【サブノーティカ×ヒロアカ】二十少年漂流記   作:アママサ二次創作

4 / 5
第4話 サバイバル、開始!!

 爆豪と、途中で起きた切島が海に飛び込んでロープを全て結び終える頃にはクラスメイト全員が起きていて。脱出ポッドのストレージに入っていた栄養ブロックの朝食を摂った後、昨晩延期した話し合いを行うことになった。

 

「ヤオモモ、毛布とか作るって言ってたけどヤオモモの個性ってカロリー消費するんじゃないの?」

「もちろん消費しますわ。けれど全員分の毛布ぐらいなら大きな負担では無いですし、快適さを保つことは健康につながるので必要だと思います」

「そっか。それもそうだね。それにファブリケーターで作れるものに焼き魚もあるみたいだし、一応ここにも魚がいるんだよね」

「設計図にスイムスーツというものが追加されているのでそうなんだと思います」

 

 昨晩、そして今朝起きてからもPDAにはちょくちょくデータの更新などが行われていた。例えば脱出ポッド周囲の液体が地球の海と成分が変わらないという情報や、先程八百万が言及したスイムスーツをファブリケーターで作るためのデータ。他にもビルダーというツールで製作出来る設備や屋内家具にシャワールームやベッドなど生活に必須ではないけれど快適にするためのものがいくつか追加されていた。

 

「やはりサバイバルをしていくしかないのでしょうね」

「だね」

 

 今話しあっているのはこれからどう行動するのかだ。なぜこんなことになっているのか、も考えたいのだが、朝数名で話し合ったところすぐには解決しそうになく、また解決したところでどうなることでもないので、まずは今生きるために何が必要なのか、ということを話そうとしているのである。

 

「とりあえずさ、ファブリケーターとかも使ってみないと信頼出来るかわかんないよね」

「そうですわね」

 

 概ねサバイバルするしかない、そしてそのためには海に潜るしか無い、と話し合っているクラスメイトの会話を見ながら耳郎と八百万が話していると、麗日が『倉庫みたいなところに入ってるゴーグル凄いよ! なんか見えるようになる!』とよくわからないメッセージが送られてきた。

 

「これでしょうか?」

「みたいだね。着けてみよっか」

 

 麗日の言っていたゴーグルをストレージから取り出した2人は、それを頭に嵌めてみる。

 

「わ、なにこれ。VRゴーグル?」

「ヘッドマウントディスプレイという種類の技術ですわ」

『HMDゴーグルが接続されました。脱出ポッドの機能の使用、及びサバイバルのサポートを行います』

 

 ゴーグルを着けた状態で手元を見ても何も投影されないが、室内を見渡すとファブリケーターや今は壊れているものの通信機、コントロールパネル、救急キット製造機などポッド内の機能の説明が視界に浮かぶ。

 

「すごっ、これヒーローにもあったほうが良いんじゃない?」

 

 思わずといったふうにつぶやいた耳郎に、八百万はおかしそうに笑う。

 

「そうですね。あると情報共有などで便利かもしれませんわね」

 

 そう言った八百万はPDAを操作し、リンクしているディスプレイの機能を確認する。

 

「これを使うことで海中でもツール類の場所や脱出ポッドの場所がわかるようになっているそうですわ。他にもこの星の生物や鉱石などをわかりやすく名称をつけて表示してくれるようです」

「じゃあ魚を見たらその魚の名前がわかるってこと?」

「そういうことだと思います」

「でもそんなの……あ、そっかみんなで話すときにわかりやすくなるのか」

「はい。それにファブリケーターを使う際にも役立つと思います」

「ああ、そういえばよくわかんない名前の素材いっぱいあったもんね」

 

 防水機能も十分だというそれはそのままゴーグルとして機能するので、海に入るのがかなり楽になったと言えるだろう。

 

「『シャワールームとかベッドとかあるならビルダーで住居作ってみるべきじゃねえか?』だって」

「私も住居は試してみるべきだと思いますが、シャワーってちゃんと水が出るんでしょうか」

「あ……どうだろ」

 

 ファブリケーターで製造可能なものの中には、魚だったり、塩とコーラルチューブのサンプルとやらから作れる漂白剤だったりを使用した水の製造方法のレシピがある。

 

 それがあるということは、ビルダーで住居を建造したところで海水から真水を作ることができない、ということではないだろうか。

 

「それが無かったら結構困るよね?」

「そうですわね。ただその場合には、スキャナーというツールを作成してオーロラ号の水生成の設備をスキャンできれば解決するかもしれません」

 

 スキャナー、というのはファブリケーターで製作可能なツールである。生物データや技術設計図を獲得できるという説明どおりであれば、オーロラ号の設備をスキャンすることで再現可能である可能性が高い。また生物データを獲得できるということは、毒があるか、あるいは食べることが出来るかなど調べることが出来る可能性もあるので、早い段階で作っておきたいツールの1つだ。

 

 その後もグループチャットによる話し合いは続き、ひとまず水と食料を確保するために、海に潜ってみることになった。まずは食料となる魚と、塩は水を沸騰させれば獲得できるので漂白剤のもう一つの素材となるコーラルチューブとやらを探すことになった。

