本物を目指して   作:転音

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 前回から間が空きまして申し訳ありません。続きをどうぞ


新人トレーナープレゼン大会

 

 「先ほども説明した通り、私や理事長が君をあからさまに支援するわけにはいかない。制度上の問題以上に、今の君を取り巻く環境がさらに悪化することを懸念してのことだ」

 

 しかし、と会長は引き出しから薄い紙の束を机に出した。

 

「君一人への特別扱いは問題だが、ほかのウマ娘たちも一緒に巻き込んでしまえば話は別だ」

 

 

仮契約制度の利用推進について

 

 

 会長の説明が続く

 トレセン学園は常に人材・・・特にトレーナーが不足している。だが、それにも関わらずウマ娘と契約できないトレーナーが存在する。

 ウマ娘側にもどのトレーナーのもとで指導を受けるか選ぶ権利があるため、実績のない新人トレーナーなどがなかなか担当契約を結ぶことができないのは仕方がないことだ。だが、東大に入るより難しいといわれるトレーナー試験を潜り抜けてここ中央でトレーナーになったわけで、新人といえど非常に優秀な人物ばかり。勿体ない。

 

 

「そこで仮契約制度を使い、この状態を改善しようと考えたわけだ」

「まあ、名前からどんな制度かは想像つきますけど・・・そんなのあるんですね」

「ああ、特にウマ娘はそもそも制度自体を知らないことも多いがある」

「利用推進って、どんなことやるんですか?」

「まずは制度の周知だな。そして、トレーナーがウマ娘にアピールする場を設ける。新人で実績が無かろうと、中央のトレーナーがいかに優秀か知らないウマ娘はいない。本契約に進むかはさておいて、仮でもいいから指導してほしいウマ娘は多いだろう」

 

特に君のような子たちは。そう言って会長はコーヒーを飲んだ。

 

「えっと、結局なんで私はここに呼び出されたんですか?」

「一つは謝罪のため。二つ目は・・・焦りすぎないように」

「焦り・・・」

「選抜レースであんな結果になってしまって、それでもあきらめずに巻き返そうと努力するのは素晴らしいことだ。しかしそれで体を壊してしまっては元も子もない。今回の取り組みを伝えて、君にもトレーナーの指導を受けるチャンスがあると伝えれば、多少は焦りや不安も落ち着くだろうと思った」

「そ、それは・・・ありがとうございます?」

「君以外の、本格化が遅れている子や体の弱い子にも同じような対応をしているし、もともとはこちらの不手際、遠慮も何も必要ない」

 

「すべてのウマ娘の幸福を・・・もちろん、君の幸福も祈っているよ。勇往邁進。厳しい世界でもあるが、共に頑張ろう」

 

*****

 

 会長との話の通り、それから数週間後にはトレーナーによるプレゼン大会が開催されることが伝えられた。すでに選抜レースが始まってから約2か月、まだスカウトされていない子たちは何とか夏休みに入る前にトレーナーをゲットすべく気合を入れているこの時期、なるほど仮でもいいから指導してほしくなる時期である。

 前世の高校受験や大学受験でも言われた通り、夏休みというのは差がつく期間である。レースは受験とは違うが、トレーナーによって建てられたトレーニングメニューと自分でするトレーニングでは効率は段違いであるし、夏休みまでにトレーナーがつかなければすでにトレーナーのついた子にさらに差をつけられてしまう。

 

 そんなわけでプレゼン大会にはスカウト待ちのウマ娘が山ほど集まった。どの子も、心なしか目が血走っているようにすら感じる・・・

 トレーナー側も、何とか担当を持つべく素人目に見ても非常に完成度の高いわかりやすいプレゼンでアピールをしており、質疑応答では彼女の有無で盛り上が・・・なんかおかしいな?

 なぜか変態呼ばわりされているトレーナーが居たり、波乱もありながらトレーナーとウマ娘双方の気合が入ったプレゼン大会だった。

 

 かくいう私もまた例にもれず、これまで以上に気合を入れて・・・もちろん怪我には気を付けて。このチャンスを逃すまいとトレーニングを重ねてきた。トレーナsideのアピールが終われば今度はウマ娘の番。久しぶりのレースに足を踏み入れるのだった。

 

今度は芝の1800、前回よりも200m伸びたマイル戦。果たしてその結果は・・・

 

*****

 

 惨敗も惨敗。再び優に10馬身以上離されての大惨敗。レース後にトレーナーたちが思わず目をそらすほどのひどいものだった。

 

 とはいえ進歩もあった。コーナーの曲がり方、広い視野、足のため方とスパートをかけるタイミング・・・前がひどすぎたともいえるが、進歩は進歩。今後も伸びる余地がある。腕に時計巻きつけて走るわけにもいかないので、タイムは体感ではあるものの前回よりスパートの時のスピードはかなり良かったのではないだろうか?

 そして何より、注目される事に慣れた結果緊張に強くなった。前回とは違い、余計な力があまり入ってない・・・スムーズに体が動いたような感じがした。これは今後のレースでも間違いなく強みになりうる。

 

 と、いくら自分で評価してみてもトレーナーがつかないことには失敗である。声を掛けられることも、ならばとこちらから声をかけてもはぐらかされ。いつかのようにトラックを眺めて黄昏ていると・・・

 

 

 突然身の毛がよだつ感覚が私の・・・モモから伝わってきた。




 大変お待たせいたしました!
 言い訳をさせていただくと、作者は学生でして・・・テストが迫っております。勉強の息抜きに牛歩で書き進めてようやく投稿できました。またしばらく間が空くとは思いますが、ゆっくりお待ちください。

高松宮杯・・・どうする?

  • 芝2000m GⅡ(原作)
  • 芝1200m GⅠ(オリ)
  • やんなくていい。
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