、そのおかげで予約取り放題・・・喜べ!お待ちかねのハードなトレーニングができるぞ!」

「言い方・・・」

 

 もっとやる気が出るような言葉を選べなかったのか。それはさておき、喜ばしいことなのは間違いない。トレーナーの説明ではプールだけではなく砂浜でのランニングなども合わせて、怪我に最大限気を付けながら周りにも劣らないだけのトレーニングができるとのこと。

 

 これでようやく、トレーニングの質では周りの子に近づけた。ここからは実力面で追いつき、追い越すために努力をするだけ。

 

 私は再び決意を固めた。

 

*****

 

「ダイ。トレーナーの様子はどうだ?いきなり足を触られたりしてないか」

「あ、オグリ。うん、大丈夫だよ」

 

 トレーナーがついたあの日、私はオグリに自分のトレーナーがついたことを伝えていた。

 心配してくれていたようだったし、周りが遠巻きにする中変わらずに接してくれ、私にとっては恩人の一人であるため、すぐに伝えることにしたのだ。

 

 が、安心させるどころか別ベクトルの心配を増やしてしまったらしい。まあ『いきなり足触ってきた変なトレーナーと契約した』なんて言い方すれば当然だろう。

 

「ちょっと変だけど、トレーナーとしての能力はちゃんとしてそうだし、あれ以来いきなり足を触られることもないよ」

「そうか・・・うまくいっているならよかった」

「心配してくれてありがとね」

「友達だからな」

 

「それで、ダイ。デビューはいつになるんだ?」

「・・・一年後」

「一年・・・?」

「うん」

「ふむ・・・?」

 

 オグリは首をかしげて困惑しているようだ。だろうな!さしもの天然ウマ娘でもデビューがクラシックどまんなかとかいう変態的な予定には衝撃を受けたらしい。

 

 

 数秒間空白があった後、言われた言葉は『そのトレーナー大丈夫なのか?』だった。なんならあの時のラーメン屋より真剣な雰囲気でうちに来ないかと誘われた。丁重に断っておいた。




もっと長く書きたい・・・けど物語全体はそんなに長くしたくない。
ダイユウサク編が終わったら2,3話を1話にまとめたりしようかなと思ったりしてます。規約違反だったりしないよね・・・?

感想、評価などいただけると嬉しいです。

 本作での適正は、G1を勝った距離は基本Sだということにしています。適性が低くても(例えば帝王の有馬記念)能力の高さで何とかしてしまったりもあるので、適性がすべてではないです。
 ゲームバランスで調整が必要なアプリと違い最初っから適正Sがあっても全然おかしくないと思うんですよね。

オグリキャップ
芝S ダートA
短距離C マイルS 中距離S 長距離A
逃げD 先行S 差しS 追い込みD

ダイサンゲン(現在)
芝A ダートC
短距離E マイルD 中距離D 長距離E
逃げG 先行C 差しD 追い込みG

う~ん。伸びしろがある・・・ということで

高松宮杯・・・どうする?

  • 芝2000m GⅡ(原作)
  • 芝1200m GⅠ(オリ)
  • やんなくていい。
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