空に憧れた少年とバンド少女達   作:凌介

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新学期を迎えた暁人が最初に描くのは青空だった


第21話新学期と青空

夏休みが終わり今日から新学期、とはいえ俺のやる事は変わらない。

変わらず何気ない日常の空を描き時に幻想的な空を描く

「新学期だし、描くならやっぱり青空かな?」

そう呟きつつ学校へ向かう

そして学校に着くと教室に荷物を置いてギターだけを持って

屋上に向かい屋上でもはや定位置になっている場所に腰を落ち着け適当にカバー曲を演奏していく

このまま時間を忘れて演奏に没頭したい衝動に駆られる

だがそうは問屋が卸さない新学期そうそう風紀委員様が呼びに現れた

「黒崎君!始業式が始まりますよ!」

「今行くよ!」

「あなたは呼びに来ないとそのままサボりますからね!」

「実はサボりたいなって考えてた」

「新学期そうそうのサボりは許しません!サボること自体が問題ですからね」

「その通りなんだけどさ、たまには良くない?」

「ダメですね、私が許しません」

「まぁ、正直言うと思ったよ。でも、そう言われるとサボりたくなるんだよね!」

俺は紗夜の横を通り抜けて階段から飛び降り一瞬で死角に入る

「あっ!コラ待ちなさい!」

「やっぱり来ると思った!」

俺が逃げると紗夜は俺を追いかけてくる

そして学校の皆はまた始まったという表情で俺達の経緯を見ている

中には今回も逃げ切ってねと声援を送ってくれる子達もいる

そして逃げるすれ違いざまに香澄に会ったのでギターを預けておいた

「後で取りに行くから預かってて!」

「わかりました!」

そして校舎を一周してから中庭に出て木に登り隠れる

「黒崎君!って見失いましたか…まったく」

「またやってるの?騒々しいわねあなた達、ちょっとした名物になってるわよ」

「望んでそうしているわけじゃありません!もうすぐ始業式だと言うのに彼がサボる気満々で逃げるからです!」

「単に束縛されるのが嫌なんでしょ、それこそ空に浮かぶ雲のように自由でいたいのよ」

「そうは言いますがルールやモラルというものがあります!最低限度を弁えて貰わないと風紀が乱れます!」

「なら、考え方を変えてみたら良いんじゃない?」

「どういうことですか?」

「ある程度は自由行動を許容するからこそその自由な発送のままに素敵な空を描く事ができるんじゃない」

「それは…そうですね。彼が空をイメージした曲を歌ったのを聴いたことがありますが、吸い込まれるような感覚になったのを覚えています」

「あの手のタイプは追うんじゃなくて追わせるくらいじゃないといけないわよ」

「でも、始業式には出席させますので!」

そう言って紗夜は体育館の方に行ってしまった

「行ったわよ、暁人。木の上にいるんでしょ?」

「よくわかったね」

俺は木から降りる

「相変わらずね、ともあれ久しぶりね暁人」

「久しぶり千聖」

「夏休み前半に会ったきりだったものね、夏休みにあなたが撮った空の写真が見たいわ」

「今手元にあるのはコレだけなんだけど、これで良いならあげる木漏れ日と空の写真」

「素敵ね、ありがたく貰うわ、それと暁人。あまり紗夜さんを困らせちゃダメよ」

「わかってるよ、始業式始まる頃には体育館に滑り込むつもりだったし」

「なら、ちょうど良いわ一緒に行きましょう」

「OK!」

俺は千聖と一緒に体育館に向かった

「黒崎君!一体何処にいたんですか?」

「中庭のベンチで寛いでたから捕まえてきたわ」

「ベンチに寝そべって空見てたら千聖に捕まった」

「全く、まぁいいです。とりあえず整列してください」

始業式で先生達の長ったらしい話を聞いているのは退屈だった

体育館の窓から見える空を見つつ聞こえないくらいの音量で呟く

「体育館の窓から見える空って小さいんだな」

そうして始業式が終わると教室に戻り課題等の提出物を出してその日は終了した。

俺は香澄達の教室を訪ねた

「香澄いるー?預けてたギター取りに来たんだけど?」

「暁人先輩!預かってたギター今持ってきますね」

俺は香澄からギターを受け取るとギターを背負いそのまま屋上に行きまたギターを弾き始める

適当に何曲か弾いた後また空を見上げる

「小さな世界から見える空にいつも憧れてた

