本物を目指して   作:転音

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千里の道も一歩より

 

「さて、早速トレーニングと行く前に、目標とか決めとかないとな」

「目標と言われても、まずはメイクデビューを勝たないと・・・」

「そんな夢の無いこと言わないで、取ってみたいG1とかないのか?」

「えぇ・・・」

 

 

 沖野トレーナーと契約した翌日、トレーナー室にて今後の予定について説明・・・というか、話し合いをしていた。普通、トレーナーは自分の目標と同じ目標を持つウマ娘をスカウトする。三冠路線やティアラ路線をはじめとして、ウマ娘に夢があればトレーナーにも夢がある。トレーナーも人間、その夢を達成できるかもしれないウマ娘を指導する方がモチベーションを保てるのだろう。

 

 その点このトレーナーは異質である。スカウトした際に彼は自分の夢や目標について語ることはなかった。ただ私の夢を肯定して、「そうしよう」といった。今も、G1レースの名前を例に挙げながらあくまで私が決めるのを待っている。だから聞いてみた

 

「トレーナーさんは、こう・・・勝ちたいレースとか夢とかないんですか?」

「俺?俺の夢ってか目標は・・・うん。お前の夢がかなうことかな」

「きれいごとですか?」

「そーゆーもんなのトレーナーってのは」

「まあ、あなたがそう言うならいいですけど・・・」

 

「それじゃ、私の適正教えてください。というか、それがわからなかったら決まりません」

「わからん!」

「はぁ!?わからないのに目標レースなんて決めようとしてたんですか!?アホじゃないですか!」

「いや、ちが・・・分からないというか、なんて言うんだろうな・・・伸びしろしかない感じだな」

「伸びしろ?適正に伸びしろなんてあるんですか?」

「そりゃあ、ある。そんなに大きくは変えられないけどな」

 

 ウマ娘の適正というのは基本、才能がすべてである。基本的にはスプリンターは短距離からマイルが限界だし、ステイヤーは中距離以下だとかなり実力が落ちる。これらはフォームや体格、筋肉の付き方に質といった要素が関係してくる・・・らしい。つまりトレーニングによってフォームや筋肉は変えられるから理論上は適性もある程度変えられる。

 

「私の伸びしろがあるというのはつまり・・・筋肉がないから?」

「そういうこと。これから付けるってことは今ならどんなレースも目標にできる。選びたい放題ってわけだ」

「G1ってそんなバーゲンセールみたいな感じじゃないでしょう・・・」

 

「ちなみに、ダートは?」

「ダート?無理じゃないと思うが、そもそもレースが少ないしな・・・お前の場合そのほうがいいかもしれないが、『恩返し』がレースで勝つことなら、レースの絶対数が多い方がいいと思うぞ。芝のほうが注目もされやすいしな」

「ですよね・・・よし。なら芝の中長距離ですかね」

「王道も王道だな。ダイがいいならいいと思うぜ」

 

 トレーナーの言葉を疑うわけではないが、やっぱり史実で有馬記念を勝ってる以上そのあたりが適正なのではないかと判断した。

 

「よーし。主戦場も決めたことだしお知らせがあります」

「・・・このタイミングで?」

「さっき筋肉がないから適性を変えやすい話をしたが・・・ないってことは付けなくちゃならん」

「そりゃそうですね」

「だが申し訳ないが、お前みたいな虚弱体質のウマ娘を育てたデータがない」

「そうでしょうね」

「そこで!」

 

 

「メイクデビューは・・・来年!」

「え?」

 

 

「ね、年末とかじゃなく?」

「ああ」

「一月とか?」

「いや、ほんとに一年後」

「・・・2年目9月までの制限をご存じで?」

「もちろん。トレーナーだからな」

「だ!か!ら!今七月!デビュー戦負けたらどうすんの!」

「だーいじょぶだいじょぶ」

「全然大丈夫じゃない!」

 

 信じられない。何というトレーナーだ。胆力があるというか馬鹿である。レースってのは能力だけで勝てるもんじゃないし、能力があっても負けるときは負けるのだ。普通もっと余裕のある予定を組む。だって負けたら強制引退なのだから。

 

「というか!二年目の7月ってそれメイクデビューどころか未勝利戦すらあるか怪しいレベルじゃないですか!1勝クラスでいきなり勝てと!?」

「おーおーよく知ってるな」

「よく知ってるなじゃないですよ!?」

 

 なんなんだこの余裕は・・・どう考えても馬鹿にしか思えない。仮とはいえ、契約解除するべきか・・・割と真剣に悩み始めた私に対して、トレーナーは言う。

 

「まあまあ、仕方ないんだよ。今のお前じゃ勝てない。勝てるレベルまで育つのがそのくらい・・・なんならもっと遅くしたいぐらいってことだ」

「そりゃそうなのかもしれないですが・・・」

「安心しろ。その頃の1勝クラスなんて大したレベルの高さじゃない。1勝クラスの割には勝てる」

「私の実力も大したことないのが問題なんですよ!」

 

 

 自信だけはあるトレーナー横目に、私は不安でため息をついた。




テストも終わったので投稿。
お気に入りが50人に達したり、評価を初めてつけていただいたり・・・ありがとうございます。
今後も読んでいただけると嬉しいです。

アンケートかなりの接戦ですね・・・一応ダイユウサクは1200mに出ているので、芝1200もおかしくはないのかなと思ってのアンケートなんですが・・・大接戦
みなさんの投票お待ちしてます。

感想、評価などいただけるとモチベにつながります。宜しくお願いします。

高松宮杯・・・どうする?

  • 芝2000m GⅡ(原作)
  • 芝1200m GⅠ(オリ)
  • やんなくていい。
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