転生したらウマ娘になっていた   作:ヴァン.

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春のファン感謝祭

桜吹雪に見舞われる季節のなか、とある学園ではあるイベントが行われていた。

四月二六日。

春の感謝祭が行われる日が遂にやってきた。選抜レースを終えて早速チームに入っている子もいれば、ここで挽回するために練習してきた子もいる。

この感謝祭はある意味選抜レースの二次選考のようなもので、ここで良い走りをすればスカウトされるチャンスがあると言われている。

しかし、メインは感謝祭なので開催中は声をかけるのは禁止としているため、声を掛けられるのは開催終了して翌日の場合が多い。

とはいえこれはチーム戦なので、主に仲間と協力してポイントを稼いで優勝していくのがこの春の感謝祭の醍醐味だ。優勝チームにはなにやら豪華景品があると聞く。

早朝とはいえ、この感謝祭を見るために朝早くからやってくるファンは多くいる。

そんな雑踏の中、テイオーは半袖の体操服を身に着け、ネイチャと学園の廊下の窓から外の様子を眺めていた。

「いや~今日のネイチャさんは絶好調ですよ。今なら誰でも勝てるんじゃないかな。…………なんて」

「ネイチャなら勝てるんじゃない?この前の選抜レースでボクと走って三着だったし」

「…………なんでだろ、あたしその三という数字に物凄く因縁があるようなないような…………」

「?」

「なんでもない、気にしちゃだめよ」

「あ、うん」

「…………おっほん。テイオーは何の種目の出るんだっけ?」

「ボクが出るのは確か…。スイム、中距離走、最後のトライアスロンでアンカーをやることになってたんだっけ」

「あたしはテイオーにバトンタッチする第三区間のメンバーか。じゃあ軽く走ってテイオーに渡さないとね」

「えへへ、期待してるよネイチャ!」

「期待しないでよ…………。まーゆるっとやらせてもらいますわ~」

といいつつ、二人はカツンと拳を合わせて、それぞれの戦場へと向かった。

時刻はお昼過ぎ。大体の競技は終わりお昼からのメイン競技はトライアスロンとなっている。そんなテイオーのクラスは……

「もう不幸だぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!」

テイオーはもうやけくそ気味で悲鳴を上げた。

もう色々と、さんざんであった。

テイオーはスイムで何故か自分だけピンポイントで逆流の波に長時間襲われて大敗。ダーパンは料理対決で砂糖と塩をうっかり間違えてしまい大敗。ネイチャは同じクラスのツインターボの作った特製ロイヤルにんにくマシマシジュースを飲んであまりのにんにくの臭さに撃沈しつつ三着。クレッセは借り物競争でまさかのおもちゃのマジックナイフというものに当たってしまい大敗。

他のメンバーもさんざんな目にあって、現状最下位路線へとまっしぐらであった。

「えーいこのままじゃだめよ!!気合よ気合!とにかく今はトライアスロンで逆転するのよ!」

「けどシャコーグレイド、次のトライアスロン出走者のイブキマイカグラがいないわよ?」

「なんでだって!?どこいったのおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ちょいとダーバンさんやい、この状況どうだと思います?」

「愉快ですわ~。どうにでもなりやがれです~」

「そこで!!諦めたら!!試合!!終了!!!!」

「テイオー!あんたなんとかしなさいよ!!」

「えぇボク!?」

「はいはーい!ターボ良い案があるよ!」

その声にクラスが一斉にターボの方へ視線を向ける。やけに自信満々にターボはこう提案した。

「走る!」

「却下ッッ!!」

 

_________________________

 

時は過ぎて現在トライアスロンの時間。第三走者のネイチャは山道を走っていた。うっそうと生い茂る森の中は空気が透き通ってはいるが、道が整備されてなければガタガタの道を走るハメになってただろう。

(にしてもこのトライアスロンぼ第三コースは一番距離が長い事で有名だからね。あたしはべつに平気だけど。……それより、なんでまた三という数字に当たるんだァ。もう一種の何かの呪いか!?)

