バナージ・リンクスの受難【完結】   作:PureFighter00

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 本作のバナージ君はアナハイム工業専門学校ではなく「アナハイム高等専門学校」の学生であり、高専学生である。


高専学生の本気

【ドズル邸 夕方】

 何やら悩んで悩んで悩み抜いたバナージ君は突如あるアイデアに突き動かされ、先ずユニコーンガンダムのデストロイドモードの各関節間距離をノギスで測りだし、自室を飛び出すとミネバの下にチャリンコで駆け出した。そしてミネバと談笑しつつクッキーを頬張り、物凄い真剣な顔でザク男の関節間距離を測りだす。ミネバは知っていた。これパパとかジオン工業の人が仕事人モードになった時のやつだ!

 ゼナは目を細めてその姿を見ている。私には判る……これは技術者の眼……何か画期的アイデアを掴んで脳内からそれが飛び出してきた時の激情……遂にこの子は目覚めたわ!

 

 それは突然空から舞い降りてくる、ある種の天啓だ。ガンプラバトルとは何ぞやと問い続けた彼の脳裏にこの数日で起きた事が走馬灯の様にフラッシュバックする。パシケファロの腹部にあったプラ棒とポリキャップのスライドによる形態保持……透明プラ棒…… タミヤ 楽しい工作シリーズ No.159!(実在します)

 

 透明度の高い丸棒は光を通す……光ファイバーの様なものだ。スマホが有ればDIYショップでただのアクリル丸棒断面にスマホのライトを当ててみると良い。反対側の断面から光が出るのが見えるだろう。このようにする事で光を曲げる事が出来る。

 

【挿絵表示】

 

 この性質を利用して、光源から離れた位置に光の点灯部を移動させる事ができる。減衰率(光の透過率)が問題となるから光を用いた通信網では専用の光ファイバーケーブルを用いるが、ガンプラサイズだと太めの釣り糸や透明プラ棒(但し、丸棒で断面が充分研磨されていないといけない)でも光を導く事が可能なのだ。上図右側でビームガンの銃口に赤い光が灯っているのが判るだろうか?

「……つまり、どゆこと?」

 ミネバにはそれが何を意味するのかちんぷんかんぷんだが、バナージの真剣さと説明の早口具合に彼の興奮は理解していた。

「うん、これ……プラフスキー粒子を活用したサイコフレームみたいに出来ると思うんだよ! フレームの関節保持に使う透明プラ棒はプラフスキー粒子の貯蔵と全身への粒子移動を可能にさせる……プラフスキーフレームだよミネバ!」

 正直引き気味ではあるのだが、ミネバも何年か前……小学生の頃見たガンプラバトル世界大会……ハマーンに連れてってもらったっけ……で、なんかそんな話を見たか聞いたかしたような気もする。RGシステムだっけ? ガンダムなのに殴り合いしてたなぁ……

「ミネバ見てて! 俺本当のサイコフレームマシン作るよ!」

 

 バナージ・リンクスはその高専生らしいめんどくささでユニコーンガンダムに一つの疑問を抱いていた。フルサイコフレーム機なのに何でユニコーンは装甲部からフレームを露出させるのか。フレームって内部構造で表面露出する場所には無くないか? 本来ならムーバブルフレームにこそサイコフレーム素材が使われて「あの光」は関節から漏れ出るのではあるまいか?

 

【挿絵表示】

 

↑イメージ図

 それに、発光表現として透明パーツ化は如何なものか。金属なら金属光沢がある筈だし、光は透過しないのではないか。あの透明パーツはプラフスキー粒子貯蔵には良いかも知れないが、金属フレームだとすると疑問が残る。それならばいっそ内部フレームをアクリル板で自作して露出部のみ塗装を施し、フレームそのものの剛性を高めつつプラフスキー粒子貯蔵スペースにして、関節保持機構でプラフスキー粒子の伝導を行えば……

「……良く分からなかったけど、一つだけ分かっちゃった。バナージやっぱりガンプラバトル好きだし、何で好きなのか自分で答え見つけたんだね☆」

「!」

 この時点でバナージはそのアイデアが自分の何処から出て来たかはっきり理解した。ミネバは自分でも気付かなかったバナージの心の奥底を見通している……

「うん、単純な話だった。負けたく無いんだ、僕も!」

「にひひひ……意地っ張りー。だけど男の子のそんな顔は私も好きだよ☆」

 

 桃李が見ていれば思わず缶ジュースを握りつぶす様なシーンであるが、その桃李の足下にも雪解けの気配がある事をまだ誰も知らずにいた。

 

【都内某所、家賃月4万台のボロアパート】

 万年床で寝そべりながら白鯨(デンドロ)破壊シーンを見る男がいた。しきりに頭を掻きむしっている。

「クソっ! だからあれほど!」

 それを恐れていた。普通はやらない事でも普通で無い奴はやらかすんだ! 下手すりゃ破壊された奴が刃傷沙汰起こして害悪論が出ると……(涙)

 2年半前に無断欠勤半年という豪快過ぎるムーブにより失職した男であった。不可抗力だ事故だと説明しても、流石に令和の時代に「天狗に攫われた」では説明にならない。彼はプロジェクトからとっくの昔に外されて、今は割とブラック極まるスマホゲーの開発下請けに所属している。職歴が半年丸々空いている事を几帳面に履歴書職歴に書くとやはり就職では厳しい。それでも良いと拾ってくれる会社は、つまりその様な所ではある。

 

 まぁ、光も抜け出せないブラックホール案件ですり潰されるよりはマシなのだが。




 割とガンプラ関係技術はウソテクではなくガチガチに「実際ある奴」ベースにしてたりする。HJの女美由寿氏の強化関節作り方とか実在する話でござるよ?


追伸:
 結構栞が前半集中してるの気にしてたんだが、ギース様拝読して「読むのに熱中すると栞移動忘れる」という経験をした。悟りに一歩近付いたぜ!(涅槃寂静)
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