バナージ・リンクスの受難【完結】   作:PureFighter00

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双方ボロボロっス。


プラフスキーシャード

 ユニコーンガンダムは力を取り戻したかに見えるが、外装はボロボロだ。それが故にサイコフレームを模したアクリルフレームが露出して更なる出力を発揮して見せてはいるが、これは火事場のクソ力に等しい。一方全身和柄のGM/GMも強力なストンピングとトゥーキックを嵐の様に浴びせられて関節がカタカタと揺れ出している。

 

「おやりになる……」

「ウォォォオ!」

「しかし……っ!」

 守りに徹したGM/GMが腕をだらりと垂らしたまま、スウェーバックやステップでユニコーンガンダムの猛攻を回避する。物理的格闘攻撃に移らなければ、守勢に徹すれば攻撃を交わすこと自体は容易い。格闘攻撃を捨てれば、だ。

「そこっ!」

 GM/GMが腰の後ろからビームスプレーガンを抜き打ちする。格闘戦に近い間合いではこの様な短い獲物の方が扱い易い。ただ、反発の少ないビームスプレーガンの反動ですら今のGM/GMの腕には堪える。今の一撃でユニコーンガンダムの腰部アーマーは剥ぎ取ったものの敵被害は十分では無い。撃てても後数発……

 ユニコーンガンダムも背面からビームマグナムを抜き応戦しようと試みるが、バレルの長さが邪魔をして小回りが効かぬし、近距離であるが故に銃身を蹴られ、ビームスプレーガンで払われて悉く弾が空を切る。

「長くて太けりゃいいって訳でもねぇ!」

「くっ……それでも!」

 ユニコーンガンダムはやたら頑丈なシールドごとGM/GMを押し、そこに生まれた時間と空間の隙を突いてビームマグナムを発射! GM/GMの左腕を基部からもぎ取る! もんどり打って後方に転がるGM/GMがその勢いで膝立ちの体勢になり、ビームスプレーガンを真っ直ぐユニコーンガンダムに向ける。そしていつの間にか抜かれたリボルバーを風天がバナージに向ける!

 完全に奇襲だった。見ていた全員がガンプラバトルフィールドに集中していたが為に生まれた死角だ。

「舐められる訳にはいかねぇんで」

「バナージ!」

 傍にいたミネバがバナージにしがみつく。一瞬にしてバナージの脳裏に過去の走馬灯が駆け抜ける中、彼の中の「顔がない怪物」は言語を経由せずに激情のままユニコーンガンダムを走らせた。

「……死んで貰います」

 たかがガンプラバトルで拳銃(チャカ)出すかぁ? 余りの出来事に空気が固まる。完全にバナージとミネバのいずれかを狙った銃身が鈍く光り、ゆっくり引き絞られた引き金が.38口径の雷管を叩くと思いの外軽い「パン!」という音と共に4インチバレルからマズルフラッシュが噴き出す。

 

 その僅かな時間を、その場にいた全ての人がスローモーションの様に詳細に知覚していた。ユニコーンガンダムが拳銃弾の射線状に現れると全身が一際強く輝き出す。正面を向いて両手を重ねる様に前に翳すとシールドがすかさずその前に現れる。いくら強化フレームとは言えアクリルは衝撃に弱い。着弾と共に先ずシールド、そして両手首からフレームが粉々に打ち砕かれて微細粉末の様に飛散する! そこにフレーム内部からのプラフスキー粒子の光が照射されると、その光はプリズムに当てられたが如く七色に煌めく。

 

 その速度は拳銃弾より早く(Faster than a bullet)

 七色に煌めく粉はユニコーンガンダムの胴体部に集まり、

 サイコフレームの結晶の様に再固着した。

 

「押さえろユニコーン!」

 

 叫びに応じてユニコーンガンダムが身をくねらせるとフレームから発生する光は薄暗いゲームセンター内を明るく照らす。その直後、.38スペシャル弾の弾頭がプラフスキー粒子の結晶に食い込み、その動きを止めた。ガンプラが拳銃弾を食い止めてしまったのだ!

 ゆっくりと着地し、両腕の肘から先を喪失したユニコーンガンダムがGM/GMに近付く。渾身の力で頭突きをすると、GM/GMはホロホロと崩れ瓦解した。

 

 

 

 偶々警邏中に路地に停められたトラックを見咎めた警視庁巡査糸井は、腹でも下してゲーセンにでも飛び込んだのかと警察車両の自転車を傍に停め、ゲームセンター内に立ち寄った。警察官立ち寄り所なのだから何も問題はない。別に何処ぞの勘吉の様にサボる訳でもなし。

 すると直ぐにゲームセンター中央から「パン!」という乾いた音。何てこった! 発砲事件だと! 糸井の瞳に緊張が走る。

 身を屈めて走り、音がした現場を見れば、全員が固まっている。拳銃を構えた男に素早く接近してまず拳銃のシリンダーを握り、ゆっくりと銃を下げさせる。刺激をしない様にゆっくりと、静かに拳銃を奪い取る。

「警察だ。大人しく来て貰おうか」

 素早く腰の手錠ホルダーから手錠を出し、時計を一瞥して宣言する。

「午前11時32分。確保!」

 かしゃんというおもちゃめいた音が思いの外響く。

 まるで全員の魂が抜かれてしまった様だった。ただ1人風天だけが「冷たい手錠なんてのは無いのだな」と妙な感想を抱いている。人権に十二分な配慮が為されたこの令和の世。初夏の日差しと糸井の腰で暖められて、金属製の手錠にすら温もりが満たされている。

 

 ビルドファイターズ時空に悲しみの風は吹かない。




やぁ、あと一話でこちらも終わりだ!
手錠の暖かさについては確認をお勧め出来ない(真顔)


拳銃ぶっ放すシーンに関しては、確か前作の感想で「ホビーアニメで武装がどんどんエスカレートする」なんて話を見かけてから、「じゃあゲーム内でソーラレイやアクシズ落としするより、実際にS&Wの4インチバレル辺りを止めちまった方が盛り上がらんかー」で、ガンプラの破損が結果的に超効果を示すってラインで構成してみた。最初は「本物のマグナムを喰らえ!」だったんだけど少しだけ自重。まぁ、実際命懸けになれば良いので.38スペシャルでえーやろと。
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