心の中で一人寂しく悲しむネイチャだが、今はそんな状況ではない。

背後からは他のチームの第三走者がやってきている。

『うおおおお盛り上がってきたぞーーーー!!』

『メジロ家としてここは譲れませんわ!』

『ライスだってついてく……ついてく……』

『私だってここは勝つよ!!むん!!』

(やっぱりみんなやる気満々って感じよね。……でも、あたしだって負けてられないから!!)

 

 

一方で、アンカーである第四走者待機場所では。

「意外とボク達って一緒になりやすいのかな?」

「案外何かの繋がりがあるのかもしれないですね。運命的なやつとか」

「そんなものかな?ボクにはよくわかんないや」

「私はなんとなくそんな感じがします。同室がマックイーンさんなのですか、彼女からは不思議な運命を感じるのです。テイオーさんと同じように」

「ふーん」

(運命、か。ボクの運命ってなんだろう、あまりそういう人と出会ってないからよくわかんないや)

でも、

(カイチョーからはその運命的な何かとやらを感じるんだよね。なんだろう、親みたいななにかを)

そんなテイオーだが、やや肩を落として隣にいるウマ娘にじろりと見ながら、

「なんでカイチョーが……?」

「ふふ。答えは簡単な事だ。やはり私もウマ娘だから誰かと競い合うことがしたいのだ」

「うんうん分かるよその気持ち。でもね、カイチョー強すぎるの!!」

「おや?テイオーらしくないではないか。この前のファッションの件ではお世話になったからその借りも返しておこうかと」

「ボクとしては今度特大サイズのはちみーを奢って欲しかった!!いやむしろそっちにして!!」

「大丈夫だテイオー、私なりに考えはあるさ」

「本当?本当の本当!?」

「あぁ」

ルドルフは何やらいたずらっぽい笑みで、

「私が勝てば奢ろう」

「カイチョーの勝利確定フラグ建てないで!!ボク達の走る意味の大半が取られるんだけど!?」

『テイオー!!』

「ナイスタイミング!!はやくきてネイチャ!!」

「ルドルフー!持ってきたよー!!」

「いいタイミングだなチケット。ではここで___」

ルドルフは一呼吸入れると、

 

「__生姜が無いなんてしょうがないな」

 

「……………………………………………………………………は?」

「く、くっくっくっく。なかなか傑作だと思わないか?」

「今ので周囲のやる気がダウンしちゃったんだけど!?」

「あーっはっはっはっは!!ぐるじいいいいい!!なにいまのダジャレ!!滅茶苦茶面白いんですけど!!」

「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「あの、テイオー、さん……。今のは、なんです、か……」

「イクノがやられた!!誰かアンカー交代してあげて!!」

「私……もっと……走りたかった……」

「グラス!なんとかして!」

「な、なんとかしてと言われてもこの状況私にはどうにも……」

「もーーーー不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

_______________________________

 

結果として、この感謝祭はルドルフのクラスが優勝した。

テイオーのクラスも、最後の最後でテイオーの奮闘によって二着まで滑り込めてなんとか総合二位まで大逆転出来たが、ルドルフが突然のダジャレを言わなければ優勝できていたかもしれない。

そんなこんなで閉会式も終わり、学園関係者全員で現在片づけをしていた。

「まさかネイチャがダジャレ好きだなんて思わなかったな……」

「いやー親父ギャグはあたし好きよ、にしても会長さん、あれは冴えてるよ」

「おかげで道のど真ん中で笑い転げるハメになったの、忘れてないよね」

「だって、ダジャレ面白いんだから」

「それでボク、ビリから走るハメになったの、忘れてないよね」

じろりと見つめるテイオーに明後日の方へと目線を逸らすネイチャ。

「ま、結果的に面白かったからいいんだけどね」

「来年の春の感謝祭はどうなるんだろうねぇ」

「さあねえ。……でもまあ、今はチームを探さないとなあ……」

「あ、それならあたしもう見つかったよ」

「えぇ!?良いなぁ~」

「いやあんたスカウト蹴ってるじゃん……。だから入れないんじゃない?」

「合ってるけど……。でも単純にこれ!って感じなのが見つからないんだよ」

「まーそこはテイオーの意思だからね、早く見つけなよ?あたし早くテイオーとレースで走りたいんだから」

「うん、なるべく早く見つけるよ」

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