転生したらウマ娘になっていた   作:ヴァン.

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服装は印象を変える一つの手段なのです

テイオーはどうすればルドルフがみんなから親しまれるようになるか考えた。本当なら新たに交流会を作ってもらおうと思って生徒会室に行ったのだが、流れ的になんか言えなかったのでその話は今度にしようと適当に纏めて寮に帰ってきた。

「ただいま~」

「あ、お帰りテイオーちゃん」

部屋に戻ると室内着のマヤノがベットで寝転がりながら雑誌を読んでいた。

「マヤノ、なんの雑誌見てるの?」

「んー?これ?」

マヤノは体を起こしてテイオーに雑誌のページを見せる。そこにはなにやらオシャレな服を着たモデルの人が沢山写っていた。

「ファッション誌だよ。テイオーちゃんファッションに興味ある?」

「あー、ボク服についてあんまり知らないや…………」

「えー知らないの!?もーこれだからテイオーちゃんはまだまだ子供だよねー」

「なにー!?ボクはマヤノよりは立派なオトナだもんに!」

「マヤだって立派なオトナだもん!」

「あれあれ~?こんな事で怒るマヤはまだまだお子様だね~」

「ムキー!マヤ怒ったもん!今からどんな服が似合うか勝負だよテイオーちゃん!!」

「むっふっふ。無敵のテイオー様はファッションもカンペキだから簡単に勝っちゃうよ!!」

と争ってはいるが、この二人、ファッションについての知識は全くの皆無であるのだった。

そんなしょうもない闘争を繰り広げて数十分後。

「もう少し静かにしなさい」

「「はい、ごめんなさい…………」」

寮長フジキセキによって、勝負は引き分けで幕を閉じるのであった。

 

___________________________

 

四月一一日。休日のある日だった。

都内のデパートではあるウマ娘が息抜きのために出かけていた。

「やれやれ、まさかこんなことになるとはな…………」

シンボリルドルフという皇帝のウマ娘は苦笑いで呟いて歩いていた。

「もー!そんなこと言わずにおでかけを楽しもうよー!!」

ほっぺを膨らませてルドルフと一緒におでかけしていたのはトウカイテイオーだった。

「しかしだなテイオー。前日にお誘いの連絡がきたとはいえ急ピッチで書類仕事を終わらせるのは大変だったのだぞ?」

「あはは……。でもおでかけできて結果オーライじゃん!」

「まあ、それもそうだな」

ルドルフは改めて視線を前に向ける。視界の端に僅かだがテイオーの後頭部が見える。

「で、私と行きたい場所ってのはどこなのだ?」

「もうそろそろつくよ。…………ん、あった」

「ほう……?」

辿りついた場所は、二階にある服屋さんだった。内装は白い壁紙に床は木の板で出来ていた。ところどころにあるマネキンが今流行りのファッションの服装を着ている。

「どうしてまたここにきたのだい?」

「うーん、カイチョーのイメージってお堅い雰囲気って聞いたからさ、じゃあお堅い雰囲気から外すには何が良いかなって考えてたら服でイメージを柔らかくしたら良いんじゃないかなって思ってさ」

「これはまた柔軟な発想だなテイオー。しかし、私はそこまで気に__」

「四月九日。廊下で生徒に話しかけて逃げられたカイチョーが落ち込んでいたところをボクは見かけたよ」

「……っつ!?」

ルドルフは酷く動揺した。

あの時誰にも見せたくなかった姿、よりにもよって一番見せたくないテイオーに見られてしまった。

ルドルフにとってトウカイテイオーはとても大切な人物で、出会った時からあの人の面影を感じる何かがあって、あの時みたいに自分のお堅いイメージを崩すため、自分のように悩んでくれたあの少年。

一瞬、本当に一瞬だが、今あの時の少年の姿が見えた気がした。

「まさか、な……」

「どうかしたの?」

「いや。ふふ、これもまた縁というやつかな」

「大丈夫カイチョー?なんか変な物でも食べた……?」

「なんでもない。さ、早くテイオーの選んだ服を私に着させてくれ」

「うん!」

 

_________________________

 

その日の夕方だった。カラスの鳴き声とすれ違う人の会話が聞こえる道、テイオーとルドルフは学園の方へと帰っていた。

「な、なあテイオー」

「なにー?」

ルドルフはやや声を震わせ、もじもじしながら。

「その、なんだ……。今更言うのもアレなのだが、こんなフリフリ私には似合わないぞ……」

ルドルフは改めて今の自分の服装に目をやる。

真っ白なブラウスに白を薄く混ぜたブルーのパンツ。服屋でワンセット買ったときから身に着けた服だ。

「そんなことないもん!カイチョーは何着ても似合うよ!大丈夫、ボクが保証するよ!」

「し、しかし……恥ずかしいのだ……」

「もー!そんなのカイチョーらしくないよ!いつもみたいにしていればいいんだよー!」

「でも……、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい……」

次第にルドルフは顔が赤くなり、声は更に震えだし、なにやら目がぐるぐるになりそうな状態だった。

「まったく……。あ、いつの間にか着いたみたい」

「ようやくか。長かったような短かったような……」

「今のカイチョーはカワイイのだから自信持ってよ?」

「善処はするよ……。今日はありがとうテイオー」

「にしし!どういたしまして」

二人はそれぞれ自分の寮へと戻っていった。

しかし二人は気づいてたのだろうか、背後からバレないように追跡していたウマ娘を。

 

__________________________

 

二日後の朝。ルドルフは早朝の執務のために朝早く学園の方へとやってきた。

(うぅ、先日は恥ずかしかった……。冷汗三斗(れいかんさんと)とはこのことか……)

今だにあの時の余韻が残っている。

思えば帰ってきてから散々だった。寮に戻るなり美浦寮の寮長であり同じリギルメンバーのヒシアマゾンにからかわれたり、ツインターボという青髪にウマ娘に『かわいい!』と連呼されたり、その騒ぎを聞きつけた同じ寮内のメンバーに写真を撮られまくられたりと、なんだか以前の世界と同じような感じで懐かしみと恥ずかしさがあった。

他にもなにやらあの時の帰りの写真も撮られていたみたいで、その写真が学園の掲示板に貼られていた。

(だがまあ……)

「か、会長さん!私と連絡先を交換してもらってもいいですか?」

「会長!よければ今度一緒に並走してもらってもいいですか?」

「近くに綺麗な喫茶店が出来たのです。よければ会長殿も行きませんか?」

最近では新入生も気軽に話しかけられるようになり、頼られることも多くなった。

(心願成就、だな。これほど嬉しいことはいつぶりだろうか)

ルドルフはクスッと笑い、そして。

「私で良ければ付き合おうではないか。皆の笑顔は私の幸せなのだから」

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