バナージ・リンクスの受難【完結】 作:PureFighter00
る割にはソードに見えるっぽいオリジナル機体デザイン考えてたり。後ザク磨き。
「茶でも点てよう。少し休憩を取り給え」
バナージとミネバは3日連続でジオン工業へ遊びに来て社内の噂になっていた。その熱の入れ様は噂話になるには十分な熱量があり、ドズル部長の1/144ビグ・ザムを倒さないと交際が認められないのではないかとか、ギレンの眼鏡に敵わなければ結婚できないなど言いたい放題である。そんなに鬼気迫るトレーニングしてるのかと二人の姿を確認しに来たギレンだが……短パン体操服姿の2人はガンプラバトル筐体の前でやたら盛り上がり走り回っていた。
「バナージ! ポイントCまで12秒!」
「イケるっ!((ババババ)」
「惜しい! 体軸ズレてる! Bまで5!」
「くっ! それでもっ!」
どうやらコースの死角をミネバが素早くステップして確認し、その指示に従いバナージが動いて居る様だ。つまりバナージはコースで視界が遮られている中でも勘でザクを操っている……いや違う、地形を記憶したのだ! その2人の姿は部活で国体にでも出ることになったアスリートの様であり、余りの本気度にギレンは軽い眩暈を感じていた。勉学でそれをやれ(特にミネバ)
で、話は冒頭に戻る。
確かにギレンは「やるなら半端はいかんなぁ(悪人顔)」で、ここ数年のガンプラバトル世界大会出場者でも狙い撃てるトレーニングプランを提示した。完璧主義であり、自らの天才故に「これぐらいはイケるやろ」と目標地をキリマンジャロとか剣岳に設定しがちなギレンの悪い癖である。また、バッテリー消耗により次第に難易度が下がり、「ゆくゆくは最高速度でも」当てられるだろうと考えていたのに、端末傍に赤い充電ボックスが置かれていた。あの色……シャアだな。つまり充電繰り返して最高速でチャレンジし続けたのだろう。これでは先読みのシャアではなく先走りのシャアだ。
社長室隣の茶室に招き、とりあえず自分で食べようと買って来た水天宮前の店で買った人形焼を出す。バナージ達は緊張の面持ちで正座をしている。
「固くならなくてもいい。脚を崩しなさい」
「あの……懐紙とか無くて……」
「気にするな。足立っ子らしくガブっといくと良い」
努めて気楽にする様告げるのだが、ギレンの几帳面で慣れた作法が彼らを窮屈にする。しゅんしゅんと音を立てる釜、高そうな(まぁ、そこそこ高い)茶碗。社長の趣味ということで「舐められない程度のもの」は揃えてあるが、個人的には民芸運動の
「薄茶でいいかね?」
薄茶も濃茶も分からぬ2人はブンブンと首を縦に振る。せめて気楽に楽しめるようにというギレンの配慮は見事に空振りした。やることなすこと少しハイブロー過ぎると細君から注意され続けた人生だった。
「ザク色ね……」
ミネバの率直過ぎる感想に場が和む。そうだね、お抹茶はザク色だねぇ。茶の良い風味が鼻腔を擽り、人形焼の上品な餡が渋みと絶妙なハーモニーを奏でた。
「美味しいです……とっても」
ギレンが珍しく柔和に笑う。常なる悪役面はどこに消えたのか。バナージの破顔が余程嬉しかったのか? ビルドファイターズ時空の優しさの風恐るべし。
「随分と精を出しているようだが、ガンプラバトルは楽しいかね?」
「かなり上達したわよ、バナージ」
「まだまだです。シャアさんの様には……」
三日でシャアになられて堪るか(微笑) そんなんできたらジオンは1週間戦争でジャブロー攻略出来とるわ。
「上達を自分でわかる様なら十分さ。人は何事も上手くできたと認識できねば面白くなくなる……負けが込んだり、上手くいかなくなるとどうしてもつまらなく感じてしまうからな」
初手としては上手く行っている。ギレンは三日前のバナージの顔を思い出していた。ギレンはバナージにガンプラバトルは楽しいかと尋ねた。彼は「余り勝てませんでした……安いHGの素組だったもので……」と答えた。
つまり、つまらなかったのである。
そして今、彼はまだまだと答えたが、その目は明らかに喜色を帯びている。確実に何かを掴み取り「自身の上達の兆候」を掴んだに違いない。
男子三日遭わざれば、と古の賢者に言う。実際にそれで実力が大幅に上がるなどの都合の良い話は無いが、三日で可愛らしいチワワの幼犬の様な心が、流山大鷹の森を舞う猛禽の心に変わる事はある。
ギレンは愛しの姪の傍に立つ
一瞬だけ、ビルドファイターズ時空の優しい風が止まった。
惚れた女に応援されると男子は出力が3割増になるとの研究方向がある(要出典)