籠の中に捕らわれた僕は常にその広い世界を夢見た

なんてちょっとアレかな」

「その続きは書かないんですか?」

「え?」

いつの間にか香澄とおたえがいた

「2人ともいつの間に?」

「ギターの音聞こえたんで先輩かなって思って」

「なるほどね」

「先輩、曲の続きは?書かないの?」

「いや、なんかね…歌詞がイカロスみたいだなって思って」

「イカロス?」

「太陽に向かって飛んでいって死んじゃうんですよね?」

「うん、せっかくだしちょっと聞く?」

「じゃあ、音楽室行きましょう!ピアノで聞かせてください」

「わかった」

俺達は音楽室に移動し俺はピアノを弾いて歌っていく

 

『昔ギリシャのイカロスはロウで固めた鳥の羽根

両手に持って飛びたった雲より高くまだ遠く

勇気1つを友にして

 

丘はぐんぐん遠ざかり下に広がる青い海

両手の羽根を羽ばたかせ太陽目指し飛んでいく

勇気1つを友にして

 

赤く燃え立つ太陽にロウで固めた鳥の羽根

みるみる溶けて舞い散った翼奪われイカロスは

堕ちて生命を失った

 

だけど僕らはイカロスの鉄の勇気をうけついで

明日へ向かい飛びたった

僕らは強く生きて行く

勇気1つを友にして』

演奏を終えると俺はボソリと呟いた

「勇気と無謀は違うよ」

「どういう事ですか?」

「イカロスは父ダイダロスの言いつけを聞かずに無謀にも太陽に向かっていったんだ。勇気と無謀は違うよ、今作ってた曲もそうなりそうだったからやめたんだ」

「……なら先輩が勇気を示してください!空を飛ぶ事空を目指すことに対する勇気を」

「勇気ねぇ…人は臆病だから、空を飛ぶために機械に頼った。ロウで固めた鳥の羽根はまぁ勇気と無謀紙一重だろうね」

「勇気と無謀が紙一重ならイカロスは太陽じゃなくて月を目指せば良かったんです、太陽を目指したから結果的に無謀になったんですよ!」

「ちょっと違うな、イカロスのこれは傲慢さ、自分が太陽神と対等だと思ってしまった傲慢さから太陽を目指し神の逆鱗に触れたんだ、実際イカロスの父ダイダロスはイカロスの亡き骸を抱きながらあれほど太陽に近付くなと言ったのにって言ってるから」

俺は鳥が空に向かって羽ばたく様子を収めた写真を2枚置いてその場を後にした。

 

俺は帰宅するとさっそく曲を作る

「空を目指す理由(わけ)だな」

俺はSkyとしてあえて曲をアップする一応少し暗い気持ちになるかもしれませんとだけ注意書きしておくのだった

 

 

香澄・おたえ視点

 

曲がアップされた。

「来たね…」

「聴いてみようか…空を目指す理由(わけ)」

「うん」

 

『人は皆考える、空を目指す理由を、それは一重に自らの傲慢さが生んだ感情故にそう感じるのだろう

それでも何か理由を探すなら鳥のようにあの青空に向かって羽ばたきたいから

自由に空を翔けてみたいからそしてその羽根を沢山の人に夢として託していきたいから、傷を負った背にその羽根を差し出しその人に夢を見せたいから

たとえ無謀だと傲慢だと言われようとそれが自分でえらんだ道だから』

 

曲が終わると2人で顔を見合わせ笑い合った。

「傷付くことを恐れないって事たよね?」

「うん!きっとそう!」

あの人は憧憬が強すぎるからその結果として嫌味にすら聞こえる言い方になってしまう時もある

「自分の力で飛ばないと意味が無いんだろうね」

「そうだね、それが勇気と無謀紙一重だとしても」

私達は先輩がくれた鳥が飛びたつ瞬間の写真を見ながら笑いあった。

先輩の不器用さに触れられた瞬間かなと感じていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




21話目です。
タイトルの通りになっているかはわかりません!笑
色々思うところがありますがイカロスの話は演劇やミュージカルなんかでも見る事がありますがイカロスは無謀だバカだと蔑む内容が多いですがそれを主人公がどう感じるのかとか想像しながら書いてたら何となくって感じでした。
次回も学校生活の何気ない日常からちょっと逸脱しつつも空を感じれる内容を書いて行けたらと思いますのでお楽しみに

次回「天上と天の世界」

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