ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー 作:ミハイル・シュパーギン
「やーっぱあれじゃ人集まんないよねぇ」
借りた小会議室にいるのは、塚野、野島、土橋、萩原の4人で、今後の課題について話し合っていた。
それぞれが思い思いの恰好で寛いでいる。みんな疲れているのだ。
「田張さんに弄って貰ったら、温度上昇がかなり改善されましたよね」
カヴェナンターの車内温度が思ったよりも早く上昇したのは、やはり素人が突貫で覚えた改造スキルでは限界があったからであるらしく、実際に田張が隼高校に帰る前に2、3手を加えた後でテストしてみると、温度上昇はかなり緩くなっていたのであった。
ただ、あくまで温度上昇が緩くなっただけである。
「結局サウナになるんじゃ意味ねえんだよ」
野島は不機嫌そうに頬杖を突いていた。
救助されるまで転覆したカヴェナンターの中で我慢を強いられた事が、かなり体に応えたようだ。
「んで今の手持ちがダブルサウナ」
「もう乗りたくないよ…あれには」
土橋はテーブルに両肘を突いた状態で、顔を両手で覆っていた。
「とりま経験者を集めないとねぇ」
「集めるってどうやるんだよ」
野島が疑問を呈した直後、小会議室の扉が開いた。
疲労困憊な一同のけだるげな視線を向けると、佐伯と鹿屋が立っていた。
「何の御用ですかぁ?」
塚野がこれまたけだるげに言った。
「御用もクソも無いわよ全く」
佐伯は予想外の事を口にした。「戦車道に参加するわ」
驚きで4人の疲れが一斉に吹き飛んだ。
「参加…?」
「会長の命令よ。後は聞かないで」
国崎が佐伯に下すもう1つの処分として、戦車道に参加し、協力する事が言い渡されたのであった。
「私は志願するよー」
鹿屋は自分の意思だが、あの蒸し風呂地獄に懲りていないらしい。
鹿屋は一同に混じったが、佐伯は隅っこの椅子に座ってぶつぶつ文句を言った。
「何でこうなるの…」
「これで5人だねぇ」
「留年生の命令を聞くなんて癪だわ」
と、遠慮なく毒を吐く佐伯だが、塚野はどこ吹く風だった。
「とりまよっろしくぅ」
手を振って来る塚野を、佐伯はジロリと睨みつけた。
「仮にも先輩なんだけど、私…」
「私はそんなの気にしないんだけどなー。先輩後輩なんてどうでもいいしー」
と、鹿屋がのんびりと言った。
「あなたはちょっとおかしいのよ」
「まあまあ、仲良く行っきましょう!こうなりゃ一蓮托生!」
佐伯はむっつりと押し黙ってしまった。
様々な困難が前途に待ち構えているが、フロンティア学園の戦車道は漸くスタートラインに立ったのであった。
<第1話・終>