本物を目指して   作:転音

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はじめてのレース描写。やっぱ難しいですね。ライバルも何も居ないですし、技や戦略も無いので本当にただ走ってるだけになってしまう・・・


メイクデビューは未勝利戦

 気合を入れて始まったトレーニングだったが

 

プールにて

 

 トレーナーがだれも使っていないというだけあって、いざ私たちがトレーニングでプールに行ってみると本当に人がいなかった。使われてなくとも整備はしっかりされているようで、見た目もきれいだし機能面でも全く問題なさそうで、貸し切り状態だしこれなら思い切りトレーニングができると喜んだのがついさっき。

 

「ダイサンゲン・・・お前・・・」

「うるさい。何も言わないで」

「お、おう・・・」

 

ぜ、前世と全然体違うし?今世で一度も泳いだことないんだから当然だし?思ったよりプール深かったし?

 

・・・意気揚々と飛び込んだのが恥ずかしい。

 

「練習しような・・・」

「その生暖かい目をやめて」

 

*****

 

砂浜

 

「き、キツイ・・・」

「頑張れ!後2セットで休憩だ!」

「うがぁ!(鬼ぃ!)」

 

「つ、つかれ・・・み、水・・・」

「お疲れ!何というか気迫があったぞ、山姥みたいな・・・」

「だ!れ!が!しわくちゃの鬼婆だ!」

「そこまで言ってふごぉ!?」

 

 いい笑顔でもう一周と言われた。泣いた。

*****

 

併せ

 

「オグリキャップと友達なんだろ?併せてもらえないか?」

「え?」

 

 無理でしょ、という私の声は無視されて、向こうにメリットあるのか?なんて思いながら申し込んでみれば

 

「オグリのトレーナーをしている。チームシリウスの〇〇だ」

「オグリキャップだ。君がダイのトレーナーだな。よろしっ!?」

「おー!流石にいい~トモしてるじゃないか!うむうむこれは将来が楽しへぶぅ!?」

 

 

「すみませんすみませんほんっとにすみません!」

「い、いや・・・アイツのことは知ってるからね。オレも注意してなかった」

「ほ、本当にいきなり足を触ってくるんだな・・・思わず蹴り飛ばしてしまったが」

「いいよいいよ!いっくらでも蹴り飛ばしていい!」

「そ、それはそれでどうなんだ・・・?」

 

*****

 

「長く苦しい道のりだった・・・」

「俺もな」

「自業自得でしょ?」

 

 トレーナーの宣言通り、一年遅れで決まったデビュー戦は、7月上旬、福島競バ場 芝1800mのレース。今日は作戦会議の日である。

 

「よく我慢したな。必要とはいえ、トゥインクルシリーズの中でもひと際輝かしいといえるクラシック・・・特にダービーに絶対に出られない。それどころかデビューもしてないってのは、不安も不満もいくらでもあっただろ」

「そりゃあありましたけど、あんだけ模擬レースでぼこぼこにされれば、実力不足を痛感するというか・・・焦ったってどうにもならないって、もう知ってるから」

「そうか。だが、今回はこれまでと違う。・・・勝てるレースだ」

「・・・はい!」

 

よし、と言ってトレーナーがホワイトボードを使った解説を始める。

 

「福島競バ場は、正面スタンド前からスタートして・・・一周まわって坂を上った先がゴールだ。この坂のほかにも・・・こっち。向こう正面にも坂がある」

「坂が二つ・・・」

「実際にはスタートしてから坂があって、向こう正面とさいごの直線でもう一回。合わせて3回坂を上ることになる」

「うわあ・・・キツそう」

「実際、1800とは思えないくらいスタミナが必要なコースだろうな」

 

「とはいえ、高低差はそれほどじゃない。スタミナを重点的に鍛えてきた以上、大きな問題にはならないだろう」

「そうなんですか?じゃあなんで・・・」

「レース展開次第では、問題になるかもしれない。このコース、直線が短いから前に出る逃げや先行が有利なんだが・・・」

「私の脚質にあってますね」

「だが、ほかのウマ娘もそれがわかってるからな。先行争いが熾烈になる事がある」

 

 なるほど。言いたいことが見えてきた。

 

「未勝利戦。この時期まであきらめずに残ってるウマ娘は、どの子も死にもの狂い。勝ちたい勝ちたいと、周りの子との位置の取り合いに躍起になると」

「坂も合わさってバテバテに・・・ってわけだ」

 

 勝ちたい気持ちが焦りを生み・・・視野が狭まりスタミナが吸い取られる。

 

「・・・他人事じゃない」

「だから話してるんだ。ま、そういうわけだから・・・作戦としては後ろ目につける先行・・・差しと先行の間かな」

「中途半端」

「うぐ・・・でもお前の脚質考えるとそれくらいがちょうどいいんだ。ほんとだぞ?」

「今更疑わないよ・・・それでいこう」

 

 

「仕掛けどころは第四コーナーの下り坂。ここでスピードを載せて最後の直線で前に出たい。スタミナが残ったようなら第三コーナー前から上がっていくのもアリだな」

「なるほど」

「スタミナを重視した分、スピードはまだまだこれからだ。最後の直線からだとつらい。その前にしかけ始めてくれ」

「りょーかい」

 

 わかってはいたが、レースってのは考えることが多い。これが競馬なら、考えるのは騎手で馬のほうは走ればいいわけで、分業できるがウマ娘の場合一人でやらなくちゃならない。それでタイムやらなんやらで前世の競走馬と張り合ってるんだから、もしかしなくてもウマ娘たちってすごいのではなかろうか?

