バナージ・リンクスの受難【完結】 作:PureFighter00
後ろから肩越しにパシケファロのフレーム新造を見て桃李が聞く。
「なんでそんなめんどくさい構造にしたの? 特に背中」
「ある意味ではお前の為だ」
「私?」
「お前、変な手技使うだろ?」
「
ジャブに似た構えから出す予想外に伸びるバックハンドブローというか、何か。彼女の師匠に当たる陸さんが授けた忍術系格闘術・
「複雑な動作だし頭抱えたわ。ただでさえガンプラバトルに不慣れな奴に更にそんな動作させる無理考えたら、機体構造変更の方がマシだろうなと。例えば、ガンプラは大体体軸捻る時に身体の中心で捻る訳だよ。人間みたいに背中側を軸にするとデザイン破綻するし、関節組み込む都合もあるし」
「更に言えばガンプラでは腰ひねる際にズボンのベルトラインでグイッと回転させるが、人体の場合背骨で段階的に捻るわな?」
ふんふんと腰を捻る桃李。
「で、この違いから来る身体操作の補正、お前出来るの? 関節の位置が違う、身体の動かし方が違う……普通これガンプラバトルの経験積んで獲得するものなんだけど、そんな余裕無かったべ? 筋肉痛で身体動かんし」
「無理(爽やかな笑顔)」
「だからまぁ、手技に特徴あるならせめて体幹の動きぐらいは人体を模倣しようと。更に言えばガンプラって腰の捻りが一軸だから、ビミョーに弱点なんだわ。実はテコの原理で破損し易い」
「え? マジ?」
体幹一本ドカーンだからな(涙)
「マジ。だからカミーユとかその脆弱部に体当たりして来るんだよ。あいつプラモの構造良く理解してる」
「え、そしたらパシケファロが耐えたのって……」
「弱点に気付いてたのと、それをカバーしつつ『人体らしいポージングを可能にする関節』考えてたワシの超ファインプレイ。腹筋構造は昔の模型雑誌で『大型模型の末端荷重を支え得るポリキャップの使い方』公開してた女美由寿氏のアイデアを更に発展させた三軸伸縮構造だ」
「いつの話?」
「(指折り数える)30年ぐらい前かなぁ?」
「私生まれる前……」
「……マジでか。生まれてると思ってた」
「ぶつよ(真顔)」
「結果的にだけど、ガンプラバトルに不慣れな奴が直感的に操作できて、ある程度頑丈でレースマシンみたいにパーツ交換が容易な機体だったのが功を奏した。逆に言えばこれ初心者ファイターにものすごーく優しい機体……SEシステム無くてもな。ジム教徒としてはこのノウハウ活かしたジムコマンド宇宙型とかちょー作りたい」
「まさか……おじさん……」
「むしろ出来の悪いキットの方が沢山加工出来て嬉しいなモデラーだが?」
「安くて沢山加工して遊べる、サイコーだな。はよジム量産せぇ!(切実)」
「こ……この胸に付いてる緑のは……?」
「0080年末から始まったモビルスーツ免許の細分化に伴い宇宙空間用MS免許が新設されてだな、各地のMS基地で機種転換試験が実施されたんや。その際に前世紀の習慣が残ってて、若葉マークをつけなきゃいけなくてな?(早口)」
「うわぁ凄くめんどくさい系のガノタだぁっ!」
永野(渦さん)の脳内には0079年10月から0084年ぐらいまでにかけてのジム開発史が詰まってるぞ。
「フルバーニアンとかは本来この宇宙空間用MS免許が必要なんだがアナハイムが政治的圧力を……(ほっとくと5〜6時間喋る)
こんなんだから永野がジム類使うとビームサーベルがイデオンソードみたいになってハイパーオーラ斬りになる。