【サブノーティカ×ヒロアカ】二十少年漂流記   作:アママサ二次創作

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ファブリケーター超技術

 ザブリと海に潜った爆豪は、しばらくして銛に突き刺した一匹の魚を手に戻ってきた。

 

「おい」

 

 浮上してすぐ近くにあった緑谷と轟の脱出ポッドのはしごに取り付くと、銛の切っ先を緑谷の方に突き出した。

 

「かっちゃん!?」

「うるせえ」

 

 何をするのかと驚く緑谷と轟に対して、その反応の鈍さを見た爆豪は銛を引き戻すと、自分で先端に突き刺さった魚を引っこ抜いて2人の脱出ポッドの上に放り出した。ついでに反対の手に掴んでいった一掴みの海藻も置いていく。

 

「ファブリケーターで使えんだろ」

 

 そう言って再度海に飛び込んでいった爆豪に、緑谷と轟ははっとした表情になった。

 

 今自分たちは海で遊んでいるのではない。海に飛び込んだのは、この星について知り、何が出来るかを探るためなのだと。

 

「……試してみよう轟くん」

「おお。他のやつにもメールしとくか」

 

『爆豪が魚と草くれたからファブリケーター使ってみる』と端的にメッセージを送信し脱出ポッド内に戻った2人に注目していたクラスメイトたちは、次々にメッセージを送ってくる。

 

『生配信! ビデオ通話出来ねえの!?』

『写真撮ろう写真!』

『動画が撮影出来るようなので、記録のためにも撮影をお願いします』

 

 などなど、ファブリケーターを動かす際の映像を見たい、というものが大半だった。ここにいる誰からとっても未知の技術なので、純粋に珍しいものが見たいものも多いのだろう。

 

「プラダフィッシュだよね、これ」

「ああ。確か食料品のところに焼き魚ってのがあったはずだ」

 

 プラダフィッシュという名の薄い紫色の魚とシーグラスという海藻をファブリケーターの穴に入れ、轟がパネルを操作する。緑谷はその様子を、轟の背中で隠れないように撮影していた。

 

「……濾過した水、ってのもあるぞ」

「え?」

 

 轟の言葉にモニターを見ると、食料カテゴリの水の中に、『濾過した水』というプラダフィッシュとシーグラスによって出来るボトル入りの水があった。

 

「こっちにしたほうが良くねえか? 焼き魚なら簡単に作れるし」

「うん。そっちにしてみよう」

 

 轟がファブリケーターを操作し『濾過した水』を選択すると、確認画面の後にファブリケーターが作動し始めた。

 

 ファブリケーターのテーブル上部に飛び出した二基のパーツ。それらからレーザーのような青い光線が飛び出し動き回ってボトル状のものを形作っていく。

 

「……おお」

「轟君もっと他の反応なかったの!?」

 

 明らかに自分たちの文明よりも進んだそれを見た轟が漏らした声に緑谷は思わず突っ込む。普段から反応が鈍いところがある轟だが、それでもこれは驚くところなのではないだろうか、と。

 

 やがて数秒でファブリケーターが動作を止める頃には、一本のボトル入りの水がファブリケーターの台の上に出現していた。

 

「ペットボトルじゃないんだね」

「ちょっと柔らかいな」

 

 出来上がったボトルはペットボトルよりは少し分厚くブニブニとした、どちらかと言えばジェルやオイルが入っていて絞り出すタイプのボトルで、キャップの部分はなにやら複雑な構造になっているようだった。

 

 そうした映像をグループチャットに送っている間に、轟がボトルの蓋を開ける。そしてためらうことなくその水を。飲んだ。

 

「ちょ、ちょっと轟くん!? 大丈夫なの!?」

「H2Oって書いてたからな」

 

 それでも何かあったらまずいので、最低限何か調べてみるべきだとは思うのだが轟が平気な様子をしているので緑谷はそれ以上の指摘をやめておいた。

 

 

******

 

 

「すごっ……めちゃくちゃ技術進んでるじゃん」

「原子から物質を再構成している……? いえ、素材が指定されていることを考えると分子でしょうか。植物性プラスチックだと思いますわ」

 

 緑谷から送られてきた動画を見た八百万は、感想を述べながらもメッセージを作る。

 

『水の成分を調べたいので、持ってきていただいてもよろしいでしょうか』

 

「調べられるの?」

「機器が無いので完全にとはいえませんが、ある程度は調べられますわ」

「そっか。でもH2Oって書いてたから普通の水じゃないの?」

「念のためですわ。私が作った物質は素材に使えないようでしたし、もしかしたら原子配列などが違う可能性もあります」

 

 なにやら難しい話を始めた八百万に、耳郎は思い切り顔をしかめる。頭の良い八百万が専門的な話を始めると、耳郎ではついていけなくなるのだ。

 

「わかんないけどなんか危ないかも知れないんだね」

「ふふっ、そういうことです」

 

 八百万の反応に耳郎が笑ったところで、緑谷から返信が来た。

 

『轟くんがもう飲んじゃった。特に体調におかしなところは無いみたいだけど……』

『H2Oって書いてたから飲めるかと思った。駄目だったか?』

 

「え?」

「……思い切りが良すぎますわ轟さん」

 

 ため息を吐きつつも念のため残っている分を送ってもらおうと八百万がメッセージを作成していると、今度はずっと海に潜っては浮上して拾ったものを脱出ポッドにおいてまた海に潜って、と探索を進めていた切島からメッセージが届いた。

 

『完成!! 早速着てみるぞ!!』

 

 メッセージに添付されていた画像は、設計図が追加されていたスイムスーツのものだった。

 

「あ、これ作るの割と簡単なのか」

「クリープパインのサンプル……クリープパインってなんだったんでしょう」

「後で切島に聞いてみよっか」

 

 そう言っているうちに、脱出ポッドの中で着替えていた切島が脱出ポッドの上に姿を表した。

 

「あれどうなってる?」

「少し待ってくださいね」

 

 詳しく見るには少し遠い爆豪と切島の脱出ポッドに耳郎が目を凝らしていると、八百万が双眼鏡を作ってくれた。しかも防水機能のおまけ付きだ。

 

「全身覆ってる感じかな? HUDゴーグルともちょうど良い大きさみたいだし」

「もしかしたら最初から併用する前提で作られていたものなのかもしれませんわ。この設計図やデータを作ったのも同じ存在でしょうし」

「ああ、だからフィットしてるのか」

 

 それをまとった切島は、再び水中へと飛び込んでいった。

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