バナージ・リンクスの受難【完結】 作:PureFighter00
「A2ってランナーある? それの3番と……」
「どの緑よー……あった! これね!」
ミネバの家でバナージはMSDの016 ザクIIを組み立てていた。仲睦まじい光景である。
ガンプラバトルでファイトしてみようという話になったのだが、流石に綺麗に仕上げたユニコーンを出す気にはなれなかった。安価なジムでもパチってやってみようかと思ったが……繰り広げられている戦いを見る限り、初期HGUCキットは関節可動範囲が狭く、いざと言う時に動きが阻害されがちだった。また、ウィングや00の系統は膝下が長過ぎるせいか重力下戦闘で歩きづらそう。下駄を履いている様な操作感覚かもしれない。僅かな時間の観察でバナージはガンプラが自分の身体のように自由に動かせるからこそ、人体に近い構造や可動範囲を持つガンプラを使った方が扱いやすく隙が無いのではないかと判断した。実際これは正しく、きちんと膝立ちしてそこから立ち上がるモーションが取れるガンプラは意外と少ない。
膝立ちが出来るというのはガンプラの良作判断の基準になっているのだが、その状態から機体重心の直下に足を置いて立ち上がれるかどうかを考えているビルダーはそうは居ない。ポーズは考えるがモーションは考えに入っておらず、バナージはそこが付け入る隙かなと考えた。実際に動かすからこそ、実際に動かし易いガンプラを……
「にっひっひ、初の共同作業でーす☆」
ミネバの一言に思わず噴いた。ミネバは組み立て終わったザクに色々なポーズを取らせて遊んでいる。
「元気な男の子でーす♪」
「作るのはガンプラまでにするのよー」
ゼナさんなんちゅーことを……(赤面)
「はーい、バナージ君ざんねーん♪」
某サンペーポーズのザクIIはとても楽しそうだった。
「はっはっは、初の共同作業はザクだったか。将来有望な孫が出来て嬉しいな!」
食卓でマシンガンを構えるザクを見て、ドズルはご満悦だ。
「丸っこいのが可愛い。これでガンプラバトルするんだっ☆」
「いい趣味してるな。会社に機械あるから持ってきたらタダで遊べるぞ。兄貴に話といてやるからいつでも遊びに来るといい」
いっそ清々しいまでの公私混同。ドズルは会社が大きくなっても町工場感が抜けないでいた。ドズルはビールを飲みながら考える……それに……いい目の付け所だ。ザクはガンプラの中では珍しく、銃床がちゃんと銃床として機能するモデルである。このキットのザクマシンガンは身体にピッタリ銃床を押し付けて、2本の腕でしっかり銃を構えることが出来る。集弾性と命中率が高い。(意外に思われるかもしれないが、ジムスナイパー2などは逆に銃床が銃床として機能しない)
「それを見抜く、か」
案外バナージはウチでガンプラファイト関連事業やらせた方がいいかもな、などと考え始める。ここの所ずっと考えてきた事だが、ザビ家の人間としてジオン工業入社はアリなのではあるまいか。ただ兄貴は縁故採用はせんぞと言い切ってるし、これを機にバナージを兄貴に引き合わせて……
いや、よそう。バナージの人生はミネバにも関係する。男たるもの社会の荒波に揉まれずして大成は無い。彼の人生は彼が切り拓……でもアナハイム入社でアメリカ勤めになるとミネバに会えんな……ガルマを本社に戻すか!
パパはにっこにっこしながらザク男(命名 ミネバ)を眺めている。こんな日がいつまでも続くといいなと、ミネバは幸せを実感していた。
「続いちゃうんだなぁこれが!」(ゾルタン談)