魔法科高校の異端者   作:無淵玄白

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なんとなくfc2のwebサイトサービスが廃止されると見たので、昔のあのサイトは大丈夫だろうかと入った瞬間。愕然としたあと検索サービスで見つけ出した衝撃。

還って来る… オレ達の“黄金時代”(オウゴン)が還って来る!!などと思ってしまった。

ぶっちゃけジム改さんのGRIMOIREの新サイトへの移行と新作連載を今さらながら知ったこの衝撃!!

本当にこまめにチェックしなきゃな……やまださんの万年床はアーカイブで見れる箇所が限られているからな―――あのダークな雰囲気。経験値先生にも通じるものを覚えつつ、新話お送りします。


第四四話『金鬼両口』

 

 

 

「納得イカナイワ!!」

 

激昂する金髪のJDだが、それに対して―――。

 

「やはりジオラマ制作においてコレは必要だよな」

「今の時代見えないタイプの保持棒は必須ですが、躍動感を見せるためには―――」

「ヒトの話をキキなさーい!!!」

 

ガン無視してガン◯ラや美少女プラモ―――はたまたZ◯IDSを使って談義している男女にキレるのは、当然であったが……。

 

「何アレ……コッッワ……!」

「勝手に男女の会話に割り込んできてイガってるし、コォォワッ!」

 

クジラ船に乗り込んでいるマフィアの組員のような反応を前にして……東道理奈ことアンジェリーナ・クドウ・シールズは泣きそうになるのだった。というか涙目になっている。

 

「まぁまぁ東道センパイ!ここは穏便に!! 第一、納得できないからといって「どうする」ってんですか?」

 

「ソ、ソレは……」

 

「あの「術」の事ならば話しませんよ。そもそも、それは魔法師のルール(不文律)違反ではありませんか?」

 

誘酔の諌めを受けて落ち着いた東道OGに対する追撃は小陽と話す衛宮シロウから放たれた。

 

「俺の術は不可解なものでしょうが、それでも別にアイスピラーズのルール(競技規則)に違反しているものではないでしょう?」

「そうですね……確かにそれはそうなんですが――――――」

 

三矢詩奈としてもまさか「こんな結果」になるとは思っていなかったのだ。

これほどまでにアンジェリーナ・クドウ・シールズという魔法師を圧倒するほどの手並みを見せてくるとは思っていなかったのだ。

 

「………」

 

衛宮シロウという海外帰りの魔法師が分からなくなる……。

 

「次は私とシロウくんとがタッグでクドウ……じゃなくて東道さんと戦うわけだけど、私もあんな格好するの?」

 

不安と高揚の半々でいたアリサであったが……ミックスジュースを飲み終えたシロウは。

 

「安心しろ。君には使わない。というか「使えない」。使えないものを使っても意味ないからな。俺がオフェンスで、君がディフェンスでいいんじゃない」

 

その言葉に呆然と落胆……そして悲しみを覚えて、一瞬だけであるが睨むように小陽を見てしまったアリサは、自戒しつつもどういうことなんだという疑問を持ちながらも―――。

 

二度目の試合は始まる。

 

対戦相手である東道里奈もまたそれを持ちながらも……二度目の敗北の瞬間は訪れた。

 

 

「「納得イカナイワ(納得いかないわ)!!!!」」

 

金髪2人からの文句を前にシロウは―――。

 

「やっぱり一体感が必要なんだって、こう聞き終えた時に感じる陶酔感というかね」

「うん、それは分かり味があるわ。やっぱりアルバムで聞くときの順番ってあるものね」

「しかし、シングルのB面―――というか別曲との落差もまた」

『『ヒトの話を聞け―――!!!』』

 

今度はメイと音楽談義をするシロウに対して金髪2人の怒髪天が衝く。

 

またもやこれかい。と思いながらため息つきつつ、向き直る。

 

「なんなんだよ十文字。来た!見た!勝った!!!でそこのビッグボインなヤンキー女に勝ったじゃん。キミのスラブ人の血の滾りには爽快だったんじゃない?」

「そ、そういうことじゃなくて……反省会とか無いの?」

「というかそういうレッテル貼りみたいな称し方ヤメなさいよ!!た、確かにワタシのスタイルはいいのかもしれないけど……」

 

面倒な思いをしながらも十文字に言っておくことにした。ついでにいえば赤い顔をした東道は無視しておく。

 

「君がディフェンスを完璧にして俺が攻撃していた。それだけだ。特に何も無かったじゃん。役割分担は完璧だった。それ以外に何があるというのだ」

「けれど……なんで私には小陽にやったみたいなドレスアップの魔法をしてくれなかったの?」

 

それが一番の不満の原因であった。あれほどまでに強力な魔法ならば十文字にやればさらなることができたはずだ。

 

しかし―――現実は無情であった。

 

「不可能だったからだ。そして、あれは小陽ありきだからこそ出来るものだ」

 

その言葉に納得できない思いを抱く人間は多い。確かに永臣小陽は優秀生の部類だ。シロウよりも確かな意味で、優秀な魔法師だ。いや、シロウはあえて劣等生に落ちぶれているフシがあるのだが……。

 

ともあれ、それで納得できないのは、小陽を除いた室内にいる全員であった。

 

