バナージ・リンクスの受難【完結】 作:PureFighter00
【ガンベ北ブクロ 22時ちょい】
「待て! そこの偽ゼータ!】
華奢だが締まった身体。割と長い睫毛は少女漫画の美少年を思わせる。そんな彼が怒っている。
「ガンプラはみんな大切にしている物なんだ、それを壊すことはとても残酷な事なんだよ!」
「あ、出た」
「来てたんかワレ!」
「ヒト型癇癪玉や……」
「理不尽様がやって来おった……」
「そんな残酷な事を高笑いしながらやる奴があるか! そんなガンプラは壊れればいい!」
「出た」
「話の筋が異次元!」
「話が通じない! これがカミーユだっ!」
北池袋の名物男。極真空手本部道場所属。かつて池袋西口に刃物を持った暴漢が現れた際、世間一般ではよく分からないロジックで怒りのままに暴漢を殴打して静止に入った警察官まで殴った(悪い意味で)
「はいはい、みんな下がってねー」
ガンプラバトル中にヤジられると「修正」してくる事で店からも要注意人物とされている。店員たちは手慣れた感じでカミーユの周辺を空けた。
「……(話の流れがよく分からないけど)良いわよ(相手をしたいというなら)受けてあげる」
「カミーユ・ビダン! Zガンダム出るぞ!」
「桃李静香、パシケファロソード出ます!」
Zは瞬時にウェーブライダーへと瞬間変形してパシケファロに肉薄する。その速度はパシケファロに劣らない。
「お、波乗り……」
「ガンダムはピカチュウじゃない!」
哀れなギャラリーに無慈悲な空き缶が飛ぶ! それでも前を見続ける姿勢は素晴らしい。後ろにも目を付けたのか?
凄まじいドッグファイトの応酬! 2機は互いに上となり下となり、前後を争い空を駆ける!
「飛べている!?」
「トンボだって空を飛ぶ!」(トンボの空中機動性能は鳥も含めてトップクラスなのだが……)
……会話はイマイチ噛み合ってない。Zが瞬間的にパシケファロの前に出るとMSへ変形して一気に速度を落とす! 変形しながらビームライフルを構えて素早く2連射! そしてすれ違い様にビーム刃を形成して居合めいた斬撃を加える!
「よく磨いてるな! それだけ磨くのに苦労しただろう! それを壊される無念さを知れ!」
あ、今回はきちんと意味が取れる……と一瞬油断したらライフル被弾! まさか……富野式戦闘中会話をこんな形で使うなんて! 桃李は驚きを隠せずに居た。まるで渦さんだ……口喧嘩までガンプラバトルに活かすなんて!
「ははは……落ちろ落ちろ落ちろおぉぉお!」
高笑いしながらライフル連射。パシケファロに狙い違わず命中して外装が一部破損する。
「さっきまでの
桃李の言葉にギャラリーが無言で首を縦に振る。
「わかる。分かるよおねぇさん……」
「ただ、言うだけ無駄ンゴ……」
「ははっ! ザマぁないぜ!(喜悦)」
「一週目からこれ使うとはね!」
コンソール脇のボタンを押し込み、パシケファロが目障りな不協和音を奏で始める。SEシステムの緊急動作だ!
「もうさせないわよ!」
パシケファロが展開したSEフィールドがビームを歪曲させる。前衛機パシケファロの防御性能は高い。
「何だそのオカルト技は! 真剣な勝負を何だと思っている!(逆切れ)」
ゼータの周囲にピンク色の陽炎めいた揺らぎが生まれる。
「そんな物がバトルで使えたら、バトルにならないだろぉぉぉ!」
「そんな怒りを表現できる機体にカミーユは乗ってる……」
「ゼータガンダムにね……」
すっとカミーユの背後にフォウとロザミィが寄り添う。
「おねーさん逃げてぇ!」
「理不尽アタックが来るどー」
「元祖オカルト! よっ言行不一致男!」
「両手に花でラブラブ3倍段だ!」
「俺の身体! みんなに貸すぞ!」
カミーユ、Zガンダムを飛行形態に変形。
「Zガンダムはポケモンじゃない!」
「「ラッララー♪ ラララ ラッララー♪」」
フォウとロザミィの小美人の様なハミングが響き渡る……Zガンダムが両脚に格納させた核融合ロケット推進機を全開以上にすると、猛禽類のような甲高い音を立てた。
「え、何? 嘘! MSでしょ!」
「これがZだっ! 照準! セェェェット!」
「ま、間に合わない!」
ラララ、ラッララーイ!
Zはオカルトやれって言われてオカルトやったら監督降ろされたライディーンの意趣返しに思える吉宗だった(暴れん坊構文)