 

 そこで始まったのが、誰が海に潜ってみるのかというジャンケン大会だがその前に。

 

「まずは私が作ったものがファブリケーターで使用できるのかを確認したいですわ」

「そうだね。ヤオモモが作れるものならわざわざ集めなくてすむし。とくにチタニウムとか、鉱石は作れそうだよね」

 

 まずは素材がチタニウムだけであるナイフでそれを試してみることにして、その旨をチャットで皆に送信し早速ファブリケーターを起動する。そしてナイフには十分すぎるぐらいのチタンを八百万が生成し、それをファブリケーターの素材を入れるであろう穴へと放り込んだ。

 

 しかし。

 

「エラー、って出たね」

「私が作った物質では駄目ということでしょうか。説明を見るに普通のチタンだと思ったのですが」

 

 どうやら八百万が作った素材では駄目なようで、エラーの表示とともにチタンの塊がファブリケーターの下からゴロッと出てきた。

 

「失敗でした、と」

 

 クラスメイトたちに送信すると、残念がる声よりも八百万を励ます声が沢山届いた。

 

『でも服とかはファブリケーターには作れないけどヤオモモに作ってもらえるしね!』

『なんでだポンコツマシーン!』

 

 などといった明るい反応に、八百万と耳郎は揃ってクスリと笑いをもらした。

 

 

******

 

 

 ファブリケーターが八百万産の素材を弾くことを確認したところで、いよいよ海に潜るメンバーを決めることになった。といっても結局すでに一度泳いでいる切島と爆豪になったのだが。

 

 泳ぐメンバーを限定したのは、塩水で濡れても水が貴重な現段階では身体を洗うことが出来ないからだ。塩水そのものは別に身体に悪くないが、塩水はべとつくし、そのままなのはあまり衛生的によろしいとは言えない。

 

 人数を絞っておけば、少ない水でも洗うことが出来るのでそう決めたのである。

 

 そしてもう一つ。

 

 潜る人数を制限するのは、最初に潜る数名に『洞窟のカナリア』になってもらうためだ。

 

 例えば凶暴なサメなどがいたりした場合に、皆でいって負傷してしまうとかなりまずい。今回爆豪と切島の2人に試してもらえば多くても怪我人は2人ですむ。特に爆豪は爆破で暴れることが出来るし、切島は海中でも硬化出来る。そういう意味では、適任の2人だった。なお蛙吹が選ばれなかったのはこの状況でもブレない変態の権化がいるからなのだが、それについては誰も触れようとせず自然とスルーしているのは、このクラスで過ごした時間が長いからだろう。

 

「切島ー! PDAで写真撮ってこいよー!」

「わかったー!」

 

 クラスメイトの言葉を聞くことなく飛び込んでいった爆豪に続いて、PDAを紐で手に縛った切島がゆっくりと入水する。

 

 そのまま水中を泳ぎ回っているであろう爆豪と違って、海面から頭だけを突っ込んで水中を見ている。撮影した写真は後でPDAの共有機能を使って画像を共有する予定だ。

 

「すっげぇ綺麗だぞ!」

 

 しばらくして顔を上げた切島は、脱出ポッドの上に立ったり座ったりして自分たちの方を見ているクラスメイトたちに、PDAを掲げながら叫んだ。

 

「そうやっても見えないからな! 写真送ってくれよ!」

「おう! 悪い悪い!」

 

 そう言って切島が脱出ポッドの側面を支えにしてPDAを操作している間に、先に潜っていた爆豪も海面に浮上してきた。

 

「おい八百万!」

「はい!」

「銛作れるか!」

「作れますわ!」

 

 大声で八百万と会話を探した爆豪は、掴まっていた脱出ポッドのはしごを離すと、八百万と耳郎の脱出ポッドの方へと泳いできた。

 

 それを見ていた耳郎だが、PDAが通知音を鳴らしたのでそちらに視線をやる。

 

「うわっ、めっちゃ綺麗じゃん……」

「キレーイ!! 私も泳ぎたい!!」

「すげえ! 南国の海? って感じじゃね!?」

 

 三々五々感想を言っているようだが、どうにも距離が離れているので上鳴や芦戸のはしゃぐ声だけがはっきりと聞こえてくる。

 

「出来ましたわ!」

 

 その間に八百万は銛を完成させていた。手銛の構造なんてそうそう勉強するようなものでもないのだが、そのあたりも網羅しているのは流石八百万といったところである。

 

「爆豪さん、銛を扱えるんですか? 怪我をする可能性もあるのですが……」

「素潜りでならやったことある」

「爆豪、あんた多才すぎでしょ……」

 

 普通の海水浴ならともかく、銛を使った素潜り漁なんてそうそう経験するようなものでもないはずだ。

 

 耳郎と八百万が感心する中、当の爆豪は八百万に魚を放り込む用の入れ物を作るようにいって潜っていった。

 

「……職人?」

「漁師さん、ですわ」

 

 疲れたような2人のつぶやきは、他の誰にも届かず、広い海へと溶けていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。