バナージ・リンクスの受難【完結】 作:PureFighter00
(自分の文章修行の一環として、本作も10万文字(1話平均2000文字、50話完結ペース)を目指しています。
【ジオン工業 社長室】
「バナージ君はどうだったかねシャア課長」
「大変優秀でしたね」
「……それだけか? なんかこう『こう凄かった!』みたいなエピソードは?」
「社長。読者はバナージ君が盤面に水平儀当てただの指差し確認ヨシ!だのの話を望んでおりません……」
「リアルに書くのも考えものだな」
「コロニーで航空機の試験がなどと言われたらコロニーのサイズを48倍でも72倍でもしたら良いのです」
「飛行機だしな」
「ガルマのドップが空を飛ぶのですよ?」
メタネタ終了。
【池袋北口、ビックカメラ裏】
懐の携帯は先ほどから沈黙したままだ。彼を追い出した古巣からの連絡……嫌な予感しかしない。何かと思って初回はでたが、今すぐ戻れプログラム直せ! ガンプラ壊すとは何事か!と怒鳴られた。壊すとモデラーが泣きますよ再考を!と申し出たのは3年前。大変賢明な指摘であったが、プロジェクトマネージャーは「壊れないと勝った感が出ない」「ガンダム扱う上でIPホルダーから要請があった」と聞く耳を持たない。得てして天才の提言とはこのような物。数年〜数十年の先にようやく時代が追いつくのだ。
バトルシステムが本気の最大出力を出すとこうなりますよと示す為のテスト機、自作のタイラント・ソードは試験中に本当に狂王の剣で時空を切り裂き紀伊を別世界へと誘った。馬鹿なことをするんじゃなかった。あれが紀伊の人生を変えた……
その者、蒼きXJR400R2に乗り池袋の地に降り立つべし……今の紀伊のほぼ全財産と言えるバイクだ。角目(ヘッドライトが四角)にセパハン、デジタルメーター搭載。YAMAHAが作り出した空冷最強ネイキッド。そして諸兄も知る通り、東京都内にはバイクが駐輪できる駐車場が少ない……シトシトと雨が降る中紀伊はひたすら待った。いつ来るか分からぬかつての部下を……お巡りさんが来ると微妙に位置を変えるなどして。
これが2人のすれ違いを生む。紀伊のメットはフルフェイス。雨を嫌ってバイザーを下ろしている。一方桃李は彼がバイク乗りだ等とは知らず、雨の中傘をさしてガンベへ急いだ。共に連日連夜の徹夜に耐えた疲れた顔しか知らぬプログラマ同士、二年半の月日は2人を遠いものにした。
前を歩く女性らしき人影がガンベの入り口を潜る時に紀伊はあれこそトーリではないかと声を掛けたが雑踏とゲーセンのピコピコ音がそれを遮る。嗚呼、現代東京にバイクの駐輪スペースが潤沢にあったなら!
仕方なく紀伊は10分300円のリパーク車用駐車スペースに愛車を収めた。高い、高過ぎる!(バイク乗り可愛そう過ぎない?)
ガンダムベースに駆け込んだ紀伊はメットを外すように店員に注意されながらガンプラバトルのペースを見た。我が子のような自慢の機械だ。今やどの程度彼の書いたコードが残っているか分からないが……相当残ってるんだろうな。今のメンツじゃ修正もできないぐらいだし。
……我に返って必死にトーリを探すが姿が見えない。何処に行ったんだトーリさん!
「きちんと21話「刺客」を読んだ方は覚えているだろうが」(実は異様にUA落ちてる)
桃李はガンベに来るとガンプラバトル機を見下ろす2階席に上がり様子を伺うのだ。そして今日は現れた桃李を常連客が囲んでいる。
「桃李さん酷いよ! 俺たちは場末とは言え同じ北ブクロで戦うファイターじゃなかったのか!」
「壊れるの前提のゲームなんだしさ……空気読もうよ」
「いやアレはインタビューの後ろカットされて……」
下の様子を伺うどころではなかった。騒ぎに漸く気付いた紀伊が2階席に走る!
「やーめーてーよーっ! ぶつよ!」
「落ち着けよ桃李さん!」(肩をガシッと掴む)
「お前らやめろ!」
この後の展開、お分かり頂けたであろうか?
桃李が八骸の
「……紀伊……さん?」
感動の再会はこの様にしてギャグ漫画の様に幕を開けた。
割と本気で特定部分だけ読まないというムーブが解らぬなり。1日の投稿数多いから栞挟まない勢は読み飛ばしてしまうのかなぁ、等と。