 

 そんなことを考えていると、悩んでいると思ったのかトレーナーがいつもの軽薄そうな笑みを浮かべる。

 

「なーに、レースなんて思い通りにならないもんだ。今話したのは机上の空論。悩みすぎて走れないくらいなら、何も考えないで先頭走っとけ」

「さすがにそれじゃ勝てないでしょ・・・ありがとね」

 

 準備は万端。これまでの私とは違う・・・さあ、勝つぞ!

 

*****

 

 そして迎えたレース当日、枠は3枠4番 天気は晴れ 馬場状態は良馬場・・・ただし7Rであるからか、内側がややあれているように見える。トレーナーもそれは分かっているようで、走りにくければ外から仕掛けるようにと指示を受けた。

 

 未勝利戦なだけあって人は少ない。それでも模擬レースに比べれば多いし、初めての環境で少しばかり舞い上がっているのが自分でもわかる。

 

(でも・・・緊張はしてない。うん、ちゃんと走れる気がする)

 

 程よい緊張感というか、戸惑いがありつつも冷静さを保てている。

 最後に一つ深呼吸をして、ゲートに入った。

 

・・・・・

 

 ゲートが開いた。スタートはまずますといったところか、落ち着いて周りの位置取りを確認する。まず前に出たのが8番と13番・・・両方逃げのウマ娘だ。この二人はそれぞれ1番人気、2番人気のウマ娘で、トレーナーからも名前が出ていた。

 

(焦らずペースを保つこと・・・つられて前に出ないこと・・・冷静に・・・)

 

 続いて2番、5番、12番のウマ娘が前で位置取り争いをしているのが見える。体を近づけたり、少し前に出たり下がったり・・・

 

「がー!もう!そこどけぇ!」

「誰が!あなたが下がりなさいよ!ノロマ!」

「てめ!」

 

(うわぁ・・・)

 心底あの中に入らなくてよかったと思った。何というか、うん。ね?

 

 こほん、私の位置はそのすぐ後ろの内側、6番手だ。

 トレーナーは先行と差しの間くらいと言っていた。今の位置はおそらく先行組の少し後ろ。良いところにこれたはずだ。

 

 後方ではどうなっているのかを確認したくもあるが、今のところハイペースでもない。どころか、やや遅いぐらいに感じるので、気にしすぎる必要もないだろう。

 

 

 問題なく位置取りして最初のコーナー。福島競バ場は小回りなコースで、コーナリングは少し難しい。しかし私は身体能力で絶対に勝てない最初のころに、技術的なところに力を入れていた。コーナーの曲がり方もその一つ、だからこそ。

 

 (よし!コーナリングはうまくいった!)

 

 コーナーで差をつけろ・・・じゃないが、おかげで消耗も抑えながら前との距離がやや近づいた。

 コーナーを曲がり終えるころには位置取り争いも落ち着いたようで、5番は一気に前の二人まで上がり、12番は私の隣まで下がってきた。

 

(何でここで前に!?・・・いや、冷静に。落ち着いて)

 

 周りの子が上がっていく様子もないし、今はこれで大丈夫なはずだ。動揺を何とか抑え、一瞬乱れた走りを修正する。二つ目の坂も難なく上り、第三コーナーに入るところで、一度は前に出た5番の子が再び下がってきたのと同じタイミングで、これまで後ろにいたウマ娘たちがどんどん上がってきた。

 

(ペース早くなってる・・・スタミナには余裕もあるし)

 

 『早めに仕掛ける!』そう決めた私は12番の子についていくように徐々に徐々に前へ出る。コースの荒れ具合もそんなに走りにくくはないし、外へ出る必要もなさそうだ。第3、第4カーブはスパイラルカーブ、スピードを維持しやすいため、早めにペースを上げてもロスが少ない。仕掛けるには絶好の機会のはず。

 

 そして第四コーナーの下り坂、周りのペースが一気に上がりいよいよ最後の直線だ。

 

 カーブ前と坂で付けたスピードで一気に前へと距離を詰める。

 1人、2人抜いた。

 スピードはすでに最高速。早めに仕掛けても十分スパートをかけられるだけのスタミナも残ってる。

 

(イケる!)

 

はぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!

 

 ただひたすらに足を動かす。少しでも前へ!一秒でも早く!

 後ろから迫ってくる音は聞こえない。なら、前の三人を抜かすだけ!

 

(もう・・・ちょっと・・・っ!)

 

 一人抜かした。前の二人は両方手の届く位置にいる!

 

(かてるっ・・・!?)

 

 束の間の確信。あっさりと、ゴールが視界を横切った。

 

*****

 

1988年 7月9日(土)3歳未勝利戦

着順ウマ番着差
113 
2 5ハナ
3 4アタマ
4 81/2
5 11/2




 頑張って書きましたが、むずい。そして不味い。ライバル居ないし描きづらいなんて言ってたら、ダイユウサクのライバルなんてほとんどいないんだから書けなくなってしまう。なんとか有馬記念までに頑張ります。

 今後は飛ばし飛ばし時間を進めて、有馬記念まで行きたいなーと思ってます。

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高松宮杯・・・どうする?

  • 芝2000m GⅡ(原作)
  • 芝1200m GⅠ(オリ)
  • やんなくていい。
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