「俺の固有スキルでしかないのだということで納得できないか?」

「そりゃそうだけど……」

「十文字家の術にも何かしらの『テクニック』があるだろう。それと同じだ。秘すべきものは秘す……俺は別にこれ(魔術)で身を立てようとは思わないが、それでも言っちゃならんことだとは思っている。これは俺が墓場まで持っていくべきものだ」

 

その言葉に、流石のアリサも苦しい顔をする。

自分はそこまで傲慢になっているのだろうか。

それでも―――。

 

「……気になる男子の、好きになった男の子の事を知りたいという女の子の気持ちは、そこまでの罪なの?」

 

その言葉の衝撃に室内にざわめきが一挙に広がる。泣きそうな顔で言った十文字アリサの言葉に全員が顔を変える。

 

一番、沈痛な表情をしているのは副会長、次点で火狩と唐橘……そんなところだ。

 

困惑の表情を一番に見せているのは一番部外者であるOGである東道であったりする。

 

そして最大級の焦りを見せた表情をしているのは―――。

 

(誘酔早馬)

 

何気なく観察した中でもコイツは『確定』だなと思いつつ……。

 

「好意を抱かれたとしても、俺の家庭のことを探ろうという態度は、実に不愉快だよ。前に言ったよな。俺のお袋は、誰かの思惑で振り回され生きてきた女で、その人生は空虚なものだったと」

 

「―――」

 

「それでも、そんな人でもその人生の中で得てきたものなんだ。おいそれとは言えない」

 

拒絶の言葉で全てを断る。そして……。

 

「それだと、お前は十文字アリサとのコンビでの出場となる」

 

場が収まろうとしていた状況で、そんな爆弾を投げつけてきたのは矢車会計であった。

 

「何故!?」

 

いきなりな方針転換及び、あまりにあまりな結論に意味不明すぎてシロウは立ち上がって食って掛かる。その勢いは思わず会頭や風紀委員長を戦かせたが言葉を発した矢車ははたと見ながら続ける。

 

「確かに、他者の術の『秘密』を知るのは魔法師にとってはルール違反だ。だが、その一方で競技種目としての戦い……特にこういう公然の戦いの場においてはある程度の情報開示は必要となる」

 

それはある種の魔法師にとってのフェアプレー精神であった。

 

そもそも魔法師というよりも魔法を使っての運動競技とは、『ドーピング』ありきでの戦いともいえる。

 

体脂肪を適正まで絞り、風邪薬を飲むことすら時には薬物強化として『判定』されることもあるプロスポーツにおいて選手たちの身体の管理はすさまじくデリケートなものだ。

 

オリンピックでのドーピング監視委員会が、それを厳にするのは競技選手どうしでの公平性を保つためと、選手生命……あるいは単純に人間の寿命を削ってまで薬物による強化などもっての外、言語道断な所業なのだ。

 

それが国を挙げてのことであれば、更に罪深いものである。

 

「我々、魔法師ないし広義の意味でのソーサラス・アデプトとでもいうべき異能力者は確かに一人一人がドーピングありきでの存在とも言える……特に亡くなられた九校戦の金主の1人は、そういう存在だったからな」

 

「意外ですね。矢車先輩はそういうのを推奨しているないし、やっていそうですが随分と嫌悪感を出して語られる」

 

この人と三矢会長がそういう関係なのは何となく知りつつ、おしゃべりな五十里の話をそれとなく聞いていた限りでは主従の間柄みたいなもんだと分かっていたのだが……。

 

「俺も詩奈を守れるチカラを得られるならば、そういうことをやりたかったさ。かつての九島烈のように命の危険があったとしても強化手術を受けて魔法将軍と呼ばれるようなチカラがあれば……」

 

机の上に出した手を握りしめて悔しがるような顔を見せている矢車会計の心を察せられないほど鈍くはないが、それでも……。

 

「けど、それをしなかったのは多分ですけど隣にいる三矢会長が止めたからでしょ?」

 

その握り拳にそっ、と包み込む会長の様子から察するにそうだろうと思っての言葉だ。

 

「ああ、平手でバッチィンと頬を()たれたんだよ」

「侍郎くん!!!」

 

意外とチカラワザでの食い止めであった。そんな感想を持ちつつ話を総合するに―――。

 

「要するに、全てを詳らかにしろとは言わんが、万が一、何かごちゃごちゃ他校ないし運営委員会からアヤを付けられた場合に備えて自校の『首脳陣』(うえ)には、それなりに伝えといてくれということですか?」

 

「そういうことだ。理解が早く、深くて助かるよ。結局のところドーピングであるということは当然だとしても、それがどういうものであるか……というのは、それなりに知っておかなければならない」

 

「他校の選手の研究成果。それを相手校に教えるのはレギュレーション違反ですが、それでもそういう万が一の時に備えておきたいんですよ」

 

夫婦のその言葉に、やれやれと思いながらも仕方なく教えておくことにする。

 

「一応、言っておきますが俺の術は現代魔法みたいに理屈めいたものはありませんよ。多分ですけど理解の半分も出来ないかと思います」

 

「それでも構わないさ……君の理解している範囲で話してくれ」

 

矢車の言葉を受けて、シロウは口を開く。

 

「始まりは3つの家が1つの奇跡を再現する所から始まった―――」

 

それはこの世界では影も形もない物語。

異なる世界で綴られるべき恐るべき魔導の道のり。

 

されど、そこには……確かな歴史(重み)を感じるものがあった……。

 

 

 

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