バナージ・リンクスの受難【完結】   作:PureFighter00

36 / 50
 実際池袋にヤクザ(正確にはテキ屋で暴力団)は居るが、その筋はこの間大物のおじいちゃん亡くなってちょいとアレなので「架空組織」としておきます。


幸せ掴んで轟き叫ぶ! ラブホ行

【ガンベ北ブクロ2F】

「と……桃李お前……」

「やった……やったよおじさん! 私、幸せ見つけた!」

 桃李と紀伊の再会シーンでも見れるかなと永野玄一が久々に北ブクロに現れてみると、どう見てもたった今紀伊が死んだかの如き状況が出来ていた。お前が犯人だな!(名推理)

「……たった今、幸せが粉砕された瞬間にしか見えないのは何でだ?」

「……玄ちゃん、救急車呼ぶ?」

「何とかならんかシャチョー! ちょっと訳ありなんだ」

「知り合いのラブホにでも運ぶ?」

「すまん、誰か手を貸してくれるか!」

「ぼ、僕が!」

「私も行きます!」

 警察沙汰や病院送りは不味いのだ。こそこそ隠れて桃李、永野、バナージ、ミネバ、シャチョーが近くのラブホに紀伊を運ぶ。

 

「……ウチ、定員2人なんだけど!(6Pじゃチーズだよ)」

「ゴメンねおばちゃん、ゲーセンの宗が来たってオーナーに言っといて!」

「揉め事はやめてよ!」

「神農絡みか?」

「余り玄ちゃん首突っ込まない。ウチも一種テキ屋だからいろいろあるよ。お付き合いは大切ね」

 

【ラブホ内】

 

 

【挿絵表示】

 

 

「こーなってるんだぁ……」

 中は余り明るくないが、今のラブホは昔の様にベッドが回転するだの鏡張だののギミックは少なく、下手をすると少し割高だが広い風呂に広いベッドがある普通のホテルの高い部屋に近いものがある。所々にその手のアイテムはさりげなく配置されてはいるが。

 ミネバは物珍しそうに辺りを見回し、バナージは勢いでとんでもない所に来てしまったと冷や汗をダラダラ流している。

「お子様はやたらあれこれ触らんようにな」

 勢い良くドアが開く。

「宗ちゃんどーしたの! 若いのでも(はじ)かれた?! マトは割れてんの!」

「もうそういう時代じゃないよ李ちゃん……ちょっとした事故だってば……」

「お騒がせしてすいません、ウチの姪が……」(深々と頭を下げる永野)

「医者は連れて来たわ」

 

「じーちゃんの時代には池袋にも色々あってねぇ……」

「仁義なき世界か……戦後の闇市からだとそらーなー」

「もうお爺ちゃん亡くなったし、時代は変わったよ」

「一応みんなカタギになったけど、まだ繋がりはあるのよ」

「……その筋のミナサマ?(ガクブル)」桃李は今更ながらに緊張している。

「実業家よ(風俗・水商売系の)。お金に困ったらいらっしゃい。貴女なら(まだ)稼げるわ」

「冗談に聞こえないね、玄ちゃん」

「ガチもんだろうしなぁ」

「……綺麗にアゴに入っただけかな? 特に問題ないと思う。ただこの人ちょっと疲れ過ぎてないか? 養生するようにしてやってくれ」

「先生ありがと」

「縫合とかするのかとビビったわ。10万な」

 

 テキ屋と博徒は発生や成り立ちがそれぞれ異なる。テキ屋は元々縁日などの屋台関係者をまとめる「組」で、いわゆる賭場関係(ヤクザ)とは別口だ。しかし今や暴力団として一括りになっている。池袋は色々あってテキ屋系の組織が庭場にしていたのだが、丁度先月亡くなった元会長が盃外交や親睦会開催などを繰り返して緊張緩和に舵を切った経緯がある。(話書くに当たり一応一通り調べ直したら大物のじいちゃん亡くなってて少し驚いたりなどした)

 

【紀伊は目覚めました】

「トーリさん……?」

「紀伊さん、久しぶり」

「本当にトーリさんなのか? だって君は……」

「GBNのある所から来た。間違い無く君の知る桃李静香だよ」

「マジか……マジなのか……デンドロビウム破壊した女が本当にトーリさんだとは……」

「キイさんって、桃李さんの彼氏?」

「うん」「え?」

 

 

 気不味い沈黙。

 

 

「うん、彼氏!(言い切った)」

「……ぉ……ぉぅ……」

 バナージは先ほどから違和感を感じていたのだが、察して口にしていなかった。しかしミネバはズバリ聞く。

「キイさんって、年下?」

「一つよ、一つ違いなの、ほぼタメだから!(焦)」

「まぁ、その……(困惑)」

 

 永野、宗、李女史の年嵩3人衆は大体察した。あ、ちょっと桃李がフライング気味だ。まぁいいか。これだとラブホに詰めとけば既成事実化するだろう。

「あー、シャチョー……腹減らんか?(演技派)」

「美味しい店あるよ(察し)」

「私もご一緒していい?(演技)」

「いやー、少年たち。悪かったな! 飯奢るよ!(演技派&圧力)」

「あ、僕もちょっとお腹空いたなぁって(棒)」

「実は僕もメシ抜いてて……」

「君は安静にしてなさい。後でレバニラ定食でも届けさせるから(ほぼ脅迫)」

「……紀伊さんったらびしょ濡れじゃない……お風呂入れるわ(キラン)」

 ミネバだけは無言でサムズアップなどした。静香ちゃんファイト! ここがジャブローよ!(暗喩)

 

 

 ドアの向こうに去り行く人々の背中に、桃李は心の中で敬礼した。ありがとうありがとうみんな、桃李はこれから幸せになります……

 紀伊も別に桃李が嫌いな訳ではない、囲まれていた桃李を助けるべく蛮勇を振るう所存ではあったし、池袋に来たのも僅かな……それこそ奇跡を望んでいた部分はある。

 年上に臆した部分は否めない。職の不安定さ、収入の少なさ、鳴り響く古巣からの懇願……懸念は幾つもあるし不安もある。ただ、異世界から自分を探してやって来てくれる様な女が彼女以外に居るかと問われれば否だろう。

 

 お湯が貯まる音をBGMに潤んだ瞳で桃李が服を脱ぐ。

 

 夜が始まる(Begin the night)

 愛が始まる(Begin your love)




逆めぞん一刻? いや年上だし? む?

2025.4.13 挿絵追加。用も無くラブホ行って撮影してきたンゴ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。