バナージ・リンクスの受難【完結】   作:PureFighter00

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 モブの彼らもファイターではあるので。


タネも仕掛けもバレた魔術師(マジシャン)

【いつものガンベ 金曜夜23時ごろ】

 次第に桃李は追い込まれる事が増えてきた。彼女の戦いを見続けたファイター達によって戦術が見抜かれ始めたのだ。

 

 まず、インチキ臭いバリアじみたフィールドは対物、対ビーム双方に有効だが、それは機体中心から球状に成形されており「発生中心に垂直に斬り込む」と威力減衰を抑える事が出来る。カミーユのスイカバーアタックが有効だったのもこれが理由だろう。また、ビームライフル程度であればかなり減衰出来るが、ZZのハイメガ粒子砲やマイクロミサイル弾幕はかなり効果的だった。

 攻撃は強力だが、桃李自身の射撃技能とパシケファロの機動特性により命中率が低い。射撃の瞬間に操縦者の意図しない回避運動が入り外すパターンが散見される。

 結論から言えば……パシケファロが良くできたモデルで扱い易いと言うだけで、桃李静香自身は然程強力なファイターでは無い。全国ランク100位ぐらいまでのファイターであれば弱点を突く事は出来る。むしろファイターというよりビルダー的な機体作り込みや改造を得意とするプレイヤーであり、何故ファイターと組まないのかが分からない。レイジと組む前のイオリ・セイに近いだろう。

 ただ、その設計及び規格構築はべらぼうに高い。機体をインジェクションキット化して破損に備えるというのは世界初の試みかもしれない。しかもキットはオリジナル……ガレージキット界隈でもここまではしないだろう。女性ファイターということもあり、コト○キヤかWA○Eのプロモーションを兼ねた実戦テストを疑うものもあるが、もしそうなら思わせぶりなテーザーサイトぐらい作るだろう。或いは躍進激しい中華企業かもしれない。確かにガンプラバトル向けガンプラというのはありそうで無かった発想だ。

 確かに脅威ではある。が、まだ俺たちの敵では無い。これがランカークラスのファイターの結論だった。未知の敵ゆえ調査は必要だが、戦術や特性の解明が進めば攻略は可能……

 カクヨムやなろうでは無いので、何か一つが万能で「都合良く天下が取れる」ほどこの世界は甘くない。創作カロリーは高くなるわ読者のストレスが溜まるわで良い事は無さそうだが、言ってしまえばガンプラ・イブはモブ達の話。主役のようなご都合主義はない。

 

 ただ2つ桃李に有利な点がある。容易に修復・復旧可能という事は「ダメージを恐れずに済む」「大破する様な事があっても然程インターバルを必要としない」……つまり急速に実戦経験を積む事ができる。そしてトーリは2年半前までGPDという異世界のガンプラバトルマシンのシステム構築を担当していた開発者だ。最初機GPDから仕様を見てきた桃李には、このガンプラバトルシステムの特性が透けて見えていた。このシステムはファイターの感情に流されてしまう……

 

「それじゃiフィールド抜けねぇって言ってるんだよぉぉおっ!」

 

 システムの判定的には五分五分の所でも、気合いとテンションでバフが掛かる。開発時にかなり苦心した部分だ。処理をフラットにしたいのに何故かシステムがファイター達の激情に反応してしまう……GPDでは最終的にかなり反応を抑える事に成功したが、このシステムではまだその抑制が甘い。

 

「そんなもの発生器ごと撃ち抜いてやるわっ!」

 

 彼らが気付いているか居ないか分からないが、相手の気合い絶叫に被せて「気合い相殺」を仕掛けないと判定で負ける。結果的に試合は些か賑やかなものとなり、バトルは富野式観念バトル要素を色濃くする。ガンダムっぽくなるのだ。観客も盛り上がるという寸法だ。没入型VRMMORPG系システムであるGBNにない要素……桃李にはちょっと新鮮に感じた。

 

 ダム!ダム!という重低音を響かせてパシケファロのライフルから熱弾が撃ち込まれる。苦し紛れに気合いを入れず発した熱弾はiフィールドを「撃ち抜けなかった」が、気合いを入れた熱弾がiフィールドを貫通して発生器を沈黙させる。気合いバフは定率作用なので強力な攻撃であればある程気合い補正による増分が増える。カミーユのファイトスタイルはシステムが求める事への最適化なのだ。

 

「スパロボなのね……」

 桃李静香は理解した。彼の想いびとである紀伊はこの補正を可能な限り消そうとしていた。純粋な技術で戦い「想い」という要素を極力排除しようと苦心していた。そうで無ければ思い入れが強いファイターが優越し、優越し過ぎたファイターはゲームから排除されてしまう。のめり込めばのめり込む程このゲームはそんなプレイヤーを排除せざるを得なくなる……

 

 誘爆で散華するデンドロビウムの破片をSEフィールドで弾きながら、パシケファロはキィ……キィ……ンと悲しげな高周波を響かせている。巨大キット、オーキス付きステイメン……お値段なんと3万超え。如何にスラスター推力が高くとも機体質量が大き過ぎて慣性質量コントロールが可能なパシケファロとは相性が悪過ぎた。

 オーディエンスからデンドロを持ち込んだ勇者に惜しみのない拍手が向けられる。良くやった、良くデンドロを場に出した。

 

 バ○スピの蔵前は、彼にデンドロの再販を約束したという。




詳しくない人に申し上げると、デンドロビウムは組み立て後全長1m近い化け物キットです。一般家庭では置き場に困る1/144キット。多分引っ越しや結婚で「最後の華」を飾る為に持ち出したんでしょうな……(ホロリ)

ガンプラバトルでデンドロビウム壊されたら?(筆者は3か4)

  • 寝込む
  • 泡吹いて倒れる
  • 泣きながら残骸集めて庭に墓建てる
  • 修理を試みる
  • バンダイにパーツ発注
  • ガンプラバトルに出す訳ないだろ!
  • 警察沙汰(婉曲表現)
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